俺と彼女たちの物語   作:YURYI*

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16.先輩+マネージャーとして

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

穂乃果たちμ’sは曲が出来上がってから、本格的な練習をしているらしい。

らしいと言うのも、あれから生徒会の方の仕事が忙しくて、練習を見に行く時間がなかったから。

 

今日は珍しく絵里が用事があり不在になるため、放課後の生徒会は無しになった。希と一緒に帰ろうかと思ったが、俺が声をかけようとした時には希はもうすでに教室にはいなかった。

暇だし、穂乃果たちの練習場所である神田明神にでも行くかな。とりあえず、いきなり行くのもあれなので、グループにメッセージを入れておく。

 

 

 

「…あ」

 

視界の端に俺の大好きな黒髪のツインテールが映った。

それに、そっと背後から近づいて羽交い締めにする。

 

「誰!?って、あんた何すんのよ!」

 

振り返ったにこは俺の顔を見るなり怪訝そうな顔をした。

 

「はろー」

 

「離しなさいよっ」

 

「やだ」

 

しばらくじたばたと暴れるにこを押さえつけていたが、だんだんと抵抗もしなくなってきたので離すことにした。

 

「あんた、いつか殺す」

 

若干の涙目で睨みつけてきた。

 

「こわいこと言うなよ。俺とにこの仲だろ?まぁ、にこに殺されるなら本望かな」

 

なんて言いながら、肩に手を置こうとしたらぺしりと払われてしまった。

まったく、かわいくないやつ。

 

「てかさ、にこは知ってる?μ’sのこと」

 

「…知ってるわよ。それがどうかしたの?」

 

あまりにもにこが不機嫌そうな顔になったので、言おうと思ってた言葉を飲み込んだ。

 

「さすがにこ。あんなちっぽけなスクールアイドルのことも知ってるんだな。尊敬、尊敬」

 

「ねぇ、一発殴られたいの?」

 

「褒めたじゃん」

 

「その棒読みは褒めてるって言わないのよ!まったく、用がないならもう行くわよ」

 

「おう、暗くなる前に帰れよー」

 

何のためらいもなく俺に背を向けるにこに、俺は笑顔を向ける。

本当は、にこも一緒にやらないか?と言うつもりだったが、にこ自身が穂乃果たちをどう思っているのかよくわからなかったのでやめておいた。

いつか、にこも仲間になってほしいんだけどな。なんて、俺がどうこう言える立場でもないんだろうけど。

 

さて、神田明神行くか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「たいちゃーん!」

 

上のほうから穂乃果の元気な声が聞こえる。

 

「たいちゃんはやくー」

 

その声に少しだけ階段を上るスピードを上げる。

 

「おっそい!はーやーくー」

 

「あぁ、もう!うるさいなぁ!」

 

仕方がないので残りの階段を駆け上がる。

上に着く頃には俺は肩で息をしていた。

 

「はぁ、はぁ、何が楽しくてこんな階段走んなきゃいけねぇんだよ」

 

「ひろくん大丈夫?」

 

愚痴をこぼす俺に、ことりが優しく声をかけて水を差し出してくれた。

飲むことはしないが、一応それを受け取って、笑顔を向ける。そしたら、ことりも安心したように微笑んでくれた。

 

「穂乃果たちはいつも走ってるよ」

 

「それは意味があって走ってるんだろーが!」

 

「そうですよ。でも、二人もと頑張っているのでしっかり体力がついてきましたね」

 

海未は自分のことのように嬉しそうに微笑んでことりと穂乃果を見る。

穂乃果は自慢げな顔で俺を見てきたが、ことりは少し苦笑い。

 

「私はまだまだかなぁ…。でも、ひろくんが全然来てくれなかった間、穂乃果ちゃん頑張ってたよ」

 

全然来てくれなかったという言葉に心がちくりと痛む。ことり、絶対わかってて言ってる…!

