鷺沢さんがオタク化したのは俺の所為じゃない。   作:バナハロ

34 / 106
ムッツリという枷を外すと性欲は暴れだす。

 〜前回のあらすじ〜

 

 ちあき「昨日M○テ見たべ」

 ふみか「銀魂ごっこです!あなたを逮捕します!」

 ちあき「たまにはボードゲームでもしませんか?」

 ふみか「負けたらいうこと一つ聞いて下さいね?」

 ちあき「将棋してたらいつの間にか女装していた件について」

 ふみか「お手洗いに行きたいので手錠外しますね」

 ちあき「りょ」

 ふみか「鍵見当たらないンゴwww」

 ちあき「因果応報也」

 

 ×××

 

「……ど、どうしましょう……」

 

 文香さんは慌てた様子で涙目で俺を見上げた。本当はすごい仕返ししてやりたい所だが、流石にトイレはマズイ。間違って漏らされた暁には、嫌われてもおかしくない。

 

「その辺に落ちてるかもしれませんし、探しましょう」

「……で、でも、その……我慢が……」

「どのくらい保ちますか?」

「………わかりませんけど、あと5分くらいなら」

 

 それまでに探せば良いのか。

 

「………ちなみに、間に合わなかったらどうします?」

「……どうするって………」

「俺も一緒にトイレに入っ」

「っ⁉︎だ、ダメです!絶対に探して下さい‼︎」

「は、はいっ」

 

 すごい真っ赤な顔で怒られたので、俺は慌てて探しに行こうとしたが、手が拘束されてるので探しに行けない。

 

「あの、文香さ……お姉ちゃんも一緒に……じゃないと探せないです」

「………そ、そうですよね。頑張ります」

 

 いや頑張らなくても良いけど。そんなわけで、二人で鍵を探し始めた。しかし、見つからない。ソファーのとか机の下とか覗き込んでも見当たらなかった。何でないの?つーかこれと同じパターン、何かの漫画で読んだ事あるぞ……。なんだっけかな。

 

「ち、千秋くん!真面目に探してくださいっ!」

「ああ、はいはい」

 

 涙目で怒られて思考停止。だけど、すぐに見つからねえと思うんだけどな……。ていうか、今更だけど特徴聞いておくか。

 

「お姉ちゃん、鍵ってどんなのなんですか?」

「……………」

「お姉ちゃん?」

「………うっ、動き回ったら……我慢の、限界が………!」

 

 なんっ……だと………⁉︎

 

「もうトイレに行きましょう!俺は身体をトイレからはみ出させますから!漏らすよりマシでしょう⁉︎」

「む、無理です!いくら千秋くんの前でも、おしっ……用を足してる音を聞かれるのも恥ずかしいです‼︎」

「落ち着いて下さい!今の俺は千秋くんじゃありません!千秋ちゃん、あなたの妹です‼︎」

 

 奥の手を使うと、文香さんは少し考え込んだ。そして、顎に手を当てて「確かに……」と呟いた。え?これで納得したの?

 すると、文香さんはもじもじしながら呟いた。

 

「………では、そ、その……お手洗いに……」

「は、はい……」

「……ちゃんと、それでも身体はみ出させて下さいね」

「分かってますよ」

 

 そういうわけで、俺は文香さんとトイレに入った。

 これで終わりと思った?まだ問題は続くんですよねーこれが。文香さんの家のトイレは、トイレットペーパー、つまり壁側が左手側にある。左手に手錠を掛けてるから、俺の体をはみ出させるのは不可能だ。

 

「っ⁉︎」

 

 お陰で、一度錯乱しかけた文香さんの思考が戻ってしまった。

 

「…………ふ、文香さん?」

「やっ、やっぱり無理です!妹に見られるなんて無理です!」

 

 デスヨネー。だけど、よく考えろ。妹の前で失禁する方が無理だろ。

 

「俺前向いてるから!なんなら目を閉じてるから‼︎」

「……ほ、ホントに………?」

「ホントです!だから早くしないと………‼︎」

「………嘘ついたら針千本呑ませますからねっ」

 

 可愛いなぁ、現役女子大生がそんなこと言うなんて……。

 そんなわけで、俺は目を閉じて文香さんと一緒に個室トイレに入った。

 

 ×××

 

 文香さんはソファーで俺の膝の上で涙を流していた。あの手錠、鍵なんてなかった。側面のボタンで外れるタイプだった。

 その事実や、俺の目の前でおし○こした事実がかなり恥ずかしかったようで、もう号泣である。

 

「……ひっぐ、えぐっ………!」

「……ふ、文香さん………仕方なかったんですから、そんな泣かないでください…………」

 

