鷺沢さんがオタク化したのは俺の所為じゃない。   作:バナハロ

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一週間空いてしまい、申し訳ないです。
一週間空いたのにこんな内容で本当に申し訳ないです。


異性の介護は大変。

 食事が終わり、俺と文香さんはアニメを見ることにした。劇場版銀魂である。

 正直、映画のチョイスをミスった。何も考えずに銀魂の映画をつけたわけだが、なんていうか……途中で文香さんの手を握ったり、文香さんの肩に頭を置いたりしたいのに、そういうシーンが無い。だって真面目になったかと思えばいきなりギャグになるんだもん。

 ていうか、珍さんで全部台無しなんだよ。これ、誕生日に見る映画じゃない!って文香さんに怒られそうだなー。

 チラッと隣の文香さんを見ると、何やら難しい顔をして考え事をしていた。そういう顔も可愛いので、しばらく眺めてると、ボソッと文香さんが呟いた。

 

「…………千秋くんの『アレ』もあんな形なのかな………」

 

 ………えっ?今、なんて言った?聞こえちゃったんですけど……えっ?アレって……俺のナニの事?

 ………いやいやいやいや、それはないから。文香さんは純粋な子だし、人の突起物に興味持つとかありえないから。そもそも、『アレ』と言っただけで『ち○こ』とは言ってないし。

 何とか無理矢理頷いて納得しようとすると、隣からまた呟き声が聞こえた。

 

「………千秋くんのアレ……ち、千秋くんの……うぅっ………」

 

 徐々に顔が赤くなって行った。おいこれまさか、本当に考えてたんじゃ………いやいやいや、うちの文香さんがまさかそんな卑猥なものを考えるはずがない!

 

「……ち、千秋くん」

「はいっ?」

 

 こ、声をかけて来た⁉︎まさか、確認するつもりか⁉︎

 

「………さ、その……銀魂はやめましょう……。映画に集中出来なくて………」

「……………」

 

 俺も集中できねぇよ……。誰かさんの所為とは言わないけども。

 

「………そうですね」

 

 仮に珍さんがいなくても銀魂は下ネタ多いし。

 とりあえず同意してBlu-rayを切った。さて、そうなると何を見るか。他に良い感じの映画は………。

 

「消失見ましたもんね」

「………はい。東のエデンと中二病も見ましたし……」

「んー……けいおんは?」

「………見ました」

「ガルパン」

「………それも」

「んー……もううちにあるのはほとんど見ちゃいましたよね」

「………そうですよね」

 

 新しいBlu-ray買わないとなぁ。あ、でもお金ないや。

 

「………また新しいバイト始めるかな」

「………バイト、ですか?」

「はい。短期で」

 

 そろそろ学園祭があって、その振替休日も来るからなぁ、学園祭も丸々サボれば四日間は働ける。

 

「……そういえば、前は私達の写真撮影のアルバイトをしていましたね」

「はい。あのバイトは神でしたね。プロデューサーさんもカメラマンさんも話が合う人だったし」

「……あの時がキッカケで、クローネではアニメが流行りましたからね」

「………すみませんでした」

「……えっ?な、なんで謝るんですか⁉︎」

「………俺の所為ですみませんでした……」

「………な、何を謝ってるのか分かりませんけど落ち着いて下さい」

 

 ………俺の所為でクローネをオタクの集まりにして……いや、高垣さんや島村さんも感染してるし、クローネだけってわけでは……あれ?というか、もう事務所全体に広がってるんじゃ………。

 

「………千秋くん?顔色悪いですよ?」

「……はっ、だ、大丈夫です」

 

 あまり深く考えないことにしよう。それより、アルバイトの話だったな。

 

「ま、また何処かのアイドルの写真撮影について行けば良いですよね」

「ダメです」

「えっ?」

 

 な、なんで?

