ノーサイド
「コォォォッ・・・!」
『グルルル・・・!』
金色の鎧を纏った刹那は、頭に乗っけていた子駒を圭に預けると拳を構え、ガドルと向き合った
「ところで暁、お前の連れは一体どうしたんだ?あの姿は・・・」
「あぁ、あれはな―――」
負傷した藤堂に肩を貸しながら、アキトは刹那の変わりようを説明した
刹那が『魔力』を取り戻した事や、刹那が纏わせている鎧が『武装錬金』だという事を
「『No.000』『戦鎧』の武装錬金、『lack&plack』・・・やっぱり刹那にはピッタリだったわ」
「いやいやシェルス、あの核鉄はノアが、「常人には扱えへん!」て理由で『封印』してたよなぁ?」
「・・・お喋りはこの位にして・・・凪沙、mr.藤堂と狼ちゃんをお願い」
「ちょっ、シェルス?話をすり替えんなよ・・・」
「シェルス殿俺はまだ戦える・・・凪沙、因幡探偵と助手達と子駒を頼む」チャキ
「はい!お任せを鏡志朗さん。野崎くん、因幡探偵を担げる?」
「は、はい!」
「なら僕は猫は担ぎま~す」
『頼むで~お嬢ちゃん』
そうして圭と凪沙は因幡を抱え、優太は子駒を抱えてその場を離れた。それを確認したアキトは刹那に近づき肩を叩いた
「刹那、やれるか?武装錬金は体に馴染んでるか?『覚悟』はOK?」
「Yes Yes Yes・・・Yes!何だか心まで踊るほどに気分が良いよ!アキ兄!」
「なら―――」パンッ
アキトは合掌するように手を叩いた。それを合図に
「WRYYYYYYYYYYYッ!」ダンッ
『ゴダグギザー!』
アキトはガドルに向かって飛び出した!
一方のガドルも腕に雷を纏わせて、ファイティングポーズをとった
「『気化冷凍法』ッ!」パキィッ
『グガッ!?』
先に飛び付いたアキトがガドルの腕を凍らせた・・・が
「ぐぁッ!?」バチバチバチ
『ギルガダ!』
ガドルの発する雷撃はアキトに骨身にまで感電した!
「こ、この野郎・・・!」
『ゲゲゲダバ!』バチバチバチ
「でもよぉ・・・悪いが、俺はこんくらいの雷撃は狼から何度も何度も喰らってんだよ!無駄ァアッ!」パキィッ
『グルバァアッ!?』
だが、アキトはそのままガドルの腕を骨身まで凍てつかせた!
「今だ!叩き込めぇッ、刹那ァアッ!叩き斬れ、藤堂さァん!」
「「応ッ!」」
「『影の太刀』ッ!」ドシュゥウ!
「『
『ギガァッ!!!!!!』
先制に藤堂が凍ったガドルの胴体を斬り、それに続けとばかりに刹那の拳撃がガドルを砕いた!
『ギ・・・ガドルガダザバド!』グァッ
「うわッ!?」
胴体を砕かれガドルの頭部だけが宙に浮いたが、ガドルは刹那の首を噛みつこうと首の断面から触手を出し、刹那の首に絡めた
「させると思う?『
『グガッ!?・・・』ベチャリ
しかし、噛みつかれる前にシェルスの必殺がガドルを撃ち抜いた!
「あ、ありがとう。シェル姉」
「気をつけなさい。まだヤツは仕止められてない!」
『ギ・・・ガ・・・グギギダ・・・!』
頭を撃ち抜かれ、体をバラバラに砕かれ、無惨に地面にばらまかれても尚!ガドルは生きていた!
自らの砕かれた体をコールタールの流動体に変化させ、もとのコールタールの化物へと戻った
「ッ!?」
「オイオイオイオイオイオイオイオイオイオイオイオイ・・・なんて生命力だ。しかも姿形が『刹那にソックリ』じゃあないか?!」
「『もとの姿』に戻ったか・・・!」
「『もとの姿』?アレがもとの姿だって言うの!?まるで『ドッペルゲンガー』じゃあないの!」
「ドッペルゲンガー・・・」
コールタールの姿に一同は驚きを隠せずにいた。愕然としていると・・・
『ギガ・・・ズグバ・・・な、ゼダ?』
「・・・え?」
『ナぜ、こんナにモ違ウのだ?コタエろ『バオウ』ノ血筋・・・』
「しゃ、喋ってやがる・・・!」
コールタールガドルはグロンギ語から人語を喋りだし、刹那に語りかけた
『ワレは、わたしハ、僕は・・・お前ノ『コピー』ダ』
「え・・・」
「刹那!答えるなッ!ここでケリをつけるぞ!」キュゥゥン
アキトは刹那を制止しながら、紅い眼にエネルギーを溜めた。だが・・・
「・・・」スッ
「刹那・・・!?」
刹那はアキトの前に立ちふさがり、コールタールガドル・・・いや、『ドッペルゲンガー』に近づいた
「何やってんだよ刹那!?」
「待ってアキト」
刹那を止めようとしたアキトだったが、逆にアキトはシェルスに止められた
「なぜ止めるシェルス!?このままだと刹那が!」
「『信じて待つ』・・・」
「!?」
「待ってみませんか?アキトさん?」
「・・・俺は知らんぞ・・・どうなっても」
「・・・」ザッザッザッ
『ナぜだ?なぜ・・・僕はお前を『完璧』にコピーしたはずなのに・・・ナぜわたしはこんなにも『不完全』なのだ?ナぜナぜナぜナぜナぜナぜ何故なぜ?』
疑問符ばかりを投げ掛けるドッペルゲンガーに刹那近づき・・・
ダキリ
『ッ!?』
「「「ッ!?」」」
ドッペルゲンガーを優しく抱き止めた
「・・・」
『え・・・う・・・が・・・?』
刹那は抱き止めたまま涙を流した
『・・・何故、お前ガ『泣く』?『バオウ』の血筋が、『王』の血筋がナぜ泣ク・・・?』
当然の疑問を投げ掛けるドッペルに刹那は答えた。「わからない」と
『なに・・・?』
「でも感じるんだ・・・『心』で理解した。君の感情を・・・君の『思い』を・・・!」
『・・・かは・・・カハハハ・・・クハハハ』
ドッペルは刹那の腕の中で笑いだした
『お前はトンだ『偽善者』だな?敵に涙ヲミセルなんてヨォ・・・』
「それでも・・・それでも僕は君の為に泣けるよ。だって僕は・・・」
言葉を詰まらせる刹那にドッペルは悲しそうに笑いながら
『フッ・・・泣くなよ・・・『優しい王様』に涙は似合わないよ』
「え?」
その言葉を最後にドッペルゲンガーは刹那の腕の中でシャボン玉のように弾けて消えた
「刹那・・・」
心配そうにアキトは刹那に近づくと、刹那はサメザメと泣いていた
「『優しい王様』かぁ・・・僕は優しいかな?アキ兄?」
そう答える刹那をアキトはただ黙って抱き締めた
その場には、風に吹かれてカサカサと鳴く竹の音だけが響いていた
←続く