灰降る世界に星は降りたる   作:瑞雲さん

1 / 4
改定版出しました。
初作品なので初投稿です。


1.世界からご飯のなくなる日

カービィは激怒した。

必ず、かの邪知暴虐なる大王をブン殴らなければならぬと決意した。

カービィには話はわかっておらぬ。カービィは、プププランドの住民である。

美味い飯を食い、よくお昼寝をして暮らしてきた。故に異変に対しては……まぁ、そうねぇ……。

 

ともかくもきょう未明カービィは家を出発し、ワープスターで野を越え山越え

あっという間にこのデデデ大王の城にやって来た。

 

――デデデーッ!

そう叫んで城の扉を開け放った。途端、黄色い手に引っ掴まれた。

何を言う間もなく、あっ、というまに城の中へ引き込まれた。一瞬の早業であった。

 

――銀河から時間の流れが消えた、手伝え

黄色い手の主――ブン殴るつもりだったデデデ大王だ――に引っ掴まれたままそう言われた。

なんでも、いつ誰が気が付いたのか。誰も知らない星が現れたそうだ。

それからだ。銀河から太陽と月が消え、全ての星から昼と夜が消えた。勿論ポップスターも。

淀んだお昼下がりが、皆から元気を拭い去る。誰もが疲れ切り何処かがくすんだような世界。

 

朝が来ない。夜も来ない。

大変な事態だ。つまり、プププランドから朝ご飯と晩ご飯が消えたということになる。

お昼寝をしようにもどうにも寝心地が良くない。淀んだ空のお昼下がり。

ちょっと待てよ?朝ご飯と晩ご飯がないとお昼ご飯もなくなるのでは?まずい。これはまずい。

 

だから、その星を調べようという話になった。

淀んだ火が、円を縁取る暗い星。まるで、今にも燃え尽き消えるのだと、そう言いたげなその星を調べに。

準備は出来ていると大王は言った。自分を掴んだまま……そろそろ離せよ。廊下を進む。

城の向こう、巨大な発着場。とても大きな船のヘリに、仮面の騎士が待っていた。

 

――ようこそ、戦艦ハルバードへ。歓迎しよう、盛大にな

 

 

 

目が覚める。真っ暗だ。

体を持ち上げ、辺りを見回す。

棺、棺。おざなりに積み上げられ、納めるべき中身を失くした空の墓場。

 

「……使命の時か……?」

私は灰。かつて使命を持ち、朽ちるとも死ねぬ呪いを帯びた不死の人。

鐘の音を聞いた覚えはない。だが、目が覚めた。使命の時なのではないか?

起きたのが早すぎたのだろうか。あるいは、とうに全てが終わってしまっているのだろうか?

 

しかし、聞こえたのだ。

火は陰り、灰に寄る辺無く、王達に玉座無し。

 

「……行かねば」

棺を踏み締め、立ち上がる。

何があるにせよ、目が覚めたのだ。行かねばなるまい。

火を求めねば。そうでなくば灰は闇に濡れ、腐ってしまうのだから。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。