Diplomatの日常   作:rainバレルーk

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ジヨウナタベモノ

 

 

 

ミーンミーンミーン!

ジージージー!

ツクツクホーシ!ツクツクホーシ!

 

「あ・・・暑い・・・・・」

 

・・・・蝉の鳴き声がけたたましく聞こえ、真夏のギラついた太陽が皮膚を焼き焦がす。そんな場所に俺を含めた3人の男達が漁師の格好をして舟に乗って川を進んでいる。

 

 

「圭君大丈夫? 水分とる?」

 

「あ、ありがとう『切』君。助かるよ」

 

俺に水筒を渡してくれたのは『灰村切』君。

犯罪史史上最悪と呼ばれていた殺人鬼『ノーマ・グレイランド』の子孫で、『断裁分離のクライムエッジ』っていう『殺害遺品』を受け継いでいる男の子だ。

でも、そんな物騒な名前を受け継いでいる彼だけど、『武者小路祝』ちゃんっていう女の子の為に数々の困難を打ち倒して来た偉大な男でもある。

・・・因みに髪の色は灰色である。

 

 

「お~い二人とも、もうすぐ着くぞ~!」

 

「「はーい」」

 

水筒の麦茶を飲む俺達に舟の操縦席から声をかけてくるのは黒髪に赤い丸サングラスをした人物『暁アキト』さん。

彼はあの存在自体がふざけたヤギ『ドン・ヴァレンティーノ』の仲間で『暁のアルカード』『ヴァンパイアスレイヤー』『アーカード』等々と色んな異名を持っているが、今まで色々と俺達を助けてくれた良い人? でもある。

・・・因みに『吸血鬼』で太陽が平気なんていうこれまた異常な存在だ。

 

 

「ついた~!」

 

「ここが・・・」

 

そんなこんなで漁場についた俺達は舟から川の浅瀬に降りた。

 

 

「さぁ・・・・・『狩り』じゃあぁぁッ!」

 

「「お・・・おー!」」

 

・・・今さらだが、俺の名前は『野崎圭』。元『秘密警察犬』である人狼『因幡洋』が運営する『因幡探偵事務所』に勤める極々普通の『一般人』だ。

何故、そのベスト・オブ一般人の俺が『鰻狩り』なんていう事に興じているのかと言うと・・・今から10時間前に遡る。

 

 

 

 

 

その日、一日の業務を終えた俺は同居している『浜田庵』さんと愛猫の『ルナ』の元へと帰る為に暗い夜道を歩いていた。ポッかりと月が雲の切れ目から浮かんでいる涼しげな夜だった。

・・・・・今思えば、それが『前兆』だったのかもしれない。

 

夜道を歩いていると、誰かに付けられている気配がして来た。探偵家業に関わっている為か、最近そんなのに敏感だ。

 

俺は段々と怖くなり、次の曲がり角を曲がると勢いよく走った! 体力の続くかぎり!

 

息が切れ、胸の辺りが痛くなってきた所で俺は立ち止まり、振り返る。目線の先には電柱に光る電灯とどこまでも続くような闇夜があった。

 

ホッと俺は胸を撫で下ろすと気を取り直して前を向いた。それが間違えだと気づかずに・・・・・

 

 

「やぁ圭君・・・・・良い夜だねぇ・・・?」

 

10cmも離れていない眼前に恐ろしく笑う『吸血鬼』がいた。そこからの記憶がパッタリとない。

 

目が覚めると飛行機の格納庫にいた。訳もわからず辺りを見回すと隣に『パイロットスーツ』を着た切君が座っていたのだ。

「どうしたの切君ッ!?」と言い寄ると彼は生気のない眼で事情を離してくれた。どうやら彼も『吸血鬼』に拉致られたようであった。

そんな事情を聞いているとコックピットの扉から噂の吸血鬼、アキトさんが出てきた。

アキトさんは俺の顔をみるとニコやかな笑顔で・・・

 

 

「やぁ圭君、おはよう。よく眠れたかい?」

 

なんて言いやがった。

俺はおっかなビックリで、されど噛みつくようにアキトさんに迫った!

