GATE 幻想郷防衛軍彼の地にて斯く戦えり   作:にょろ35106

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注・捏造設定と残酷な表現が存在します。

7/13 誤字報告ありがとうございました。


吸血鬼の夜

アルヌスの丘、紅魔館。

 

「咲夜の紅茶はいつも美味しいわね」

 

「感謝の極み」

 

「ねぇ、気付いてる?」

 

「はい。恐らくはもう一つの門の・・・自衛隊という組織の偵察隊ですね?」

 

「ええ」

 

ふふふ、とレミリアは笑う。

 

「排除しますか?」

 

「敵意は感じないからそのままでいいわ。事が起これば私達の力を目撃する証人になるのだから」

 

「流石でございます、お嬢様」

 

「咲夜、今何時かしら?」

 

「ちょうど11時になった所でございます」

 

「あら、朝・・・いえ、昼更かしし過ぎたわね。飲み終わったら寝るとするわ」

 

コクッと紅茶を一口飲む。

 

「寝室の準備は出来ております」

 

「そうそう、私が起きる前にもしフランが起きてきたら勝手に動かない様に伝えてちょうだい。姉妹同時に・・・のシチュエーションを予定しているのよ」

 

「畏まりました。妹様もお嬢様との共闘を楽しみにする事でしょう」

 

「河童の防衛装置でありえないとは思うけど・・・あの野蛮人達が昼間に攻め込んできたら咲夜が適当に相手をしてやりなさい。それともし自衛隊が接触してきたら、丁重にお出迎えして差し上げて」

 

「畏まりました」

 

恭しく礼をする咲夜。

 

 

「動きませんね・・・」

 

窓を拭きながら咲夜は紅魔館から数百メートル程離れた場所に隠れている迷彩色の物体と服を着た集団を眺めながら呟いた。

 

動かないならば動かないに越したことはない。

 

もし来訪して来たのなら複製とは言え主人の魔力によって創り上げられたこの紅魔館の手入れに割ける時間が減ってしまうから。

 

 

 

「夜襲ならば、あるいは・・・」

 

その日、リィグゥ公が自衛隊への夜襲を計画した。

 

 

 

暗闇に紛れて進軍する帝国兵。

 

諸王国連合軍に自衛隊の相手をさせながらも部隊を温存し潜んでいた帝国軍がリィグゥ公と時を同じくして紅魔館へ夜襲を行なった。

 

 

「!?」

 

諸王国連合軍側の上空が明るくなり帝国兵達が動揺した。

 

ドン・・・!ドン・・・!ドン・・・!

 

パパパパパパパパッ・・・!パパパパパパパパッ・・・!

 

ヒュルルルルルル・・・ズガーーンッ・・・!ズガーーンッ・・・!

 

パパパパパパパパッ・・・!パパパパパパパパッ・・・!

 

離れた場所から聞こえる未知の音と上空から地上を照らす光に帝国兵達は身構える。

 

くぐもった爆発音と同時に丘の向こう側が赤く燃えるような色を放つ。

 

次第に音は散発していき、やがて静けさを取り戻す。

 

上空の明かりは2度、3度と増えたがそれも消えつつある。

 

ほっ・・・っと、帝国軍兵士達が安堵した時だった。

 

「まったく、無粋ね。威力はあるけど優雅でも美しくもないわ」

 

突然の声に声のした方向に一斉に視線が向けられる。

 

 

 

「まったく、無粋ね。威力はあるけど優雅でも美しくもないわ」

 

用意されたテーブルと二つの椅子。

 

二つのティーカップには湯気の立つ紅茶が注がれ砂糖の入った小瓶も置かれている。

 

テーブルの上のランタンの光がゆらゆらと辺りを照らす。

 

その椅子の一つに紅魔館主人、レミリア・スカーレットが腰掛け紅茶の香りを楽しんでいた。

 

「そうかなぁ?凄い音で楽しそうだけど」

 

サンドイッチに齧り付きもぐもぐと食べるもう一つの椅子に座るレミリアの妹のフラン。

 

「妹様、お口に汚れが・・・」

 

さっとナプキンを用意し主人の妹の口を拭う咲夜。

 

「咲夜、ありがとう!」

 

笑顔で咲夜に礼を言うフラン。

 

「ねぇ、あなた達も優雅で美しくないと思うでしょ?」

 

視線を数十メートル離れた場所にいる帝国兵達に向けながらレミリアは言った。

 

 

 

自衛隊偵察部隊。

 

館へと進軍する自衛隊側へ向かう部隊とは異なる部隊を暗視スコープで監視していた。

 

「な、なんだ!?」

 

部隊の少し離れた場所に突然テーブルと3人の人物が現れたからだ。

 

転移魔法・・・?それとも、時間を止めた・・・?

