あなたはそこにいますか?
そう問いかけられても束さんは答えることはできない――だって未だにIS学園内でちーちゃんと鬼ごっこをしてるからね! いや、あのまま見逃してくれるかなって思ったんだけど、まさか私のためだけに追いかけてきてくれるから嬉しくなっちゃうね♪
なにも返答したら存在が消えちゃうわけでもないから答えてもいいんだけど、束さんの霊圧が消えちゃうほどに痛い思いをちーちゃんがダイレクトアタックしてくるから……やっぱり答えたくないかな? そもそもソレの答えってヤられる前にヤレってオチだったはず。
うん、つまり束さんに残された手段はちーちゃんへのダイレクトアタックがというわけだ――“白騎士”持ち出されたら別の意味でホラ胃ズーン。 全ての選択肢は逃げるに置き換わりました、ってね。
「ア・ナ・タ・ハ・ソ・コ・ニ・イ・マ・ス・カ?」
ちーちゃんという名のフェ○トゥムかな――妙に煽られてる気分になるよ……。 生憎と捕まるようなヘマはまだしてないおかげか、私を捕まえる方法に目処がついて無い御様子。
ふふん、天才を簡単に捕まえられると思ったら大間違いだよ♪
でもちーちゃんと一つになるという意味では興味がそそられる誘い文句。 貴方と合体したい――あ、いや……束さんはいたってノーマルだからね。 ただ、そっちもイケルってだけで……。
『今度から私の半径10mには近づかないでくださいね、束様……』
クーちゃん誤解だからね!?
『残念です。 束様が私に優しくしてくれるのは、そういう目的のためだったんですね――というか、そんな趣味があるなんて知りませんでした。 大丈夫です、私は束様の味方ですから……』
そう言いながら汚物を見るような目で束さんを見つめないで!?
ハッ――殺気!!
「……またダンボールか」
くそぅ。 クーちゃんの反応に動揺して気配が漏れちゃったっぽいね――ぐぬぬ、束さん発見機は少しの香りを漂わせると過敏に反応するという迷惑な存在だよ、全く……。
ということで再びダンボールくんの出番だ!
ふふ、ダンボール箱に隠れると誰にも気がつかれない隠密性を手に入れられるのは実証済みなんだよ。 さぁ、ちーちゃん――早くあっちに行くのだ!
「――あんなものに隠れて喜ぶか、変態が!」
ん、なんだか雲行きが怪しくなってきたぞぉ~?
ダンボールの性能は世界一なのだから大丈夫――あ、なんだか強い殺気がする、ということはバレテーラ。 仕方ない、穴の中からスタングレネードのプレゼントだよ!
激しい閃光――ダンボール内に隠れてる束さんには無意味だけど咄嗟のことだったせいで、ちーちゃんには防ぐ手立てはなかったようだね♪ あーばよ、とーっつぁーん♥
▼△▼
フムン、しかしダンボール箱というステルスにどうしてちーちゃんが気が付けたのだろう、謎だ。 あれは完璧なモノだったはず。 え、何を言ってるのか意味がよくわからないだって? クーちゃんも大人になればわかるよ。
しかし、そうなるとちーちゃんから逃げる方法を別に考えないといけないわけだ。
当分いっくんを近くで見ていたいし、束さん発見機をやり過ごすにはどうしたらいいものかな。 撹乱作戦は内部にまだいることを証明してるようなものだから、デコイでも使うべき? あー、でもでもハイパーセンサーの応用で見えるわけだからデコイはダメっぽい。
「もう、ラウラったら――また一夏のところに行ってるね」
ん、周りが騒がしくなってきたということは起床時間になったわけだ。 木を隠すなら森の中、本を隠すなら図書室の中、人を隠すなら人ゴミの中!
よし――方向性は決まったね! となると早速、箒ちゃんの部屋に行かないと! はっ――また殺気!?
上見て。
右見て。
左見て。
下見て。
後ろ――は、壁だったね。
しかし死角となる、この位置取り――そう簡単に見つかるはずがないんだけど……。
『束様――そちらに高速で接近する熱源を確認』
もう来たの――ちーちゃん!!
というか人目を気にしてないとか、本当に社会人になったの!? 社畜みたいに働きず詰めだった根性はどこいったの、お仕事の時間じゃないの!?
仕方ない、アソコの部屋に入ってベランダから一回外に出よう――ずさささっと。 後は気配を殺し息を潜めて……。
「クソ、アイツの気配が消えた! ダンボールは見当たらないな……。 ああ、山田君――学園内に不審者が紛れ込んだ。 いや、そこまで凶悪というわけでも……凶悪なのか? まぁ、そうだな――生徒への被害は出ないだろうが早急に捕まえたほうが私達の胃のためだということだけはハッキリしてる」
いやいや、束さんが凶悪だったらこの世全て存在は聖人君子だからね。 まるで女神のような私を悪魔のように扱って――本当に私って人気ないんだね。
『何を今更……』
「――仕方がない。 最悪、専用機持ちに動いてもらえれば……ダメだな、それでもアイツなら何事もなく隠れられるだろう。 はぁ……。 考えるだけでも胃が痛くなってくるよ」
『わかりますよ、ブリュンヒルデ……』
クーちゃんから裏切りそうな気配が漂ってくる。 ホームに戻ってもアウェイを強いられるって、やっぱり束さんの日常は難易度ルナティックってやつに設定されてるに違いない。
ところでルナティックって難易度に当てはまるの? こういう難易度設定ってイージー、ノーマル、ハード、アンノウンとかでしょ? 場合によってはエースとかエース・オブ・エースとか。 え、束さんは管理局の白い悪魔だからエース・オブ・エースじゃ普通すぎてつまらない? ごめんクーちゃん、ちょっと何言ってるかわからないよ。
さてと箒ちゃんの部屋を探すために久々の出番だよ探知機くん――あれ?
『どうかなさいましたか?』
いや、箒ちゃん探知機が壊れちゃったのか物凄い勢いで反応示してるんだけどさ。 どうしちゃったんだろ? この近くに箒ちゃんがいるのかな……。
ん、シャワーの音が聞こえる? そうだね、確かに束さんの耳にも聞こえるけど――近いね。 あそこからかな――うわっと。 探知機がもの凄い反応を示してる。
ほうほう、なるほどね――つまり今シャワーを浴びてるのは箒ちゃんってことだ♪
イタズラは仕掛けたが発動するとは言ってない。