――直に到着する。……何もなかったな
火が円を縁取る暗い星への道のりは快適だった。
突如現れて、おそらくは昼と夜を奪った犯人なのだ。
仮面の騎士、メタナイト曰く何かしらの妨害があってもおかしくはなかったが
実際にはなんのアクシデントもなく、するりと来れた。
暗い星、戦艦ハルバードから見下ろす限りでは特に変なのとかは何も見えない。
ただ、ちらちらと星の外縁を火が舐めるだけ。
これはダークマターなる闇の一族の巨大な拠点だとか
なんか3、2、1、GOとか言いながら突き進む彗星だとか
実はこれそのものが巨大なダークマターだ!とか
そんなことは一切なかった。
どこまでも真っ暗な外見に反し、いざ艦を降ろしてみれば辺りは随分と明るかった。
明るいとはいえ、比喩の話だ。見上げれば隙間なく雲が空を埋め、どんよりとしている。
お昼寝をするにはどうにも心地が良くないな、と思った。
――ね、ここなんだろうね?あそこのお城とかデデデ城よりずっとすごいよ
――あ゙?
着艦、いや、接舷だろうか。とりあえず目に付いた、とばかりの場所に艦が泊まった。
大きなお城の裏手側だ。見渡す限りの白い丘陵。切り立った崖の上に石組みの建物がある。
とりあえず、はもしかしたら勘違いかもしれない。なんだろう、惹かれてここに来たような。
りぃん、ごぉん、と鐘が鳴る音が響いた。
建物の中に足を踏み入れてみた。
薄暗い中に、いくつもの蝋燭。入ってすぐ、下に広間が見える。
左右の階段を下りて、人がひとり、ふたり…三人と、奥の方からカン、カン、と音がする。
とりあえず、広間の中央に居る女の人に声をかけた。
――こんにちはおねーさん、僕はカービィ!
「それでは、星の方々。貴方達は貴方の世界の、淀んだ時間を解決するために来られたのですね」
すったもんだだった。そりゃあ、すったもんだだった。
お姉さんはなんだかとても狼狽えた様子だし、広間の端に座っていたお兄さんが剣を担いで走ってくるし
椅子に座っていたおじいさんと、赤い頭巾のおばあさんがずっとこっちを見ているし
奥で剣を叩いていた鍛冶屋のおじさんが間に入ってくれなければ大変なことになってた。
「ここは火継ぎの祭祀場。玉座を捨てた王達の、還るべき場所です」
「この世界は火で照らされています。冷たく暗い、岩と霧の中で生まれた、最初の火」
「最初の火が生まれた時、世界に差異が出来ました。生と死、未来と過去、光と闇」
「最初の火が消えれば、再び世界は冷たい岩と霧に沈み、時の流れも曖昧に戻ります」
「どうしてかはわかりません。けれど、その淀みが、貴方達の世界に繋がったのでしょう」
「空から来た星の方達。よろしければ、お手伝い願えませんか」
「最初の火を再び燃え上がらせるため。玉座を捨てた4人の王を再び座に返すこと」
「そして、何処かできっと火継ぎの王となるべくある、灰の方の手助けとなること」
「そのために、私を、火防女をお使いください」
ともかく、そうやって落ち着いて話を聞いたらそういうことだったのだ。
じゃあ、やることは一つだ。
――任せてよ!
大王もメタナイトも手伝ってくれるのだ。きっと最初の火ってのも燃え上がるよ!
身長差については星のカービィ64のアドレーヌ=火守女ぐらいを想定してます