…そう言えば紗夜さんはチョコを作ったんですか?
紗夜「さ、作者さん!?何言ってるんですか!?私がそんなことに現を抜かすなんてそんなこと有り得ません!!私は……風紀委員なんですよっ!?」
つぐみ「紗夜さん、鼻血出てますよ?」
紗夜「あっ…」
紗夜side
〜2月13日〜
学校での授業を終えて帰る準備をしていると教室がいつもよりざわめている。
「ねぇ、明日バレンタインだけど誰にチョコあげるの?」
「えー、私はねぇ……」
「いいかお前ら!明日は戦争だ!」
「俺は明日の聖戦、勝ってみせるさ!!」
と、こんな感じでバレンタインだからといって浮かれるクラスメイトが多いんですよね。全く、浮かれるのはいいけどあまりハメを外しすぎないで欲しいものです。
(かく言う私も浮かれそうになってるなんて口が裂けても言わないけどね……)
私はギターを背負って教室を出た。そのままSPACEに向かいRoseliaのみんなと練習をする。そんな中、私たちの演奏を見てる和都の目が死んだ魚のような目をしていた。それが気になったのか練習が終わると湊さんが和都に話しかける。
「和都、どうしたの?さっきからそんな目をして」
「ん?あ、いや…何でもねぇよ…明日のことを考えるとちょっと憂鬱でな…」
「明日?バレンタインがどうかしたの?」
湊さんがそう言うと和都は、
「それが問題なんだよっ!」
と声を上げる。もしかすると和都って貰えなかったりとか?そんなことを考えてると若干青ざめた和都が喋り出す。
「毎年その日になると…学校の下駄箱にこれでもかっていうくらいに大量に手作りチョコがぶち込まれてるんだぞっ!?それを袋やバッグに詰めて教室行けば出待ちだったりサプライズだって言って来るやつ然り!!放課後にも渡されて帰る時にはもうチョコのせいで荷物重いんだぞっ!?俺ん家の牛乳何本使って食ったと思ってんだよ友希那ぁ!?」
「災難としか言えないわね…ふふ」
「お前もリサも放課後に渡してくるクセにっ!?災難の内に入ってんだぞ!?あと笑うなぁ!!」
「でもさぁそう言ってる割にはちゃんと受け取ってくれるよね?」
今井さんも話に入ってくる。
「当たり前だろ!?手作りチョコはちゃんと受け取って食べるって義務があるだろーがっ!?本命だろーが義理だろーが友チョコとか渡されたモンに気持ち篭ってんだぞ!?」
「そういうこと言われると…嬉しいじゃんワト」
「あ?なんか言ったか?」
「何でもな〜いよ☆」
「今年は……ふふ、何を渡そうかしら」
「友希那はいつまで笑ってるつもりだっ!?」
和都は何だかんだでバレンタインを特別嫌っている訳では無いのね…私は口論してる湊さんたちを見ながらそう思う。
(和都のセリフを聞けて安心したわ…だったら私も…)
練習が終わってから私は足早に家に帰る。スノウのご飯等もありますがそれと同時に大事なものがあった。そう、チョコレートです。バレンタインに和都へ渡す『本命』のチョコで勿論手作り。他にもRoseliaのメンバーへの日頃の感謝の意味も込めてのチョコもあります。これを機に和都へ告白とかを考えてますけど……まだその時ではないのでぐっと堪えて、抑えないといけないわ。
「ただいま」
玄関を開けてそのまま部屋へ行く。部屋の扉を開けるとスノウが元気よく私に飛び込んでくる。私はスノウの頭を優しく撫でる。
「今帰ったわ、すぐにご飯だすからね?」
「キャンキャン!!」
私はドッグフードを犬用の皿に流し入れる。よほどお腹が空いていたのかすぐにご飯にありつく。時々尻尾を振る仕草も可愛いいのよね…。
「スノウ、ご飯食べたら部屋で待っててね?私はちょっとしたで夕飯べてちょっと作業する事があるので、いいですかね?」
私がそう言うとクゥンと頷きドッグフードを食べ続ける。それを見て私は部屋を出て夕飯を食べに行く。
「母さん、そう言えば日菜がいないけど」
「日菜はパスパレのみんなと撮影で今日は遅いのよ」
「そう…分かったわ」
夕食を食べた後母さんはすぐにお風呂に入る。その間に私も食べ終えて作業をする。作業というのは明日のバレンタインに渡す和都へのチョコです。他にも……日菜や、は、羽沢さんにも、と思ってます。え?なんで羽沢さんにもあげるのかですか?本編にはありませんでしたけどお菓子作りをしたことがありましてその後も何回か会って教えて貰ってたんですよ。まぁきっとそのへんに関しては作者さんが何とかしてくれるでしょう。
