※多分staynight編はタイトル変えてやると思います。まあ、この話が終わったらの話ですが……
それと、このssの表記を短編から連載に変えた方がいいのだろうか……
「舞弥、そっちの状況はどうだ」
「ケイネス、ソラウ共に部屋から出ていないようです。切嗣、始めますか?」
「ああ、もし相手が動くような事があればすぐに連絡を」
そう言い切ると切嗣は無線を切った。そして目の前に建つ冬木ハイアットホテルのある一室を見上げる。ケイネスが泊まっている部屋を。相手は恐らくこのホテルの至る所に対魔術師用の罠を大量に仕掛けているのだろう。そして、そんな罠を突破出来るものなどいないと高を括っている事だろう。確かに自分や舞弥では突破は出来ない。だが、自分達はそんな魔術師の常識などとは無縁の存在だ。悪いが自分達のやり方で魔術師様御自慢の罠を無視させてもらう事にしたのだ。
無関係な人々を巻き込まない為にもまずはボヤ騒ぎを起こしてこのホテルから避難してもらう。その仕掛けを作動させるためのリモコンに手に持ち、スイッチを押す──が、ホテルからは煙が上がってこない。何回か押して見るものの、相変わらず何も起こらなかった。電波が届いていないのであろうかと思い、ホテルに近づこうとした時、一度聞いたら忘れられないおどけた笑い声が聞こえて来る。
「いい大人にもなって夜に火遊び? そーんな不良みたいな真似して子供が真似しちャッたら奥さんに怒られちゃうよ〜」
咄嗟に懐から銃を抜きながら前方へ飛び、背後から語りかけて来た相手に向ける。やはりというか後ろにいた相手は想像通りの存在であった。
「まぁ落ち着け。銃を突きつけられちゃあビビって話もできやしねぇ。リモコンは無事だ旦那。少なくとも今の所はな。この先どうなるかはあんた次第だ。無事取り戻したければ俺たちに協力しろ。OK?」
「キャスター……貴様……それを早く返せ」
突如背後に現れた道化は飛び退いた切嗣に何もする事なく、手の中にある電話を弄って遊んでいた。嫌な予感がしたため自身の身体を探るも、
「はぁ……全然ワカッテナーイ! そこは『OK!』って言って、鉛玉を返すのが様式美なのに〜。アナタ、ノリが悪いですねぇ」
意味不明である。無関係の人々を巻き込むかもしれない物を奪われているのにそんな行動を出来るはずがない。
切嗣は目の前の道化にバレぬよう無線を入れ、音を拾わせる。異変に気付いた舞弥に道化の手の中にある電話を狙撃させて破壊する為だ。特定の番号を入力しないと起爆しないが念のためである。計画は崩れるが、道化に今ボタンを押され、無関係な人々を巻き込むのだけは避けなければならない。なるべく時間を稼ぐために嫌々ながらも道化に話しかけた。
「キャスター、それをこちらに返せ。お前には必要無いもののはずだ。そもそもそれが何なのか分かっているのか?」
すると道化はわざとらしく悩む仕草を見せ始める。まるで演劇のように。
「いや〜、見当もつきませんね〜。一体このボタンを
まるで起爆コードを知っているかのような口振りだった。いきなり起爆しようとしていたため咄嗟に発砲する。電話に当たって破壊出来れば御の字だが、当然事はそう上手く運ぶことはなかった。軽く躱され、それと同時に放たれた小さな魔力の球が切嗣の武器を弾き飛ばす。
「ひゃ ひゃ ウソウソ知ってますよ〜。この大っきな建物をブッ壊すためのお電話なんでしょ? 返して欲しい? ン〜、そうですねぇ……モノマネでワタシを笑わせられたらすぐに返してあげよう!」
電話をプカプカと浮かせて道化も宙に浮かんで寝転がった。明らかにこちら側を舐めきった動きである。先程の発砲音も舞弥に届いているはずだ。後は狙撃を待ち、ここから脱出するだけである。しかし、何故この道化は自分達の計画を知っていたのであろうか。
切嗣が無言で睨みつけているのをまたしても不満そうに見て、欠伸しながら尻を掻く。敵と相対しているのに油断しすぎである。
「ふぁ〜あ、ホンットノリが悪いですねぇ。ぼくちんが振ったボケの機会を二回もパスするなんて、そんなんじゃワタシの中の人も出たポプテなんちゃらとかいうクソアニメに出られないですよ?」
