東方古神録~幻想幼女~   作:しおさば

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とりあえず、書けるだけ書いちゃうかな……。


2話/八雲一家の冬らしい

side 霞

 

長く続く冬。あきらかに異変と言えるだろう。

我らが博麗の巫女は、ようやくその重い腰を上げ、解決へと乗り出した。

まぁ、霊夢が動くのならば恐らくは解決できるだろう。何時ぞやのような、俺でしか解決出来ない異変とほ思えないし、その気配もしない。

俺は炬燵へと潜り込み、天板に顎を乗せる。

一向に暖かくならない季節は、ここ数日の降雪を促す。

暦の上では既に卯月、四月になっているのだから、そろそろ花見をしながらの酒と洒落こみたい所なのだが。

 

そう言えばこの寒さの中、紫は何をしているのだろうか。

確か、冬の季節は冬眠をしているはずだが、これだけ長い間冬眠なんぞしていたら、幻想郷の管理にも支障を来すのでは?

俺は気になったので紫の家を尋ねることにした。

 

ワームホールを創り出し、抜けるとそこには純和風の屋敷が建っていた。

辺りは木々に囲まれ、容易にはココが何処だか分からない。

門を潜れば広い前庭があり、小さいながらも池なんかもある。紫のくせに立派な家に住んでるもんだ。

どれもが雪で覆われ、白一色になっているが、春になれば美しい花々が咲く、良い景観だろう。

玄関を開き、声をかける。

 

「ゆ〜か〜り〜!遊びましょ〜!!」

 

暫くして出てきたのは割烹着に身を包んだ金髪の美女。背後に髪色と同じ、金色の尻尾を揺らしながら、紫の式八雲藍が出迎えてくれた。

 

「か、神条様?!どうされましたか?」

「おぅ、藍。紫はどうしてる?」

 

客間に案内されると、「少々お待ちください」とだけ告げて、藍は奥へと戻っていった。

転生する前もそうだったが、他人の家に行って一人にされると落ち着かない。勝手に何かいじる訳にもいかないし、だからといって寛ぎ過ぎるのもどうかと思う。

いくら弟子の家だとはいえ、最低限の礼儀は弁えなければ。

俺は炬燵で蜜柑を頬張りながらそんなことを考えていた。うん、甘い。

炬燵に足を突っ込むと、中に柔らかく丸いものが幾つかある。なんだ、この家は猫でも飼っているのか。

そう思い炬燵をめくってみる。

何を隠そう、俺は生粋の猫派だ。一目猫を見れば、周りが引くくらい愛で続けるぞ。

 

「どれどれ、猫はどこかな〜?」

 

「……Zzzz」

 

ゆっくりと炬燵を戻す。ん?なに?

確かに猫は居た。ミケからブチまで。それぞれが丸くなって可愛く眠っていた。それは良い。一瞬だが俺の心も綻んだ。問題はそこじゃない。

 

あの娘誰?!

なんか猫達の中心で丸くなって幼女が眠っていた。あれか?紫が何処かからお持ち帰りしちゃったのか?!

 

「神条様、お茶をお持ちし……どうしました?」

 

タイミング良く藍が入ってくる。俺は驚きを隠せない顔をしているのだろう。俺の顔を見て藍も驚いていた。

 

「な、中に幼女が……」

「え?……あぁ……」

 

何かに気が付き、藍は炬燵の中に手を突っ込む。数匹の猫が驚いていて中から飛び出してきたが、藍の手には先程の幼女がぶら下がっていた。

 

「これは私の式で、橙と申します」

 

まだ眠いのか、目をコシコシと擦りながら大きな欠伸をする幼女。

見れば頭には猫耳が付いているし、尻尾も生えていた。

つまり猫の妖怪か。

 

「ん?藍って紫の式だよな?」

「はい」

「その藍の式?」

「そうです」

 

式の式ってなんだよ。ペットがペット飼うようなもんじゃね?ニュアンスが違うかもしれないけれど。

しっかりと目を覚ました橙は、床に飛び降り、辺りを見回す。状況確認らしい。

 

