Fate/Fantasy 〜妖星乱舞〜   作:うどんこ

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皆さん、あけましておめでとうございます。
久しぶりの投稿です……ええ、本当に久しぶりです。大体3ヶ月ぶりくらいですかね…
更新は不定期ですが暖かい目で見守ってやって下さい。

ちなみに今回から第2楽章です。
ちなみに第3楽章からはstay nightに入るのを予定してます。(予定は未定)


第二楽章 その①

 

「青髭の旦那、俺興奮が止まんねえよ! 聖杯戦争ってのに俺たちも一枚噛むんだろ」

 

 暗い部屋の中に青年の声が響き渡る。声の主は何かが待ち遠しい様な雰囲気を醸し出していた。

 

「そうですよ龍之介。私達もこの戦争の関係者の一人なのですぞ。まさか()()が現界しているとは思いませんでしたが、むしろ喜ばしい誤算です。私の願いは既に叶ってしまいましたからな。あの『バーサーカー』も私達に協力してくれる見たいですし、幸先がとてもいい」

「バーサーカー? ああ、あのピエロのおっさんね。あのおっさんめっちゃいい人だったなぁ、こいつらをもっと良い声で鳴かせる方法を教えてくれたからね。ああ、あの叫びを思い出すだけでもゾクゾクしてきた」

 

 龍之介と呼ばれた青年は身体を興奮で震わせていた。そしてそれを見ている小さな瞳は恐怖で震えている。

 

「アレは素晴らしかったですね。私もアレには感動で震えが止まりませんでした。でも龍之介、貴方のアートも負けてませんよ」

「ああ、あのピエロはつまんないとか言ってたね。なんでも壊れる瞬間が一番面白いとかなんとか。ま、わかんないでもないから良いけどね」

 

 そして小さな瞳の方向へと向かって行く。そして暗闇の中から見えてきたのは手足の縛られた小さな少女であった。そしてその少女は龍之介の姿を視認すると同時に、()()の表情を浮かべていた。

 

「お、()()()()……助けて!」

 

 どうやら幻覚で龍之介が自身の母に見えてしまっているようだ。

 

「ほんとイイ趣味してるよね、あのピエロのおっさん。この安心しきった表情が絶望と恐怖に一瞬で染まるんだから益々やめられなくなっちまうぜ」

 

 そして手に持った凶器を目の前の小さな命に振り下ろした。鮮血が飛び散り、甲高い悲鳴が響き渡る。

 

「なんで……やめて、やめてよぉ……お母さん……痛いよぉ……痛いよぉ………」

「まだ母親に見えてんなんて笑えるなぁ。信頼しきってた人に殺されるってどんな気持ち何だろうね旦那。まあどうでもいいや、この表情と悲鳴さえ聞ければ些細なことか」

 

 そしてどんどん甚振(いたぶ)っていく。教わった嬲り方を実践するとほんとに良い声で鳴いてくれる。ずっと続くのではないかと思われた悲鳴も少しずつ弱くなっていき、やがて聞こえなくなった。

 

「では龍之介、私はジャンヌをお迎えに行ってまいりますので留守は頼みましたよ」

「ああ、分かったよ旦那。こいつで最高にCOOLな作品作っとくから楽しみにしててくださいよ! そういや旦那はあのピエロのおっさんからは何もらってたんすか?」

 

 先程まで忘れていた事を訊ねてみる。すると旦那と呼ばれていた男、『キャスター』は懐から小さな石を取り出した。

 

「これですか? バーサーカーの話によると『魔石』というものらしいですよ。何でも幻獣の力が秘められているとかなんとか。罠でないことは調べて分かりましたから今度使って見ましょうか。それでは」

 

 そしてキャスターは姿を消した。

 

 

────────

 

 

 車の通りが殆どない山道の道路を凄まじい速さで車が駆け抜けていく。その車に乗っているのは二人の女性であった。

 

「アイリスフィール、少し飛ばしすぎなのでは? 先程も対向車線を走っていましたし」

 

 アイリスフィールと呼ばれた銀髪の女性はそれでも速度を落とすことなく車を進ませる。

 

「大丈夫よ、車も私達のしか走ってないみたいだしいざとなれば私が華麗に躱して見せるわ」

 

 車体をフラフラさせながら言っても全く説得力がない。事故が起きた時は何というのであろうか。

 

「……随分と達者な運転ですが、運転手を雇っても良かったのでは?」

「駄目よ!! そんなの私が楽しくないじゃな……、じゃなくて、危険じゃない。巻き添えは出したくないでしょ?」

 

