……とある草原、その場所は静かに、優しい風が吹いており、陽射しがとても暖かく、心安らぐ場所にある青年はいた。
「うっうーん……今日も平和でなにより!やっぱり平穏が一番だよね!」
青年は気持ちのいい欠伸をし陽射しに照らされながら草原を歩いていく。
「……今日でこの景色も最後かあ……なんか寂しくなるな」
青年は景色を眺めながら歩いていく。すると木の近くから一人の女性の影がこちらを覗いていた。
「ん?……あっ……」
「……よっよお……」
女性が挨拶をすれば青年も軽く手を上げて挨拶をする。
「どうした?モードレッドこんな時間に……」
青年が問い掛けると女性……モードレッドは少し強い言葉で返事を返す。
「どうしたって、お前!……帰っちまうのか?」
モードレッドは一言、そう言うと直ぐに落ち込むような態度をとり青年を見つめる。
「……聞いちゃった?」
青年はマズッタナーと、自身の後ろ髪を軽く掻けば、わかっている疑問を投げ掛ける。
「……俺をなめんじゃねえよ。あの時お前とアイツが話してるところ聞いちまったんだよ」
モードレッドはふん!と腕を組んでは返答をする。
「あちゃー、師匠誰も居ないって言ってたじゃんか……ハァ〜……」
青年はため息をついて、モードレッドを見ればそうだよと答えて歩き始める。
「まっ俺はこの世界の人間じゃないんだ、大人しく戻ったほうがいいって思うのが普通じゃない?」
「確かに……だがお前がいて嫌と思ったことなんか一度もねえ!」
青年がモードレッドの横を通りすぎれば彼女に肩を掴まれ待てと言わんばかりにひき止めようとする。
「……流石にモードレッドの口からそれを聞くのは驚いてるんだけど、……理由聞いたらだめ?」
「……言う訳ないだろ、殴るぞ?」
「あっ、デスヨネー、ワカッテマシター」
青年は笑顔で振り向けばモードレッドも笑顔で拳を構えており、青年は即座に前を向いて両手を上げて棒読みで答える。
「ああ……なんか殴りたくなった、一発殴らせろポンコツ」
「ヤダー!暴力反対!」
青年の訴えも聞く耳持たず。モードレッドは拳に力を込めると青年をこちらに向かせて青年の腹部を思い切り殴る。
「グホォァ!?」
何とも言えない声を上げて青年は倒れるとその上にモードレッドが馬乗りの状態で青年の上に乗る。
「……あの……モードレッドさん?流石にこの体制はマズイと思いますのよ?」
「あん?別に良いだろう、減るもんじゃねえし」
「主に俺の心が減るんですよ!女の子が男の子の上に乗るとか思春期真っ最中の人にしてみれば大変なこぶぁ!?」
「……女の子扱いするんじゃねえって言っただろ?」
「……あい、女の子扱いしてしまって、スミマセン」
青年の訴えもむなしく女の子扱いされたモードレッドは再度青年の腹部に拳を叩き込む。
「だけどな……」
「……?……」
「お前が残るってんなら……それも許してやるよ」
モードレッドは恥ずかしそうに口を動かすが青年には小さすぎて聞き取れずただ首を傾げるしかなかった
そうして二人は共に歩いていき青年の目的地である泉に到着する。
「随分遅かったじゃないか、さしずめモードレッドとイチャイチャしてたんだろ?このリア充め」
「なあ師匠千里眼で見てたんだろ?何処でそんな要素あった?ん?」
泉に到着すれば白いローブを来た青年が現れクスクスと笑いながら青年と話をする。
「さあ?どうだろう僕は確かに千里眼で見てたけど全て見てる訳じゃないんだ、だから君がモードレッドに馬乗りにされてあんなことやこんなことになってるなんて見えるわけがないじゃないか」
「よおしわかったちょっとどいてろコイツ今すぐ此処で斬る!」
「ちょぉ!?落ち着いてモードレッド!師匠斬ったら俺帰れなくなる!帰れなくなるから!」
「離せ!コイツ殺せない!」
「ハハハ♪モードレッドはホントに扱いやすいなぁ」
白いローブを着た青年は笑いながら二人の行動を眺めてはコホンと咳をする。
「まっそれはそれとして君に渡したいものがあるんだ」
「俺に……ですか?」
白いローブを着た青年は「ああ」と笑顔で答えると泉から一本の剣が現れる。
それを見た青年とモードレッドは驚いており、二人同時に白いローブを着た青年をみる。
「もしかしてその聖剣って!」
「いや、この聖剣は彼女が持っている聖剣じゃないよ、それは君もよく知っているはずだ」
「どういうことだよ!マーリン!それは父上の聖剣とほとんど似てるじゃねえか!」
白いローブを着た青年、マーリンはモードレッドの問いにはぁ、と深いため息をついて、もう一度説明をする。
