束さんのイタズラ記録   作:葵 束

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この物語に着地点なんて存在しない――なにせ、この世界はサ○エさん時空だからだ。


潜入ミッションは簡単な事だと思ってた

 おはよーございまーす――いっくんは……いたいた、うんうん熟睡してるねぇ。 昔のちーちゃんみたいな寝顔が可愛い可愛い♪

 それにしても天下の束さんが来たっていうのに歓迎一つもないだなんて、これはこれで由々しき事態。 せめて「IS学園にようこそ。 歓迎しよう、盛大にな!」ってレベルで迎え入れてくれないと拗ねちゃうレベル。 専用機が三機立ち向かってきたり、学園が動いて砲撃を仕掛けてきてくれたって束さん驚かないし構わないんだよ?

 あ、これが日本人が持つオモテナシってやつかな? 明らかにスルーされてるのはわかってるけど、まぁ――そういうことにしておこうか。

 こちらラビーット。 大佐、聞こえるか?

 

『束様、盛大にフラグを立てるのはいいのですが目的の達成を……』

 

 えー、もうちょっと見てたっていいじゃん。 なんならクーちゃんも一緒に見る? え、興味ない? いっくん残念だね、こんな可愛い子にフられちゃったよ――それも寝てる間に。

 さてさて、ではお目当ての白式たんを拝見いたしましょうかね。 確か右腕のガントレットだから――布団をペラリとめくって……何も見なかったことにしよう。

 いやいやいやいや、いっくんが既に箒ちゃんとは違う誰かと寝ることができるほどの技量の持ち主だったとは見抜けなかった――束さん、一生の不覚! しかも裸だったね、全裸、裸体、ヌード、生まれたままの姿――これから弾き出される結論は、ナンテコッタイ!! 箒ちゃんの惨敗が確定しちゃったよ!!

 いや、まだだ! まだ終わらんよ! いっくんNTRルートの開発だって出来るんだから、箒ちゃんはまだ負けちゃいない!!

 

『見事なぐらいハッスルしたのだとお見受けします』

 

 クーちゃん――我々はまだ負けてはいないんだよ。 そうだ急いでイタズラの仕掛けをしないと! これが成功すれば、いっくんが在るべき正しき姿に戻るんだ――ハッ、殺気!!

 

「音がしたな? ……何もないか――ん、ダンボール」

 

 この声はちーちゃん!? まさか束さんの妨害に来たのかな――くそぅ、この束さん発見機め。 鬼、悪魔、ちーちゃん!!

 まさか最後の防壁がここまで巨大なものだなんて。 でも諦めない、勝つまでは!!

 

「宛先は書いてないな……暗いとよく見えない。 一夏のヤツ、今日はあまり見ないなと思ったら片付けでもしてたのか? しかし束の気配がしたから見回りに来てみたら……」

『鋭いですねブリュンヒルデ。 それよりも、どうしてダンボールに隠れてるだけなのに気がつかれないんでしょう?』

 

 そうかクーちゃんはダンボールの事を知らないんだ。 ならば教えてあげよう――ダンボール箱とは相手に絶対発見されない万能アイテムなんだよ!

 捨て猫とかと同じ類? なるほど――捨て束さんだよ、誰か拾って。 あ、タイム。 やっぱり拾わなくていいよ、束さんは一人でやってけるから拾わないでお願い。 興味がないゴミ虫に拾われたくないんです、お願い拾わないで、お持ち帰りしないで、息を荒げないで! そのままお風呂に連れて行って汚れを洗い落とすついでに欲情して襲いかからないで――浴場なだけに!!

 

『ブリュンヒルデー、束様はここですよー』

 

 やめるんだよクーちゃん! つまらないことを言ったのは理解してるけど、だからって血も涙もない冷徹な社畜ちーちゃんの前に放り出すような真似はやめて!! なんでも言うこと聞いてあげるからさ!!

 そうだ、今度ミスドがハウスとコラボしてカレードーナッツを本気で作ったらしいから、それで手を打とうじゃないか!! 10個――いや100個買ってあげるから、その手に持ったスイッチを下ろすんだよ!!

 

 

 

▼△▼

 

 ふぅ、危なかった。 色々と混乱してるところにクーちゃんが揺さぶりをかけてくるもんだから、万能アイテムであるはずのダンボールがタダの紙屑になるところだったよ。

 

『ブリュンヒルデの生体反応が遠ざかりました――反応消失。 別階層に移動したようです』

 

 それにしてもコイツはいったい誰だい? いっくんの隣にいても良いのは箒ちゃんだけだって相場は決まってるようなものだよ。 メインヒロインなんだからサブヒロインという踏み台は大人しく自分の小屋に戻って寝るが良いさ!

 で、クーちゃん――コイツ誰? ん、ラウラ・ボーデヴィッヒ? クーちゃんが成れなかった存在? 姉妹? それ本気で言ってるの――え、ガチ? 本気と書いてガチって読むほどにガチなんだね。

 確かによく見るとクーちゃんに似てるね。 今まで夜の暗さで顔が見えなかったけど、うん似てる似てる。

 となるとクーちゃんは私の娘で、その娘の姉妹ということは――つまり私の娘ってことだよね? なるほどなるほど。 いっくんのハートを射止めたのは束さんの子だったか。 それなら仕方がない。

 箒ちゃん、悲しいけどコレ――恋愛という名の戦争なのよね。 けど喜んでいいよ! このイタズラで全てをゼロに戻して、次の世代に未来を託そう。 ポチっとな。

 

『――今日の束様は色々と残念ですね。 そんなにも織斑一夏があの完成品のローレライと寝ている姿を見て動揺したのですか?』

 

 ローレライ? クーちゃん、早すぎる厨二病でも発症しちゃった? それともアレかな――せぶんすふぉにむの意識集合体ってやつ。 え、違う? 

 まぁいいや、帰ろっか。 エスコートを頼むよ、クーちゃん。

 

『了解いたしました。 僭越ながら案内させていただきます』

 

 久々にドキドキしたなぁ~。 たまにはこんなスリルを味わうために、ちーちゃんをからかいに来てもいいかも♪

 

「ほぉ、それは高尚な趣味をお持ちなようだな」

 

 うんうん――ん? クーちゃん、何か言った? え、何も言ってない? ならこの声はどこから……あ。

 やあやあ、ちーちゃんこんばんわ。 久しぶりだねぇ~♪ え、どこから入ってきただって? それはアレだよ天才にはね、こんなこともあろうかとっていうとっておきが一つや二つ備えてあるものだよ?

 いやいや、ちーちゃんをからかうなんて束さんはそんな外道に落ちた覚えはないよ? 本当だって、今もぴゅあっぴゅあなハートで来てるんだから――だからね、その振り上げた手を私にじゃなくて定位置に下ろそうか? 返答を右ストレートで返さないでいいからね?

 うわっと!? もー、目と目が逢う瞬間に逃げてれば良かった! ほら、ちーちゃん――今はまだいっくん達が寝てるから束さんを追いかけると迷惑になるからさ、ここは何事もなかったかのように束さんを見送るんだよ!!




ダンボールは万能アイテム。 隠れるのに使ってもよし、盾に使ってもよし、モノを片付けるに使ってもよし。 そんな私はメタルギアシリーズをプレイしたことがありません――FPSをプレイすると酔っちゃうか弱い体質なので。
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