遭遇A級トップチーム
side 沖田
今日も今日とて沖田さんは本部に呼び出しをくらっています。
何なんでしょうね?高校よりも行ってるんじゃないですか!?
………止めましょう。考えてはいけない気がします。
そ、そんなことよりも!
私は今日忍田本部長がよくいる指令室に来ています。なんでも、前々から言われていた極秘任務の日取りがわかったらしいので、急いで来て欲しいとの事です。
私は指令室に入り、恭子さんと会話をしている忍田さんの所に向かいます。
「忍田さーん。沖田 総司、只今参りましたー」
「来たか総司」
「こんにちは総司ちゃん」
「こんにちは響子さん」
挨拶しながら二人の下に着いて、ピシッと敬礼します。お二人は私直属の上司なのであんまり失礼な態度を取れないんですよね。
「早かったな。嵐山隊がまだ来ていないが、早いに越したことはない。沢村君、先に総司に用件を伝えてやってくれ」
「わかりました本部長」
と言うわけで、響子さんからお仕事の内容を聞かされます。
なんでも以前戦ったブラックトリガーさんが玉狛支部の方達に保護されたようで。それによってボーダー内の戦力が塗り替えられてしまうらしいんです。
それを我慢できない城戸派の人達が、それを防ぐためにブラックトリガーを奪おうとしているわけなんですね。
「ここまでは先日伝えた通りよ。そしてその実行部隊だけど………」
「遠征部隊と言うわけですか………まあ、妥当な戦力でしょうね」
遠征部隊。つまりはA級1位から3位までの部隊で構成されたエリートの集団ですね。遠征組はボーダー内でブラックトリガーを相手にできる数少ない部隊。
これが表すところ、城戸さん達も本気と言うわけです。
「それで、その事を沖田さんに伝えると言うことは、やっぱり出勤しろと?」
「そうだ。ちなみにだが、奪取チームの方じゃないからな」
「ありゃ、そうなんですか?…………ってことは玉狛に?」
「そうだ」
あちゃぁー………今度の任務はネイバーさんのお守りですか。三輪さんに絶対なにか言われそうですね。
と言うか、帰ったら絶対に城戸さん達からお小言が来ますって。やだなー………
と言うか、私要らなくないですか?玉狛第一+迅さんと手練れの人達がいる中に、私が今更入っても手持ち無沙汰だと思うんですけど………うん、確認しましょう。
「それ、沖田さんいる必要あります?」
「林藤曰く、動けるメンバーが迅以外いないそうだ。よって、本部から主力のお前と嵐山隊を援護に向かわせることにした」
あー………そうですか、そうですか。わかりましたよ沖田さん。
私の勘が告げています。脳裏に焼き付くあの笑み。暗躍バカのヤツのせいですと!
「忍田さん。作戦が終わったら迅さんを斬る許可を下さい」
「駄目だ」
うぅぅ………速効で拒否されてしまいました。
迅さんめ。絶対こうなることがわかってて、あの笑みを私に向けましたね。良い迷惑ですよホントに。
「はあ………それで?私は今から玉狛に向かえば良いんですね?」
「合流地点は沢村君が追って情報を与えてくれる。頼んだぞ総司」
「まあ、仕事ですからね。命令とあらば例え味方でも斬りますとも………それでは、行ってきますね」
再び敬礼をピシッとやって、私は指令室から出ていきました。
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side
「おぉー総司、来てくれーーーーー」
「成!敗!」
「ぶぇっ!」
総司はボーダー本部から出て、沢村の指示の下に合流地点に辿り着いた。
同時に進行方向にいた暗躍バカに、顎目掛けての正確無慈悲なドロップキックを加えることも忘れてはいなかった。
「俺、まだなにもしてなくない?」
「自分に任せろとか言ってた何処ぞの暗躍好きさんが、私を巻き込んできましたからねぇ?毎回毎回城戸さんと顔を合わす沖田さんの身にもなれってことですよ」
倒れている迅にそっぽを向きながら総司は機嫌悪そうに呟く。
一方の迅だが、トリオン体ゆえに痛覚をある程度切っている筈が、脳を揺さぶる顎への一撃に少しだけフラついていた。