「モードレッド、これは彼女の聖剣と『似ているだけで』であって同じものではないんだよ、それにこれは……」
「これは?……」
「まだ『名前』はないのだよ」
マーリンの言った一言は再度二人を驚かせる。
「ハハ、そう驚くとサプライズは成功だね」
そういうとマーリンはその聖剣に指を当て、なにかを唱えると指先から聖剣にかけて白い光が注ぎ込まれ、やがて聖剣は形を変えていき小さなネックレスタイプへと変わっていく。
「これは僕からのプレゼントだ。名前は向こうについてからゆっくり考えるといい」
そう言ってマーリンは聖剣だったものを青年に手渡す。それを受け取った青年は首にかけて「ありがとうございます」とお礼を言った。
「とりあえず僕からのプレゼントは終わったけど……君はどうする?」
「!?……俺は……」
「モードレッド?」
マーリンは何か知っているようにモードレッドに問いかけると青年もつられて首をかしげてモードレッドを見る。
「うっ……」
「う?」
「だぁぁぁぁ! 無理だ恥ずかしいからギリギリまで待て!」
「おっ……おう?」
モードレッドの気迫に圧され、若干引き気味に思い、なんで? と聞こうと思ったが、また熱烈な拳が飛んでくると思い自分の胸にしまっておこうと再度マーリンを見る。
「よし、じゃあそろそろ行こうか。もう一度聞くけどほんとにいいかい?」
二人の会話を聞いた後、杖を掲げて長ったらしい詠唱を唱えると丸い円状でできたゲートが湖の上に展開される。
そしてゲートを開けば再度青年のほうに向いて最後の確認をする。
「……はい、3年間短いようでしたがとても楽しかったです、でも俺は向こうで俺のやることがあるので……マーリンさんありがとうございました。……あっでも女性を口説くのはもうやめてくださいね? もう、今までのように仲裁に入ることはできないんですから」
「フフ……それはできない相談だね、むしろ君が帰ったらもっとやるつもりだよ」
「……」
「おおっとそのゴミを見るような目はやめたまえ。そういう君だって3年間ボクのところでいたおかげで多少なりとも感化されてるんじゃないかな?」
「はい? 俺が? あなたに似てるとかありませんから、絶対に」
「そうかい? ボクの目線ではすでに一人君にぞっこんだった可愛い女の子がいたけど?」
「え? まじっすか?」
別れの会話中から何故か恋愛話が始まり、マーリンがチラッとモードレッドを見るがモードレッドは少し頬を赤くしてるが腕を組んでドンと構えている……組んでいる腕が震えていなければ。
「よしじゃあ行きます。……モードレッド」
「……なんだよ」
「ありがとな。この世界に来てからいろいろ助けてくれて……本当に助かった」
「……ッ、やめろよなんかかゆくなっちまう」
お礼を言われてまんざらでもないのか嬉しそうにしており、後ろ髪をおろせば、縛っていたリボンを持って青年に近寄る。
「俺からのプレゼントはな……三つあるけどまずはこれだな……なくしたら承知しねえからな?」
「……」
「なんだよ? 気に入らねえのか?」
「……あっいや髪をおろしたの久しぶりに見た……結構いいじゃんか」
「……ッ! 良いから受け取れ! いらないならそういえ!」
青年の発言で、モードレッドはこれでもかというくらいに顔を赤くしてごまかすために言葉を強くして声を上げる。その際、その会話を聞いていたマーリンはというと「良いぞー^^」とほほえましく眺めていた。
「受け取りますモードレッド様ありがたやーー……?!」
焦って受け取ろうと手を伸ばすとそれを待ってたと言わんばかりとモードレッドはその手を思い切り引き寄せる。
直後青年の唇に何か柔らかいものが当たりすぐさま離れると思考停止しなにが起きたのか考え始める。
「……え?……な……は……え?」
「これは二つ目のプレゼント、そして三つめが……これだ!」
思考停止している青年にニカッと笑うと思いきり右足をあげて青年の腹部を狙って蹴り飛ばす。
「カハッ……!?」
思考を停止させた青年は蹴り飛ばされてた衝撃で現実に戻るとゲートの方向に向かっていると気づきモードレッドの方を見ると、何かを呟いていた。
「……!」
その言葉を理解したときにはゲートに全身に入ってしまい、入った直後ゲートは小さくなっていく。青年は手を伸ばせばグッとサインを見せて笑えばモードレッドも笑い二人同時に声をそろえて……
「「じゃあな!! 相棒!!」」
二人の叫びが終えると小さくなっていたゲートが完全に閉じて湖に静寂が訪れる。