紅き悪魔竜の冒険譚   作:八島はてな

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前回、二巻終了予定と後書きに書きましたが、押し込めなかったので
次回で二巻分が終了となります。加えて主だった戦闘も次回になります。

更新ペースが遅くて申し訳ない。

今回、オリジナルアイテム登場、しかしファンタジーにありがちなアイテム


第二話

 ヘロンはカルネ村に泊まった次の日の早朝、

アインズたちとともに城塞都市エ・ランテルに向かった。

薬草採集の途中でアインズがねじ伏せ配下にした森の賢王も一緒である。賢王という

名前なのだからさぞすごい魔獣なのだと思い、昨日ヘロンはアインズに見せてくれと頼み

見せてもらったのだがどう見ても巨大なハムスターだった。彼は何とも言えない気持ちになるが

周りが偉大な魔獣というのだからそういうことにしておくしかない。エ・ランテルに着いた時は夕方になった。

それから街に入るときにヘロンは兵士たちに門前で呼び止められるがンフィーレアの口添えにより問題なく門を

抜けることができた。門を抜けた先に広がる中世ヨーロッパを思わせるような街並みにヘロンは目を輝かせている。

現実では絶対に見ることはできないし、ゲームの中でも街はあるが所詮仮想のものだ。彼の目にうつるものは全てが

新鮮味にあふれていた。アインズたちの近くは魔獣の影響もあって人がよってこないからより周りを見渡すことができた。

(・・・すげえな。この世界にきて初めての街というのもあって何かクるものがあるな)

ヘロンは表情を顔に出さないように気をつけながら感動していた。今まで森の木々くらいしか見ていない。自然は十分なほど

堪能したのだからこういう人工的なものを見るのはとても楽しい。彼が建物を眺めていると漆黒の剣のメンバーの1人である

ダイン・ウッドワンダーが尋ねる。

 

「モモン氏はこれから組合に行くことになるが、ヘロン氏はどういたす?」

「そうですねー。冒険者になりたいわけでもありませんからここまで連れてきてもらいましたからお礼というのもなんですが

 荷物おろしを手伝おうかと」

「では、私たちもンフィーレアさんの家に行って荷物おろしを手伝いますよ」

「そんな悪いですよ。依頼したわけでもないのに手伝ってもらうのは・・・」

 

ヘロンの言葉に漆黒の剣のリーダーであるぺテル・モークが賛成する。ンフィーレアは遠慮がちに言葉をはさむ。

 

「いえ追加報酬もありますし、何より依頼を受けていないヘロンさんがやるというのに

 私たちがやらないのは悪い気がしますしね」

 

軽い口調で笑いかけるぺテルにンフィーレアは甘えることにした。そして、アインズたちに来てもらいたい時間をつげたあと、

ンフィーレアはヘロンや漆黒の剣のメンバーたちとともに自身の家の方へ向かっていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 家の裏口に馬車を止め、ランタンを持って馬車から降りてンフィーレアは扉の鍵を開けた。扉の先の部屋にはいくつもの樽が

置いてあり、その中から漂う草の匂いが、その部屋の役割を教えてくれた。

 

「では、悪いんですが薬草を運んでもらえますか?」

 

返事が聞こえ、ヘロンたちは馬車の荷台から薬草の束を下ろし部屋の中へと運んだ。場所を指示しているときにンフィーレアは

自分の祖母がいないことに疑念を抱く。ンフィーレアの祖母は仕事に集中するとちょっとの物音さえも気にしないのでいつもの

ことだろうと、声を強くあげることはしなかった。そして、薬草がすべて最適の場所に置かれ、ンフィーレアはヘロンたちに声を

かける。

 

「お疲れ様です。果実水が母屋にあるので、飲んでいってください」

「それはありがたい。」

 

ヘロンは嬉しそうに声をあげる。カルネ村での食事はとても美味しかったから、飲み物も美味しいのだろうと期待する。他のメンバーも

彼の言葉に同意とばかりに頷き、ンフィーレアの案内で母屋に向かおうとすると向こうの扉が開いた。

 

「はーい。お帰りなさーい」

 

そこにいたのは、可愛らしい顔立ちをしているが不安を感じさせる女であった。短い金髪が動きに合わせてわずかにゆれる。この女の敵意

にいち早く気づいたヘロンは腰のサーベルの柄にすぐ抜けるように手を置く。

(この女は俺にとってはザコだが、他の奴らは違う。どうするべきか・・・)

ヘロンは思案する。剣士系の職業をとっているとはいえここにきてから初の対人戦であるから不安がないといえば嘘になる。だが、自然と

その不安が消え始め代わりに自信にみちつつあった。これもこの体になった影響だろうか、と考えているうちに女と他の者の会話が進んでいた。

 

「・・・ンフィーレアさん。下がって!ここは逃げてください」

 