「お、お前なぁ………これから大事な用件があるってのに、まったく………」
「いやいや、ブラックトリガーの迅さんと私、それに嵐山隊の人達もいれば余裕じゃないですかね?」
「そういえば総司にはまだ作戦を伝えてなかったな」
「作戦?」
コテンと首を傾げる総司を見ながら、迅は戦闘の作戦について話始めた。
迅の狙いはまず、遠征部隊との戦闘では相手のトリオン消費狙いで撤退を優先させることだった。本部との摩擦を減らすためにも、これは必要な処置であった。
「これがプランAだ。んでプランBだが、これは『風刃』できっちり太刀川さん達を負かせるプランだ。だから総司には嵐山隊の援護を頼みたいのさ」
「『風刃』ですか……」
『風刃』。それは迅が持つブラックトリガーの名前であり、彼がボーダーのS級隊員といった立場にいる所以だ。
その強さは迅がひた隠しにしていたこともあり、ボーダー内でも謎に包まれている代物。それをこの場で出して来るというのは、迅も本気である何よりの証拠だった。
「ふーん………ちなみに、誰が誰の担当をするかは決めているんですか?」
「ああ、冬島さんの参戦にもよるけど、俺は多分太刀川さんと風間隊を担当する感じになるな」
「………はぁ!?」
総司は迅の言葉を聞いて驚愕することになった。
太刀川と風間隊。彼等は個人総合ランク一位かつA級部隊一位の隊長を務める太刀川と、個人総合ランク四位の風間率いるA級部隊三位の風間隊と言った、ボーダーでも屈指の実力者達である。
総司は当初、自分が太刀川隊を食い止めている間に、嵐山隊が三輪隊の相手をし、ブラックトリガー持ちの迅が風間隊を殲滅するのかと考えていた。
しかし、である。予想とは裏腹に、ボーダー隊員最強のノーマルトリガー使いと三位の部隊を一片に相手すると宣言した迅。そんな事を宣う迅に、流石の彼女も開いた口が塞がらなかった。
「………た、確かに天羽君と戦った時はアホかと思う程に強かったですけど………『風刃』ってそこまで強かったでしたっけ?」
「なんだ総司?もしかしてこの実力派エリートの俺を疑ってんのか?」
「え、だって自称じゃないですか」
さらりと迅に対して冷たい言葉を呟く総司。その顔は冗談と言った顔には見えず、マジで自称だと思われていることに迅は少しだけ傷付いたのだった。
そんな迅の内心など知らず、総司は会話に専念する。
「と言うよりなんでそこまで無理するんです?太刀川さんが参加するだけで大分違いますよ?………いくらブラックトリガーとは言え、負ける可能性だって無くは無いでしょう?」
「…………」
彼女の質問を聞いて、ほんの少しだけ迅の顔が悲しそうな表情となった。
ナチュラルに暴言を吐くとは言え、総司は迅とかなり長い付き合いだ。当然、その表情の変化にも気付く。
「迅さん?」
「いや、なんでもないさ。なんでかと言うとそれは俺が目立ちたいからでーーーーー」
「迅さん」
お茶を濁すような迅の返事に、総司はもう一度強く彼の名前を呼んで黙らせた。
その顔には冗談だけは許さないと言った表情が張り付いており、隠せないと悟った迅が頭を掻きながらため息を吐く。
「………やっぱり、総司には隠せんわな」
「言いたくないなら聞きませんけど、冗談は沖田さん許しませんよ?」
「そうだな。先にお前には言っておいても良いんだが………その前に仕事だ総司」
そう迅が言った直後、二人の前方から闇の中を駆け抜ける一団の影が現れた。
かなりの速度で迫ってくる団体だったが、その姿がハッキリと認識できる距離で彼等は二人に気付く。
「止まれ!」
そのチームの指揮官なのであろう太刀川から停止する指示が飛んだ。
急ブレーキする彼等を見据え、二人は腰に差してあるトリガーに手を掛けながら佇む。
「迅………沖田………!」
「なるほど。そう来るか」
「太刀川さん、久しぶり。皆お揃いでどちらまで?」
「こんばんわー」
彼等が警戒を二人に向ける中、迅と総司は自然体の雰囲気のまま語りかけるのだった。
皆さんは沖田さんと誰かのカップリングに賛成ですか?反対ですか?
次回は火曜日に投稿します