俺と彼女たちの物語   作:YURYI*

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19.新しい仲間 前編

 

 

 

 

 

 

 

 

真姫の家にお邪魔した帰り道。

穂乃果の家の前を通った俺たちは、ものの見事に穂乃果に捕まり家まであげられた。

 

「ごめんな。強引なやつで」

 

「いえ、とても楽しい人ですよね」

 

ほんわかとした笑顔。

それに安心しつつ、いつも通りに穂乃果の部屋に行き、ドアを開ける。

 

 

・・・バタン

 

 

 

 

ドアを開けてすぐ閉めた俺に、花陽は不思議そうな顔をした。

 

「入らないんですか?」

 

「…うん。今は入っちゃダメな気がする」

 

なんでかって?

それは……

 

 

「ひーろー…?見ましたね?」

 

ゆっくりと開いたドアからは、にっこりと微笑んだ海未の姿が。

思わず顔がひきつる。

 

「お、おう。なんかごめん」

 

怒りのあまり笑顔のままの海未を押しのけて、俺と花陽は穂乃果の部屋に入った。

その後すぐに、店番を終わらせた穂乃果もやってきた。

 

 

「ま、まさか海未がポーズの練習なんてしてるとはな…ははっ」

 

そう。俺があの時見たのは鏡に向かってアイドルのようにかわいいポーズをしている海未の姿。実際、かわいかったんだけれども。

本人は見られたくなかったようだ。

 

「ほ、穂乃果が店番でいなくなるからです…!」

 

海未は赤くなった顔で穂乃果に詰め寄る。と、ガチャリとドアが開く。

 

「お邪魔しまーす」

 

ことりは慣れたように部屋に入ってくる。

ことりは花陽の姿を見つけるとジッと見つめた。

 

「お、お邪魔してます…」

 

花陽は少し困ったように笑う。

ことりは、そんな花陽を見るなりパァッと顔を明るくさせた。

 

「まさか、本当にアイドルに…?」

 

「違うよー。たまたまお店の前を通りかかったから、ご馳走しようかと思って」

 

穂乃果はにんまりと笑うと、穂むら名物の「ほむまん」を差し出した。

 

「おいしいよ!」

 

俺はほむまんをひょいっと一つ取るとそのまま口に運んだ。

うん。おいしい。

さらにもう一つとって、今度はそれを花陽の口元まで運んだ。

花陽は一瞬ためらったが、ほむまんを小さく口に入れた。

 

「お、おいしい…!」

 

「だろ?」

 

そのまま、残りを手渡すと、花陽は目を輝かせて頬張った。

その姿が、小動物のようでかわいい。

 

 

「ひろくんは、なんでいるの?」

 

入ってきた時俺のことを完全にスルーしていたから、何か話を振られることはないと思っていた。

 

「あぁ、花陽と一緒にいたから穂乃果に捕まったんだ」

 

「なんで花陽ちゃんと一緒にいたの?」

 

今日のことりは、少しばかり気にしいなようだ。普段は黙って笑顔で頷いてくれるのに、今日はなぜだか質問が止まらない。

それに、少しばかり不機嫌そうな顔をしている。

 

「それは、その。花陽と一緒に真姫の家に忘れ物を届けに行ったから」

 

「…そうなんだ」

 

あれ。ことりってば、表情では笑っているのに、目はまったく笑っていない。

俺が疑問に思って首をかしげると、あからさまに目をそらされてしまった。

 

「そうだ穂乃果ちゃん。パソコン持ってきたよ」

 

「わー!ことりちゃんありがとう!」

 

 

俺のことは無視かよ。ってか、そこまで意地はってまでして避けられると、余計に気になるんだけど。

なんて、俺をよそに、穂乃果たちはパソコンを覗き込んでいる。

しばらくすると、μ'sの曲が流れて始めた。

 

「な、なんで?」

 

びっくりして、画面を覗き込む。

そこには、俺が見た時とはアングルが違うが、ファーストライブの様子が映っていた。

 

「誰かが動画を撮って、アップしてくれていたようなんです」

 

海未は優しく微笑んだ。

 

「ふーん……って、おい!」

 

「ここ、練習ではうまくいかなかったけど、本番はうまくいったんだぁ」

 

ことりはなぜか俺をぐいぐいと外側に押して、何事もなかったかのように話しだす。

正直意味がわからない。

 

「あ、花陽ちゃんそこじゃ見づらくない?」

 

「………」

 

ことりは俺のことは完全に無視して花陽に声をかける。

しかし、花陽からの返事がない。

 

「花陽?」

 

俺が覗き込んでも気がつかないくらい、花陽はパソコンの画面を食い入るように見ている。俺たちの声は全くと言っていいほど聞こえていないようだ。

 

「小泉さん!」

 

「は、はいっ」

 

穂乃果の大きな呼び声に、花陽は肩をびくりとさせて顔をあげた。

 

「スクールアイドル、本気でやってみない?」

 

少し考え込むように下を向いて。

 

「わ、私なんかには、アイドルなんて向いてないです…」

 

花陽は顔をうつむかせたまま、そうぽつりと呟いた。

 

「俺は、そんなことないと思うけどな」

 

なるべく花陽の背の高さに合わせるようにして、そっと声をかけた。

しかし、花陽からの返事はない。そのかわりに、ことりが俺を押しのけて、花陽に寄り添った。

 

「私もね、歌を忘れちゃったりするし、運動も苦手だよ」

 

