俺と彼女たちの物語   作:YURYI*

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5.後輩

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

高校生活が始まったばかりとか思っていたのももう一年前のこと。

そう、いつの間にやら俺は二年生になっていたみたいだ。

 

 

俺たちはあの日以来いつも三人一緒。まぁ、今回は希だけクラスが離れてしまったが、そんなこと気にならないくらい仲良くしている。それくらいで、あまり俺たち自身は変わっていない。

変わったことといえば…

 

「えりち!ひろっち!」

 

希が俺と絵里のことをあだ名で呼ぶようになったことくらいかな。

あ、それと絵里も希のことを名前で呼ぶようになったわ。

 

「希、声が大きいわよ」

 

ほらね?

言葉だけ聞くと最初の冷めたイメージが抜けないかもしれないけど、絵里の顔を見れば一目瞭然。

もう、ほんと幸せそうに顔を緩めている。

 

 

 

今日は入学式。

俺はこの日をずっと楽しみにしていた。

なんでかって?

 

 

え、聞いてない…?

 

まぁまぁ、少しくらい聞いてくれよ。

 

実は、俺が中学生だった頃の後輩が入ってくるんだよ。

な?ちょっと興味出てきただろ?

 

まぁ、そんなこともあって俺たちは門のところで新入生の案内係をやっている。

わざわざ引き受けてまでな!

 

 

 

「たいちゃーん!!!」

 

「ぐぇ!?」

 

く、苦しい。背後から抱きつかれたあげく首に手を回されて首がしまっている。

俺のことをこう呼ぶのは一人しかいないし、もちろん犯人は分かっているのだが…

 

「ぐ、ちょ…っ」

 

息をすることすらできないので、たまらず首に回されている手をタップする。

 

「え?あ、ごめーん!あはは…」

 

やっと離してくれた。

さすがの俺でも死ぬかと思った。

 

「ごほっ、ばかやろう。死ぬぞあんなの」

 

振り向いた先には俺を殺そうとした張本人が悪びれもなく立っていた。

 

「ちゃんと謝ったもん」

 

それどころか笑顔で反論してきやがった。

何もなかったかのような顔してサイドテール揺らしやがって。

 

「開き直るんじゃねぇ!ばか穂乃果!」

 

「もう、たいちゃんひっどーい!」

 

「お前のほうがひどいわ!」

 

 

このほっぺを膨らませているサイドテールの彼女は高坂穂乃果。

なんだかんだ言いつつもかわいい俺の後輩だ。

 

 

 

「穂乃果!」

 

「穂乃果ちゃん!」

 

お、やっときたな。

穂乃果の後からもう二人ほど息を切らしながらやってきた。

 

「まったく穂乃果は!これから高校生なのですよ!もっと自覚を持ってください!」

 

この穂乃果のことをお説教しているのは園田海未。誰に対しても敬語で、青みがかったさらさらなロングの髪が特徴な女の子。穂乃果の幼馴染の一人で、凛としたその表情のとおりいつも穂乃果の世話をやいては怒っている。

 

 

「ひろくん大丈夫?痛いところとかない?」

 

こっちの俺のことを心配してくれているのは南ことり、この子も穂乃果の幼馴染。ふんわりとした雰囲気で天使のような女の子だ。

ちなみに、はちみつ色の瞳とその甘いかわいらしい声に一度お願いされてしまえば断ることは不可能。

あの海未でさえも敵わない。

 

この三人が妹のようにかわいがっている俺の大事な後輩だ。

 

 

 

「ひろ、すみません。また穂乃果が迷惑をかけましたね」

 

いつもの事ながら会うたびに穂乃果は何かしらやらかす。その度に俺らは巻き込まれている。

 

「いや、平気。海未もいつも大変だな」

 

「ほんとですよ。まったく穂乃果は…」

 

「海未ちゃんもひろくんもそれぐらいにしてあげて…ほら」

 

俺と海未が穂乃果のことを話していると、ことりが苦笑いで入ってきた。

ことりの指差す方向を見ると、あからさまに膨れている穂乃果が。

 

「だって、久しぶりで嬉しかったんだもん」

 

あぁ、もう。俺はこいつらにはどうも甘いみたいだ。

拗ねてしまった穂乃果の頭に手をやってごめんな、と謝る。

 

「三人とも、入学おめでとう!待ってたよ」

 

 

俺がここに入学した理由はこいつら三人に理由がある。

ふむ、時間もあるし少しだけ話しておこうか。

 

 

 

***

 

 

 

 

 

俺が中学三年の冬、クラスの全員が進路先をとっきに決めていて準備を始めている時のこと。俺はまだどこの高校にするか決めかねていた。

っていうのも、自慢じゃないが学年でも片手に入るくらいに勉強ができた俺は、担任にレベルの高い高校を勧められていたからだ。最初は断っていたが、学校側としては自分たちのためにもいいところへ行かせたいらしく、最終的には親にまで言い始めた。

そういう高校って無駄にお金がかかったりするだろ?これ以上母さんに苦労かけるとか無理だわ。

俺にどうしても行きたい高校があればこんなことで悩むこともないんだけどな。

 