 現在、俺は着替えて普通の服装。妹ではなくなった。しかし、一時的にとはいえ、あんな説得に応じようとするなんて、この人詐欺とかに簡単に引っ掛かりそうだな。

 

「…………でっ、でもっ……!わだじのっ、お○っこっ……見られっ…グスッ…鍵なんてながっだのにっ……ひぐっ……」

「…………」

 

 すごい泣かれて、とりあえず俺は文香さんの頭を撫でた。やれやれ、これじゃあどっちが姉なのか兄なのか分からねぇぜ……。まぁ、前々から俺は文香さんを歳上だなんて思ってなかったからな。何なら俺より歳下だと思ってるまである。

 

「文香さん、落ち着いて下さい」

「………千秋ぐん……」

 

 千秋軍ってなんだよ……。アニヲタ軍団みたいじゃねぇか。……いや待てよ?今のクローネってアニヲタ集団と変わらないから、ある意味千秋軍なんじゃ………いやいやいや、絶対あり得ないやめろ俺の所為じゃない。

 って、そんなことどーでも良いから文香さんを落ち着かせないと。

 

「今回は不可抗力だったんですし、気にしない方が良いですよ。俺だって同じ立場であることは十分考えられたんですし。だから泣かないでください、文香さん」

「………千秋くん……」

 

 文香さんはようやく顔を上げた。

 

「そもそも、監獄学園では男におし○こするとこ見られたり、男におし○こ掛けられたりしてる女の子もいるんだから、大丈夫ですよ」

「…………今のは台無しです」

「ご、ごめんなさい……」

 

 でもまぁ、と文香さんは呟いて起き上がった。

 

「………ありがとうございます、千秋くん」

「…………」

「……やっぱり、千秋くん優しいから大好きです」

 

 文香さんは微笑みながらそんな事を言い出した。ちょっ、馬鹿お前っ……何言い出してんのいきなり?てか、文香さんも言っといて照れてんじゃねーか。

 

「………文香さん」

「……な、なんでしょう」

「今の台詞、もっかい言ってくれますか?ビデオ撮るんで」

「っ!絶対に嫌です!」

 

 文香さんはポコポコと俺の肩を叩き始めた。はっはっはっ、文香さん意外と力あるからそれ割と痛いんだよなやめて下さい。

 まぁ、元気出たなら何より。これからどうするかな。文香さんのポコポコ百裂拳を肩で受け止めながら考えてると、隣からグゥッと可愛らしい音が聞こえた。

 横見ると、文香さんが顔を赤くして動きをピタリと止めていた。

 

「………………」

「ッ……ッ……」

 

 ………ダメだ。今笑ったら殺される………‼︎俺は必死で笑いを堪えていると、文香さんはキッと効果音がしそうな勢いで俺を睨んだため、俺は目を逸らした。

 

「………何笑いを堪えてるんですか⁉︎」

「……ぷふっ、いやすみません……!」

「もー!もー!」

「今日、文香さん散々だなーと思いまして………プハッ」

「あー!また笑ったー!」

「今日は俺が作りますよ。少し待ってて下さい」

「………生姜焼きが食べたいです」

「了解」

 

 生姜焼きか……。ガッツリ行くなー文香さん。相当ストレス溜まってんのかな。

 とりあえず、料理を完成させて、食卓に並べた。いただきます、と二人揃って挨拶して、文香さんが先に肉を一枚食べた。

 

「………ほんとに千秋くん、料理が上手ですね。少し、自信をなくしてしまいます」

「そうですか?まぁ普通ですよ」

「………普通ではないです。私には、こんなに美味しく作れませんから」

 

 まぁ、そりゃそうだよ。文香さんの好きな味付けとかを研究して作ったからな。

 

「けど、所詮素人の料理ですから。文香さんだってレシピ覚えれば出来るでしょう」

「………まぁ、そうですけど」

「それに、俺は文香さんの料理の方が好きですから」

「っ、も、もう……!乗せるのが上手いんですからっ」

「そんなつもりはありませんよ」

 

 文香さん可愛いなぁ。これで、今日の晩飯は文香さんの手料理かな。楽しみだ。

 そんな事を話しながら食事を終えて、俺は食器を流しに出した。さて、これからどうするか。まぁ、正直俺も文香さんも一緒にいるだけで幸せを感じる事が出来る安上がりなタイプだからなぁ。何かしなくちゃいけないわけでもないんだが、それでも遊びに来てるなら何かしたい(矛盾)。

 文香さんはと言えば、いつの間にか俺の隣で本を読んでいる。まぁ、本と言っても、新訳とある魔術の禁書目録10巻だけど。

 ………文香さん、本読んでるときは無防備だからなぁ。少しイタズラしてみるか。俺は文香さんの後ろに回り込み、髪の毛を持ち上げてみた。サラサラしてんなぁ……。てか、一切無反応なんだけど。

 

「……………」

 

 ………今なら匂い嗅いでもバレないかな。髪を持ち上げて、匂いを嗅いだ。ああ、相変わらずこの人の性欲を駆り立てるような香り……流石だ。何これ、媚薬なの?

