Fate/Fantasy 〜妖星乱舞〜   作:うどんこ

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前回のあらすじ

「なんだァ? てめェ……」

ギルガメッシュ、キレた!!


第一楽章 その③

 可愛らしい天使がふよふよと英霊、魔術師関係なく、そこにいる全ての者に纏わり付く。

 英霊達は追い払おうとしたり、手を出さずに様子を見たりしており、魔術師達は咄嗟に自分の身を守ろうとしている。しかし警戒する者達とは裏腹に、天使達は周りを飛ぶ以外の事は何もせず、すぐに何処かへと消えていった。

 その瞬間、英霊達は自身への違和感を感じ、そのマスター達は何が起きたかを即座に理解し驚愕の表情を浮かべていた。

 

「アイリスフィール! 風王結界(インビジブル・エア)が!」

「セイバー! それどころじゃないわ! かなり不味い状況よ!!」

 

 マスター、サーヴァント間で現状の情報の整理をしようとしている最中、(しゃく)に障る道化の笑い声が聞こえて来る。

 

「アホ面見せてるキミ達に、ワタシが特別に授業してあげましょうじゃないですくゎ! ぼくちんのこの力の効果は大きく分けて三つ」

 

 自慢するかのように、本人は分かりやすいつもりの解説と共に指を一つ一つ折ってゆく。

 

「一つ、キミら全員の全ステータスの低下。キミらのマスター達は既に気付いているだろうけど、AくらいあったものがCくらいまで下がってるんじゃないかなぁ? あ、元から低い奴には殆ど効果はないよ。だって奪える程力がないんだからねぇ〜。これと同じ原理でマスター達にはほぼ無害だ。ヤッタネ! これだけでも十分腹が立つよね〜!」

 

 明らかな挑発を言葉に混ぜながら、楽しそうにその場に居る者全てが聞き逃さぬよう大きな声で続ける。

 

「二つ、宝具の威力・性能の低下。キミらの虎の子の宝具もキミらの弱体化に引きづられてだーいぶ可愛らしくなってるんじゃない? 威力が半減したり、とある効果がなくなってたりとかね! この二つだけでももう商売上がったりでやってられないよね! ワタシもそう思います! ひゃ ひゃ 」

 

 そして三本目の指を曲げたり伸ばしたりと焦らしながら、こちらへと問いかけてくる。

 

「そして三つ。感のいいキミらは薄々感づいてるんじゃない? 特にそこの金ピカ。あのアホ毛の剣が丸見えになってるように、キミも落ち着かない状況になってんじゃないのぉ?」

 

 金のアーチャーは道化を射殺さんばかりの鋭い目で睨むが、攻撃の為の宝具を一つも展開しない──いや、出来ていない。その普通ではあり得ない状況から、他の者達は信じられないといった様子で何が起きたかを理解した。

 

「まさか……私達の宝具を封じているとでも言うのですか!?」

 

 セイバーの道化への問いの答えは、(さげす)みのこもった大きな笑い声であった。

 

「ピンポーン! そのまさかだよォ! キミらの戦力という名の口座はぼくちんが凍結したのだぁ! お引き出しは出来ませんのでご注意下さ〜い!」

 

 そして三本目の指をゆっくりと折っていく。わざとらしい笑みと共に。

 

「三つ、一部の宝具の封印。剣士は剣を隠す事が出来なくなり、槍兵は魔力を貫く槍が力を失い、騎兵は立派な戦車が愚鈍な牛車へと早変わり! そして弓兵……お前は宝具をしまった宝物庫の鍵を失ったんだよ。全額貯金してたのが仇になっちゃったねぇ」

 

 道化の宝具がこれ程凶悪とは思わなかった者達は、どうにかしてこの道化の真名を知り、対策をせねばと考える。

 

「時間は最初の二つが一時間、そして最後のものは5分。たかが5分、されど5分。5分間丸腰で戦えるぅ? 『()()』?」

 

 これまでにない屈辱にアーチャーは道化の存在に怒り、そしてこの道化を先程まで甘く見ていた己にも腹が立った。決して油断してはいけない相手であったのだ。

 

