ちょっと真面目な愛徒先生   作:逸般ピーポー

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もうこれ外伝だけでSS書いた方が早いような気もする(やるとは言ってない)


【外伝】冥聖くんと野良猫少女3

土曜日。

 

俺様は海野美鶴を連れて、ショッピングモールに来ていた。

本来ならば俺様はわざわざ人の多くなる休日にこんなところに来たりはしないが、海野美鶴はまだ16歳の女子高生。つまり平日は学校がある。

それゆえに仕方なく、本当に仕方なく面倒なことこのうえ無いが、俺様は人ごみ溢れるショッピングモールに来ていた。

俺様の少し後ろから海野美鶴がついて来ている。

本当に服が無いらしく、俺様が貸したトップスの上に学校用のカッターシャツ、下も制服の紺のプリーツスカートを着ている。

靴も革靴のローファーだ。初めてみた時とほとんどかわらない格好をしている。

 

このままでは兄さんに会った時に何を言われるかわからん。スマホを買い与え、布団も今来客用のものを使っているからそれも買い、シャンプーやらリンスも買ってやることとしよう。

 

俺様のポルシェは当然荷物を運ぶものではないので、基本的には全て郵送だ。

 

というか…。

 

「おい」

 

「………はっ」

 

先ほどからあっちへふらふらこっちをふらふらしていた海野美鶴だが、俺様が気付いた時にはショーウィンドウの中にあるワンピースに引き寄せられたのか、食い入るように魅入っていた。

 

「服なら後で買ってやる」

 

だからさっさとついて来い。

 

「はい…」

 

そう言うと、相変わらずのおぼつかない足取りで、しかし今度はちゃんと俺様の言うことを聞いてついてきた。

言うことを聞かないわけではないんだがな。もしかするとこいつ、天然かもしれん…。

 

 

携帯キャリアに行って、好きなものを選ばせる。とはいえ、どれがいいのかはよくわかっていないようだった。

そこで俺様が使っている最新型のスマートホンを見せたが、海野美鶴は同じものが良いと言い出した。ふん。良かろう。貴様には過ぎた贅沢だが、俺様の甲斐性をあがめたてまつるが良い!

しかしなぜこれにしたのか聞いてみると、一言だけ

 

「…おそろい」

 

と返ってきた。

大事そうに両手で持ちやがって。仕方のない奴だ…。

 

その後布団を買ったあたりでちょうど午前11時を過ぎた。

少し早いが、これ以後は混むことは分かっている。早めの昼食にすることにした。

海野美鶴は、飲食店が近付くとそわそわと周囲を見渡すことが多くなった。人目を気にしているのか?

 

仕方ないので、ネットで見た美味しいが高い、というパスタの店に海野美鶴を連れ込む。

カジュアルな雰囲気で、嫌味がない。…悪くない。俺様は落ち着いたところが好きなのだ。

道中で食べたいものを尋ねたが、特に嫌いな料理などは無いらしいので、今回はこの店にすることにした。

 

 

「カルボナーラ」

 

「…私は、この…ペスカトーレ」

 

「かしこまりました」

 

俺様は評判の良かったカルボナーラ。海野美鶴はペスカトーレにしたようだ。

カルボナーラはチーズや黒胡椒と共に、ベーコンが載って出てくることが多い。この店のチーズは濃厚でありながらくどくない、クリームソースが絶品とのことだったので、少々期待している。

ペスカトーレはイカやエビなど、たっぷりの魚介類を使ったものを指す。トマトソースが使われることが多いので、トマトソースを使ったものをペスカトーレと呼ぶ、と誤解する奴も多いらしい。

俺様はそんなパスタ雑学に興味はないが、知識はあるだけで力になる。

もっとも、いつまで覚えているかは謎だがな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

二人とも黙々と食べ終え、店を出る。

あのカルボナーラ…。恐らくバターを使っているな。なかなかに美味だった。俺様は満足である。ちょっと機嫌が良い。

 

「美味しかった…」

 

隣の海野美鶴も満足したようで、普段からの無表情もほんのわずかに綻んでいる。頬がややゆるゆるなのが見ていて面白い。こいつにも人並みの感情があるようだ。…感情、あったんだな。いや、あったか。

 

「さて、この後は消耗品と服だが…。

貴様、シャンプーとかはどうしている」

 

「せっけん」

 

せっけん…。

いや、確かに俺様のシャンプーを使っていいとは言っていない。いないが、こいつはもう少し自分の物を増やそうとは思わんのか。…いや、それももはやどうでもいい。

問題は、この俺様が面倒を見る女子高生が、自分の身だしなみ一つにさえお金をかけられないと思われることはまっぴら御免だと言うことだ。俺様は富と名声を手に入れる、超!売れっ子マンガ家なのだ!

 

よし。

 

「では、貴様が必要なシャンプーやらリンスやらを好きに買え」

 

「…ん」

 

こくん。

いつもの調子で、しかし普段とは違ってはっきりと海野美鶴は答えた。

相変わらず、いつも通りの無表情、いつも通りの半分くらいしか開いていない目ではあったが。しかし。

 

「では、行くぞ」

 

「…ん」

 

 

その後、消耗品と服をいくつか購入し、俺様達は帰路に着いた。

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