 

この世界には魔法が存在する事を知識のみだが知っていた彼等は戸惑いを最小限に抑え暗視カメラと指向性のある集音マイクを向け注視しながら集音マイクが拾う音を聴き逃すまいとする。

 

『咲夜、ありがとう!』

 

『ねぇ、あなた達も優雅で美しくないと思うでしょ?』

 

集音マイクの拾った音声に偵察隊が戸惑いの表情を浮かべる。

 

第二ゲート側と思われる勢力の言語を初めて耳にした。

 

まだ日本で解析途中の特地語ではない、日本語だ。

 

 

 

帝国兵は何かを叫ぶ。

 

「あら?何を言ってるのかしら?」

 

「どうやら、私達が何者かと言っているのではないでしょうか?」

 

「言葉がわからないと言うのはやっぱり不便ね。では、早々に退場して頂きましょうか」

 

椅子から立ち上がるレミリア。

 

フランも立ち上がる。

 

「弾幕ごっこのルールなんて存在しない、本当の私達の力を見せてあげるわ。咲夜」

 

「はい、お嬢様」

 

咲夜はレミリアの意図を理解し顎を上げ星空を見上げる。

 

風向きが悪いのか自衛隊の行なった攻撃による煙が少し流れて星空を淀ませていた。

 

顎を上げ上を向く・・・それは咲夜の喉が無防備に曝け出される事になる。

 

 

ガブッ・・・。

 

ガブッ・・・。

 

左右の首筋に甘美な痛みを感じる。

 

二つの暖かい存在が咲夜の首筋にそれぞれ二本ずつの牙を突き立て、皮膚を突き破り血管に到達する。

 

「ああ・・・お嬢様・・・妹様・・・」

 

ちゅう・・・ちゅう・・・こくっ・・・こくっ・・・。

 

二人の吸血鬼が左右から同時に血を吸う。

 

痛みはない。

 

いや、その逆だ。

 

咲夜の目は潤み、恍惚として表情を浮かべていた。

 

血を吸われる快感。

 

自らの血が主人姉妹に吸われ、同時に力も流れ出す心地よい脱力感。

 

だがそれでも咲夜は微動だにしない。

 

やがて二人の牙が同時に抜かれ、離れていく。

 

暖かい感触がなくなり、レミリアとフランの唾液に濡れた咲夜の首筋の皮膚が脳に寒さを伝えるが微動だにせず主人姉妹の姿を再び視界に捉える。

 

 

「やっぱり、戦いの前には咲夜の血を吸わないとね」

 

「うん!有象無象なんかとは比較できないほど美味しいしね!」

 

ニィッと、レミリアとフランが帝国兵達を見ながら笑う。

 

 

 

帝国軍兵士は見た。

 

ニィッと笑った幼い二人の口から覗く血に濡れた牙を。

 

いや、最初からおかしかったのだ。

 

あの従者共々と突然のように現れた。

 

何より・・・二人の背中には翼が生えていた。

 

「ばっ、化け物!!ええい!かかれ!」

 

 

兵士達が動き出した。

 

とんっ・・・。

 

レミリアは軽く地面を蹴り、ジャンプした。

 

そう、軽く20メートルほどジャンプしただけだ。

 

右手を空に突き上げ、何かを掴むような仕草をする。

 

「神槍!スピア・ザ!」

 

レミリアの魔力が右手にそれを構築した。

 

「グングニールッ!!」

 

地上の帝国軍兵士達に向かって投擲。

 

弾幕ごっこでは複数回に分けて投擲している。

 

だが、この戦いには弾幕ごっこのくびきの存在しない。

 

投擲されたそれは無数に分裂し、運の悪かった何人かの帝国兵の体を串刺しにし地面に突き刺さる。

 

「ふふふっ・・・それでは、遅くなってしまったけどこんばんわ、そして、さようなら」

 

パチンッと、レミリアは指を鳴らす。

 