 

「………アイドルはダメです。私が困ります……」

「…………なんで?」

「………だって、千秋くんがまた他のアイドルと仲良くなったらって思うと…………」

「ああ、そういう……大丈夫ですよ。もうかなりのアイドルと仲良くなってますし」

「………そうやって不安を煽るようなことを言うのはこの口ですか」

「ふぉふぇんはふぁい(ごめんなさい)」

 

 頬を摘まれたので、速攻で素直に謝ると、「まったく」と声を漏らして手を離してくれた。

 

「………すぐに意地悪言うんですから。お姉さん、そんな風に育てた覚えはありませんっ」

「………誰がお姉さんですか。育てられた覚えもないし」

 

 たまに姉面してくるこの風潮はなんなんだろうか。いや可愛いから良いけど。

 

「………とにかく、アルバイトをするなら私にどこで働くかを教えてください」

「え、なんでですか?」

「………アイドル以外にも色々と困るのは多いですから。女優さんとか、ホストクラブとか」

「いや、彼女いるのにホストはないでしょう………」

「………かっ、彼女……えへへ」

 

 嬉しそうに、はにかむなよ可愛いな畜生。

 でもなぁ、実際嫉妬してるのは文香さんだけじゃないんだよなぁ。文香さんがテレビとかに出て、男性ファンがキャーキャーはしゃいでると思うとすごいイライラするし。まぁ、文香さんはバイトじゃないから仕方ないとは思うけどね。

 こんな事、文香さんには言えないが。

 

「それより、どうしましょうか」

「………そうですね。実は私、モンハン持って来たんです」

「………なんの装備欲しいんですか?」

「………バルファルクです」

 

 ………了解。

 

 ×××

 

 夜までゲームやりながらお話して、晩飯の時間。晩飯を食った後、ケーキを出した。手作りケーキをちゃぶ台の上に置いて、飲み物を用意した。ほろ○いと、俺の分はサイダー。

 コップに氷を入れて飲み物を注いで持って来た。

 

「………これ、お酒ですか?」

「はい。せっかくですので」

「………まったく、まだ未成年なのに年齢を誤魔化してお酒を買うなんて………」

「バレなきゃ良いんですよ」

「………そういう問題ではありません。怒りますよ」

 

 うっ……本当に怒ってる。次からは気を付けよう……。

 

「すみません……」

「……はい」

「あ、今ケーキ切りますね」

 

 ケーキを切って皿に乗っけた。作ったのはイチゴと生クリームのオーソドックスなケーキ。すごい美味そうだ(小並感)。

 

「………いただきます」

「はい。俺もいただきます」

 

 ケーキを食べ始めた。文香さんはフォークで切り分けた先端のケーキを切断し、口に運んだ。

 

「んーっ、おいひぃです……」

 

 ほっ……良かった。ケーキ作ったのなんて初めてだったからな……。すごいドキドキしてた。俺もケーキを一口。本当だ、美味い。

 

「良かった……。ケーキ焼いたのなんて初めてだったから………」

「………え、千秋くんが焼いたのですか?」

「え?はい」

「…………女子力に、また差が……」

「そ、そうだ文香さん!プレゼント、プレゼント渡しましょう!」

「………ふえっ?」

 

 なんか悲しそうな顔し始めたので、誤魔化すようにプレゼントを渡すことにした。隅に置いてある段ボール箱を開けて、中の物を渡した。

 

「どうぞ、これ」

「? これは………」

 

 色んな人に相談してようやく買えたストールだ。でも、なんか人にプレゼント渡すのって少し恥ずかしいな……。というか、照れ臭い?

 

「………ストール、ですか……?」

「はい」

「…………わぁっ。ま、巻いてみても良いですかっ?」

「は、はい」

 

 文香さんは嬉しそうに袋を開けてストールを取り出すと、自分に巻き始めた。うん、予想通り似合っている。俺のチョイスは完璧だ。

 

「………ありがとうございます、千秋くんっ!とても、とても嬉しいです………!」

「よ、良かったです」

「………あ、そうだ」

 

 文香さんは何か思い付いたのか、俺と肩がくっ付きそうな距離まで近付いて座ると、ストールを広げて俺の方にも巻いた。

 

「っ?」

「………ふふっ、これでどうですか?」

 

 ま、マフラーを二人で巻くみたいな感じか……。少し照れ臭いけど、でも悪くない。

 

「………暖かいです」

「………肩に頭を置いても良いですか?」

「………どうぞ」

 

 そのまま、しばらく二人でくっ付いた。何か話す事もなく、だからと言って眠る事もなく、ただ黙っていた。

 

「………千秋くん」

「はい」

「…………私、幸せです」

「………俺もです」

「………私のお店に『俺ガイル』を探しに来てくれて、ありがとうございます」

「………こちらこそ、取り寄せてくれて、ありがとうございます」

 

 そう言って、俺はサイダーを口に含んだ。それに釣られてか、文香さんも自分の飲み物を飲んだ。

 ………ほんと、こういう時間が心地良い。何もしない時間が心地良いなんて、年寄りくさいかもしれないが、少なくとも文香さんとのこういう時間は嫌いじゃない。

 そんな事を考えながらホッコリしてる時だった。文香さんは突然、俺をその場で押し倒した。

 