 

「こ、来れなかったのはホントごめん!でも、そっか…みんな頑張ってたのか」

 

「えっへん、穂乃果たち頑張ってたんです。あ、そうだ!たいちゃんさ、ちょっと私たちのダンス見てよ」

 

穂乃果は海未やことりに褒められて上機嫌だ。目をキラキラさせてそんなことを提案してきた。

 

「俺も、どんな感じなのか見たくてきたんだ」

 

「じゃあ、ひろくん。感想とかお願いできる?」

 

「おう!まかせて」

 

やっと形になってきたんだよ、と穂乃果とことりはやる気満々だ。

 

「だ、ダメです!!!」

 

海未が突然大きな声を上げた。

 

「ど、どうした?」

 

海未の顔を覗くと頬が少し赤くなっている。心配になって、体調でも悪いのか?と聞くと、海未は小さく首を横に振った。

 

「恥ずかしいんです…」

 

「………へ?」

 

「だから!踊っているところを誰かに見られるなんて、私には無理です!恥ずかしすぎます!」

 

顔は真っ赤で目には涙がたまっていて、なんだか俺の方まで困ってしまう。

 

「でも海未ちゃん。ライブをやるなら当然お客さんがいるんだよ?」

 

「そうだよ!そんなんじゃライブなんてできないよー!」

 

ことりは優しく、穂乃果はちょっと強引に海未を説得する。

 

 

 

「ほら、俺を本番の時の練習だと思ってさ。頑張ってみない?」

 

「そ、そうですね…」

 

 

説得を始めて数分後、海未が了承してくれたところで、俺は初めてμ’sのパフォーマンスを見させてもらえることになった。

 

 

 

・・・

 

 

 

 

 

最後のポーズが決まった。

三人の顔はそれぞれ全力でやりきったという表情だった。

俺は、そんな最後まで踊りきった三人に笑顔で拍手を送る。

 

 

「たいちゃん、どうだった?」

 

「うん。ちゃんと形になっていてびっくりしたよ」

 

「ほんと!?やったー!!!」

 

俺の言葉に三人は手を合わせて喜ぶ。

 

「でも、まだまだ足りないことのほうが多いな。表情もかたいし、三人の踊りがずれているところもある。それに、完璧に歌って踊れるには、体力が少し足りないかなって思った」

 

きついことを言っているようだが、言うべきことはきちんと伝えないといけない。今のクオリティでは、とてもじゃないがお客さんの前で踊るなんて無理だ。

さっきまでの元気は何処へやら、しょぼんとしている三人の頭を順番になでる。

 

「でも、本当に頑張ったんだな。俺、見ていてちょっと、感動した」

 

そう言って、笑顔を向けると、三人はなぜか泣きそうで。やっぱりさっき、少し言い過ぎたかもしれないと焦り始める。

 

 

「たいちゃん」

 

「ひろ」

 

「ひろくん」

 

三人は、俺のことを呼んでゆっくりと近づいてくる。三人とも下を向いているため、その表情はわからない。

もう何が何だかわからなくて、ポカンとしていると、三人して俺に抱きついてきた。

 

「な、ど、どうした!?」

 

俺にくっついている三人の肩が震えていることにギョッとして、むやみに離れることもできない。

手持ち無沙汰になってしまった俺は、苦笑しながら両端にいることりと海未の頭をなでていた。

 

しばらくすると、海未が不意に顔を上げた。

 

「すみません。ひろの言葉が温かくて、少しだけ泣けてしまいました」

 

はにかむ海未がかわいくて、これ以上見つめられていたらあらぬ気でも起こしてしまいそうで。海未の頬についた涙の線を拭ってから頭に手を置いて下を向かせた。

 

今度はことりが顔を上げる。

 

「やっぱり、ひろくんがいると不安も吹き飛んじゃうね。ありがとう」

 

ことりは天使のような笑顔を向けて、俺の手を控えめに握ってくる。

 

「全然見てあげられなくて、本当にごめんな。これからはしっかりサポートするから!」

 

その手を握り返すと、もう一度笑顔を向けてくれた。

 

最後は穂乃果。

穂乃果は離れるどころかさらにくっついてきて。

 

「穂乃果、苦しい…」

 

「だって、こうしたいんだもん。たいちゃん、もっともーっと頑張るから見ててね!穂乃果たちのこと!」

 

そう言って穂乃果は顔を上げた。

その顔に涙なんてなくて、太陽のように眩しい笑顔を浮かべていた。

まったく、眩しすぎるよ。

 

「あたりまえだろ。だから、何がなんでも諦めるなよ!」

 

何をえらそうに言ってるんだか。

言ってから後悔している俺に三人は笑顔を向けてくれた。

嬉しくなって、俺も笑顔を返す。

 

 

 

今日からちゃんと、朝か夕方のどっちかは必ず来れるようにしよう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 





お読みいただきありがとうごさいます。

最近、バイト先に行くとねむくなる原因が、酸素が薄いからだと気付きました。どーでもいい情報ですね、すみません。笑

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