 本音がほぼ漏れてしまっている。せめてもう少しだけでも速度を落とすように言おうと思った瞬間、セイバーに悪寒が走った。

 

「止まって!」

 

 それと同時に深くブレーキを踏み込む。アイリスフィールには悪いが急ブレーキの反動に耐えてもらおう。そして前方に現れた人影に当たる手前で車を止めることができた。そしてその人影は先程の暴走車に全く驚く素ぶりもなくその場に佇んでいる。どうやら人間ではないようである。

 

「……アイリスフィール、どうやら相手はサーヴァントのようです。私の後に続いて車外に出て下さい。なるべく側を離れないように」

 

 異様な威圧感をもつ巨大な体躯とインスマスのような風貌。その顔に戦いに赴いたとは到底思えぬ満面の笑みを浮かべたキャスターはセイバーに向かって恭しく頭を垂れる。

 

「お迎えに上がりました、聖処女よ」

 

 仰々しく頭を下げるキャスターのサーヴァント。セイバーとアイリスフィールは浮かんだ疑問を口にする。

 

「? どういうことだ、残りのクラスはバーサーカーだけではなかったのか? 何で普通に会話が出来ている」

「セイバー、あなたの知り合い?」

「いえ、見覚えがありません。円卓の騎士の誰かの知り合いという可能性もありますが」

 

 セイバーのその言葉に相手は信じられないと言った様子で両手をわなわなと震わせる。

 

「おお、何ということでしょうか!? やはりバーサーカーの言っていた事は本当だったのですね!」

 

 セイバーもアイリスフィールもその言葉に混乱していた。この者がバーサーカーではなければ一体誰がバーサーカーだというのか。

 

「何を言っている。バーサーカーは貴公だろうが。キャスターとでも言うつもりか」

「その通りですよ、ジャンヌ。現界の時の衝撃で記憶を失ってしまわれるとは思いませんでしたよ。前もって聞いていなければ私も錯乱していたでしょう」

 

 自分はジャンヌではない。そもそもこの自称キャスターの言うバーサーカーとは誰のことだろうか。

 

「おかしな事をおっしゃりますね。もう既にお会いになったではないですか」

 

 その言葉にセイバーもアイリスフィールもはっとした表情を見せる。まさかそんな筈はといった表情を。

 

「ケフカ・パラッツォ。彼が第四次聖杯戦争のバーサーカーですよ。気づかなかったのですか?」

「アレは明らかに魔術を使っていたぞ! バーサーカーのクラスの者に普通使えぬような高レベルのものを! その様な者に狂化が発動していたとは思えない!」

 

 まるで信じたくないといった勢いで捲し立てられる言葉を、軽く諌めるように遮る。

 

「ですが思い返してみて下さい。彼はキャスター呼びに反応は示しているだけで肯定はしていなかったり、理解し難い行動をとってはいませんでしたか? 誰もいないのに変な事をしたり、誰に向けてか分からない言動を行なったり」

 

 思い返せば確かにあの道化の行動や言動には訳のわからないものも多々あった。だからと言ってそれがバーサーカーだと決める要因にはあまりならない。

 

「まあ、本人に聞けば分かる事でしょう。確認も取れたことですしまた会いましょう、ジャンヌ」

 

 そうして混乱させる言葉だけ残して消えようとするキャスターをアイリスフィールが呼び止める。

 

「待って、貴方はセイバーに会いに来た。本当に目的はそれだけなの?」

 

 他に罠を張っているのではないかとセイバー達は身構えるが、キャスターは何もする素ぶりすら見せない。手をポンと叩き、思い出したといった様子以外何も見せなかった。

 

「そういえば名前を教えていませんでしたね。もしかしたら名前を聞いて記憶が戻るかも知れないのに何たる失態! あとバーサーカーからの伝言も忘れてました」

 

 その言葉にセイバー達は眉を顰める。あの道化の伝言とは一体何なのだろうか?何か嫌な予感がする。セイバーの直感がそう囁いていた。

 

「貴女の忠実なる僕であるジ・ル・ドレェです。聞き覚えはありませぬか? もしくは何か思い出せそうになりませぬか?」

 

 全くと言っていいほどセイバーには聞き覚えがなかった。アイリスフィールは名を知っているようで、反応を示す。

 

「貴公が名乗りを上げた以上、騎士として私も名乗ろう。我が名はアル──「いえ、偽名は結構です。貴女はジャンヌ、それ以外の何者でもありません」…………」

 

