束さんのイタズラ記録   作:葵 束

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お出掛けお出掛け楽しいな――いや、実はあんまり楽しみでもなんでもないんだけど、三日ほど帰れないからスマホで使えるキーボードとバッテリーの動作テストをかねて一本。


束さんだってゲームをしたいのだよ

 

 さてさて、そろそろ二人とも落ち着いたかな~? だなんて思いつつも束さんは宿職室前でスマホをイジイジ中。

 意外にも、あの後歩き続けてたら“ミニリュウ”が大漁湧きしてたから某駿府公園周辺をグルグル回って“ミニリュウ”を九匹、“ハクリュウ”を一匹――合計105個になったアメで“ハクリュウ”を進化させて“カイリュー”を一匹確保した次第。 実は数時間前にも“カイリュー”が出てきて捕獲しようと頑張ってはみたけど、アイテムの大多数を持ってかれただけで終わって、その三時間後に再戦してなんとか確保したため手持ちに“カイリュー”は二匹。

 聞いただけなら割かし手持ちは恵まれてるように思えるけど、問題はクーちゃんに誘われて始めたゲームだからこそトレーナーレベルが低いという欠点。 最大でも2400を越えることが出来ない“カイリュー”は雑魚と同列なのだよ……。

 二匹とも覚えてる技は対“バンギラス”特化な「はがねのつばさ」なんだけどさ――サブに「げきりん」と「はかいこうせん」という正直なところ微妙な二匹が束さんのサイキョー。

 レイドバトルには完全なお荷物トレーナーだよ。 クーちゃんのサポートしか出来ない束さんを許してね――最悪、改造すればいいんだけど……。

 

「おかえりなさいませ、束様。 なにか捕まえられましたか?」

 

 おうおう、聞いてよクーちゃん。 なんと“カイリュー”を二匹手持ちに加えられたぜぃ♪

 代二世代っていうの? それまでのなかで伝説、準伝説級を除いたらトップスリーにはいるお気に入りポケモンだよ。 ちなみに“エアームド”と“ウインディ”が残りの二匹。

 ん? 伝説だと思い込んでいた“ウインディ”さんとか言ってあげないであげて――かわいそうじゃんか。

 

「なんだ、束もやっていたのか……」

 

 あれ、ちーちゃんも?

 

「山田くんが始めてるのを見て、懐かしくなってな。 よく一夏と一緒にやってたのを思い出したよ」

「“ブリュンヒルデ”は何を最初に選びましたか?」

「御三家か? そうだな――たしか“ゼニガメ”だったはずだ。 ワゴンセールの中にあったブルーのカセットが私に“ゼニガメ”を選ばせたんだ」

 

 ほうほう、ちーちゃんの初ポケモンはブルーだったのかぁ~。 そういえば昔、箒ちゃんといっくんが通信対戦してたときに、二人ともブルーのカセットを指してた記憶があるんだけど――もしかして、あれってちーちゃんの?

 

「なるほど、あれは一夏が持っていってたのか」

 

 なかなかに可愛らしい名前をつけてたね――“ラフレシア”に「お花ちゃん」ってさ。

 おや、久々にクーちゃんが吹き出した。 そうだよねぇ~。 こんな“ブリュンヒルデ”って格好いいちーちゃんが見えないところで可愛いキャラを演じてれば笑うよね~。

 うわぉ!? ちょ、ちょっと――ちーちゃん危ないって!!

 なんだい、昔似たようなこと言ってきたくせに。

 

「束様は最初何を選びましたか?」

 

 あー、そうだね――実をいうと束さんの最初は金銀なんだ~。 たしか“ヒノアラシ”を選んだよ。

 

「そうだったのか?」

 

 そうそう――大体箒ちゃんのカセットせ一緒にプレイしてたから束さんのはじめては金銀だよ。 その後にグリーンをワゴンで夏って、ついでと言わんばかりに“ピカチュウ”版を買ったというだけで、ちーちゃんよりもポケモンデビューは遅かったのさ。

 ちなみに初期カセットのバグも誰かがやってるっていうのは知ってたけど一度もやったことはないんだよね。 ん、あ――いや、たしかタマムシシティのビルでパソコンを起動させることができたから、適当にガチャガチャやってたらバグって、もしかしたらと思って直感でガチャレバしたらエンディングを作れた記憶はあるね。

 ほら、エンディングだぞ――泣けよ。

 

「私は残念なことに、はじめてさわったポケモンがこれです。 いままでゲームとかやった記憶はありませんでしたが、束様に頂いたスマホというやつで丁度話題になっていたので」

 

 そういえばクーちゃんって今までゲームとかして遊んだことなかったよね。 大体、オモチャで遊ぶというよりオモチャを作る方だったし。

 

「実はさりげなくIS学園ジムを制圧しました。 私の“カイリュー”は強いですよ」

「あっ、私の“バンギラス”が戻ってきてる!?」

 

 ああ、クーちゃんも“カイリュー”持ってるんだっけね。

 

「いままで気に入らないジムに殴り込んでは最速で壊滅させて予備のポケモンに任せていましたが――未だに手持ちに戻ってこない寂しさ。 ジムを任せてきたのは私なのに、これはこれで寂しいです」

 

 大丈夫、束さんの手持ちにも戻ってきてくれてないから私も寂しい。

 

「――なぁ、ジムのポケモンの表示を見たことはあるか?」

 

 束さんが有象無象の詳細を見るとでも思ってるのかい?

 クーちゃんと一緒にパワーごり押しプレイだよ!

 

「少し前にな“Shinonono_Tabane”っていうアカウントのジムが幾つか存在しているってスレがたっていたんだが……もしかしなくてもお前だな。 いままで尻尾すら見せなかったお前の手がかりだ――わかるだろ?」

 

 さっぱり?

 クーちゃんは?

 

「――迂闊でした。 束様のスマホをサービス開始直後に使ってID争奪戦を勝ち抜いたのは良いですが、これが手がかりになるとは……」

「よくわかってないだろうお前に教えておいてやる。 このゲームは同一のIDを弾くんだ――つまり明らかに篠ノ之束という人名IDは一つしかなく、お前である可能性が非常に高いというわけだ――お前がやっているというのを知っていればな」

 

 なるほどなるほど――つまり、さっきSNSで「“カイリュー”ゲットだぜい♪」という呟きは自殺行為というわけなのだね。

 

「おい……電波を逆探されるという可能性を考えてないのか?」

 

 まったく――どうせ逃げ切れるでしょ。

 なにせ今は可愛いメイドさんなのだからね――この変装を見破られるものなら見破ってみたまえ~♪

 

「コイツは本気でいってるのか?」

「恐らく……本気かと」

 




大抵実話。 IDは先行プレイしてたアカウントの誰かが“Tabane_Shinonono”を使っていたせいで私は“Shinonono_Tabane”を入手することに。 日本でのID争奪戦に勝っているため正直満足。 というよりも3000ぐらい欲しいのに2400が最大な束さんちの“カイリュー”をどうにかして上げてください。
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