東方古神録~幻想幼女~   作:しおさば

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はいどーも。しおさばです。

お待たせしました。続きです!!


4話/紫の友達らしい

side 紫

 

彼女と出会ったのはいつの事だっただろう。

アレは確か、師匠の元を離れてすぐの事だったかしら。

 

「アナタはだぁれ?」

 

大きな屋敷に咲く桜を眺めていると、不意に声をかけられた。

振り返れば美しくも儚げな少女が立っていた。

 

「綺麗な桜ね」

 

そう、まるで桜の様だった。

触れてしまえばその花を散らし、眺めているだけで満足してしまう。そんな感想が彼女の第一印象。

 

「アナタは悪い幽霊?」

 

「幽霊じゃないわ。妖怪よ。善悪は別だけど」

 

それから私は、毎年春になればこの屋敷に足を運んだ。そのうち、春以外にも訪れるようにもなったけれど。

 

彼女の名前は西行寺幽々子。

この屋敷に数人の小間使いと共に暮らしているという。

こんなだだっ広い屋敷で寂しくはないのだろうか。

 

「寂しくはないわ、だってアナタがこうやって遊びに来てくれるんだもの」

 

なんて普通ならば恥ずかしいような台詞を平気で発するような。

彼女と話をしていると、コチラが赤面してしまうような時がある。彼女にしてみれば、意識せず普通に思ったことを話しているだけなのだろうけど。

 

意外だったのは、彼女の食欲だった。

初めて食事に誘われた時は、私以外に誰か客でも来るのかと問うた位だ。

机いっぱいに並べられた料理の数々。私と幽々子の二人では到底食べ切れるはずがない。小間使いを含めたとしても、数十人単位で宴会が出来るほどの料理を、用意する必要はない。

そんな心配は、数分後には杞憂に終わった。

次々に口へと運ばれる料理。いったい何処に入るのか。もしかして私と同じような能力でも有るのだろうか。胃袋辺りにスキマでも作られているのだろうか。

そんな感想を持った。

 

「ちょっと足りないわね」

 

食後に放った一言に、私は驚愕を通り越してドン引きした程だ。

 

 

 

それから何年かたった頃。

彼女の周りで異変が起こった。

 

最初は屋敷にいた小間使いの人達。

次いでよく屋敷を訪れていた客。

それらが次々と死を迎えていた。

それは自殺だったり、病死だったり。理由はそれぞれだけれども、原因は分かっていた。

 

『死を誘う程度の能力』

 

元々は『死霊を操る程度の能力』だったものが、時が経つにつれてそのカタチを変化させる。

ただ単相手に死を与えるだけならば何も恐れることはない。自制をすれば済む話だ。

 

問題なのは、それが無意識がで無差別に発動する事。

唯一屋敷で生き残っていた庭師の男に聞いた話では、日に日にその効力は強まっており、それに本人は気が付いていた。

 

能力の持ち主、西行寺幽々子は庭にある桜の大木が満開になったある日、木の下で自らに刃を突き立てた。

 

 

 

私には、声を大きくして言うことではないが、友達と言える存在が少ない。いや、少ないというよりはいないと言っても良いだろう。

師匠ほ元より、美鈴は妹弟子だし、姫咲さんは友人と呼ぶには何か違う。

そんな私が唯一と言って差し支えない友人を亡くすという事が、どれ程の衝撃だったか。

人間の死には慣れているつもりだった。妖怪と人間。狩る側と狩られる側。私ですら、生きていくために人間を殺したことだってある。

それでも、そんな妖怪である私でも、『友人』の死には耐えられなかったらしい。

 

 

 

涙も枯れ果てた頃。

彼女はひょっこりと姿を表した。

何事も無かったかのように、何があったかも分からないように。

 

 

 

「彼女の能力は稀有であり、再び同じ能力が現世に現れるのは何十年、いや何百年後かも分からない。ならば輪廻を外れ冥界の管理を任せるべきだと判断しました」

 

後に閻魔から聞かされた話。要は死体に鞭打つ所業というわけだ。

 

「私個人としては、彼女の苦しみを考え、自刃という悪行に対して酌量したつもりでもあるのですがね」

 

コッチは裁判所を離れ、酒の入った閻魔から聞き出した言葉。

 

どちらにしろ、彼女は記憶を失い再び私の目の前に立っている。

また一から関係を築く必要はあったが、そんな事はどうでも良かった。

亡霊となり、人間の寿命という楔から離れ、初めて妖怪の私と共に生きる事が出来る。それが何よりも嬉しかった。

 

 

 

----

 

「そうして彼女は今も、この幻想郷で冥界の管理を行っているのです」

 

ひと通りこれから紹介する友人の事を師匠に話終える。

本当ならばもっと語りたいことはあるのだが、それよりも直接会ってもらう方が早い。

 

「ふむ」

 

師匠は聞き終えると何か考え、一人納得する。

 

「つまり、お前はコミュ障だと?」

 

「今の話にそんな表現ありました?!」

 

 

 

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side ??

 

結界というのは厄介なものだ。

 

『外』から『内』を守るために存在するそれは、視認するだけでも本来ならばできるものでは無い。

でも、僕は運がいい。

つい先日、『内』で何が起こったのか、一部の結界が緩んでいた。それはほんの些細な綻びとも呼べないほどの揺らぎ程度の緩み。それでも、僕の能力を使いさえすれば、そんな綻びだけで十分だった。

 

そうして、僕は内側へと入り込むことが出来た。

 

外側は探し尽くした。

後は内側だけだ。

 

「ここに居るんだろう?僕の可愛い妹は……」

 

さぁ、始めようか。妹を探すために、何もかもを犠牲にしてでも。

 

例え、それでこの『幻想郷』が無くなったとしても。

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