沖田さんにお任せあれー!コフッ!   作:ヘイ!タクシー!

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唐突に閃いた!


序章
沖田総司、推参!


 ランク戦ロビーにて、ブロンドの髪が輝く一人の女の子がいた。

 

「うわっ。スゲー可愛いなあの子。外国人か?」

 

「なあなあ。声かけてみねぇ?」

 

「バカ止めとけ!あの人はーーーーー」

 

 そんな彼女を遠巻きに眺めている男達のヒソヒソ声など気付かず、その女の子はロビーに備え付けられているソファーに座りながら、映像に写し出されている個人ランク戦を観戦していた。

 

「おおー。村上さんと荒船さんがやってるじゃないですかー。相変わらず村上さんは堅実な剣ですね。それに荒船さんが此方にいるのも珍しいです」

 

 外見に似合う透き通った声から、その儚い姿から似合わない明るく陽気な口調が洩れる。

 10人が見れば全員が振り替えるだろう美しさと、何処か幼い容姿の少女。その肌は病的なまでに白く、彼女の儚さを助長させている。

 彼女のその姿は他の隊員が着ているような隊員服、ではあるのだが、周囲とはデザインがあまりにも異なっていた。

 スカート代わりも兼ねた裾の長い純白の胴着に、頭に黒のリボンと首に黒のマフラーを巻いている姿で、腰には他の物より一際長い弧月が脇差しに備えられていた。言葉で表すなら、少女刀士と言うのが正しいだろう。

 

 外見から服装まで何もかもが近寄りがたい神秘的な雰囲気を纏った少女は、周りに違和感のある間に気付かず、ただただ陽気に二人の戦闘を観ていた。

 

 

 

 三門市。

 かつては穏やかな街であったここは、4年前に突如現れた"近界民(ネイバー)"なる怪物が現れ、大災害が引き起こされた。

 その怪物達が現れたのと同時期に現れた、"界境防衛機関(ボーダー)"と呼ばれる組織がそれを排除し、"ネイバー"に対する防衛体制を整えた。その"ボーダー"によって三門市が今も安寧を守られている。そしてこの少女もまたそのボーダーに所属していた。

 

 

 この物語は三門市を舞台とした、かつて新撰組最強と言われた沖田総司の生まれ変わりとまで呼ばれる、一人の女の子のお話である。

 

 ____________________

 

 side沖田

 

 いやぁ、やっぱり村上さんは強いですね。入ってまだ一年程なのにどんどん成長していってますよ。恐いなぁ。

 

 私がそんな風に二人の戦闘を眺めていたら、十本終わったようですね。映像が違う隊員の人に切り替わりました。

 二人の結果は2対8で村上さんが圧勝です。前半は荒船さんもいい勝負していましたが、後半からはやはり村上さんのサイドエフェクトに敵わなかったようです。

 やっぱり怖いですねぇ………たしか、きょーか…睡眠記憶?でしたか。

 寝るだけで体験した事全てを経験に代えられるとか、ズルですよチートですよまったく。

 

「おっ。沖田じゃないか。ここにいるなんて珍しいな」

 

 おっと、いけないいけない。少し考えに没頭しすぎましたね。

 声のした方向を見ると、そこには先程戦闘を終えてブースから出てきた二人が此方に向かって来ていました。

 一人は落ち着いた雰囲気に人の良さそうな顔の村上さんと、鋭い目付きに機嫌悪そうな荒船さんです。

 

「こんにちは村上さん、荒船さん」

 

「はぁ、くそ。なんでよりにもよって今お前がここにいるんだよ」

 

「ちゃんと見てましたよ荒船さん。盛大に負けてましたね!」

 

「うるせ」

 

 荒船さんがこつんと私の額に拳を当ててきました。まあトリオン体な上に、弱めに当てられただけでまったく衝撃も何もありませんでしたが。

 

「相変わらず村上さんはどんどん成長しますねぇ。ズルですよズルぅー」

 

「沖田に言われてもな………お前にはまだまだ勝てる気がしないよ」

 

「つーか鋼の成長は俺のお蔭だからな。そこんとこ忘れんじゃねーよ」

 

 謙遜されてしまいました。まあ、確かに私もまだまだ負けるわけには行きませんけどね!

