1:はじまりの時間
コンッ
独特な香木の打撃音。
この音はあいつだ。きっと、いつもの場所に居るはずだね。
あ、いた。
「おーい……って、何してんのさ」
「お、来たな」
僕は浩二。
夏休みを使って、学校で友人と魔法陣っぽいものを作ってる。
なんでもまじで発動したらいいなぁみたいな、軽い気持ちで作ってみてそれが発動したら論文を作る。
そして将来の為、賞状を貰うんだとさ。
これは友達の哲也が考案した。
そんなわけで、僕は友人と一緒に遊ぶのと同時に、魔法陣を周辺の物質を使って組み立てていく。
いやぁね、これがまさかの事を起こすとは思わなかったわけで……。
コンコンッ
ドウンッ
実は突然魔法陣が爆発したんだ。
吃驚したね。
この魔法陣があった場所には、爆発したときに出た水蒸気で隠れてる。
訳わからなかったが、その水蒸気から何かが出てきた。
ああ、僕らは腰が抜けちゃって地面に尻もちついてた。
「私を呼んだのは貴様等か」
「「……」あ、はい」
僕はやっとのことで聲をひりだせた。
いや、だって目の前にいるの、羽の生えた天使なんだよ?
現実的に乖離しすぎて、よくわからなくなる。
「ふむ、貴様等の魔法陣能力、素晴らしい!
故にこの仕事を分け与えんでもない」
「仕事?」
「うむ」
話してくれた。
それはいまこの世界、何か知らないけど原作とか創作から主人公達が逃げ出したんだとか。
なんとも大変な事案。
「あーなるほど。しかしそれでは、一般人である俺達の方が太刀打ちできないのではないか?」
友人がやっとの事で話し出した。
というか当然の話かな。
「そこだ。君たちの他にも協力者がいるのだが、彼らには原作に飛んでもらってそこで仲間を募ったのだ。
それに全員が全員、主人公が逃げ出したわけじゃない。
よって主人公を説得して、この戦争を乗り越えている」
「命掛かるんならいいや」
僕はそう聞いて拒否する。
でも天使は、いつどこで巻き込まれるかわからないから一人だけでも呼んでおくといい、とのこと。
ちなみにそのキャラクターには、段階があるらしい。
架空・ホログラム・ロボット・本物、という段階。
架空は僕ら現実世界の電子機器に能力だけを移譲させて、任意に発動するだけの状態。
ぶっちゃけ弱い。それに電池をそれなりに使うので、戦闘には向かない。
会話に関しては、できない。当然ながら、能力だけである。
ホログラム。姿かたちを現実に出せるが、結局はったりにしか使えない。
能力も本物ではないので、5分の1の能力水準。
会話はできるが、能力発動は電子媒体である。
ロボット。姿形を現実にだせる。能力使用や会話もそつなくこなせる。
だがロボットなので、戦闘に向かない。護身程度に使える。
能力は己の肉体ではないので、二分の一程度である。
本物。姿形を現実にする。トイレはしないが、食事等を必要とするので生活費がかかる。
感情や仕草等全てが現実的だが、原作にそぐわない外道戦法等は拒否する可能性がある。
一番コストやリスクがあるが、能力は100%使える。
「へーそうなんだ。本物だったら、一緒に学校通えるかな?」
「できるが、やはりお金がかかるが?」
「原作には一時的にも返せないんだよな?」
「勿論」
結論、普通の架空でもいいので、仲間にすることを決めた。
「決定したな?よし、君たちにはこれを渡しておこう」
それは薬だった。
お互いに袋に入れられて渡される。
「これは架空とかきめられる薬だ。原作は保持しているか、実際にいくかだ」
この薬の浸透力はすさまじく、あらゆる者を段階的に支配できるんだとか。
よくわからなかったけど、この人を呼ぶ電話番号を貰ったので何かあったら電話しよう。
「最後に薬の説明だが、そこにあるのが全てだ。説明は紙に書いている。
だから見て置く様に」
そういって天使は消えていった。
行き成りの展開に、唖然とする。とにかく、この後ぐちゃぐちゃになった魔法陣と周辺を清掃して帰る。