 

 

「高校っつってもどこも同じだろ。周りにうだうだ言われるせいでまったく決まんねーじゃんか」

 

どこも同じと言いつつも、なんだかんだ青春の大事な1ページになる場所。

そんなことで決められていない俺はたいがい優柔不断だ。

 

 

いつも通りの帰り道。

そんなことを考えながら道端に落ちていた小石を蹴り飛ばす。

 

考えんのやめよ。こんなことで悩むとかバカらしい。本当に決まらなかった時は一番近い高校に通えばいいさ。

空を見上げて気持ちを落ち着ける。

 

 

それがいけなかったのだろうか。

それともそんなことで悩んでいたのが悪かったのか。

 

 

「ごふっ!!?」

 

俺の鳩尾めがけて一人の少女が飛び込んできた。しかも頭から。

俺はそのまま後ろに倒れそうになるのをなんとかこらえて尻餅をついた。

 

 

「いててて、ごめんなさい!大丈夫ですか?」

 

抱きとめる形になってしまったため距離が近い。冷静に考えなくても、この体勢はまずいよなぁ。

 

「あ、あぁ。君こそ大丈夫?」

 

やんわりと距離をとって立ち上がる。

 

「大丈夫です!あ、これ落ちましたよ?…た、たいしょう…先輩?」

 

彼女は立ち上がると笑顔で俺の落としたであろう生徒手帳を手渡してきた。

っておい!たいしょう先輩ってなんだよ!

 

「俺の名前は大翔だ。ひ、ろ、と!」

 

「あ、あぁ…ごめんなさい。たいちゃん先輩」

 

「なんでそうなる!ったく」

 

意味のわからないやつだな。なんて思いつつ笑ってしまう。

初めてそんな呼ばれ方したわ。

 

「私、高坂穂乃果!中学二年生です!」

 

制服がうちの中学と同じだとは思ったが、一つ下か。そのあどけない笑顔のせいかもっと歳離れてると思った。

 

「はぁ…先輩呼びは嫌いなんだ。あと敬語も使うな」

 

「はい!あ、わかった!たいちゃん」

 

「ははっその呼び方は変わらないのね」

 

もうほんとこいつなんなんだよ。面白くて笑いが止まらない。

 

 

 

「穂乃果!何をやっているのですか!」

 

「穂乃果ちゃん大丈夫?」

 

「海未ちゃん!ことりちゃん!この人にぶつかっちゃって…あはは…」

 

こいつの知り合いだろうか。

今起こったことを穂乃果は一生懸命に後から来た二人に説明している。

穂乃果はうまく説明できなかったのか、二人の手を引いて俺の方まできた。

 

「えっと、この人がたいちゃんです!」

 

「は?なんの話ししてんの?」

 

なんだよ、説明してたわけじゃないのかよ!

もうほんっとに意味がわからない。

 

「いや、二人がたいちゃんって誰だっていうから…?」

 

「初めまして。三年の結城大翔だ」

 

とりあえず名乗っておく。

するとさっきまで穂乃果を怒っていたほうの子が青ざめた顔をして頭を下げた。

 

「穂乃果が迷惑をおかけしました。結城先輩、お怪我はしていませんか?」

 

さっきまでの穂乃果と違うしっかりとした対応に少しだけ驚く。

 

 

「お、おう。平気だよ」

 

「海未ちゃん!たいちゃんに先輩呼びはダメだよ!」

 

ダメってわけじゃないけどな。

 

「そ、そうなんですか!すみません…」

 

「謝ることじゃないよ。えっと、君の名前は?」

 

「そ、園田海未です」

 

海未はもう一度丁寧にお辞儀をした。

大和撫子って感じの子だな。

 

「海未、よろしくな?俺のことは大翔でもなんでも好きに呼んで」

 

「ひ、ひろ…やっぱり無理です!」

 

「なにがだよ!?」

 

あ、思わずツッコんでしまった。

さっきから怖がっているみたいだから言わないでいたのに。

 

「あー、大きな声出してごめん。その…ひろでいいんじゃないかな?」

 

頭に手を伸ばしかけるがすんでのところで思いとどまる。

その代わりに怖がらせないようなるべく笑顔でそう言うと、海未も小さくだが笑ってくれた。

 

「ひろ、ありがとうございます」

 

「どういたしまして、海未」

 

 

 

それで、もう一人の子は?

って、俺そんなに怖いかな…?穂乃果の後ろに隠れてこちらを見ている少女を見つけて悲しくなる。

 

「えと、俺そんなに怖い?」

 

「い、いえ!その、せんぱ…あっと、有名だから…」

 

有名?俺が?

 

「そんなことないと思うぞ?」

 

「いえ、有名です」

 

海未までもがそんなことを言い出す。

俺なんか目立つようなことしたかな…

 

「そういえば、まだ名前聞いてなかった」

 

「あっ、南ことりです。ひろくんって呼んでもいいですか?」

 

「もちろん。よろしくな!」

 

笑顔めっちゃかわいいなぁ。癒しだ。

 

 

「たいちゃん!」

 

さっきまでおとなしくしていた穂乃果は突然俺の制服をぐいぐい引っ張り出した。

 

「なんだよ?いきなりだなぁ…」

 

「たいちゃんってどこの高校行くの!?」

 

今日初めて話した、ましてや男の先輩にそんなこと聞くなよ…

 

「決まってない」

 

「じゃあ、音ノ木坂学院がいいと思うよ!」

 

はぁ!?なんでいきなりそんな話になるんだよ!

