やーっと、アニメの最初につながりました。
8.廃校は突然に
ついに俺も高校三年生。
はやい…って、ほんとに早いな!
入学してからというもの、我ながら思い出らしい思い出もしっかり作れぬままここまできてしまった。
絵里や希とは学校内でしか会うってこともしなかったし、長期休み中は連絡しあうくらいで楽しい思い出なんて作ることはまずなかった。
え?俺だけ仲間外れにされてただけだって?
う、嘘だろ!?あの二人はそんなことしないよな!?
…後で確認しておこう。
コホン。それに、学校行事も普通に楽しんでいただけで、特別インパクトが残るようなこともなかったしな。
ふっつーに、もうびっくりするくらい普通だった。
もう一年の頃の思い出なんて、入学してすぐ絵里と友達になろうと頑張ってたことくらいしか覚えていません。はい。
なんだろう。大切な友達はできたが、こういったことを踏まえると、損をしている気がしなくもない。
もっとたくさん遊べばよかったな。
まぁ、今のこの状況に満足していないわけじゃないけどね。
なんて考えているうちに入学式も終わってしまって、またもや新入生が入ってきた。
俺は生徒会の仕事で入学式の進行をやったんだが、まぁ、なんていうかクラスが一つだけという少しばかりさみしい入学式だった。
まぁ、今の二年は二クラス、俺たちは三クラスと学校全体周りと比べて生徒が少ないんだけど。さすがに高校で一クラスしかないって問題ありだろ。
***
俺の考えていたことはやはり正しかったようだ。
今日はなぜか朝から集会がある。
こんなこと今まではなく、正直意味がわからない。
しかもそのせいで俺は無駄にはやく学校に行く羽目になり、正直めんどくさいという気持ちしかなかった。
あの言葉を聞くまでは、な。
眠くて思わずあくびが出る。
「いっ!?」
隣にいる絵里に足を踏まれた。
怒りを込めて隣を見ると、ものすんごい怒った顔で睨まれた。
生徒会役員として先生に並んで前の方にいるんだから、他の生徒の見本になれ、そういうことを言いたいんだろ?会長さんよ。
すみませんでした。ちゃんと話聞きますよ。
「みなさんに重大なお知らせがあります」
笑顔すら見せない理事長にざわつき始める生徒たち。
不安そうな顔をする先生。
そして、そんな空気の中、理事長の凜とした声が響く。
「音ノ木坂学院は、今年度で生徒の募集を取りやめーーー廃校となります」
開いた口が塞がらないとはこのことだ。もうぱっちりと目が覚めて、眠かったことなんて忘れてしまった。
隣にいた絵里も同じような反応で、驚きを隠せないようだった。
そのあとはただただ呆然としていた気がする。
生徒たちもみんな各教室に戻り、校内での話題は廃校のこと一色となった。
それに、追い打ちをかけるかのように廊下には廃校のお知らせの紙がびっしり。
これは…現実だな。夢ならよかったのに。
だって、自分が卒業したら学校がなくなっちゃうんだよ?いきなり言われても信じられるわけがない。
なんかもう、頭がごちゃごちゃになってきた。
*
教室に帰ってきてからというもの、絵里の表情は二年前、入学式の日のように険しいものとなっていた。
打ち解けてきたはずのクラスの奴らも遠巻きにひそひそ話している。こちらを見ているということは、あらかた絵里のことでも話しているのだろう。
どんどんと深くなるしわに見兼ねて絵里に話しかける。
「ちょ、絵里?ここ」
「…え?」
絵里の眉間をトントンと叩いて眉間にしわが寄っていることを指摘するが、俺の意図が全く伝わっていないようだった。
「気づいてないの?すっっっごいしわ寄ってるけど…」
「あ、あぁ…ごめんなさい。少し考え事をしていて」
少しってレベルじゃねぇよ。
人一倍責任感の強い彼女だからこそ、自分が生徒会長をやっている時に廃校なんて許せるわけがないのだろう。
その気持ちはわかるが、さすがにずっとそんな顔をされていると気まずくてしょうがない。
「紙には入学希望者が定員を下回ったら廃校って書いてあったろ?だから、まだなんとかなるかもしれない」
そう言って頭に手をポンと置くと絵里は微笑んでくれた。
すると、横からまた別の手が俺の手に手を重ねてきた。その手をたどっていくとそこには希の姿が。
「そうやで。ウチらにもまだできることがあるかもしれへんよ」
「希…そうね。ありがとう」
おっと、言い忘れていたが今回は全員同じクラスになったんだ!