コイツは何を言っているのであろうか。理解不能な発言は尚も続く。
「いや〜、アレは良いですねぇ。普通NGの所を使ってるのが特にイイ! あぁ、昔の金属生命体のアニメを思い出しますナァ……」
訳の分からない発言をしながら思い出にふけり始めた。切嗣にしてみれば都合が良いが、正直話を聞いているだけでも疲れてくる。
「……一体何の話だ?」
「おっとイケナーイ! 話が脱線シチャッタ! ええと何のハナシしてたっケ……ああ! どうやったらアドリブが上手くなるかでしたね。そんなもん常日頃の練習にきまってるじゃないですくゎ」
相変わらず対話するつもりはないようだ。それならそれで良い。もう時間的にも狙いは定まっているはずだ。無線の横で指を小さく連続して鳴らし、撃てと合図を送る。しかし、待てども待てども何も起こることはなかった。
「アルェ〜〜〜? ドゥシタノ? 愛人の人と連絡が取れなくて浮気を疑っちゃってる? ぼくちんはカンケーないから八つ当たりはしないでネ」
こちらの抵抗の目は完全に潰していたらしい。全くもって相手に回すと厄介な相手である。しかし舞弥と連絡を取った後すぐに現れたコイツは一体いつ舞弥を襲ったというのであろうか。
「あ、そうそう。今ならそのお電話に誰か出てくれるかもしれないよ。ぼくと一緒に呼んでミヨー! せーの、コンバンハー!!」
道化の喧しい声が辺りに響き渡る。どうやら誰かと組んでいたようだ。すると無線から声が聞こえてきた。
「いつまで遊んでいる?
淡々とした男の声が聞こえてくる。こいつが協力者のようである。しかし、一つ引っかかる言葉があった。
「ハイお疲れ様。ナンパは上手くいったぁ? そうなら新しい彼女の喘ぎ声をぼくちんにも聞かせてよね」
「揶揄うのはよせ。生憎済んでの所で逃げられた。だが、狙撃銃は置いていっているからそっちの邪魔されることはないだろう」
「オーケーオーケー。それでジュウブン! それじゃ、そこの特等席からこれからのショーをしっかり見て聞いててね!」
切嗣を置いて二人だけで会話を続けている。会話の内容からして恐らく舞弥は無事なのだろう。すると無線の声がこちらに語りかけてくる。
「貴様が衛宮切嗣か。魔術師なのにしようとする事は派手だな。まあ、バーサーカーに目を付けられたのは運が無かったな」
「お前は何者だ。そこのキャスターのマスターか?」
切嗣の問いに一瞬口が止まるも、そう時間を置く事なく通話が再開される。ただし、道化に対してであったが。
「……バーサーカー、まだ伝えてなかったのか?」
「ン? 勝手に勘違いしてるヒトにいちいち訂正するのも面倒臭いじゃない?」
「……という事だ。後、私はバーサーカーのマスターではない。ただ協力を請われただけだ。ではさらばだ」
そして無線は切れてしまった。そしてバーサーカーは逆さまで宙に浮き、ニヤニヤとしながら電話でお手玉を始める。
「なぁに、これはもう少ししたら返してあげるさ。ぼくちんの目的はただ一つ。ホテルの爆破を遅らせる事だけだからね」
目的は本当かどうかは知らないが、その理由が分からない。何故爆破を止めるのではなく、遅らせるのか。そして、
「お前の本当の目的はなんだ?」
「ナニって、今言ったじゃないですか。もしかして耳遠いの?」
「それは過程だろうが。その行動をする事でお前に何のメリットが生じる?」
道化は目を細めると半回転して地面に降り、ヘラヘラとしながら聞いてきた。
「何でこんなコトしてるか知りたい? 知りタァ〜イ? なら……」
そして耳障りな大声で叫ぶ。
「オシエナーーイ!!!」
こちらの癪に障る言動しかしてこない。いつもなら無視するのだが少し苛ついていたため、切嗣はつい言葉を荒げてしまった。
「ふざけるな!」
「スミマセン」
全く気持ちが篭っていない不真面目な謝罪がすぐに返される。感情を僅かに吐き出した事で多少は落ち着いたのか今度は何も言わずに睨みつけた。声には出していないだけであまり変わっていないが。
「どうせスグに分かるんだ。キミもあの中にいる
