3月、4月の話はいつかやります。いつか。
翌日は文香とのんびり過ごすことになった。本当は出かけたりしたかったが、今日は夜までお仕事、明日後の朝からお仕事なので疲れが溜まっているのは目に見えて分かっている。
だから、まぁ……何?外ではしゃぐよりいつも通りのんびり仲良くのんのんびよりのキャッチフレーズの如く過ごせたら良いなと思った次第だ。
そういえば、のんのんびよりってアレ原作読んだら萌え系とか日常系じゃなくて完全にギャグ系だよな。読んだ時とか一人で超笑ってたわ。
で、今は文香とベッドの中。寝よう、と言った手前、なんだか寝るのが名残惜しくて眠れない。
一方、隣の文香は普通に寝息を立てていた。まぁ、疲れてるだろうしそりゃそうだろう。
「……」
……構ってほしいな。いや寝かせてあげるのがベストなのは分かってるんだけど……。
そうだ、疲れてるんだし寝かせてあげよう。そう決めたのに、俺の身体は自動的に文香の身体に近付いた。
そういえば、こうして一緒に寝るのも慣れたもんだ。前は眠れなくて朝まで起きてたことだってあったのに。しかも二人揃って。
朝までお楽しみしてたわけじゃないのに朝まで起きてるのも中々無い事だと思う。それに比べて今はもうお楽しみも何回か経験しちゃったしね。
いや、そんな事いいから早く寝ろよ俺。あんまり思い出すとムラムラしてくるから。文香は明日に備えて寝てるというのに……。
……でも、構って欲しい。起きない程度にちょっかい出してみようかな……(意志の弱さ)。
そーっと人差し指を立てて、鼻の穴に入れてみた。当然、鼻くそほじってる奴以外の鼻の穴はそんなに広くないので、奥には入らない。俺も文香の鼻の穴を広げたいわけじゃないし。
なので、入り口のあたりを、こう……小まめに指を動かして掻いてみた。
「っ、ふぇっ……へくちっ!」
結果、くしゃみをした。くしゃみも可愛いとかなんだよこの大学生。身体の成分の80%は可愛さで出来てるのかな?ちなみに残りの20%は美しさ。
うーん……普段、文香の鼻なんて甘噛みする事はあっても触ることないから、もっと触ってたいんだけど……くしゃみするようなら起きちゃうよね。
じゃあ、次は耳かな。耳の中に指を入れてほじほじしてみた。耳は鼻よりもカスが出やすいので、当然わずかながら耳カスが指についた。しかし、なんでだろう。文香の耳カスなら汚く感じないどころか美味しそうに見えて来た。
「……」
……いや、流石に食べないけど。食べたら一線を越える気がする。食べるなら文香の許可を得るわ。
しかし、なんか耳垢見てても、こう……なんだ?なんかアレ、変に昂ぶって来るからやめよう。というか、そもそも顔をいじるのはやめておこう。可愛い寝顔を台無しにするわけにはいかない。
「……」
写メだけ撮って待ち受けにして再び文香で遊び始めた。
うーん……顔以外、か。となると身体かな。もちろん、R-18に触れるようなことはしない。
つまり、オッパイとま☆ことお尻はダメ。しかし、くすぐると起きてしまう。
なら、ここはおへそだろう。
幸いと言うべきか、いや言うべきじゃないんだろうけど、文香は寝相は良いのに何故か服ははだけやすい。
だから、布団の中に潜ればおへそくらい……ほら出てる。いつもお腹出さないで寝なさいって俺に言ってくるのに。
このおへそをー……どうしよう、舐めてみようかな?(深夜のハイテンション)。
そう思って、顔を文香のお腹に近づけた直後、太ももが俺の首を挟んだ。
「っ⁉︎」
「……人の身体に先程からイタズラしてる悪い子の顔はこれですか?」
「っ……!」
ぐほっ……し、締められ……ふ、太もも柔らかい良い匂い!
「……多少のイタズラなら許してあげようと思いましたが……身体に触るのはダメです。構って欲しいにしても限度があります」
しかも考えが読まれてる⁉︎ふ、太もも柔らかい良い香り!
「……お仕置きとして……」
「ひゃわっ⁉︎ っひゃわははははごめんなさい!やめっ、文香ごめっ……!」
「10分間このままです」
10分も俺の足の裏舐めるつもりかこいつ⁉︎俺より高度な変態プレイじゃねぇか!
