努力家と天才の茨道〜歌姫を添えて   作:椿姫

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最終回のその後が見たいという意見を頂いたので執筆させてもらいました。
4ヶ月ぶりのこの小説の更新。覚えている方は果たしているのでしょうか?


投稿1周年特別編 『epilogue』

〜羽丘学園 校門〜

 

 

「和都も今日で高校卒業ですか…」

 

舞い散る桜と暖かい風、温暖な陽気が一体化して髪を無意識に靡かせる。私氷川紗夜は今日、羽丘学園の卒業式を先程見終えて校門で、免許取立ての自分の車の前で和都を待っているところです。

 

卒業生代表で喋っている和都は本当に凛々しく素敵でした。しかも卒業生合唱の際に贈る歌のピアノ伴奏までするなんて…素敵すぎて私の語彙力?が無くなってしまいそうです。伴奏を聴いていた時思わず泣きそうになったりもしましたよ…。しばらく待っているといつもより髪を短くした和都が私の方に向かってきた。

 

「紗夜、悪いな待たせちゃって」

「和都!待ってませんよ?卒業式お疲れ様でした」

「さんきゅ。あり?リサと友希那は?一緒に来てたんじゃないのか?」

 

そう言いながら和都は辺りを見渡す。

 

「私ならここにいるわよ、和都」

「アタシも〜♪」

 

少し遅れて湊さんと今井さんが昇降口から出てきた。

 

「いや〜ついにワトが卒業ですか〜。長いようで短いってこういう時にいうんだね〜♪」

「そうね…あっという間に感じるわね」

「お前ら…まさか大学の講義より優先して俺の方に来るなんて思わなかったぞ?紗夜は演習がたまたま休みだったからいいとして」

 

和都が溜息をつきながら今井さんと湊さんに向かって言うけど2人とも講義が無かったから来てる訳ですし…まぁ私は和都が説明した通りです。

 

「あら?白金さんは一緒にいたはずでは?」

 

私は今井さんに白金さんがどこにいるか問いかける。和都の卒業式だからRoseliaメンバー全員で来たはずなのだけど…。因みに宇田川さんは在校生代表で悼辞を述べてましたよ。

 

「そう言えばワトは進路先は紗夜と同じ大学だっけか?」

「まぁな。そうじゃないと紗夜といる時間が少なくなるし?大学同じなんだしそうじゃないと意味ないしな。付き合ってるわけなんだし」

「………」

 

和都が言い終わると今井さんと湊さんが目をそらし黙り込む。そしてその隣で私は顔を赤らめて恥ずかしそうに俯く。…と、言うかなんで和都は恥ずかしい台詞をそう簡単に言えるんですか…

 

「……あ/////」

 

自分で言っておきながら恥ずかしくなった和都はそのまま黙り込む。私は和都の腕を強引に引っ張ってその場を後にした。

 

「……ほんと、ワトは言う場所を考えるべきだよねー友希那?」

「ワトの頭の辞書にはデリカシーとかはあるのかしら?」

「いや、流石にあるっしょー☆」

「………そうだといいわね」

 

湊さんと今井さんがなにか喋ってはいたけれど今の私と和都には聞こえなかった。

 

そのままどこか落ち着ける場所を探した私はSPACEのカフェエリアに和都と一緒に座り込む。

 

「はぁ…和都はもう少し喋る場所を考えるべきですよ?」

「わ、悪ぃ…」

 

よっぽど恥ずかしかったのか和都はまだ顔を赤くしたまんまでした。付き合い始めてから特に気になってはなかったらしいんですけど和都は発言や恥じらいに対して敏感になってしまい今に至るんですよ。私も最初のうちは恥ずかしかったんですけど付き合い出して一年以上経っている訳ですし流石になれてほしいですよ…恥ずかしくなる時は私も恥ずかしいですけど。

 

「ほら、そんなに恥ずかしがってるとまた湊さんと今井さん達に何か言われるわよ?」

「お、おぅ…」

 

でも……恥ずかしがってる和都が可愛くて見ていたいだなんて言えるわけもないんですよね。

 

「って紗夜、何じっと俺のこと見てるんだよぉ…」

「何でもないですよ。それよりも前に言ってた引越しの手続きは済んだんですか?」

「もう済んでるぞ。卒業式前に手続きは済ませたしあとは荷物を搬入するだけだから」

「……まさか大学が同じなだけじゃなく同じマンションで生活することになるなんて想像もしなかったわ」

 

私は思い出したかのようにふふっと笑いながら話す。

 

「なんで笑うんだよ…可笑しいか?」

「可笑しくないわ。私も和都と一緒にいれるのが嬉しいんです」

「お、おぅ…」

「それよりも…この後はもちろん時間、空いてますよね?」

 

私が和都にそう言うと、和都は椅子から立ち上がって、勿論!と答えた。

 