 そんな文香さんにバレたら絶対怒られるようなことを考えながら、俺の行動はどんどんエスカレートしていった。髪をかき分けて、後頭部に鼻を押し当てた。ふぁー!めっちゃ良い匂いっつーか良い香りっつーかでもそれ以前になんで文香さん気付かないの。

 これはもう、このまま首筋を噛んでもバレないのでは?と思った直後だった。

 

「………千秋くん、少しよろしいで」

「へあっ」

 

 文香さんが俺がさっきまでいた隣に振り向いた。頭が回転したことによって、俺は後ろから文香さんの太ももに向かって顔面ダイブした。

 

「きゃっ?……千秋くん?一体何をしてるんですか?」

「あっ……いやっ、そのっ……」

「………………」

 

 ………あ、これはマズイわ。お説教パターンだ。

 と、思った直後だった。文香さんは俺の背もたれに向かってはみ出た下半身を持って、ソファーの上に寝転がるように置いた。

 

「………まったく。膝枕して欲しいならそう言えば良いのに……」

 

 ………また変な勘違いを……。まぁ、その方が俺的にも都合が良いな。

 

「…………す、すみません」

 

 謝っておいた。あー、文香さんの膝枕柔らかいんじゃー。文香さんは俺の頭を撫でながら言った。

 

「………ふふ、甘えん坊な所も可愛いです」

「………そーすか」

「……今、少し照れました?」

「照れてないです」

「………良いんですよ。素直になっても。本当は匂いを嗅いでたって素直に白状しても」

「えっ」

 

 ば、バレテルー⁉︎

 

「………後ろから膝枕なんておかし過ぎます。バレないと思いましたか?」

 

 あっ、やっぱ嗅いでる最中は気付いてなかったんだ。それで良いのか?

 

「………罰として、しばらく膝枕ですからねっ」

「は、はぁ」

 

 それは別に構わないな。むしろご褒美なまである。

 だと、そんなことより、文香さん何か用があったんじゃないの?

 

「文香さん、俺に何か用ありました?」

「………いえ、その……このラノベを読んでて奏さんが仰っていたことをふと思い出したのですが」

「なんで禁書で奏さんの事思い出すの……」

「………奏さんの最近の口癖は『私に常識は通用しない』ですよ?」

「あいつはもうダメだな………」

 

 大体、なんでAngel Beats!からそっちに行ったよ。わけわからん。

 

「……それで、奏さんから、その……ポッキーゲームというのを教わりまして……」

「…………やりたいの?」

 

 聞くと、文香さんは無言で頷いた。ポッキーゲームねぇ……。あの小っ恥ずかしいゲームをやるのか。まぁ、上手くいくとは思わないしやる分には構わないけど。

 

「でも、ポッキーあるんですか?」

「………ト○ポでしたら」

 

 準備万端だな。

 

「良いですよ。やります?」

「………では、準備しますね」

 

 文香さんはト○ポを取りに行った。まぁ、ポッキーゲームくらい合コンでもやってるし、別に平気だろ。

 ト○ポを持ってきて、お互いに両端から咥えた。

 

「………い、いきふぁふよ」

「……ふぁい」

 

 文香さんの合図でサクサクとお互いに端からト○ポを齧っていく。近づいていくに連れて文香さんの顔が赤くなって行くが、俺も多分赤いので人のこと言えない。

 ………ていうか、中々折れねぇな。何これ、割とト○ポって強度がすごいのか?って、このままだと本当にキスを……!そう思った直後からだった。文香さんが突然、俺の後頭部を掴んで、短くなったト○ポを追い越して唇を押し付けてきた。

 

「んぅっ⁉︎」

「っ‼︎」

 

 そのまましばらく固まった。だが、口の中は固まっていなかった。文香さんの舌が俺の唇を突破し、頬の内側をかき回す様に舐め回してきた。

 ちょっ……この人っ、何してんっ……⁉︎思考が追いつかない。自分が何されてるのか分からない。何秒経過したか分からないが、ようやく口と口が離れた。プハッと文香さんは息を吐くと、真っ赤になった顔で言った。

 

「………こっ、これでっ……さっき髪の匂い嗅いでたのは許してあげまふ………」

「……………」

 

 その文香さんの台詞に、俺はポカンとするしかなかった。

 

 




はい、というようになんか話が進まなくなって来ました。修学旅行を考えなしに11月にしちまったばかりに。
とりあえず、次から学校のイベントをサクサクやっていこうと思います。

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。