それを合図にかの如く、全ての魔力槍が炸裂した。

 

周囲に破壊を振りまく。

 

 

 

「ひいぃぃぃぃぃっ!!」

 

「に、逃げろ!」

 

「こんな化け物と戦えるかよ!!」

 

運良く?スピア・ザ・グングニールから逃れた一部の帝国兵達が戦意喪失し脱兎の如く逃げ出す。

 

だが、スピア・ザ・グングニールで死んでいた方がマシだったのかもしれない。

 

 

「「「「ねぇねぇ、どこいくのー?」」」」

 

前後左右から同時に聞こえる同じ声。

 

同じ容姿、同じ声の4人の少女に囲まれている。

 

「「「「お姉さまだけじゃなくって、フランとも遊んでよ~」」」」

 

4人の同じ容姿の少女達が手を突き出す。

 

こいつも化け物だ・・・。

 

言葉は分からなくても本能が理解し兵士達の心を恐怖が支配する。

 

「「「「きゅっとして」」」」

 

「がっ!」

 

「あがっ!?」

 

「ひっ!?」

 

兵士達が悲鳴をあげる。

 

突然の事に悲鳴をあげられない者も何人かいた。

 

バラバラに逃げようとしていた兵士達がフランが手を握ると同時に一ヶ所へ勢いよく吸い寄せられたからだ。

 

ぎゅううっ・・・・。

 

ギシギシギシ・・・・。

 

ミシ・・・ミシ・・・。

 

「いでぇっ!!いでぇよっ!!」

 

「やめてよしてやめて・・・」

 

「折れ、折れる・・・!!」

 

「うげ・・・が・・・ごぉっ・・・・」

 

「「「「うーん、何言ってるか分からないからいっか。どかーーーーーんっ!」」」」

 

圧縮されていた兵士達の塊が爆発し、血と肉と内臓を撒き散らす。

 

その様子を見ていたレミリアは息も絶え絶えだがまだ生きている兵士や二人の攻撃から逃れた兵士達に向け数百匹いや、千匹には届くかもしれない吸血蝙蝠の群れを何処からともなく呼び出し後始末をさせる。

 

たちまちに吸血蝙蝠に集られ干涸びたミイラが何体か出来上がった。

 

 

「咲夜、終わった事だし帰りましょう」

 

「はい、お嬢様」

 

主人に返答をした咲夜の首筋の四本の牙の傷跡は既に塞がってた・・・。

 

「咲夜、ご飯なに?」

 

フランが目をキラキラさせながら聞く。

 

「本日は妹様のご期待に応え、すき焼きの用意をしております」

 

「やった!咲夜大好き!」

 

「すき焼き・・・ああ、この間守矢の巫女が話していた食べ物ね。咲夜、確か倉庫にこたつがあったわよね?」

 

「はい」

 

「じゃあ、こたつを出してすき焼きにしましょう。伊丹も呼んで、咲夜も一緒に四人で食べましょうか」

 

「畏まりました。具材を多めに準備いたします」

 

そう話しながら惨劇の現場を後にする。

 

 

 

 

「隊長・・・これどうやって報告すればいいんですか・・・?」

 

「お、俺が聞きたいぐらいだ・・・・ありのままを報告するしかないだろう・・・」

 

自衛隊の偵察部隊は改めて自分たちが大変な任務に就いていることを自覚し溜息を吐く。

 

偵察隊員達の胃薬処方量がまた増える合図でもあった。

 

偵察隊員達の頭の中を色々なことが駆け巡る。

 

第二ゲート側勢力は日本語を話す。

 

魔法のような力も使い、威力は途方も無い。

 

すき焼きってあのすき焼きか?

 

こたつもあるのか?

 

伊丹って誰だ?日本人の名字か・・・それとも実はイトゥアミって名前か?

 

分からないことだらけなのでそのうち偵察隊員達は考えるのをやめて報告書作成に取り掛かった。

 

 




当家のお嬢様はブレイクしない天元突破するカリスマMAX・・・カリスマックスです。

咲夜さんの傷の治りが早い?

当家の咲夜さんはスカーレット家に仕えて100年以上経っています。

レミリアに気に入られて吸血鬼化しない程度に血を分け与えられ身体能力向上と不老長寿になっています。

ええ、めっちゃ捏造設定ですとも。
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