 セイバーは腹が立った。騎士が名乗ろうとしているのにそれを途中で遮られた事、そしてその名乗りを聞かずに未だに自身をジャンヌ呼ばわりしていることに。しかし今斬りかかったら道化からの言葉が聞けないため、ぐっと堪えて続く言葉を待つ。

 

「それではバーサーカーからの伝言です」

 

 キャスターは何やら水晶玉のような物を取り出し、それを地面へ放り投げる。そして地面にぶつかり砕ける音が響いた瞬間、忘れられもしない半透明の姿の道化が笑いながら姿を現した。

 

『オッハー! みんなのダーイスキなぼくちんのトウジョーだぞ〜。ほら拍手拍手!!』

 

 道化のそのノリにはセイバーもアイリスフィールも、更にキャスターも何ともいえない顔をしている。

 

『まっっっっったく拍手の音が聞こえないんですけど〜。こんなんじゃぼくちん拗ねちゃって何も言わずに帰っちゃうゾ!』

 

 本当にコレは伝言なのであろうか。リアルタイムで言葉を発しているような気がしてならない。しかも伝言したい奴がそれを伝えないのはどうなのだろうか。

 

『ホラ! まだ拍手が聞こえてこないよ!! ヒーローショーの主人公を呼ぶときみたいな大きなパチパチをプリィィィィーーーズ!!』

 

 無視して帰りたくなって来た。この伝言を伝えに来たはずのキャスターも凄い疲れた表情を見せている。こんな事になるとは思っていなかったのだろう。このままでは拉致があかないので仕方なく全員軽く手を叩いた。

 

『ハイザンネーン! この映像は録画でーす! なので別にずっと無視してても話は進んでましたァ!! 騙されてやんの〜、オモシローイ!』

 

 伝言とは喧嘩を売ることであったのであろうか。剣に手を掛けるセイバーを必死に抑えるアイリスフィール。そしてセイバー達と一緒に何故煽られているのだろうとキャスターは少しナイーブな気持ちになっていた。

 

『茶番はここまでにシトコッカナ? そろそろアドリブはヤメローって監督に怒られるかもしれないからね。でも喜ぶヒトもいるからやめられないジョー』

 

 先程もキャスターが言っていた意味のわからない発言である。一体どういった意図があるのだろうか。

 

『ワタシはこの伝言を伝えている今、どこにいるでしょーーか!! 三択で答えてね。①番! この街で一番大きな橋。②番! 貴女達の真後ろ!!』

 

 二つ目の選択肢を聞くと同時にアイリスフィールを抱えて前へ飛びのき後ろを警戒する。しかしそこには誰もいなかった。

 

『ウェハッハッハッハッハッ! ドシタノ? 首に毛虫でも落ちて来たの? イヤーン、騎士の癖に毛虫が怖いなんてシンジラレナーイ!』

 

 やはりこちらを見ているのではないだろうか。こちらの行動に的確に言葉を返してくる。

 何処かに隠れているのではないかと辺りを見渡していると、先程までとは雰囲気が変わり、ドスの篭った声が発せられる。

 

『③番、お前達の要──衛宮切嗣のすぐ後ろ。さア、どれだ?』

 

 一瞬でセイバー達の顔が青ざめる。サーヴァント相手に勝ち目などある筈がない。道化の容赦のなさも前の戦いで知っている。早く助けに行かなければ。そんな表情を見てからなのか、それとも最初から録画されていたからなのか、何も口に出していないのに答えが返される。

 

『ピンポーン! 答えは③番! ぼくちんはホテルの解体ショーを見に行ってきま〜す。サプライズも用意してるから旦那さんにも伝えておいてネ♪ ひゃ ひゃ ソレジャご機嫌よう。ホワァ〜ッホッホッホッホッホッホッ!!!』

 

 道化の特徴的な高笑いと共に映像は途切れた。そして残ったのは静かな静寂のみであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あ、あけましておめでとう! 次もよろしく〜!」

「何を言っている? キャスター、早くそれを返せ」




次回、「芸術! ホテル解体ショー」
   「切嗣、キレる」
   「ケイネスとランサー、脱出危機一髪〜〜ソラウを添えて〜〜」

です。お楽しみに。

因みに今回出て来た魔石はFF6で初登場したあいつのものです。お楽しみに。

因みに幻獣でもねえし、魔石にならねえよと言う反論は来るかも知れません。……分かってるよ、分かってるんだよそれは! 出したかったからちょっと無理しちまったんだよォ! これだけの情報でわかる人は凄いです。
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