「「 わにゃわにゃ!? 」」
とある森の奥深く、少々開けた場所で意味の分からない叫び声を上げる一団がいた。
一頭身の丸いオレンジ色の体に鏡餅みたいな輪郭をした顔を持つ奇妙な生き物。その数三体。
彼らの正体は星のカービィに出てくるザコキャラの一人。ワドルディである。
彼らは元々は人間であったが…
『大して徳を積んでいない輩が好きに転生できるわけがなかろう。
キサマらの来世は ワドルディ だ』
──というような経緯を辿って…
「わにゃわにゃ…?」
「わにゃわにゃ」
「わにゃわにゃ!」
そして今現在、三人で「わにゃわにゃ」と言い争っているのである。
もっとも彼らのその外見故、端から見れば和気あいあいと談笑しているように見えなくもない。
「わにゃ!」
ワドルディの一人がここで言い争っても意味がないと気付いたのか、他の二人にこの場から離れることを促し、ひょこひょことその短い足を前後に動かして移動を始めた。
他の二人はほんの少し躊躇いを見せて顔を合わせるが、やがてここにいても進展しないことに察し、先を行くワドルディの跡を追う。
「わにゃわにゃ」
「わにゃ!」
「わにゃ?」
彼ら特有の言葉で会話をしながら道なき道をひたすら進んで森を抜け、山を越え、平地を歩くこと数時間… 三体のワドルディたちは幾つもの風車が建つ港村へと辿り着いた。
「「 わにゃわにゃ♪ 」」
ようやく発見した人工物に両手を上げて喜ぶワドルディたち。
ここに辿り着いた時にはすでに陽が沈み、辺りは真っ暗闇に包まれていた。
よほど疲れたのか一体が村にある木の幹に体を預けるようにしてスヤスヤと眠りにつくと、二人もそれに倣って寄り添うように体をくっつき合って瞳を閉じた。
人々がざわつく騒音に目覚めるワドルディたち。
自分たちを取り囲む人間たちの姿を見て驚く。
「わにゃ!」
「わにゃ!?」
「わにゃわにゃ?」
彼らは自分たちがワドルディというキャラクターに転生されたこともあって、ここはプププランド──星のカービィという作品が舞台の世界──という先入観を持っていた。
「えーと、言葉が通じるのか分からんが… ワシはここの村の村長をやっておるウープというものだが…」
遠巻きにワドルディたちを囲んでいた人垣の中から村長を名乗る老人が現れる。傍らには付き添いの黒髪の穏和そうな女性もいる。
「わにゃ? わにゃわにゃ!」
両手をパタパタと振って意志疎通を試みるも口から出てくる言葉は例の「わにゃわにゃ」のみ。村長であるウープは思わず片手で額を押さえる。
どこからやって来たのか分からない謎の珍獣。
村の人間が彼らを発見し、村長に報告。急ぎ足で駆けつけてみれば、件の生き物は呑気に寝ていた。
長いこと、この村──フーシャ村で村長をやっているウープだが、このような生き物は見たことがない。…おそらく島の外からやって来たのだろう……というのが彼の考えだった。
ウープが腕を組んで、あれこれ考えを張り巡らしていると誰かがお腹を鳴らす音が響く。音の出所を探るとワドルディの一体が恥ずかしそうにお腹を押さえていた。
「あらら、お腹を空かしているのね。うちでよければ来る?」
「おいっ!? マキノ!?」
「大丈夫よ。こんなに小さな生き物ならそんなに多くは食べないでしょうし」
「そういう問題ではない! こいつらは武器の類いこそ持っておらんが、得体の知れない生き物なんだぞ!?」
「そんなに心配をする必要はないわ。
それにいざというときはルフィに任せればいいわよ」
──とウープの心配を余所に、マキノと呼ばれた女性はニコニコ顔でワドルディたちを手招きして酒場へと案内していく。
ワドルディたちはワドルディたちで「わにゃわにゃ」言い合いながらマキノの跡をついていった。人間の耳では「わにゃわにゃ」としか聞こえない言語で「ルフィ」という人物の名について話し合いながら…
彼らワドルディとルフィが出会う……ほんの少し前の出来事である。
(´・ω・)にゃもし。
思い付き短編よー。わにゃわにゃ。