「えっ?」

 

 ドタッと倒れ、文香さんは俺の上に馬乗りになった。気が付けば、俺にも巻かれていたはずのストールは文香さんの手元に回収されていて、綺麗に折り畳まれていく。

 

「………ふ、文香さん?」

「………ちあきくん……」

 

 あ、あれ……顔が赤い……?なんかボーッとしてるし……おい、もしかしてお前これ………。

 

「……ちあきくんは酷いれす……」

「へっ?な、何がっ?」

「………いつになったら私を呼び捨てで呼んでくれるんれすか⁉︎」

「いきなり何の話⁉︎」

 

 ひ、ひえー!酔っ払ってる⁉︎ほ○よい一口で⁉︎嘘だろ⁉︎

 

「誤魔化さないでくだふぁい!」

「いや、誤魔化してな」

「……もうお付き合いを始めて二ヶ月も経つのに……私は敬語でさん付け………奏しゃんとはあんなにタメ口で偉そうに話してる癖に!」

「え、偉そうだった?」

「私ともタメ口で話して下さい‼︎」

「………え、いやでも、歳上の方ですし……」

「関係ありません!」

「はい」

 

 ………か、関係ないのか……。

 

「じゃあ試しに………私に何か言ってみてください」

「へっ?何かって?」

「自分で考えなさい!」

 

 そ、そんな理不尽な………。何かとか言われても………。少し、酔いが覚めそうな事言ってみるか。

 

「………文香、好きだよ」

「……………」

「……………」

「ふんっ」

「痛い⁉︎」

 

 えっ⁉︎なんで今ビンタされたの⁉︎

 

「私も好きですよバカ‼︎」

 

 お、怒られた……っていうか頬痛い………。ていうか、いつまで馬乗りになられてれば良いんだろう………。

 

「………ちあきくん」

「は、はいっ。何でしょう文香さん」

「………ふみかさん?」

「………な、何?文香」

「んーっ………」

「っ⁉︎」

 

 突然、前のめりに倒れて来て口と口をくっ付けられた。そのまま、口内に舌が侵入して来て、舐め回された。

 ヌチャヌチャと音を立てる事数秒、ようやく離れた。つぅーっと口と口から糸が引かれている。

 

「………な、何してんの?」

「…………」

 

 恐る恐る聞いたが、返事はない。すると、文香さんは机の上に目を向けた。しばらく見つめた後、机のケーキに手を突っ込んだ。

 

「えっ、何してんの⁉︎」

 

 せっかく作ったケーキを……。

 少しショックを受けてると、文香さんはケーキ塗れになった手を俺の顔の前に突き出した。

 

「………食べて」

「はっ?」

「………汚れちゃったから、食べて」

「いやっ、意味わかんない」

「私が噛まれフェチなの知ってる癖に意味分かんないわけないでしょう‼︎」

「痛い!一々ビンタしないで!」

 

 気持ち良いから!文香さんからの暴力は何故かすごく気持ち良いから!

 とにかく、噛めば良いんだよな……。なんか猫になった気分だが、今の文香さんには逆らえない。恐る恐る手を咥えて、汚れを取るように生クリームやスポンジを食べた。

 

「………ど、どうでふか?」

「ふんっ」

「ふぁふっ⁉︎」

 

 また叩かれた。

 

「歯を立てないと意味ないでしょ⁉︎」

「ご、ごめんなふぁい!」

 

 なんでだろう……こんな事を他の人にさせられたらキレて両手足縛って海に投げ捨ててると思うけど、文香さんにさせられてると思うと、こう……ある意味で興奮する………。良い気分ではないが、悪い気分でもない。

 まるで文香さんの手ごと食べる勢いで、手に付いたケーキをしゃぶってると、文香さんの口から「んぅっ…」と色っぽい声が漏れる。

 ………エロい。ようやく、手のケーキが無くなった。なんかもうすごいプレイしてんな……。俺、まだ17なんだけど……。

 すると、文香さんはケーキにまた両手を突っ込んだ。また舐めさせられるのか……と、思った直後、両手のケーキを顔や服の下のお腹、腕、脚などに塗りたくった。

 