まぁ、にことはまた違うクラスなんだけど…
「ねぇ大翔、希、今日のお昼少しだけ行きたいところがあるのだけど…」
普段教室を出たがらない絵里がそんなこと言うなんて珍しいな。
もちろん一緒に来てほしいというならついて行くさ。
*
そして昼休み、俺と希は絵里に連れられ中庭まで来ていた。
中庭で桜でも見ながらお昼ご飯を食べるってわけじゃないんだろうな。だって俺たち弁当なんか持ってないもん。
「ん、あれは…」
ベンチには俺のよく知っている三人組の姿が。絵里はなにも言わずその三人に近づいていく。
絵里ってこの三人と知り合いだったっけ?
「ねぇ、南さん。あなた理事長の娘さんなのよね?今回のこと、何か聞いてない?」
あ、あーそういうことか。理解した。
俺も去年知ったんだけど、ことりは理事長の娘なんだった。
絵里はこの廃校のことを少しでも多く知りたいんだろうな。ってことは、諦めていないってことだよな?
そのことに嬉しく思いつつも、この会話の行方が気になってしょうがない。
三人の反応を絵里の後ろからちらりと見る。
絵里のことを知らなかったのか、キョトンとした顔で海未に聞く穂乃果と、そのことに呆れながらも答える海未。そして、声をかけられたことりは緊張しているのか顔がこわばっていた。
さすがに上級生に、ましてやあんな怖い顔して話しかけられたら誰でもびっくりするよな。
心の中で三人に謝って、とりあえず今は見守ることにした。
「すみません。私も今朝知ったばかりです」
「そう…ありがとう」
なんだか返事まで素っ気ない絵里を見て苦笑する。自分から話しかけに言ったくせに。
フォローを入れるべく俺と希も三人のところまで行く。
「いきなりごめんな?」
「た、たいちゃん!?」
「おい、気づかなかったのかよ!」
そんなに驚かれるとさすがに傷つくわー。
これ泣いちゃうレベルだわー。
絵里はこれが聞きたかっただけなのか校舎内へ戻ろうと歩き出してしまった。そんな絵里の背中に穂乃果は声をかける。
「あの、本当に学校…なくなっちゃうんですか?」
そんな穂乃果の問いに胸がぎゅっと締めつけられた。
まだ、信じられていないんだろう。
その純粋な質問は、今の俺たちにはあまりに重い。
校舎内に戻ろうとしていた絵里は止まりはしたが、振り返ることはなかった。
「あなたたちが気にすることではないわ」
それだけ言うとまた歩き出してしまった。
希はその後を追いかける。俺も急いで追いかけようとしたが急に制服の袖を後ろに引っ張られた。
「たいちゃん。穂乃果…」
悲しそうに俺を見上げる穂乃果は、俺の知っているバカでアホな元気いっぱいの妹のような後輩ではなかった。穂乃果の隣では、ことりと海未も悲しそうな顔をしていた。
まったく、なんて顔してんだよ。
「大丈夫。俺はなんとかなるって信じてるから、お前らもあまり考え込みすぎるなよ?」
こう言う時こそ笑顔が大切、と言うことで三人に笑いかけると三人も笑ってくれた。やっぱお前らは笑ってたほうがいいよ。悲しい顔してても暗くなるだけだし。
「んじゃ、またな」
俺も先に行ってしまった絵里と希を追いかけるべく歩き出した。
俺だって音ノ木坂学院がなくなっちゃうのは嫌だよ。
でも、どうすればいい?どうしたら大好きなこの場所がなくならない?
いくら頑張って考えても、今の俺の頭の中では廃校を阻止するなんて未来が想像できない。
どうやったら人が集まる?
何かインパクトのある、この学校のことを広められるようなものがあれば…
「あー、もう何かないのかよ!」
もちろん誰も答えなんて教えてくれなくて。
ただただ、何度も起こる強い風に、桜の花びらが舞い散るだけだったーーー
こういう時こそ、冷静にならないとな。
おれかの8話にしてやっとアニメの所の話まできました…!
長かった…
これからもよろしくしていただけたら嬉しいです。