 それと荒船さん。負けたのにその台詞はどーなんでしょう?まあ確かに教え方は上手いと思いますけどね。

 

「それはそうと沖田。今暇だろ?ランク戦やらないか?」

 

 私が荒船さんの指導の光景を思い出していると、村上さんからそんなお誘いが来ました。

 まあ、確かに待ち合わせをしているので暇っちゃ暇なんですが………少々面倒なんですよね……

 

「ええー。沖田さん的にはあんまりやりたくないんですけど」

 

「まあ、そう言うなよ。和菓子奢ってやるから」

 

「やります」

 

 まあ沖田さんは優しいですからね。頼まれればそりゃぁやりますとも。

 ………べ、別に甘いものに釣られた訳じゃ無いですからね!?そこんとこ理解してくださいよ!?

 

 __________

 

 

「はぁ………流石にまだ勝てないか」

 

「そりゃそーですよ。こんな新米のペーペーに負けたら沖田さん、吐血しますよ?」

 

「俺はそのペーペーに負けたんだが?てか冗談じゃすまねーから。止めろ自虐ネタ」

 

 村上さんに奢って貰う為に、私達三人はボーダーの中にある売店まで向かっています。

 えっ?結果?そりゃあ勝ちましたとも。圧勝ですよ!流石にボーダー入ってまだ一年の人には負けられません。

 

 何を奢ってもらおーかなーと、鼻唄混じりにルンルン気分で歩いていると、横から何か視線が………。

 

「…………どーしたんですか荒船さん」

 

「いや………お前ってホント、第一印象とかけ離れてるよな。無防備と言うか………」

 

「むっ。どーせ私は女子力皆無ですよーだ」

 

 まったく。私の顔をじーっと見てると思ったらそんな事を考えていたとは。

どーせ私はお子さまですよ。お菓子に釣られた単純な子ですよーだ。

 私がプンプン怒っていると、見かねた村上さんがフォローしてきました。

 

「沖田。荒船は別にお前を貶してる訳じゃ無いんだ」

 

「そうだぞ。親しみやすいなって思っただけだ。機嫌悪くしたなら謝るよ。すまん」

 

 ………どうやら私の勘違いだった見たいですね。まったく、しょーがない荒船さんです。まあ、ここで私が機嫌直さないと本当に子供なので………

 

「まったくしょーがないですねー。でも沖田さんは優しいですから。許してあげますよ」

 

 そう言って二人に笑いかけます。

 

 ……が、どーしたんでしょうか?二人が私の顔を見たまま固まってしまいました。えっ?なに?何事ですか?

 ………それに、何だか頬が少し赤みを帯びているし……風邪ですかね?

 

「二人ともどうしたんですか?………あっ、今更奢り無しにしようとか思わないで下さいね?そういうのはNOサンキューです!」

 

「あ…ああ。すまん」

 

「………悪い悪い。ちゃんと奢るさ」

 

 おお。復活しました。

 何だったのでしょう、さっきの?………まあ、どうでもいいですか。

 それより何を奢ってもらいましょうか。やっぱりお饅頭?それとも串団子?………いや、ここはあえて抹茶アイスなんてどうでしょう!?

 

 

 ____________________

 

 

 あの後、私は村上さんに奢って貰ったお饅頭を食べながら、一人戻ってきたランク戦ロビーのソファーでぐーたらしてます。

 ちなみに二人はと言うと、帰りましたよ。私はある人と待ち合わせをしているので、ここにまた戻ってきた訳なんですが。

 

 ………それにしても遅いですねー。呼び出されたの30分以上前ですよ?

 レディを待たせるとは、どーゆうことですかぁ!

 

 そんな風に私が内心で憤慨していると、ロビーの入り口から待ち人さんが入ってきました。

 その人は辺りをキョロキョロと見回してから私を見付けると、ゆっくりとした動きで私に近付いてきました。

 

「よぉ総司。まったか?」

 

「待ったも待った。待ちまくりですよもー!今度何か奢って下さいよ?」

 

「悪い悪い。ところでぼんち揚食う?」

 

「食べます」

 

 はぁ、まったく………私をなんだと思ってるのでしょうかこの人は。私がお菓子で機嫌が良くなると思ったら大違い何ですよ?ボリボリ。

 

 渡されたぼんち揚を食べながら、ずぅっっっっと私を待たせたこの自称エリートさんを見上げます。

 相変わらずのヘンテコなサングラスを首に掛け、イタズラ好きな顔を私に向けてきます。

 

「それで?用件はなんですか?まあ、いつもの暗躍だと思いますけどね、迅さん」

 

 

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