「ふ、文香ごめっ……!ごめんって文香!」
「いあえす(訳:嫌です)」
「だ、大体10分間も舐めるほうがキツくない⁉︎」
「……いあきふんのあひあら、なんひかんぇもなぇてられあす(訳しさ:千秋くんの足なら、何時間でも舐めてられます)」
こいつ、もしかして俺より変態なんじゃ……!
今更理解した所で遅かった。文香の高度な変態プレイは10分少し過ぎて12分で終わり、途中からいろんな意味で気持ち良く感じて来た俺は、文香の足の間に頭を置いたまま倒れていた。
もう無理……呼吸困難で死ぬ……こんな間抜けな変態プレイで……。
涙目になってる俺に、さらに文香は無慈悲に言った。
「……では、次のお仕置きです」
「……へっ?」
「誰も一つなんて言っていません」
「……」
「さ、こちらに頭を向けてください」
鬼ですか。
言われるがまま、文香の横に寝転んだ。すると、何を思ったのは文香は俺に思いっきり抱きついた。
「なっ……⁉︎一体、何を……!」
「……今更ハグくらいで何を驚いでるんですか?」
そりゃ驚くだろ。お前寝るとこだからブラつけてないからね?いやそうじゃなくてもなんでこの流れで?ってのもあるし……。
「……このまま、抱き枕の刑です」
「ご褒美?」
「……その代わり、一ミリでも動いちゃダメですからね」
「は?」
「……ナニとは言いませんが……った、勃たせるのもダメです」
……それは、かなり厳しいのでは。
冷や汗をかいてる中、文香の口が俺の額に軽く当てられた。それと共に、文香の両足が絡みつくように俺の身体に巻きついた。
「……おやすみなさい、千秋くん」
「〜〜〜っ!」
だ、誰に習ったぁああああ!そのお仕置き、誰に習ったああああ!んなことされたら、体が反応しちまうに決まってんだろうがああああ‼︎
全力でムラムラしながらも身体は動かせない。多分だけど、これで身体を反応させたらもっとすごいお仕置きがくる。それは死んじゃう。チンチン爆発しちゃう。
顔が真っ赤になりながらも、超我慢しながら目を閉じた。
×××
翌朝、目を覚ました。どうやら、眠れたようだ。いや、多分眠れたっつーか気絶したんだと思うけど。
薄目を開けると「あっ」という声が何処かから漏れた。何かと思って身体を起こすと、文香が俺の髪の毛を結っていた。
「……何してんの?」
「……ごめんなさい」
テメェ、昨日と逆じゃねぇか。まぁ、別に良いけどもう。
小さく欠伸をして髪止めを外すと、ベッドから降りた。
「今朝飯作るから待ってて」
「……え、あの……」
「? 何?」
「……た、たまにの休日くらい……一緒に作りません、か……?」
「ああ、良いね」
そんなわけで、一緒に料理をした。朝飯は軽めにパンと味噌汁、それとサラダ。これで十分だろう。
朝食はさっさと食べ終えて、歯磨きも済ませて二人でソファーに座った。
「で、どうする?このあと」
「……そうですね。のんびりゲームでもしませんか?」
「でもあんま白熱し過ぎると文香疲れるでしょ。明日からまた忙しいんだし、なるべくリラックス出来ることを……」
「……千秋くん」
「? な、何?」
「……なるべく、私の疲れを取ることよりも楽しむ事を考えて欲しいです。これから、またしばらく仕事で忙しくなるんですから」
ふむ……まぁ、文香がそう言うならそれでも良いけど……。
楽しむ事、ねぇ……。しかし、それならむしろゲームとかより外に出た方が良い気もするな。
ゲームも十分楽しいけど、休日じゃなきゃ出来ないことしたいし。
「……あ、じゃあこんなのどう?」
「……なんですか?」
「今度、制服デ○ズニー用の文香の制服を買いに行く」
「……やっぱり、無理に出掛けることは避けましょう。私、疲れで動けません」
いや、文香の方から制服デ○ズニー言い出したんだからね?
