東方古神録~幻想幼女~   作:しおさば

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さ、今年最後の投稿だぁ!!


5話/冬の人形劇らしい

side 魔理沙

 

「くそっ!ちょこまかと!!」

 

私の信条は一撃必殺。弾幕はパワー。

1発でも当たれば倒せる自信があるけれど、それも当たればの話。

さっきからアリスは動き回って尽く私の弾幕を避けていく。それだけならば普段霊夢と弾幕ごっこをしている時と変わらないんだけど。

アリスの周りをうろちょろしている人形が鬱陶しい。

時には弾幕を避け、時には盾で弾幕を逸らす。人形に集中すればアリスからの攻撃を受けそうになるし、アリスに集中すれば人形への対処がおざなりになる。

 

「いい加減諦めたら?」

「私の辞書には『諦め』って言葉は無いんだぜ!」

「なにその辞書。不良品ね」

 

諦めないにしても、現状打つ手が少ない。

人形ごとアリスを狙う高出力の極大レーザー。

人形とアリスのリンクを途切れさせる。

そのどちらか。

 

レーザーに関しては、アリスも警戒しているのだろう、上手く人形を自分と同一線上には動かさない。

それに、高出力の為に一発勝負。外したら魔力切れで動けなくなりそうだ。

ならアリスと人形のリンクを切る方。

これはさっきから試している。

人形が動くたびにアリスは左右の指を動かしていることから、恐らくそれで操っているんだろう。

それが魔力の糸なのか、若しくは別の、例えば魔力の波長や音とか。

面倒なのがどちらにしろ目に見えないこと。

例えアリスと人形の間に入り込んでも、人形が動き続けるから糸の可能性は低いけれど。

 

「ならこいつだ!」

 

私はポケットから一つの小瓶を取り出す。

コイツは魔法の森で魔力を発する特殊なキノコを探す時に作り出したもの。

辺りに振りまけば一定時間だけ魔力の流れを可視化できる。

 

「名付けて『マジック・ミエール』!!」

「なにその容易に効果が推測できそうなの」

 

小瓶の中身の液体を振りまくと、それは空気に触れて一気に気化する。無色透明だけど、魔力に反応するとそこだけ紫色に光る。

 

「……でも無駄よ」

 

そう言ったアリス。確かに、これには私のやる気も失せかけた。

私の予想は外れて、アリスの指からは紫色に光る糸が伸びていた。左右で5本ずつ、計10本。

 

「なんじゃこりゃ」

 

私は気付いた。余りにも時間を掛けすぎたと。

指から伸びる糸は、上下左右、前後に至るまで辺りを囲うように張り巡らせられていた。

 

「この糸はね、途中からでも先を分裂させることが出来るの。例え糸を切られたとしても、またどれかの糸に触れさえすれば、再び操ることができる」

 

……なんだっけ、こう言うのを。

あの霞みたいなやつの事。

 

あぁ、そうだ……。

 

「そんなん、チートだチート!!」

「……なによちーとって」

 

まったく、嫌になるぜ。これじゃ人形とのリンクを切るのは難しいな。

 

さて、どうしたものか。

正真正銘打つ手はない。と、思うんだが。

 

そんな時、ふと少し前に霞と弾幕ごっこをした時のことを思い出した。

あの時はまだ弾幕ごっこをした事がないって言う霞を、揉んでやろうと意気込んで向かっていったんだっけか。

結果としては、一切スペルカードを使われること無くボッコボコにやられたんだけど。

 

そういやあの時、霞がなんか言ってたな。

 

『なんて言うか、魔理沙は色々と勿体ないよな。そのミニ八卦炉……だっけ?そーいう工夫が出来るのにさ、行動の選択肢が少ないんだよ。1度自分が出来る(・・・)事を思い出してみ?きっと選択肢は増えるから』

 

だったか。

ふむ。なら思い返してみよう。

私に出来ることを。

 

「あら、やっと諦めてくれた?」

「あー、ちょっと黙っててくれ。いま考えてるから」

 

……そうだ。意外と簡単な話だったんだ。

アリスが妖力・霊力ではなく、魔力(・・)を扱っている時点で。

気がつけば呆気ない。少しだが霞に感謝することにしよう。ほんの少しだけど。

 

「さて、作戦は決まったぜ。後はそれを実行するだけ」

 

この手(・・・)の魔法には慣れている。

なにせ毎日のように使っているからな。

私は慣れた感覚で魔法式を組み立てる。いつもと違うのはごく一部。

 

そう、『動くな(・・・)』と命令するだけだ。

 

私は箒に魔力を込めてアリスへと距離を詰める。

当然ながら、アリスは逆に距離を離そうとするが、この幻想郷で私より速い奴なんてそうは居ない。あっという間に距離は縮まった。まぁ、体捌きが上手いアリスには幾ら近づこうとも意味は無いんだけど。

でも、私の狙いはアリス自身じゃない。

 

「その糸だ!!」

 

後ろに距離を離そうとしたから、糸はアリスの前に。つまりは私の方に流れる。そうなれば糸に触れることなんて容易くなる。

そして触れさえすれば終わりだ。

 

「その糸、使わせてもらう!」

 

先程組み上げた魔法式。普段箒を操るのと同じように、魔力をアリスの糸に流し込む。

私の魔力は糸を伝い人形へと届いた。そう、『動くな(・・・)』と書き込まれた魔法式が。

 

私の魔法がうまく発動したらしく、人形は動きを止めた。地面に落ちるでもなく、空中に浮かんだままだが、それも動くなとしか命令してないから。

 

「なっ!?命令の上書き?!」

「どうだ!!これでもう人形ほ操れないぜ」

 

「ふ、ふん。迂闊ね。人形は2体だけとは言ってないわ」

 

そう言ったアリスは再び懐から人形を取り出そうとする。

しかしそこで気がついた。

 

左右の指が動かない(・・・・)事に。

 

「え……」

 

「だから言ったろ。『操れない』って」

 

当然だ。人形に伝わる魔法が、同じ糸で繋がっているアリスの指に伝わらない訳がない。人間に使うのは初めてだったから、指だけしか効果はないみたいだけど。それでもアリスにとっては致命的。

指が使えないのであれば人形は操れない。

 

「勝負ありだな」

「……はぁ。どうやらそのようね」

 

大きな溜息を吐いたアリスは、両腕を空に上げ降参のポーズを取った。

まったく、めんどくさい相手だったぜ。

でもこれでこの異変は解決だな。

 

「……何言ってるのか分からないけど。この異常気象に私は関係ないわよ?」

「は?」

「この子達の服を作るのに材料が足りなかったから、買出しに出てただけよ」

 

 

 

どうやら本当にめんどくさい事をしてただけらしい。




では皆様、良いお年を!!
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