「よし……ちゃんと固まってるし食べられて……ないわね?」
冷蔵庫から取り出したチョコを見て私は安堵する。日菜に食べられないようにラッピングして張り紙もしておいて正解だったわ。
「このチョコを和都に食べてもらう……」
私は1人、冷蔵庫の前で作ったチョコを和都に食べてもらい褒めてもらう妄想をしてしまう。そう言えば和都は練習が終わった時……
(『当たり前だろ!?手作りチョコはちゃんと受け取って食べるって義務があるだろーがっ!?本命だろーが義理だろーが友チョコとか渡されたモンに気持ち篭ってんだぞ!?』)
こんなこと言ってましたね…ふふ、言われて張り切らない人なんていませんよ。
「…楽しみです」
そう呟き最後の仕上に入った。
〜翌日〜
私は作ったチョコをバッグの中に入れて登校する。今は冬ですから溶けるなんてことは無いでしょう。学校に行ったら暖房があるかもですがそこに関しては抜かりありません、保冷剤なども持ってます。しっかりと冷やして最高の状態で和都に渡せる準備は万全、早く放課後になってほしいとそう思いながら私は学校へ向かった。
和都side
「華宮くん!良かったらこれ受け取って!!」
「あ!ずるい!あたしもー!」
「何抜けがけしてんのよ!?私が先に渡すの!!」
「おいどんが先でごわす!!」
学校来て早々なんだよなんだよ何だってんだよ!?出待ちの女子ハンパなさすぎだろっ!?いきなり雪の中から女子が飛び出てきたり木の上から落ちてきたり(わざと)アプローチに命かけすぎだろうがっ!?しかも最後に力士っぽいやついたぞっ!?この学校キャラが多彩すぎるわ!!
「はぁ…朝からどっと疲れた」
そう言いながらバッグから大量のチョコをはみ出させながら教室に入る。
「和都くんが来たわよっ!突撃ぃ〜!!」
『おおぉー!!』
教室に入ると同時にステンバーイしてたであろう女子が押し掛けてくる。
「おぅわっ!?いや、ちょ、ま……ぎゃあああぁぁぁ!?ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙!!ぎゃあぁぁぁ!?」
朝から瀕死寸前になった俺はチョコを受け取った後、速攻保健室に行って包帯と絆創膏を貰った。
「…バレンタイン恐ろしぃ」
「随分ボロボロね華宮君」
声を掛けてきたのは保健室の先生でいつも携帯ゲームをしている。この人曰く『どうぜ滅多な事じゃ保健室に人なんか来ないからゲームしててもいいんだよ』との事、一瞬だけ給料泥棒にみえたのはあえて言わないでおこう。
「朝から女子にチョコレート渡されまくってこうなりました」
「いいねぇ、青春してるじゃないか少年、じゃあ私からもチョコを……」
「もうやめて!俺のライフはとっくに0だぞ!?」
「カッカッカッ、冗談だぞ?ほらさっさと授業にいけ…ってあぁ!?なんか負けてるぅ!?」
先生の悲痛な叫びを無視して俺は教室に戻った。
授業が終わって放課後になる頃にはもうバッグがパンパンになっていたので爺やを呼び出して車にありったけのチョコを置いてSPACEへ向かった。持って帰る時に他の男子から殺意の篭った視線を感じたが気にしたら負けだ、うん。
「あ!ワト!遅かったね、何してたの?」
どうやら俺が最後らしい、心配してくれたのかどうかは知らんがリサが事情を聞いてくる。
「まぁ色々あったんだよ…」
「あっはは…まぁお疲れ様☆」
「リサ、和都、時間を無駄にはしたくないわ。早くスタジオ行って練習するわよ?」
「りょーかい☆」
「へいへい」
Roseliaメンバーと俺はスタジオ入りして練習を始めた。練習が終わってようやく帰れると思ったがそう上手くは行かない。友希那が帰ろうとしていた俺の腕を掴んで止めている。
「友希那?話してくれないと痛いんだけど?」
「まだ帰らせないわよ」
友希那はそう言って自分のバッグからラッピングされたものを取り出した。
「それって…もしや」
俺がおそるおそる聞くと友希那は平然と言い放つ。
「ええ。バレンタインのチョコレートよ」
「やっぱりね!?」
「受け取ってくれるわよね?」
「そりゃあ受け取るけど…」
受け取ると友希那はふふっと笑う。