その言葉で大体想像がついた。この道化も切嗣と同じようにこのホテルに仕掛けを施しているのだ。そして、その仕掛けを発動する前に爆破されるのを防いだといったところであろうか。しかし、引っかかる点が一つあった。まるでケイネスの婚約者──ソラウだけを狙うかの様な口振りであったが、この厳重な守りの中、
「戦争と名の付いた戦いに恋人連れてきて惚気るってどういうシンケーしてるんだろうね。奥さん連れてきたキミもそう思わなぁい? だからチョッッッットだけお灸を据えてやる事にしたんだ。こんな戦争中にシャワーを浴びようとするなんて浮かれ過ぎだと思うでしょ?」
そして道化は狂気と残忍さが篭った笑顔をこちらに見せる。そして分かった──分かってしまった、この道化の企みに。たとえどれだけ自分の部屋に至るまでの道に罠を仕掛けようとも
「あれ? 気づいちゃった? 中々察しがいいですねぇ」
「止せッ! 早く止めろッ!」
道化のドスの効いた悪辣な声が切嗣へと発せられる。
「もう遅い……ほら、聞こえてきた 死にゆく者たちの嘆きの合唱が……」
その言葉と同時にこの世のものとは思えない凄惨な叫び、呻き、断末魔が一つの建物から響き渡る。それらが奏でる大合唱は道化が何かをしているせいか、遠くまで届いているようだ。踠き苦しむ苦痛の呪詛は、冬木の街を確実に包み込んでいたのだった。
「ヒッヒッ……何百もの悲鳴が奏でるオーケストラはなんて聞き応えがあるんでしょう……もはや芸術ですねぇ……」
この地獄を作り出した張本人は恍惚の表情を浮かべている。切嗣はあまりの出来事に呆然としていたが、道化が次に取った行動を目にして我に返る。ホテルに仕掛けた爆弾の起爆コード何一つ違わずに入力していたのだ。最後の一つを入力する前に手を止め、こちらをニタニタと笑いながら見つめてくる。
「これはお前の仕掛けだ。フィニッシュはお前に決めさせてやる……ホラ、返してやるよ」
「なっ!? やめっ──」
いきなり近寄った道化は切嗣の腕を掴んでくる。この際起爆コードを知っていた事などどうでもいい。コイツは罪なき人々にトドメさした出来事を切嗣に押し付けようとしているのだ。抵抗しようとしたが、身体が金縛りにあったかのように動かない。そして──
「ポチッとな」
凄まじい轟音が響き渡り、亡者達の悲鳴を掻き消した。そして冬木ハイアットホテルはその音と共に崩れ落ちる。
ホテルの周りには既に騒ぎを聞きつけた野次馬達が群がっており、その者達の頭上にホテルの瓦礫が降り注ぐ。そして第ニの阿鼻叫喚の地獄絵図が出来上がった。
「ホワ〜ッホッホッホッホッ!!! 笑いが止まらん!!」
道化の不気味な高笑いが喧しく耳に伝わる。そして切嗣の我慢が限界を超え、何も考えなしで道化の胸倉を掴みかかった。それでも道化は何の抵抗もする事なくヘラヘラと切嗣を見て笑っている。
「あれ? どしたの? キミもちゃんと目的を果たせたんだから喜ばないと」
「ふざけるな!? 僕は彼らを巻き込むつもりは微塵もなかった! それをお前が、お前の勝手な行動が死ぬ理由もない人々の命を奪ったんだ!」
それを聞いて、道化はあからさまに苛ついた表情を見せる。
「いいこぶりやがって……」
「なっ──「あの時点ではまだ死んだ奴はいなかった筈だ。あとまだ毒を浴びていない奴も数多くいたんだよ。それなのにお前は、勝手に思い込み、自分の意思で彼等を吹き飛ばしたんだよ」」
「お前が押させたんだろうが!」
「フッフッフッ、都合の悪いことは頭に残らないのか? 俺は電話を
「……嘘だ……」
「あ〜らら、現実逃避? ま、全てキミの手柄になるんだからもっと喜びなよ」
「……どういう事だ」
「どうもこうも、この出来事を引き起こした犯人は、聖杯によって召喚されたこの世にいない筈の人物でした〜って、誰が信じると思う? 魔術師達は信じるかもだけど」
その言葉に切嗣は何も言い返せない。
「毒を流したのも、ホテルを吹っ飛ばしたのもゼンブゼーンブお前がやった事になるんだ。都合の悪い真実よりも、納得出来る虚言の方を大衆は信じたいからね〜。
「そんなもの正義でも何でもない!」
「それならお前は『正義の味方』よりも最悪の『テロリスト』の方が似合ってるんじゃなぁい? 実際お前の仕掛けが多くの人の命を奪ってるんだ。そんなもの仕掛けておいて、あまつさえ使っておいてそんなつもりはなかったなんて綺麗事が通じると思っているのかナ?」