「じゃあそろそろ行きましょう?湊さんたちが待ってるわ。主役が遅れるなんてそんな事はダメなんですからね?」

「んだな…恥ずかしがってばかりだと示しがつかないしな」

 

支払いを済ませて私と和都は、ある場所へ向かっていく。それは和都の家なのだが何故なのかと言うと、高校卒業祝のパーティーをやる事になっていて、Roseliaのメンバー全員は勿論参加する事は決まっている。他にも和都の演劇部のメンバーの方やクラスの人達を呼ぶとのことです。

 

「パーティーでは恥ずかしがらないでくださいね?」

「そんな俺が恥ずかしがるような催しなんて無いだろ?」

「そうだと….いいですね…」

 

私は和都からうっすらと目線をそらしながらそう答えた。あ、一応念の為に説明しておきますけど何かを企んでいるとかそういう事は無いですからね?本当ですよ?これの事に関しては今井さんと湊さんに聞いて確認してますので。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〜華宮邸〜

 

 

和都の家に着いてからの卒業祝パーティーは、それはもう大盛り上がりでした。豪華な食事がこれでもかと並んだバイキング(私は主にフライドポテトを食べた記憶しか)だったり、羽丘の生徒が作ったムービー上映、ミニゲームと言ったことを沢山やりました。その後には私達Roseliaが計画していたライブをやって、最後まで観てる方も私達も飽きることの無いパーティーを堪能しました。

 

長い時間にわたって開催されたパーティーは、あっという間に終わり気が付く頃には日も暮れて夜になろうとしていた。片付けも終わって皆が帰り、残っているのは私と和都だけ。帰る支度を済ませていない私を見て和都が不思議に思ったのか私に問いかけてくる。

 

「そう言えば紗夜。帰んなくていいのか?明日は大学あるなら帰って準備した方が…」

「私は大丈夫ですよ。明日は講義が休みで各自勉強する様に、と言われてるので」

「は、はぁ…」

 

意図が掴めていない和都に私は歩み寄る。そしてじっと和都を見つめて言い放つ。

 

「つまり…今日は和都の部屋に泊まるってことですよ?」

「……へ?」

 

1テンポ遅れて和都は反応する。

 

「嘘だと思うなら和都の部屋、もとい寝室に行ってみてください。和都のお爺様が既に宿泊荷物を搬入し終えてると思いますので」

 

私がそう言うと和都は全力ダッシュで部屋に向かう。向かって戻ってくること数10分、息を切らしながら戻って来た。

 

「……マジかよ」

「マジです」

 

私はそう言って和都と一緒に部屋へ向かって部屋に入り、ベッドに腰掛けた和都の隣に私がくっつくように座る。

 

「な、なんでくっつくんだよ…」

「和都は私の肌がつくのが嫌なんですか?」

「嫌じゃねぇよ…寧ろ嬉しぃゴニョゴニョ」

 

私は和都の肩を掴んで私の方に視線を向けさせる。

 

「ちゃんと言ってください。はぐらかすのはダメです」

「……ぃ」

「?」

「俺も…その、紗夜とくっ付くと嬉しいつったんだよ!!」

 

ちゃんと言ってくれたのに関しては良かったが、嬉しいと思ってもらえてたことに対してはちょっとだけ恥ずかしくなった。何とか気を紛らわせようと立ち上がろうとするが、

 

「ふゎっ!?」

「ゑ?ちょっ紗夜…」

『うわああっ!?』

 

足元をすくわれて隣にいた和都に覆いかぶさるように倒れてしまう。それと同時に最悪のタイミングで和都のお爺様がノックして部屋に入ってくる。

 

「失礼します。坊っちゃま、紗夜様、入浴の準備が整いまし…失礼しました」

 

お爺様は私と和都の方を見て謎の笑みを浮かべてそのまま部屋を出ていった。なぜ先程最悪のタイミングで、と言ったのかは……まぁ、この体勢だと私が和都を勢いよく押し倒してコトに及ぼうとしてるんじゃないかって誰でも思いますよね…

 

「後で誤解を解かないといけないですね」

「それもそうだがそれより早く退けた方が…」

「…すいません」

 

和都に言われて私は素早く退ける。

 

「ってか後は風呂入って寝るだけか。紗夜、先に入ってきていいぞ?俺はちょっと寝て待ってるからよ」

「私は大丈夫ですよ。和都が先に入ってください」

「そ、そうか…?じゃあ遠慮なく…」

 

和都は不思議がりながらも最初に入浴することを承諾して脱衣所に向かった。

 

 

和都side

 

 

「一体なんだったんだ…」

 

そう言いながら着ている服を脱ぎ腰にタオルを巻いて風呂に入る。

 

「ふっはぁぁぁ…あったけぇ…」

 

肩まで浸かると今日一日の疲れが一瞬でとれるかのようだ。そんな開放感に俺が浸っていると風呂の戸がカラカラと開けられる音がした。

 

「失礼します」

 