「狂人が……我へのこれ程の愚行、唯で済むと思っているのか?」

 

 金のアーチャーは絶望的な状況であるにも関わらず、傲岸不遜さを引っ込める事はなかった。それでも、道化は機嫌を悪くするのではなく、不敵な笑みを浮かべる。

 

「フッフッフッ……理解してないのか? お前はさっきまで見下していた俺に慈悲深い心で生かされているんだぞ。それすらも分からずに吠えてるのは、最早恥知らずで馬鹿丸出しの間抜けだ」

 

 悪辣な言葉は尚も続く。

 

「非力の癖に、無駄にキャンキャン吠えるチワワは滑稽なんだよ。いや、違うか……お前にはチワワほどの愛嬌もない、醜い虫ケラだ。これ以上恥を大きくしたくないならさっさと帰るんだなカスが」

 

 アーチャーのマスターもこれ以上は不味いと思ったのか、令呪を用いてでも撤退させようとしているようだ。しかし、弱体化しているといっても流石は英雄の王を名乗る者、令呪一画には抵抗を見せている。よほどお冠のようだ。そんなアーチャーへと道化は捲し立てる。

 

「はっきり言ってあげましょうかぁ? 目障りな裸の王様は、部下(時臣)の諫言を聞いて、さっさと尻尾を巻いて消えろって言ってんだよ、負け犬がァ!!」

 

 更に燃料を投下する言葉にアーチャーは憤るが、それと同時に令呪の力が抵抗に勝り身体の自由が効かなくなる。不本意であるが、退散せざるを得なくなった。忌々しそうに踵を返し始める。

 

「雑種ども、次までに有象無象を間引いておけ。我と見えるのは真の英雄のみで良い……だが」

 

 黄金の英霊の視線が道化へと向かう。それは最早人に向けていいようなものではなかった。

 

「貴様は別だ狂人。貴様は許さぬ。我が全力を以ってして、貴様に死よりも辛い苦痛を与え、償わせてやろう! 忘れるなよ……」

 

 そしてそのまま姿を(くら)ました。そんな中、道化は手を大きく振りながら訳の分からない事を叫ぶ。

 

「はい、お疲れ様でしたー! 今回の分のギャラは明日、ちゃんと口座に振り込んどきますね〜。不備がないか時間がある時に確認お願いしま〜す!」

 

 そうして一息つくと、先程までのふざけた雰囲気が消え、何を考えているか分からない不気味な気配を漂わせ始めた。

 

「フン、負け惜しみだけは一丁前か? まあいい」

 

 腕を組み、口角を吊り上げ邪悪な笑みを浮かべる。

 

「お前の存在はまだ使える……これからも働いて貰わないとこっちが困るんだよ」

 

 笑っていない眼が更なる妖しさを生み、人々を楽しませる筈の道化を得体の知れない怪物へと変貌させていた。

 

「楽しみはこれからだ……せいぜい最後は無様に散れるよう しっかりと監視していてやるよ……フッフッフッ……」

 

 もう誰もこの道化に対し、侮りを持つ者はいなかった。そしてこの厄介な相手とこれからどう争っていくか考えざるを得なかった。

 

「貴方は一体何を知っていて、何を企んでいるのですか?」

 

 セイバーの声を聞くなり、空中で身体を捻って浮きながら寝転がり始める。他者と真面目に会話するような態度ではない。

 

「あー知ろうと思ってもムダムダ〜!  んー♪ キミらはタネを知っても()()()()()()()()()んだ。知ったところで理解出来ないだろうし、信じもしないだろうしね。黙ってぼくちんの活躍でも指を咥えて見ていなさいナ」

 

 何も教える気は無いようだ。腹は立つが、しばらくは此方が圧倒的に不利である。喧嘩を売らない方が賢明だろう。

 道化が姿勢を変え、そのまま何処かへ行こうとするも、大きな声で呼び止められる。

 

「待て、最後に一つ聞かせろ!」

「え? スリーサイズを知りたいの? イヤ〜ン、それは内緒よ」

 

