朝目が覚める。何もない一日の始まりだ。
階段を降り一階の洗面台へ、鏡の裏にある収納棚を開けようと手をのばす。
歯ブラシと歯磨き粉を取り、粉をブラシにつけてそのまま二階の自分の部屋へ。
自室で朝特有のぼぉ~とした感覚で惰性的に歯を磨いていると突然ドンドンとドアからうるさい音が。
「お兄ちゃん。朝だから起きて。遅刻するよ。」
今になっては聞こえない反抗期真っ盛りの妹のロリ声が聞こえた気がする。
がそんな幻聴はさて置き、今日もネットサーフィンでもして、学校の時間まで暇を潰そうと思い、学習机という名の暇つぶし空間へとだるい体を運ぼうとしながら目を向けると...
俺の大事な大事なPCが無かったのだ。無かったのだ!
大事なことなので二回言った(大事は三回だけどな!)。
昨晩にPCを没収されるようなことはしてないはずだが、さてはてどうしてPCが無いのだろう。
と思考の海へと埋没しそうになるが、歯磨き粉の泡で口の中がごわごわしていい加減に鬱陶しいので、口をゆすいでからにしよう。それからでも遅くない。
というより親に直接聞けばいいじゃん。
有言実行とばかりに一階へ。まずは洗面台で口をゆすぎ、それからリビングへ。
「ねぇ俺のPC知らな....い?」
ドアを開けた先にはいくつか若返った両親が、そしてこれって絶対に小学生だよねっていう姿の妹がいた。
「あぁ起きたのか何を寝ぼけたのか知らないが。早く顔を洗って歯を磨いてきなさい。今日から新しい学校なんだからな。」
「あ、うん。」
歯は磨いたが顔を洗っておきたかった。さっき父親が言ったように、まだ寝ぼけている可能性があったからだ。
寝ぼけていなければ父がキッチンに立っていて、母が新聞を読みながらコーヒーを啜っている訳がない。
さて顔を洗って再度リビングに顔を出したが、目の前の光景は何一つ変わっていない。
軽くめまいを起こしかけて自分の部屋へ帰りたくなったが、ここで帰ってしまっては状況が一切分からずに一日を無駄に過ごしてしまうことが分かり切っていた。
なので渋々と席に着き、朝食を食べながら、それとなく家族に質問をしていった。
曰く、母親の仕事関係で一家そろって引っ越すことになったこと。
曰く、上記の理由で中学を転入することになったこと。
曰く、自分は今14歳であること。
家族といえど、周りが当たり前に思っていることを聞くのはなかなかに恥ずかしい。
特に自分の歳を聞いた時なんか何言ってんだこいつ?って顔されてヤバかった。
で、これは推察だがここは男女が逆転した世界ではないのだろうか。
でなければ父が家事をして、母が仕事の準備をしているはずがない。
極めつけはさっきからテレビのニュースに流れている事件が『警察官の女性。男子中学生に売春行為を強要!』
いやー、ヤバいね。何がヤバイってそりゃご都合主義的に流れているこのニュースも相当ヤバいけど、俺が望んで止まなかった男女逆転世界に来たんだ。女の子とエロエロな関係をつくりたい放題。加えて今が中学生ってこともある俺tueeeしほうだいじゃんw
この胸の高鳴りを抑えきれず。肩を震わせているとロリな妹から「お兄ちゃん大丈夫?」と心配させてしまった。
大丈夫な訳は無いのだが満面の笑みで「心配ないよ。」と返しておいた。その時にテンションが振り切っていて笑顔がこわばってしまったのは仕方ないことだろう。
朝食も食べ終わりそろそろ出発することになった。
妹も転校するのでその付き添いには父があてがわれ、自分はもう14歳だから学校へは一人で行きなさい。と言われ学校までの地図を渡された。
地図はあまり得意では無いのだが、ここは一つ前の世界では一応大学に入った人間の腕前を見せてやる。
誰に言うでもなく宣言して目的地の場所を見ると。
『私立黒薔薇学院付属
逆転世界に来て早々、人生が崩れる音が聞こえた。