そんな思考が俺の表情に出ていたのか、文香は気まずそうな顔をして俺から目を逸らした。
「……そ、それより、昨日仰っていたプレゼントとは?」
「文香の制服選びに行くなら渡してあげる」
「……」
すると文香は小さくため息をついて、俺から目を逸らしながらボソリボソリと言った。
「……実は、その……学生服、私の部屋にあるんです。私の、高校生時代の……」
「へっ?」
「だけど……今、着れるか分からない、ですし……もう少し痩せてからーなんて……」
なるほど、文香にも色々事情があるのか。まぁ、女子はその辺色々とデリケートだからな。男から見たら大して変わらないところもかなり拘る。もはやガンプラビルダー並みの拘りだ。
それらを踏まえ、今日何をするかの結論を出した。
「じゃ、その制服着て」
「鬼ですか⁉︎」
「鬼で結構!そう思われても俺は文香の学生服姿が見たい!」
「せ、せめてあと一週間お願いします!」
「今着てくれたら受験勉強本気で頑張ります!」
「っ、わ、分かりましたよぅ……」
よっしゃ!というかまずは進学先決めなきゃ!
文香は頬を赤くしながらトボトボと寝室に向かった。
「着替えの様子も見て良いですか⁉︎」
「……調子に乗らないでください」
怒られちゃった。
文香が着替えてる間、文香のプレ4でフォ○トナイトをやった。
しばらくゲームが進行し、なんか「UENO-station」とかいう奴と残って最終戦にもつれ込み、お互いに建築合戦しながら撃ち合ってると、ようやく文香の着替えが終わったようで扉が少し開く音がした。
「あ、着替え終わった?」
プレイ中でも文香の学生服の方が重要なため、コントローラを置いて後ろを向いた。文香が顔だけ扉から出していた。
「何してんの?早よ見せてよ」
「……あの、それよりゲームは良かったのですか……?残り1対1だったのに……」
「? そりゃ文香の制服のが大事だし」
「ーっ……」
頬を赤らめて俯く文香。なんか小声で「嬉しいのがムカつく……でも、やっぱ見せるの恥ずかしいような……」とか呟いてて隙だらけだったので、前に移動してドアを開けた。
直後、ハッとして頬を赤らめたまま目を見開いてるセーラー服姿の文香が立っていた。
……あ、ダメだ。かわいい尊い鼻血出そう。なんでセーラー服であんな胸が強調されるんだ……?
「っ、も、もう!いきなり開けないで下さいっ……!」
文香が俺の胸をポカポカと叩いて来てようやく正気に戻り、気がつけばスマホのカメラを起動してシャッター音を鳴らしていた。
「っ、なっ、なんで勝手に撮ってるんですか⁉︎」
「永久保存する」
「何を良い顔で言ってるんですか!か、勝手に撮るのやめて下さい!」
やめて、という割に文香は抵抗しなかった。少しカメラから視線を逸らして逃げようとはしていたが、ドアを閉めたりトイレに篭ったりなどはしなかった。
早い話が、恥ずかしいけど可愛いと言われてるような態度をとられて嬉しいんだろう。
なら、こちらは全力でカメラに収めるまでだ!まずは正面、続いて側面、若干上から、後ろ姿も収めるべきだろう。さらにローアングルからも……!
「……ローアングルはダメです」
メッチャ冷たい声でそう言われたのでやめておいた。今のはマジでやめてほしい時の声だった。
「うう……もう着替えで良いですか……?」
「お願いします!俺に勉強を教えてくれる時もその格好でお願いします!」
「ええっ⁉︎そ、それは絶対に嫌です!」
「そしたら絶対に第一志望合格します‼︎」
「え、ええ……?……う〜……」
頬を赤らめたままその場で俯いた。いや、実際あんな姿で勉強教えてもらったらやる気も学力もうなぎ登り滝登りだろう。そんなレベルで可愛かった。
「……うぅ、分かりましたよぅ……」
「ッシャオラ!今の俺ならハー○ードも怖くねぇ!」
「……ハー○ードでもなんでも良いですけど、絶対合格して下さいよ……」
任せておきたまへ!今からやる気出て来やがったぜ……!
「……とりあえず、私着替えますね……」
「え?今日一日その格好じゃないの?」
「……その、実は腰の辺りが割とギリギリでして……。制服デ○ズニー前にびりっと行くんじゃないかと……」
との事で、文香は寝室で着替え始めた。
ちなみにプレゼントしたものは新しいヘアバンドでした。