声のした方を向く。そこに居たのはタオルで大事な所を隠して頬を赤らめながらこちらを見ている紗夜の姿があった。あまりにも綺麗な肌に見蕩れてしまいそうになる。が、俺は状況が分からず慌てて紗夜から視線を逸らす。

 

「にゃんで紗夜がはいってくりゅんでぃゃあぉっ!?いでェ!?」

 

思わず舌を噛んでしまい痛がってると紗夜が背中合わせに風呂に入ってくる。

 

「ふぅ…和都、落ち着いてください」

「いやこれ落ち着かずにいられるかってーの!?なんで紗夜はそんなに冷静なんだよっ!!」

「こ、これでも私も恥ずかしいって思いはあります/////でもこ、恋人の為だったらって考えたら…それに、今日のお疲れ様って意味も込めてですし…と、兎に角!私からのご褒美だって思ってくれれば…」

 

紗夜も恥ずかしいならやるなよ…って思うけどそれでも俺のことを思っての好意なら…受け止めないわけにゃあいかんな。感謝くらいはしとくか。

 

「紗夜…サンキューな」

「?和都、今なんと…?」

「な、何でもねぇよ…」

 

よりによって聞こえてなかったのかよ…うわ、めっちゃ恥ずい。なんて言ったのか追求されたりよく分からないことをされたがちょっとこれは割愛させてもらおう。

 

風呂から上がった俺と紗夜は俺の部屋に向いあとは寝るだけ。色んなことがあり過ぎて疲れたからなんとか早く寝たい、そう思い目を閉じる。が、紗夜がそれを許さなかった。

 

「和都」

 

紗夜が背中を向けている俺に対して腕を回してきた。要は今、俺は紗夜に抱き枕のようにされている。そのせいで紗夜の胸の感触が背中越しに感じてしまう。

 

「さ、紗夜っ!?」

「まだ…寝ないでください…」

 

1度抱きついた腕を話したかと思いきや、今度は俺の正面の方に回ってまた俺の事を抱き枕のようにする。それだけで済めば良かったのだが今の紗夜はそれを留まることを知らなかった。

 

「和都…」

「さ、紗夜…?」

 

紗夜はそのまま顔を近づけ、

 

 

 

 

 

 

 

「ん」

 

 

 

 

 

 

 

俺の唇に自分の唇を当てた。なにがなんだかわからない俺はキスされたまま紗夜を見つめることしか出来なかった。

 

「ふぅ…?1回じゃ、足りませんでしたか?キス」

「ふぇっ!?い、いやっ!別にそういうことを言いたいんじゃあn」

 

俺の静止も届かず紗夜は2度目のキスをする。今度はさっきよりも長く、それでいてちょっとだけ舌先が俺の口内に侵入してきた。

 

(んぐぐぅっ!?何で舌までっ!?)

 

キスが終わると紗夜はいつもより顔を紅潮させながら俺を見つめる。

 

「和都、もしあなたが望むのなら…この先をシてあげてもいいんですよ?」

「はぁ!?」

「ふふ、冗談ですよ♪紅潮している和都はかわいいですね」

 

紗夜はそう言うと「おやすみなさい」と言って目を閉じた。

 

「………なんかめっちゃからかわれた気分だな」

 

すぅすぅと可愛い寝息を立てている紗夜の髪や頬を優しく触る。

 

「………紗夜、お前を好きになって良かった。あの時公園で話してからまさかここまで来るとは思わなかったぞ俺は。だから、その……大好きです」

 

寝ていて聞こえてないだろうなと思いながら俺は紗夜の手をしっかりと握り瞼を閉じた。

 

 

紗夜side

 

 

(//////////////////////////////っ!?)

 

寝た振りをしてしまったことには申し訳ないですが……

 

『「………紗夜、お前を好きになって良かった。あの時公園で話してからまさかここまで来るとは思わなかったぞ俺は。だから、その……大好きです」』

 

まさかこんな言葉を和都から、恋人から聞けるなんて……う、嬉しくて顔が、ニヤケ顔が戻んないっ!?

 

「うぅ…和都、嬉しいけど卑怯ですよ…」

 

その後なんとか寝付くことが出来たが起きてからは恥ずかしさのあまり、和都の事をちゃんと見ることが出来なかったです。

 

 

 

 

 

 

 

 

〜数ヶ月後 都内マンションにて〜

 

 

「おはようございます和都」

「うぃ〜っす、紗夜」

 

和都は服装を整えて私のところに向かってくる。

 

「待ったか?」

「いいえ。ちょうど私も来た所ですよ」

「良かった。じゃあ…行こーぜ?」

「はい」

 

和都の差し伸べられた手を取り、私と和都は大学へと向かって歩き始めた。




最後まで読んでもらいありがとうございます!
お蔵入り作品は順を追って書いていき、あげていけたらなと思います。
この作品が完結してからも読んでくれている方々、そして読んでくれていた皆様、本当に感謝しきれないほどです!
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