 征服王の問いにふざけた返事が返されるも、気分を害する事なく続ける。

 

「お主は一体何者だ? 良かったら余に教えてはくれぬか?」

「知りたかったら黄金色に輝く菓子を包んで持って来るくらいしてよね〜。もしくはそれの替わりになるものをさ」

「お主を助けてやったであろう? 余は不本意であったが……その礼として話してもらっても良いではないか」

 

 その返しが気に行ったのか、道化は楽しそうに此方へ向き直った。

 

「しょ〜〜がないですねぇ〜。そんなにワタシのヒミツを知りたいのでしたら特別に教えてあげまshow!」

 

 右手を腰に当て、左手を胸の前に掲げ、まるでサーカスが始まる前の挨拶のようなポーズをとりながら告げた。

 

「ぼくの名前はケフカ。ケフカ・パラッツォというよく居る帝国お抱えの人造魔導士だったものダス。サインが欲しい方は後でどうぞ〜」

 

 異様な道化──ケフカは今度こそ話は終わりだいった様子で反転し、背を向ける。

 

「それじゃワタシ、まだ営業のお仕事残ってるのでこの辺で……」

 

 姿がどんどん霞んでいく。そして一瞬にしてその姿を消した。

 

「バイバァ〜〜イ!!」

 

 最後に残った言葉と共に倉庫街での死闘は幕を下ろしたのであった。

 

 

 

 

────────

 

 

 倉庫街から離れた所で男2人の声が響き渡る。どうやら片方は少し怒っているようだ。

 

「様子を見るだけだとあれだけ言っただろ! なんで勝手に姿を現して喧嘩を売りまくり、真名を明かした? もう色々とメチャクチャだ!」

 

 雁夜が溜まった鬱憤をぶち撒けるがバーサーカーもそれに反論する。

 

「だっっっっっっって!!! 楽しそうだったんだもん!! ぼくちんだけ仲間外れなんてズルゥゥゥゥゥイ!!」

 

 ただの我が儘であった。しかし、なんだかんだ言いながらも雁夜はバーサーカーの事を気に入っていた。碌に戦えない奴かと思えば、あれだけの英霊を前にしても引けを取らず、ましてや時臣自慢のサーヴァントすら圧倒し、コケにする姿には快感すら感じた程だ。贅沢を言えばあの時にトドメを刺して欲しかったが、この性格だ。令呪を使わない限り難しいだろう。

 

「それで? この後一体何をするつもりだ? 単独行動をさせろと言っていたが理由を言わないと許可は出せないぞ」

 

 揉めているもう一つの理由はこれである。こんな危険な奴を野放しにする程雁夜も愚かではない。当然理由なく許可を出せる筈がなかった。

 

「だ〜か〜ら〜楽しみは後でのお楽しみって言ってるでしょぉぉ! 早漏なおじちゃんはキライって桜ちゃんに言われちゃうよン? 絶対傷付くでしょ、そんな事言われたら」

 

 すごく腹が立った。こいつは人を馬鹿にしないと生きていけないのであろうか?

 

「とにかくだ! 理由を述べない限りお前の単独行動は許さない! 分かったな!」

「ハァ……分かりました分かりました〜。言えばいいんでしょ言えばぁ〜」

 

 駄々を捏ね続けると思っていたが違った。以外とあっさりとした所が少し不気味である。

 

「次からあの金ピカを相手取って行くのは少々骨が折れるんですよ。慢心しなくなったらねぇ〜。だから協力者を探して来ようかと思ってね。キミもあの金ピカのマスターをブッ壊したいでしょ? それなら尚更必要だと思うよ」

 

 確かに一理ある。協力者はいた方が戦いが有利になって行くからだ。しかし懸念が一つある。先の戦いで確実に全陣営から警戒されている筈だ。こんな奴を交渉役にして、逆に敵対されたりしないのか。かなりリスクは高いが、自分が行った方がいいような気がしないでもない。

 

「大体分かった……で? 一体何処の陣営と話をつけて来るつもりだ? セイバーか? それともライダーか?」

 

 そして返されるバーサーカーからの言葉は意外なものであった。

 