「今回は…リサが手伝ってくれたのよ」
「そゆこと〜☆はいワト、アタシからもチョコだよ☆」
リサがそう言ってチョコが入った袋を渡してくる。それを見てあこと燐子さんも出てくる。
「あこもあるよ!はい!」
「わ、わたしからも…どうぞ…」
燐子さんからはガトーショコラが入った小包を、あこからはお菓子の詰め合わせを貰った。
「2人ともありがとな」
「ふっふっふ…これで今度NFO手伝って貰える交渉を…」
「イベントクエストは縛りクエでいいか、あこ?」
「じ、冗談ですよぉ〜!」
「わーってる。手伝うからそんな顔すんなって」
あこの頭をぽんぽんと軽く撫でるとすぐに機嫌を直してくれた。
「あ、あ…あの…」
「どうしました燐子さん?」
「わたし…お菓子作りとかはあまりできなくて…その…」
燐子さんがおどおどしながら俺に渡したものを説明する。
「あ、いや、気にしなくていいですよ燐子さん、貰えただけでも嬉しいですからそんなふうに考えなくても…それにこのガトーショコラ、すごく美味しそうですよ?」
俺がそう言うと燐子さんは安心したのか安堵の息を洩らす。
「あ、ありがとうございます…」
紗夜side
わたしはいま、練習が終わって和都が湊さん達からチョコを貰っている所を見ている。
(わ、渡すなら今ですねっ……)
視線に気づいたのか今井さんが声を掛けてくる。
「あれ〜?紗夜はワトにチョコあげないのかな〜?」
「へ?いや、あの……」
「おいリサ、催促とかは良くねーぞ?」
「あはは、ゴメンゴメン☆」
ここで渡さないともうタイミングが…
「あ、あのっ…」
「なんだあんた達、まだいたのかい?」
「オーナー!?」
「もうとっくにあんたらの時間過ぎてるよ、早く見持つまとめるんだよ?延長するなら追加料金はちゃんと払ってね?」
そう言ってオーナーは扉を閉めて行った。オーナーの言葉でみんなせっせと片付けを済ませてスタジオから出る。そしてそのまま解散となってしまった。私はチョコを渡すために和都を探す。
(絶対にこれは渡したい…そして…って和都!)
探している内に和都を見つけることが出来た私は和都へ声を掛ける。
「和都!」
「さ、紗夜……?どうした息切らして」
私は呼吸を整えてギターケースからラッピングしたものを取り出して和都の前に差し出す。
「こ、これって…」
「はい…バレンタインの、ち、チョコレートです…受け取ってくれますか?」
しんしんと雪が降る中、寒さを堪えて私は和都の返答を待つ。
「受け取らないわけないだろ…ありがと紗夜」
和都はそう言ってチョコを受け取る。
「あ、ありがどうございまず……」
私は嬉しさのあまりその場に倒れ込む。
「ちょ、大丈夫か紗夜!?」
「だ、大丈夫ですよ…ちょっと力が抜けただけなので…で、では私は帰りますね!……あ、」
私は和都の耳元でささやく。
「食べた感想、聞かせてくださいよ?」
そう言って立ち上がり走って家に戻っていった。そしてそのまま部屋に入りギターケースを置いてベッドに倒れ込む。
「キャウン?」
スノウが心配したのか心配しているのか私の顔を見てくる。
「大丈夫ですよ…」
ゆっくりと頭を撫でていると、部屋の扉を開ける音がした。
「おねーちゃん!今日はバレンタインだからあたしからはい、これー!」
日菜が入ってきて私にチョコレートを出してきた。私はそれを受け取ると日菜はキラキラした目でこちらを見てきた。
「……何?」
「おねーちゃんからはないの〜?ねぇねぇおねーちゃ〜ん?」
「…冷蔵庫にあなたの分のチョコレート冷やして入れてあるわ」
「ホントっ!?やったぁ〜!!おねーちゃん、大好きぃ♡」
日菜はそう言って抱きついてきた。
「ちょ、ちょっと日菜っ!……はぁ、仕方ないわね…」
「おねーちゃんがデレたっ!?」
このあと小一時間ほど、日菜に説教していて和都から『チョコ美味しかったぞ、ありがとう』とLIN●の通知が来ていたのに気づくのは朝になってからだったのは言うまでもなかった。
バレンタインの話は前々から書く事を決めてました。
バレンタインデー…そんなものもありましたね(遠目)
今はちょっと忙しいのでそんなことを気にしてられないんですよ…彼女いる人や大事な人との予定がある皆さん、素敵な1日をお過ごしください。
夜18時以降になりますがひまり小説も更新します。