コイツは絶対に倒さなければならない。コイツは──悪だ、それも今まで感じたこともない程の。切嗣は心からそう思った。
すると道化はそんな考えは読んだのか、切嗣の理想を否定するような言葉を吐き捨てた。
「『正義』なんて所詮は自分の理想の押し付けだ。そんな自己満足は他の奴の邪魔をする。全く『正義』なんてものは……ウザッたらしくて ヘドが出る!!」
コイツとは一生分かり合うことはない。そう確信した。
「一つ聞かせろ。あのホテルの宿泊客は何故殺さなければならなかったのか。その理由を──その意味を。」
その質問への答えは笑い声であった。
「キミは何か物事をするのに理由を求めるのかい? そんな事してたらすぐに老けちゃうと思うナ。ソダネ〜強いて言うとしたら……」
大きく息を吸ったかと思うと、まるで役者のように大きく体を動かして叫んだ。
「意味のある破壊などつまらん! 意味もなく壊すから楽しいんだよ!!」
これが道化の行動理念なのだろう。そして、それを知ってからは何故だか道化の笑い声が
「おおっと、もうこんな時間〜。そろそろ行かないと不味いからぼくちん帰るね。また遊びましょ♪ それじゃ、サヨナラ」
そのまま道化は切嗣に危害を加える事なくあっさりと姿を消した。
それと同時にあの道化の重圧から解放された切嗣は倒れそうになり、今来た舞弥に支えられる。そしてひとまず自分達の拠点に帰っていった。
「許さん、許さんぞ……我が愛する者をこんな目に合わせた者を……ランサー、衛宮切嗣は絶対生きたまま捉えてこい……私がこの手で八つ裂きにしてその罪を償わせてやらないと気が済まない」
どこかでそんな声が聞こえた気がした。そして、この街で聞こえる筈のない列車の汽笛の音が聞こえた気がした。
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間桐邸のとある一室、そこには一人の少女が気持ちよさそうに眠っていた。この部屋の主、間桐桜である。胸の中にはデフォルメされた女の子の人形が収まっていた。髪の色も長さも桜と同じくらいのものである。恐らく桜をイメージして作られたのであろう。
この人形は少し前にいつの間にか枕元に置かれていたものである。臓硯に聞いても知らないとの事であった。おそらく雁夜がプレゼントしてくれたものであると桜は思っていた。そしてすぐに桜のお気に入りになった。
そんな人形が胸の中で動いたような気がし、目がさめる。寝惚け眼を擦りながら確認すると案の定その姿はなかった。キョロキョロと頭を動かして探すと人形はベッドから転がり落ちたのか少し離れた所に倒れていた。眠そうにしながらも大事な人形を拾いに行く。そして持ち上げようとした瞬間、その手を避けるように窓の方へと転がっていく。普通であればこの時点でおかしいと気付くのだが、あいにく桜は寝ぼけた子供である。何の疑問も持つ事なく転がる人形を追いかける。そして誰かの足元で止まった。窓の前には誰もいなかった筈である。人形はそのままプカプカと浮き、謎の人物の手の中に収まる。恐る恐る顔を上げ、謎の来訪者の顔を確認した
「お嬢ちゃ〜〜ん あっそびっにきったよ♪ にっひっひっひっひっひ!」
その場にいたのは、以前雁夜と一緒にいた狂気に染まった道化であった。
「ホラ、お嬢ちゃんも一緒に。次回もよろしく〜」
「いきなりどうしたの? バーサーカーのおじさん」
ドマ国の悲劇、再び!
ff6をやった事がある人はやりやがったな! このやろう!と思う事でしょう。そして知らない人に説明するとケフカさんは毒を川に流して国の人間を皆殺しにした事があります。その流した毒がやばいもので、本人曰く触れただけで即死との事でした。あ、因みに宝具ではないので名前はないですよ。
何で宝具じゃないのにそんなもん持ってんだよ、クソが! と思う方、そこはケフカさんの存在事態がイレギュラーだからと言う事でお許しください……
そして、最後に聞こえた汽笛……一体何列車なんだ?
トランスフォーマー……ビーストウォーズ……アドリブ……モノマネ……うっ頭が