 

────────

 

 遠坂時臣との通信を終え、一息をつこうと思った矢先、アサシンからの報告に耳を疑った。

 一体何が目的でここへ来たのか。そして何故アサシンのマスターが自分であると知っているのか。そういった考えで頭がいっぱいになるが、平静を保ったままアサシンの報告で出て来た客人の相手に向かう。そこには──

 

「アサシン死亡の偽造なんてぼくちんにはお見通しだよ。あ、この紅茶は美味しく頂いてまーす!」

 

 先程の通信でも話題となっていた雁夜のサーヴァント──ケフカ・パラッツォの姿があった。

 

「これはこれは……それで『キャスター』が一体どのような要件で此方へ参ったのですか?」

「キミ『ら』がぼくのクラスを知ってる事もお見通しだよ。別に隠してた訳じゃなくて勝手に勘違いされただけだから普通に呼びなサーイ! それとキミの主人の様に敬語はいりマセーン! 気軽に話しかけてね」

 

 どうやら時臣と手を組んでる事も全てのサーヴァントを把握している事もお見通しのようである。食えない輩だ。

 

「そうか、それで貴様は何が目的で時臣様の弟子である私の元へ来たのだ?」

 

 単刀直入に問うが道化の返答は取り留めもないものであった。

 

「キミは現状に満足しているかい? 楽しいと思って生きているかい? 何かに縛られてる事を苦痛に感じたりしていないかい?」

「どういう意味だ?」

「いやちょっとね、キミと会う前に会った連中とかけ離れてたからね〜。カレ等はそれはもう楽しそうだったよ? 自分の欲望のままに行動をする。中々良いシュミもしてたしすぐに気が合ったね! それに比べてキミはなんだ? 誰かの命令をへーこらと聞いてて楽しいのかい?」

 

 挑発しているのであろうか? しかしアーチャーへ向けていたあの悪辣さは感じられない。

 

「……要件をはっきりと言って貰おうか」

 

 この時は気づかなかった。道化の提案が自分を大きく変えてくれるという事になるとは。

 

「キミの奥底に眠っている素晴らしい願望をぼくが叶えてあげようと思ってね」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あ! チャンネルはそのままでお願いしまーす!」

「バーサーカー、何を言っている?」




ケフカさん相手に慢心するとまあこうなりますわな。これで「慢心せずして何が王か!」が言えなくなりました。王の尊厳傷付けられても尚言えたらそれこそ勇者だ…。

こころないてんし(フォーレン・ワン)』はDDAC寄りの性能になりました。それでも尚弱体化調整してますが……これに毒やら睡眠やら混乱やらの状態異常が残ってたらそれこそエグいです。でもある特性は抜いてないからまだエグいんですがね……
この技、無敵状態を貫通してデバフがブッ刺さるんですよ…


宝具名
こころないてんし(フォーレン・ワン)
ランク:EX
種別:対人宝具
レンジ:50
最大捕捉:−

相手に様々な弱体化をもたらす。また、範囲内にいる限りどの様な状態ーー弱体無効・無敵状態の相手にも発動する。

宝具はこれだけではないので楽しみにお待ち下さい。まあ、簡単に予想できると思いますが…


〜〜おまけ〜〜

ケフカエンカウントボイス集 その2

VSシャーロック
「アヘンで頭がヤラれちゃった?」

VS新宿のアーチャー
「次はナイアガラに挑戦しましょ!」

VS新宿のアヴェンジャー
「白い毛皮と並べてあげようか」

VS三蔵法師
「その格好で僧侶は無理でしょ!」

VSパッションリップ
「デカけりゃ良いってモンじゃないのよ」

VSメルトリリス
「ハァ……まぁ牛乳飲んで頑張りなさい」

VSエミヤオルタ
「レゲエでも一緒に踊る?」

VSマーリン
「頭の中もお花畑?」

VSアストルフォ
「男でも誑かしてみるぅ?」

VSジャンヌ・ダルク
「眉間にシワがよってますよぉ?」

VSジャック・ザ・リッパー
「子どもはねんねの時間よ〜」
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