Diplomatの日常   作:rainバレルーk

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ケモノメセン

 

 

 

我が輩は『黒い猟狗(ブラックハウンド)』である。

名前は『ニコ』。

毛色は黒、体長は『主』の3倍はある。

 

生まれは黒い木々に囲まれた森の中。我が輩はその『黒い森』で覇をしいていた。

しかし、いつかの日に主と戦ってうちのめされ、今では主の『使い魔』となり、付き従っている。

そんな我が輩の日常。

 

 

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

『グワァア~・・・』

 

今日、我が輩は寝床としている主の体から出て、縁側で日向ぼっこをしている。太陽の光が温かいだけでなく、風も涼しく吹いている。・・・とても良い気分だ。

 

そんな風に我が輩がウトウトしていると・・・

 

 

「どわッ!? なんであろッ!?」

 

縁側の戸を開けて、誰かが出てきた。我が輩が振り向くと、そこには我が輩よりも、主よりも小さい白い『山羊』がいた。

 

 

「な、なんだ・・・ニコであったか・・・・・ビックリしたであろー」

 

『ワフッ』

 

そう言って山羊は縁側に出ると寝転がっている我が輩の腹に頭を乗せて、寝転んだ。

 

 

「ベェェェ~・・・・・モフモフであろー」

 

この山羊の名前は『ドン』。主の主である。

会った当初は我が輩を狼と誤解して怖がっていたが、今ではモフモフしてもらう程に仲良しである。そして・・・

 

 

「ニコよ。ジャーキーをくれてやろう」

 

「ワフ!」

 

こうしていつも干し肉をくれるから、我が輩はドンが好きである。

 

 

『クゥウ~♪』モッモッ

 

「お~、美味いか? 良かったであろー」

 

ポカポカ陽気の中で食べる干し肉は格別である。

 

 

「あ~! ドン、またニコに干し肉やっとる~!」

 

『グゥ?』

 

今度は三つ編みの子供が我が輩とドンに気づいて近づいて来る。

 

 

「ドン! 狗に市販の干し肉は塩分が高すぎるからダメって言ったやろ!」

 

ドンに説教をするこの子供は『ノア』殿。主の妹君みたいな子である。この子は少し変わっていて、最初に会った時も我が輩を怖がらずに我が輩の体を撫で回した子である。

 

 

「わ、わかっておろー! これはちゃんと塩抜きしたロレンツォ特製のジャーキーであろー!」

 

「ホンマか~?」

 

「ホントであろー!」

 

・・・我が輩は別に塩がついていても構わんのだが・・・この干し肉は美味しいから良いのである。

 

 

「コラコラ、何を言い争っているんですか?」

 

「「ロレンツォ」」

 

『ガウ!』

 

二人をおさめてくれたのは頭に麻袋を被った人物。ロレンツォさんだ。この人は我が輩のご飯を作ってくれる良い人だ。

 

 

「ドンがな~ニコにジャーキーやっとんたんや」

 

「なんですって!」

 

「別にいいであろー? このジャーキーは塩分抜きじゃから」

 

「も~! 首領はニコに甘々なんですから~。でも、そんな首領もス・キ♥」

 

「ロレンツォォオ―――!」

 

「首―――領ッ!」

 

ドンとロレンツォさんは抱き合う。仲良しである。

 

 

「ヤレヤレやで・・・」

 

ノアが主みたいに溜め息をついている。似てないのである。

 

ズダン!ズダン!

 

『!』

 

突然、銃声が轟き、銃弾がドンとロレンツォさんの額を撃ち抜いた。

 

 

「気持ち悪いんだよお前ら」

 

銃を持って現れたのは主の姉上みたいな存在、『ガブリエラ』殿だ。この人はいつも火薬の臭いがする。

 

 

「もう! 突然、酷いですよガブリエラ!」

 

「そうであろー!」

 

「真っ昼間から吐き気をもよおすモノを見せつけんな!」

 

「そうやそうや! ニコもそう思うやろ~?」

 

我が輩はそんな事よりもっと干し肉が食べたい。

 

 

「そういえば・・・ニコ?」

 

『ガウ?』

 

「お前にオヤツをやろう」

 

そう言ってガブリエラ殿は骨のようなモノを我が輩の前に出した。

 

 

「なッ!? 姐さん、それは!」

 

「あ? なにって・・・骨煎餅だ」

 

「魚の骨は狗にはおえんで! 喉にたってしまうで! それにその骨煎餅、姐さんの酒の肴の残りやないか!」

 

「良いんだよ。ホラ」

 

「へ?」

 

『ガウガウ』ガジガシ

 

この骨煎餅という物は歯応えが良くて、とても良い。味も我が輩好みである。

 

 

「・・・そうやった・・・ニコはアイツの使い魔やったな」

 

「だろう? ホレ、もっと食えニコ」

 

ガブリエラ殿も美味しい物をくれるから好きである。

 

 

『!』

 

「ん? どうしたニコ?」

 

この気配は・・・・・!