ヘロンは考え事をしているうちにいつのまにか緊迫した状況になりつつある。さすがに目の前で人が死ぬのはあまり見たくないので、ヘロンは

ペテルに声をかける。

 

「ぺテルさん。ここは下がってください。この女は私がなんとかします」

「ですが・・・」

「では、そこに隠れている男と戦ってください」

 

ヘロンは自分たちが入ってきた扉の方へ指をさす。ぺテルたちはそちらに向くが誰もいるようには見えない。

 

「ほう・・・わしに気づくとはな・・・」

 

その扉が開きアンデッドのような病的な白さを持つ男が現れた。

 

「へえーあんた、カジッちゃんに気づくなんてなかなかやるねー」

 

女がヘロンを見定めるような目で見ながら言う。ヘロンからすれば隠れ方がお粗末すぎて気づかない方がおかしいのだが、アインズからこの世界の

人間のレベルについて教えてもらっているので余計なことは言わないようにする。そして、女は愉快そうに笑いながらローブの下からスティレットを

取り出した。

 

「ヘロンさん。そちらはお任せします。こちらの男とンフィーレアさんは私たちが」

「こっちは何とかすっからそっちは頼むぜーヘロンさん」

 

ぺテルの言葉に漆黒の剣のルクルット・ボルブも同調する。挟撃される形になってしまったが、二手に分かれることでそれを解決し、

ヘロンたちは戦いを始める。

 

「じゃあー行きますよー」

「ふん・・・」

 

女は軽薄な笑みを浮かべながらヘロンに突撃して、スティレットを突き刺そうとする。ヘロンは目にもとまらぬ速さでサーベルを抜き、はじき返す。

自身の一撃がはじかれたことに彼女は驚く。それと同時に対峙している男への警戒レベルを引き上げる。

 

「どうした?その程度か」

「なめてんじゃねーぞ。てめー」

 

ヘロンの挑発にいらだった女はスティレットを構えてもう一度突撃しようとするが目的を思い出し、思い留まる。そして、様子をうかがい始めた。

 

「ぐっっ・・・・!?」

 

ぺテルの苦しげな声を聞いて、ヘロンにスキができたときに女は飛び出しンフィーレアの両目をスティレットで潰した。

 

「ぎゃああああぁぁぁぁぁ!?」

 

そのままンフィーレアを担いでアンデッドのような男と逃げてしまった。ヘロンは追いかけようとするがぺテルをそのままにしておけず、立ち止まった。

 

「チッ・・・逃がしたか」

 

ヘロンは顔に悔しさをにじませる。彼からは本来であれば逃げることなど不可能なのだが狭い部屋の中では普段の戦闘スタイルで戦うことができないことに

加えて見ず知らずの人間の家でもないため、破壊するわけにもいかなかった。ある意味、偶然が重なったから、あの二人はンフィーレアを誘拐できたのである。

ヘロンがぺテルに近づくと彼の右腕が溶けていた。

 

「ぺテルさん!大丈夫ですか?」

「ヘロンさん。すみません、相手の魔法をくらってしまって・・・」

「僕が不注意だったせいでぺテルが盾になってかばったからこんなことに・・・」

 

ぺテルの右腕が溶けた理由を漆黒の剣の最後のメンバーのニニャが答えた。ダインの使える魔法では欠損した腕を直すことはできない。漆黒の剣の面々は頭を

悩ませた。その様子を見たヘロンは、手を差し伸べることにした。

 

「ぺテルさん。よろしければこれを使ってください」

 

そう言って金色の液体の入ったビンを差し出した。

 

「これは何ですかヘロンさん?ポーションのようですが」

「これはエリクサーという薬です。私がいたところでは万能薬と呼ばれてました」

「そんなすごいものを私にはもったいないです」

「私の友人が言っていたんですよ。『誰かが困っていたら、助けるのは当たり前』って。ですから気にせず使ってください」

 

ヘロンはあの墳墓にいた誇り高き白銀の騎士が言っていた言葉を使って、ぺテルに何とか使わせようとする。彼からすれば

漆黒の剣のメンバーだって恩をかえすべき相手なのだから。その後、ぺテルが使うことを承諾し、エリクサーを溶けてボロボロになった右腕にふりかけると瞬く間に

再生し、元通りになった。

 

「な・・・治った!!」

「大丈夫なようですね。よかった」

「ありがとうございます!ヘロンさん!」

 

ぺテルは元に戻らないと思っていた腕が元に戻り、喜ぶ。他のメンバーもそれを喜ぶ。

 

「だけどよーンフィーレアさんが連れてかれちまったし、どうすっか・・・」

 

ルクルットが真面目な顔になり、これからどうするかを考えている。ヘロンは提案する。

 

「とりあえず、モモンさんたちが来るのを待ちましょうか。」

 

彼の意見に四人は賛同して、アインズがくるのを待った。

 

 




前書き通り、次回は戦闘中心です。
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