東方古神録~幻想幼女~   作:しおさば

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作「はい、第一章は今回で終わり!」

霞「なんか最後の方はやっつけじゃなかったか?」

作「この後の事を考えると、これ以上は伸ばせませんでした……」

霞「相変わらず計画性のない奴だ」


12話/いただきますは最低限の礼儀らしい

side 霞

 

『断ち切れ、夜月』

 

俺の神力を纏った夜月は、青く輝き、横一文字に軌跡を描いた。

無論、幽々子の身体には傷一つ無い。俺が断ち切ったのは幽々子と西行妖の繋がり。

繋がりの切られた黒い靄は行き場をなくし、やむなく西行妖へと戻った。そうなってしまえば、もう後はどうとでもなる。この大木を切り倒すなり、創造神様の本領発揮で根っこすら残さず消滅させるなり、手段はいくらでも考えられる。

しかし、西行妖もただ切られるのを待つわけもなく、器用にもその枝をしならせ、触手のようにコチラを攻撃してきた。

その能力を付加された妖力を纏った枝は、触れれば即死へと誘われる。まぁ、俺は死なないんだけど。

それでも痛いのは嫌だし、何よりあの身体を内側から締め付けられるような感覚は二度とゴメンだ。

迫る枝を夜月で切り払いながら、どうするか考えていると、背後から小さいながらも声が聞こえた。

 

「桜は……残して……」

 

それは今にも消え去りそうなほど弱りきった幽々子の声だった。

紫に支えられ、半身を起こした状態で何とか絞り出した願い。俺としては残す必要もないと思うのだが、幽々子にとっては少なからず思い入れのある桜なのだろう。

 

桜の木は、他の木よりも弱いという。枝を折ったくらいでは分からないが、幹の部分に傷でも出来ようものなら、そこから病気にかかってしまう。

つまり俺は桜を傷付けずに西行妖を切らなくてはならなくなった。まったく面倒な事だ。

 

「しょうがないなぁ」

 

これが霊夢だったら無理な話だっただろう。これだけの妖力を溜め込んだ妖怪桜相手に、生半可な封印術では意味をなさないし、傷つけないという選択肢が凡そ思いつかない。なにせ大雑把だから、あの子。

 

さて、ここで問題だ。

俺の夜月は、『森羅万象』なんでも斬る事が出来る。しかし、切ったからと言ってそれが無くなる訳ではない。肉体があるものならば、その肉体の構成を断ち切って分解させることは出来るが、この西行妖のように、『意思』そのものは切っても無くなる訳では無い。寧ろこの場合だと分裂させるという意味になる。

ならばどうするか。

 

 

答えは簡単だ。妖力は妖力を使う者へ。

 

「……はい、ご飯の時間だよ」

「……貴方、喧嘩売ってるの?」

 

ワームホールを開き手を突っ込んで引っ張り出したのは、昼寝をしていたのだろう姫咲。まぁ、ルーミアでも良かったのだが、最初に掴んだのが姫咲だったから、しょうがない。

 

「今からアレ斬るから、妖力食べていいよ」

「あんなもの食べたら胃もたれしそう」

 

姫咲ならば、あれくらいの妖力を喰らったとしても、西行妖に飲まれることなく、逆に飲み込んでしまうだろう。

 

「私をゴミ箱扱いとは、いい度胸ね」

「神様厳選の銘酒」

「あれくらい訳ないわ」

 

なんとも、最近の姫咲は扱いやすくて助かる。後で天照にでも酒を用意してもらうとして、俺は再び夜月に神力を込める。

姫咲も臨戦態勢へと入った。

 

迫り来る枝を切り払い、死角のものは姫咲に任せる。逆に姫咲の対処出来ないものは俺が切り裂く。

即席とはいえ、長い付き合いだからできる二人の連携に、徐々に桜との間合いは詰められていった。

 

そして。

 

「断ち切れ、夜月!」

 

再度、俺は夜月を振るう。

青い軌跡は桜を切ることなく、妖怪の部分だけ断ち切った。

切り口の部分から漏れ出した靄を姫咲は掴み取り、そのまま口へと運ぶ。

こら、せめて「いただきます」くらい言いなさい。

 

靄を丸呑みにした姫咲は、満足そうに舌なめずりをしている。

「意外といけるわね。なんて言うの?珍味って感じかしら」

いや、知らんけど。妖力なんて食ったことないし。

 

 

 

こうして、『春雪異変』と呼ばれる異変は幕を閉じるのだった。

 

この時、俺の知らないところで果てしないほどの大きな異変が動きつつあるのも知らずにいた。

 




作「次回からオリジナル異変」

霞「今回のラスト、すげぇ意味深な事になってるんだけど」

作「いやぁ楽しみですね!」

霞「それはお前だけだろ」


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