「おはようございます!藍さま」

「あぁ、おはよう橙。今はお客様がいらっしゃっているからね、そちらにもご挨拶しなさい」

 

そこで俺に気が付いた橙は、向き直り良い笑顔を見せた。

 

「はじめまして、橙は『橙』と言います!!」

「あ、あぁ。神条霞だ、よろしく」

 

なんとも腑に落ちないが、言ってもしょうがないだろうと諦める。

まぁ、藍程の妖力があれば、式を持っていても不思議はないのかもしれない。

 

「それで、紫は?」

「……申し訳ございません。紫様は未だに眠ったままです」

 

予想通りの答えが帰ってきた。アイツの冬眠は、暦でのものではなく、気温によるもの。つまりは動物達と同じだと言うこと。夏になろうとも、寒ければアイツは「冬眠」を貫くだろう。

しかしながら、幻想郷の管理はどうするんだ。現に今、異常気象という異変が起こっているのだが。

 

「それに関しては、私が代行しておりますので」

 

なんとも、弟子が苦労かけるな。

それにしても、寝すぎではないだろうか。いくら寒いからと言って、とっくに春なのだ。そろそろ起きてもらわなければ。

 

「起きてもらうか」

「……お願い致します」

 

藍もほとほと困っていたらしい。管理を任されているとはいえ、紫でなければ処理できない問題も多少はあるだろう。それが積み重なれば、幻想郷にとって宜しくはない。

 

膝に座っていた橙を横に降ろし、俺は立ち上がる。ってか橙は俺に懐きすぎだろう。一応、初対面だぞ。

藍に案内され、紫の寝室へと向かう。幸せそうに眠っている紫を見ると、何故か腹が立ってきた。

多少手荒に扱っても良いだろ。良いよな?

返答の無い問を心内でしながら、俺は左手を紫の頭に添える。

俺は左手で触れた者に夢を見せることが出来る。細かい指定をしなければ、どんな夢になるか俺にも分からないが、今回は違う。

トラウマものの夢をじっくりと見てもらおう。

 

次第に苦痛の表情を見せる紫。

よっぽど恐ろしい夢を見ているのだろう、可哀想に。

言葉とは裏腹に、恐らく俺は悪い顔をしていたのだろう、橙が少し怯えていた。

 

暫くして、紫は勢い良く飛び起きた。冷や汗をかき、目の焦点も定まってはいない。

 

「おう、起きたか紫」

「……へぇ?!し、師匠?!」

 

 

 

 

 

 

「いくら師匠でも、あれは酷いと思います」

「暦見てみろ。こんなになるまで寝ている方が悪い」

 

半纏を着込み、炬燵に潜る紫。その姿からはいつもの妖艶さは微塵も感じられなかった。

 

「うぅぅっ、寒いですよ」

「いや、だから異変なんだろうが」

 

なんか、紫を起こしに来るまでですげぇ疲れた気がする……。

 

 

 

 

「そうだ、丁度いいです。師匠に紹介したい人物がいるんですよ」

「紹介したい?」

 

唐突に思い出した紫は、ポンと手を叩く。

どうでも良いが、半纏が似合わないな。

 

こう見えて、紫は交友関係が広い。少なくとも幻想郷で知らない人物は居ないし、もしかすると現世でも顔が知られているのではないだろうか。

そう思ってしまうほどには、意外なまでに知り合いが多かった。

冬になれば引きこもるのに……。

 

「紹介したいのは、冥界の管理人なんです」

 

冥界、という言葉に少し身構える。

以前起きた異変を解決した際、地獄と冥界には多大なる迷惑をかけてしまった。その事から、僅かばかり苦手意識が芽生えている。

 

「私の長年の友人でして」

「……紫に友達っていたのか……」

「師匠、流石に失礼ですよ」

 

まぁ、異変は霊夢達に任せてあるし、問題は無いだろうから、俺は暇なわけで。

 

「なら、こないだの詫びも兼ねて冥界に行ってみるか」

 

こうして、俺たちは一路冥界へと向かうことになった。

そこであんな事が起きるとは思いもよらずに。

 

 

「師匠、変なフラグを建てないでください」

 




八雲一家、嫌いじゃないぜ!!

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