俺と彼女たちの物語   作:YURYI*

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13.お願い

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「たいちゃーん!!!」

 

 

たったったっと小気味好く聞こえる足音に、遠くから注意する声。

 

ーーーあぁ、またか。

 

避けようと思った時にはもうすでに手遅れだった。

 

背中にくる衝撃とともに前に倒れる感覚。

はぁ、こう毎回こういうことが起きるとちょっとの抵抗も無駄に思えてくる。

俺は何かアクションを起こすことなく廊下の床に倒れた。音でするならびたーん!てとこかな。

 

 

「ってて、ごめーん!あはは…」

 

朝っぱらからこんなのあんまりだ…

立ち上がって、俺の上でのんきに笑っている穂乃果を落とす。

 

「わぶっひどいよたいちゃん!」

 

「ひどいのはどっちだ!」

 

いつも、いつも、いっっっつも!!!

俺にも海未にも注意されてるじゃんか!

なんて、俺たちの注意なんて穂乃果は聞いていないんだけど…

たまには普通に話しかけてほしい。

飛びついて来るんじゃなくて、抱きついて…げふんげふん。

 

 

「うっ、ご、ごめんなさい…!」

 

ったく何度言えばわかるんだよ。

早くもこのことに慣れ始めている自分に呆れる。

 

「で、要件は?」

 

少しぶっきらぼうな聞き方になってしまったためか、穂乃果はしゅんとなった。

べつに、怒っているんじゃなくて、さっき抱きつかれる想像したから恥ずかしいだけ…なんてな!んなわけないからな!?

 

 

「ちょっとついてきてほしくて…」

 

 

語尾になるにつれて声が小さくなっていく。挙げ句の果てに意味もわからない。

言葉が足りないぞ、と穂乃果の髪をぐしゃぐしゃにした。

 

後からやってきた海未とことりに聞くと、なんでも一年生の教室に行きたいからついてきてほしいとのこと。

 

ちょっと待つように告げ、携帯を取り出す。

絵里に朝の生徒会に行けなくなったとメッセージを送る。

 

「ほら、行くんだろ?」

 

携帯をしまいながら、ぼけっとしてる三人に視線を向ける。

 

「すみません。ひろ…」

 

「ひろくん、ありがとう!」

 

「たいちゃん大好きだー!」

 

海未とことりは、嬉しいって感じよりはめちゃめちゃ申し訳なさそうな顔をしてる。

最後の穂乃果は意味がわからない。ま、好きと言われて悪い気分にはならないけどな。

 

俺はやっぱり、こいつらには甘いってことなのか…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

穂乃果は元気よく一年生の教室に入っていった。

俺は最終手段だと、教室の外で待機させられていた。どんな用事でここまで来たのかはまだ謎のままだが、俺が来る必要はなかったのかもしれない。

壁に寄りかかってため息をつく。

 

絵里に怒られるかもなぁ…

 

 

 

「あっ」

 

「あ」

 

教室に入ろうとしていた女子を見て思わず声が漏れる。相手も目を丸くして俺と同じような言葉を口にした。

 

「な、なんでここにいるのよ!?」

 

真姫は俺を指差して声をあげる。

大きな声を出したことに顔を赤らめてしまうあたり、真姫らしくてかわいい。

 

「いや、まぁ、うん。俺にもいろいろあるんだよ」

 

「ふーん………っゔぇええ!」

 

 

俺の横を通り過ぎようとした真姫の肩を、いつの間にやら穂乃果ががっしり掴んでいた。

 

どうやら真姫に用事があったらしく、戸惑っている真姫を無理やり屋上に連れて行くことにしたようだ。

穂乃果は真姫の腕をつかんだまま、ずんずんと廊下を進んでいく。

もはや、こうなってしまった穂乃果は、海未やことり、ましてや俺なんかでは止められない。

 

 

「ちょっと!これどういうことよ!」

 

がっしりとホールドされている真姫は、顔だけこちらに向けて抗議してくる。

 

「ごめん。俺にもわかんない」

 

俺もこの状況をよくわかっておらず、睨みつけてくる真姫をなだめることしかできない。

さっきまでかわいかったのに。

穂乃果、あまりお姫様を怒らせないでくれよ…絵里並みに怖いから。

顔が綺麗な人が本気で睨むとすっごく怖いんだよなぁ。

俺は苦笑いを浮かべ、これ以上状況が悪くならないことを祈るばかりだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「お断りしますっ!」

 

なるほど。

 

「お願い。あなたに作曲してもらいたいの」

 

「お断りします」

 

なるほど、なるほど。

 

 

真姫に作曲をお願いしたかったのか。

屋上に着くなり穂乃果は真姫に作曲のお願いをした。もちろん穂乃果たちが始めたスクールアイドルの曲だ。

 

まぁ、真姫の実力なら、レベルの高い曲ができるはずだもんな。

一人、納得しつつ、真姫の即答に笑いが溢れる。

 

って、なんでこいつらは真姫が作曲できるって知ってるんだ?

 

 

「もしかして、歌うだけで作曲はできないの?」

 

その言葉から、穂乃果が真姫の歌を聞いたことがあるのだとわかった。

って作曲できないとか、んなわけないだろ。

あんだけピアノ弾けて作曲できませんとかあるわけがない。てか、あの曲は自作の曲だろうし。

 

「できないわけないでしょ!ただ…やりたくないんです。そんなもの」

 

真姫は穂乃果から顔をそらす。

真姫が俺の方を向いたため、目が合ってしまい気まずそうにそらされた。

 

「学校に生徒を集めるためだよ!?その歌で生徒が集まれば…」

 

「興味ないです」

 

穂乃果の話を最後まで聞く前にその場を立ち去ってしまった。

 

 

 

 

「お断りします、だって。海未ちゃんみたい」

 

「あれがふつうの反応です」

 

穂乃果の反応に、海未は呆れた顔をした。ことりにいたっては苦笑いを浮かべている。

まったく、こんな調子でライブは大丈夫なのか…?

 

 

「はぁ…せっかく海未ちゃんがいい歌詞作ったのに」

 

「ぅあ!?ダメです!」

 

穂乃果がポケットから丁寧に折りたたまれた紙を出すと、海未はそれに飛びかかる。その反応が海未らしくなくて面白い。

きっと、あれが歌詞なのだろう。

 

「なんで!曲ができたらみんなの前で歌うんだよ?」

 

「それはそうですが!!!」

 

言い合っている二人の様子を温かい目で見守る。

 

ふわり、と絵里の香りが…って絵里!?

 

絵里はいつの間にか屋上に来ていたようだ。俺の横を通り過ぎ、穂乃果の前で止まる。

 

 

「生徒会長?」

 

穂乃果はキョトンとした顔で絵里を見る。

 

「ちょっと、いいかしら?」

 

 

 

俺のところからは絵里がどんな顔をしているのかわからないが、決して、絶対に笑ってはいないだろう。

はぁ、なんだか空気が重い。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 





かなり時間が空いたあげく、短くてすみません…
もっと上手く表現できるようになりたい。



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