「ちょっ、おまっ……何してんの⁉︎」

「………さぁ、舐めてください」

「出来るか⁉︎」

「…………むっ、私を食べられないとでも言うんですか?」

「流石に食えるか‼︎ちょっ、頼むから冷静になって‼︎正気に戻って!」

「私は正気です‼︎」

「余計悪いわ‼︎」

 

 ああああ!ど、どうしようどうしよう正直舐め回したいけど、アイドルやってる間の文香さんに手は出さないと決めたのにそんなポリシーを破るような事は……‼︎

 と、思ったら今度は文香さんは俺の顔に手を当てた。ケーキの付いた手を。

 

「…………は?」

「………ちあきくんが舐めてくれないなら……私が舐めちゃいます……」

「は、はわわわわっ………」

 

 俺がお酒を買ったばかりにこんな事に………‼︎

 文香さんの顔が近付いてきて、俺の頬をペロペロと舐め始めた。まだ普通のプレイもしていないのになんて事を……と、少しショックを受けてると、ガクッと文香さんの身体から力が抜けた。

 

「………すぴー」

 

 ………寝やがったか。いや、寝てくれてありがとう。なんかもう色々と滅茶苦茶になっちゃったな……。

 まぁ酒を買って来た俺の自業自得か。とりあえず、文香さんを退かして立ち上がって、自分の顔を洗ってケーキを落とした後、机の上のケーキや飲み物を片付け、床に散ったケーキも片付けた。

 さて、問題はここからだ。文香さんどうしよう。ケーキ塗れになっておいて、風呂に入らないわけにも……いや、少なくとも体を拭かないわけにはいかないよなぁ。

 

「………これは介護だ。手を出すわけじゃない」

 

 そう、介護だ。どうしようもない酔っ払いのお世話をしてあげるだけだ。毛利のおっちゃんだって娘によく介護されてるし、大丈夫だ。

 

「………ふ、文香さん。ちょっと失礼しますよ……」

「………んにゅ……文香さんじゃ、ありません………」

 

 起きてんの?いや、まぁ寝てる人に声って割と届くらしいけど。

 

「……文香、ちょっとごめん」

 

 タオルを持って来て、まずは顔、腕、足を拭いてあげた。で、残りは問題のお腹。

 そもそも、酔っ払い文香さんは服の下のお腹にケーキを塗っていたので、服がもう台無しになっているだろう。今日、初めてのお披露目らしいのに………。

 とにかく、服を脱がすしかないか……。もう一度言うが、これは介護だ。寝てる女を襲うのではない。

 

「すぅー……はぁー………」

 

 深呼吸をしてから、俺は文香さんの服に手をかけた。幸いというかなんというか、割と脱がしやすそうな服だ。これならバレないだろう。

 そう思って胸の辺りまで流した直後、乳首が出て来た。

 

「っ⁉︎」

 

 慌てて服を戻した。なんで⁉︎なんでなの⁉︎なんで下着がないの⁉︎確か肩が出る服でも下着ってちゃんとあるよな⁉︎

 

「…………やっちまった………」

 

 見ちゃった……あれだけ手は出さないと誓ったのに………。

 いや、待て。ポジティブに考えろ。ToLOVEるがあるじゃないか。あいつら少年誌で堂々と乳首を描いてる。つまり、乳首はR-18ではない!まだ、手は出していない!

 ま○こはアウト!乳首はセーフ!

 

「………すぅうぅぅぅ……はぁああああぁぁぁ………」

 

 深呼吸して、再び文香さんの服に手を掛けた。とりあえず、脱がす前にお腹を拭いた。ある程度綺麗かな?と判断すると、ジャージを用意して、上半身を起こさせた。

 文香さんの服を脱がし、さっさとジャージを着させた。文香さんの服は洗濯しても平気なのか分からないので、とりあえずケーキの汚れだけ拭き取ってハンガーに垂らした。

 

「………ふぅ」

 

 ようやく一段落……したとは言えない。文香さん、このまま寝たら虫歯になっちゃうよなぁ………。

 洗面所から文香さんの歯ブラシを持って来て、歯磨き粉をつけた。まさかこんな偽物語のようなことになるなんてな………。

 

「文香、口開けて」

「……んみゅ………」

 

 ………今更だけど、俺の方が年下なんだよなぁ。今回は酒が悪いとはいえ、文香さんこの人大丈夫なのか?二十歳になった事で、これから飲む機会のかも増えるだろうし……。

 ………346事務所って高卒でも入れんのかな。

 

「………って、そんな事より今は歯磨きか」

 

 とりあえず、文香さんの歯磨きを手伝ってあげた。

 

 


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