我が輩は急いで体を起こすと玄関へと走る。玄関前につくとそこに座り、気配が来るのを待つ。

 

すると玄関の引き戸がガラリと開き、気配の持ち主が入って来る。

 

 

「たっだいま~!」

「ただいま帰りました」

 

気配の持ち主達は両手に袋を持っている。

 

 

「おん。出迎え御苦労だなニコ」

 

『ワフ!』

 

気配の正体は我が輩の主『アキト』様だ。

 

 

「ただいまニコ。撫で撫でしてあげる」

 

『グゥ~♪』

 

そして、我が輩の頬を撫でてくれるのは主様の『つがい』の『シェルス』殿だ。

 

 

「あ、シェルスズルいぞ。俺も撫でる」

 

『ワフ~♪』

 

お二方の『吸血鬼』特有の体温がとても気持ちが良い。

 

 

「・・・おん?」

 

「どうしたのアキト?」

 

「なんかニコ・・・・・太ったんじゃね?」

 

『ガウッ!?』

 

そんなバカな! 我が輩はスマートですぞ主様!

 

 

「そうね~・・・・・なんかいつもよりもボリューミーね」

 

シェルス殿まで!?

 

 

「ヤレヤレ・・・・・」

 

主様は溜め息をつくと我が輩を抱えてドン達の方に向かっていく。

 

 

「ドン! またニコに干し肉やったな!」

 

「あろッ!? 何故バレた?!」

 

「わかるわ! 前にもドンはニコに干し肉やってただろうが!」

 

「ハハハ♪ 怒られてやんの」

 

「ガブさんもだ。ニコになんかやったろ。例えば・・・骨煎餅とかをよ~」

 

「ッ!? 何故バレた!」

 

主様はなんでもわかるのだな。さすがは主様だ。

 

 

「なんでもはわからないさ。わかる事だけ」

 

「・・・・・誰に言ってんのアキト?」

 

「そこなニコにだ!」ババーン!

 

「それよりアキト? 買って来てくれましたか?」

 

「もちもち、ロンロン。はいロレさん、醤油と鰹節」

 

主様はロレンツォさんに黒い水と赤茶色の塊を渡そうとした瞬間!

 

 

『ガゥ~!』

 

我が輩はその赤茶色の塊の匂いに惹かれて、かぶりつこうとしたが・・・

 

 

「無駄!」ガシッ

『キャインッ!?』

 

主様が我が輩の口を力一杯に掴んだ。

 

 

「コラ、ニコ。ダメ」

 

「フフフ♪ ホントにニコは鰹節が好きね」

 

「ヤレヤレ、鰹節が好きな化け狗なんて聞いた事ないぞ」

 

だって好きなんだもの。歯応えも良いし、味も実に我が輩好みである。というか大好物である。

 

 

「さて、買い物もすませたし・・・ご飯にしましょ」

 

「そうそう。鰹とか鮪とか買って来たんだから」

 

「良いな。鰹はタタキに、鮪は丼だな」

 

「骨からは出汁も出ますしね」

 

「さぁ、ご飯であろー!」

 

そうして我が輩達は主様達が作った美味しいご飯を鱈腹食べたのであった。

 

 

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

『グワァア~・・・・・』

 

ご飯を食べ終わると我が輩には睡魔が襲いかかって来た。瞼がとっても重たいのだ。

 

 

「ニコ・・・重い・・・」

 

『グゥ~』

 

我が輩は主様の膝の上にいる。主様はそんな我が輩を撫でながら晩酌をしている。

 

 

「うに~・・・///」

 

シェルス殿も主様の膝の上に頭を乗せている。シェルス殿も主様に甘えているのだ。

 

 

「おい・・・一人と一匹、重いから退けろ」

 

「や~よ~///」

 

「シェルス姉は猫みたいやね~」

 

「ゴロゴロ///」

 

「ククク♪ 素直じゃあないなシェルスも」

 

主様に甘えるのに酒の力をかりるとは・・・よくわからないな。

 

 

「眠たいなら蒲団で寝やがれ」

 

「や~ん///」

 

『ガウ~』

 

「ったく・・・ニコ? ハウス」

 

『・・・・・ワフ・・・』

 

我が輩は主様に呼ばれ、仕方なく寝床である主様の体内に戻って行った。

 

 

「ヤレヤレ・・・シェルス、運んでやるから退けろ」

 

「・・・は~い」

 

 

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

主様の体内に戻った我が輩は定位置に向かって『泳いでいる』。

主様の体内はまるで川のように流れ、赤いのやら黒いのやらと『形容しがたい者』達が流れている。

それらを退かしながら進んでいくと我が輩のであるが見えて来た。

 

定位置には黒い『棺』の上に銀色の『突撃槍』が存在感を放っている。

我が輩はその棺のそばに寝そべる。

 

そうして我が輩は意識を奥底へと沈ませていった。

 

 

 

 

 

 

 

チャンチャン♪

 

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