「私だって、人前に出るのは苦手です」

 

「私は、すごくおっちょこちょいだよ!」

 

ことりの次に、海未、穂乃果とそれぞれ花陽に声をかける。

 

「なんで穂乃果はそんな自慢げなんだよ」

 

「えへへー、ごめんごめん」

 

花陽は顔を上げ、穂乃果の笑顔を見るとつられるように笑った。

 

「ゆっくり考えて答えを聞かせて。私たちが、いつでも待ってるから!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

花陽、か。

俺的には、花陽はアイドル向いてる向いてない関係なしに、やってみるべきだと思うんだけどな。

見た目ももちろんだし、あれだけアイドルへの熱い想いがあるなら、他には理由なんていらないと思う。

それと、昨日のことりの様子がな…

まぁ、そっちはとりあえず様子見でいいか。なんか、反抗期みたいな感じだし。

 

 

廊下の窓から気持ちのいい風が吹いてくる。

今日も、穂乃果たちは屋上で練習するだろう。

うーん。もう少しだけ、ここでサボってしまおうか。

 

「あぁ!!!」

 

「うお!?」

 

そんなことを考えていた矢先、大きな声が聞こえたものだから、自分でも引くくらいに驚いてしまった。

 

「す、すみません!先輩…は、スクールアイドルの人ですよね!?」

 

目の前には、小柄でショートカットがよく似合う、かわいらしい女の子が立っていた。

 

「あ、うん。マネージャー…かな」

 

とりあえず、このままだと俺がアイドルやってるみたいになるからな。正すところはちゃんと正しておかないと。

 

「り、凛は…えっと……」

 

言葉を探すように、視線がさまよう。

バッチリと目が合うと、なぜか彼女は急にシュンとしてしまった。

 

「俺に何か用かな?ゆっくりでいいから、落ち着いて」

 

「ありがとう、ございます。たしか、ヒロト先輩ですよね?」

 

「あ、うん。三年の結城大翔です。えっと、君は…どこかで会ったかな?」

 

どこかで見たことあるような、でも、話したことはなかったような。

 

「えっと、みゅーず?のライブ、私も見てたんです。それと、かよちんから先輩の話を聞いて」

 

ファーストライブの時のことを思い浮かべる。あの場にいたのは、俺と穂乃果たちμ's二年生、それに絵里。あとは、外には希と真姫がいたなぁ。あとは隠れてコソコソと見ていたにこ。花陽と…

 

「あぁ!花陽と一緒に来ていたお友達か!」

 

「そうです!星空凛って言います」

 

よろしくな、と手を差し出すと、凛はしっかりと握って返してくれた。

 

「凛って呼んでもいい?」

 

「もちろんにゃ!…あ」

 

思わず出てしまった、と言うように、凛は両手で口を塞いだ。

にゃ?口癖、かな?

 

「あ、凛も俺のこと好きなように呼んで。先輩扱いはあんま好きじゃないんだよ」

 

「そう、なの?」

 

キョトンとした顔が妹みたいでかわいい。

あ、俺、妹なんていないわ。

 

「おうおう。なんだったら、お兄ちゃんって呼んでくれてもいいぞ?」

 

あ、やばい。願望からかなんなのか、けっこうガチなトーンになってしまった。

弁解しようとしたが、それは凛によって止められた。

 

「じゃあ!ひろ兄だね!」

 

「お、おう?」

 

「ひろ兄!えへへ、ひろにー。ひろにぃ!」

 

あふれんばかりの笑顔で、俺のことを何度も呼ぶ。あれ、おかしい。俺から言い出したはずなのに、めっちゃ恥ずい。

嬉しいけど、なんだか恥ずかしいぞ。

 

「気に入ったなら、よかったよ」

 

照れを誤魔化すように凛の頭をわしゃわしゃとなでると、猫のように俺の手にすり寄ってきた。

これはまた、花陽とは逆のタイプだな。

凛はすぐに懐いてくれるっていうか、最初からオープンすぎるからかな。

 

 

「そうだ。今日は花陽と一緒じゃないのか?」

 

もし一緒なら、μ'sのこと少しだけ聞こうと思ったんだけど。あいにく花陽の姿は見当たらない。

 

「そうだ、かよちんのこと探してたんだった」

 

てへへ、と笑う凛を小突く。

 

「忘れちゃだめなやつだろ、それ」

 

「ひろにぃがいたからにゃ。だから、少しはひろにぃの責任でもあるよー」

 

「わかったわかった。一緒に探すか……ん?」

 

窓から風とともに音が聞こえる。いや、これは人の声かな。

 

「あーあーあーあー」

 

「…あー…………あー」

 

最初は芯の通った声。

その後に続くように、少し控えめな声。

 

「…かよちんの声」

 

凛は目を閉じたままぽつりと呟いた。

 

 

「もう一人は真姫の声だな」

 

俺と凛は顔を見合わせて、もう一度耳をすます。

 

「「あーあーあーあーーー」」

 

 

最後に、二人同時に発せられた音が混ざり合って、はっきりと俺らの元まで届いた。

身体中に響き渡ってから、それは静かに消えてゆく。

 

「あそこにゃ!」

 

余韻に浸る俺の手を引いて、凛は走りだした。

 

 

 

 

 

 

 

 





お読みいただきありがとうございます!

お久しぶりです。
忘れられてませんか?…忘れられてますよね。笑
まとまりがなくわかりづらい文で、本当に申し訳ありません…!


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