まぁ、この際なんでもいいか。

 

「もしたいちゃんが音ノ木坂に入ったら、穂乃果も入るから絶対楽しいと思う!」

 

「穂乃果…あなたはまだ予定でしょう…」

 

それに穂乃果は成績が…と海未は頭を抱えている。まぁ、こんな感じだと勉強は得意な方ではないんだろうな。

 

 

「はは…でも確かにそれは楽しそうだな」

 

「でしょでしょ!海未ちゃんとことりちゃんも一緒なんだよ!」

 

「ですからまだ予定でしょう!」

 

まぁ、これといって行きたいところはないし。なんかこいつら見てて飽きないし。

 

いいかもしれない、なんて思っている自分がいる。

 

 

「じゃあそうだな…学校内で俺を見かけたらちゃんと話しかける。それと、絶対に音ノ木坂学院に入学する。この二つを約束してくれるなら、いいぞ」

 

「ほんと!?」

 

「ひろくん、本当にいいの?そんな穂乃果ちゃんに言われたからって理由で…」

 

「ひろ、本気ですか!?」

 

 

 

 

 

 

 

 

そんなこんなで出会ったばかりでこんな約束までして。俺は受験先を音ノ木坂学院一本にした。

 

音ノ木坂はそこまでレベルが低いわけじゃないし、誰からも反対されることはなかった。

まぁ、共学化したばかりと言うことは何度も言われたがな。

 

 

三人は俺との約束を律儀に守って会えば話すし、教室にまで会いにくるわでなんだかんだ卒業まで仲良くしていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

***

 

 

 

 

 

「もうたいちゃん!」

 

「あ、あぁごめん。少し昔のことを思い出してた」

 

こうしてこいつらもちゃんと入学してきたし、絵里と希っていう大切な友達もできたし、あの時の俺の選択は間違っていなかったな。

 

目の前にある穂乃果の頭を髪がぐしゃぐしゃになるほど撫でまわす。

穂乃果のおかげで今俺がここにいるわけだしな。

 

「もう!髪がボサボサになっちゃったよー!」

 

「ははっ本当に楽しいな」

 

もう俺、よくわからないけど楽しくてしょうがない。

 

 

 

「そういえば、海未もことりも初めて会った時めっちゃ俺のこと怖がってなかった?」

 

実はあれ、結構ショックだったりしたのだ。

同級生にそんな反応されることなんてまずなかったし。年下にもそこまで怖がられるようなことってなかったから。

 

「それは…ひろくんが有名だったから」

 

「だからそれ、なんなの?俺そんなに目立ってた?」

 

「目立ってたも何も、勉強も運動もできて、その、か、かっこいいから…」

 

語尾にいくにつれて小さくなっていくことりの声。

ちょ、まって、俺がかっこいい?

 

「…はい?」

 

「べつに怖がっていたわけではありません。ただ、緊張していたというか…なんというか」

 

あー、聞くんじゃなかった。

二人が顔を赤くして照れているのを見ていると、こっちまで照れてきてしまう。

 

「そ、そか…なんかごめん」

 

 

くそっ、俺顔赤くなったりしてないよな?

 

「あーっと、新入生はそのまま昇降口まで行ってくれればいいから」

 

「は、はい!わかりました」

 

「じゃあまたね!たいちゃん!」

 

海未は恥ずかしさが限界だったのか、俺の言葉を聞くなりそそくさと行ってしまった。穂乃果もその後を追うように両手をブンブン振りながら走っていってしまった。

 

 

「その、ひろくんがかっこいいって有名だったの、本当だからね…っ」

 

ことりはそんなことを言い残して去っていった。

そのかっこいいは憧れのかっこいいだよな?

うん。そう。絶対にそう。

あぁ、もう、妹にかっこいいって言われて動揺する奴なんかいないだろ。何やってんだ俺。

 

 

 

「もう大翔もちゃんと仕事してちょうだい」

 

「そうやで。ウチらを巻き込んどいてサボるとか怒るよ」

 

そのあとは絵里と希にこってり怒られた。

天国から地獄に落とされた気分だ。

 

「ってててててて!!!?耳引っ張ることないだろ!」

 

「まったく、人の話くらいちゃんと聞きなさい!」

 

ちくしょう!なんで絵里はこうも人の心を勝手に読んでくるんだ!

 

「希も笑ってないで助けてくれよ」

 

「ウチには無理や。ふふっ耳赤くなっとるよ」

 

 

 

俺は何をやっているんだろうか。もうほんと誰か教えてくれ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 





どんどん時間過ぎて行きます。
とにかく、アニメの最初のところまでどんどん進んで行くのでよろしくお願いします!
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