 

 

「ここはどこだ吸血鬼ッ!? なんの為に俺と切君を?!」

 

「朝早々から喚くなよ圭君。ここは今、高度4千mの空の上だ」

 

「はいィッ!?」

 

「おん? なんだよ切君伝えてないのかよ?」

 

「この状況でそれは無理がありますよアキトさん。僕だって状況が飲み込めれてないんだから・・・」

 

切君は呆れて疲れ果てたように答える。訳がわからないこの状況に・・・・・またアキトさんの言葉で置いてけぼりにされる。

 

 

「まぁいいや。そろそろ予定ポイントだから用意しろよ」

 

「・・・・・は?」

 

『予定ポイント』とは何だろうか。考えている俺の横で切君が「マジか・・・」と呟いた。その時だ・・・ギギギと機械音が鳴り、飛行機の後ろのハッチが開いた。そこからはビュウビュウと気圧の違う空気が入ってくる。

 

 

「さて・・・・・行くぞッ!」

 

「え・・・え、えぇッ!?」

 

「・・・待っててね祝ちゃん・・・僕、生きて帰るから・・・!」

 

そうしてアキトさんは状況が飲み込めてない俺と覚悟を決めた切君を抱えると勢いよく空へと飛び出した。

 

 

「WRYYYYYYYYYYYッ!」

 

「「ウぎゃあぁぁぁあぁあぁぁッ!?」」

 

・・・空の上から見る朝日はいつもより眩しく見えた・・・

 

回想終わり・・・

 

 

 

 

 

 

 

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

それから飛行機から放り出された圭と切はアキトの吸血鬼の翼で目的地に着陸。

そこから二人はアキトの目的とバイト代と称された『15万円』を聞かされ、渡された。

圭は何か言いたい事があったが、バイトなら仕方がないと口を閉じ、切はアキトなら仕方ないと諦めた。

 

そんな事があって彼らはこの漁場に来ていたのだ。

 

 

「我ながら回想が長い!」

 

「誰に言ってんだ圭君?」

 

「それよりアキトさん・・・本当にここにいるんですか?」

 

「おん。バッチしよ!」

 

アキトは手に持っているボロボロの古紙を見せつけながら牙を出して笑った。その紙には『○秘鰻穴場百軒』と書かれている。

 

今回、アキトの目的は『鰻』を獲ることだ。何故、鰻かと言うと夏バテを解消させる為である。

ここの所、ヴァレンティーノファミリーやウィッチー家では夏バテが流行り病のごとくかかってしまい、皆、体調を崩してしまったのだ。

 

どうしたモノかと夏バテ知らずのアキトは頭を捻り、かの有名な平賀源内が考案した『土用の丑の日』と日本最古の歌集、万葉集にものっている『鰻』を思い立ち、すぐさま行動に移った。

 

最初はスーパーに売っている鰻にしようかと思ったが、「やっぱり国産で新鮮なのが良いよな」と自力で捕ることにした。

 

「しかし、どこで獲ろうか・・・」と考えたアキトはその事に詳しそうな人? である京都の柊姫を頼った。

柊姫は快く鰻がよく獲れる古文書を渡して貰う。報酬はもちろん鰻で・・・ついでに皇家の分も頼まれた。

 

古文書を頼りに漁場を見つけたアキトは事前に罠を張った。今日はその罠の引き揚げ日なのだ。

 

 

「それって俺達必要ッ?!」

 

心配するな圭。アキトは一人での引き揚げは大変だから手駒・・・・・もとい人手に圭と切を召集したのだから。

 

 

「手駒ッ!? 手駒って言った!」

 

因みに切は夏バテをしている祝に鰻を食べさせる為に手を貸している。

 

 

「なんで俺だけ知らされてないのッ!? 」

 

「切君・・・圭君は何を騒いでいるんだ?」

 

「さあ? それよりアキトさん、本当に獲れるんですか?」

 

「任せなさいっての。おん、ここら辺だ・・・引き揚げるぞ」

 

アキトは川底から塩化ビニルのパイプを引き揚げ、中身を舟の中へひっくり返した。ドバドバとパイプの中身が舟にぶちまけられ、ウネウネと暴れる。

 

 

「「おーッ!」」

 

「3匹か・・・・・人数分を考えると10匹以上いるな・・・」

 

「スゴいよアキトさん!」

 

「アキトさんまだ仕掛けは?」

 

キラキラと成果に目を輝かせる。

 

 

「十ぐらい仕掛けたな・・・」

 

「今日、ヒドイ目ばっかりにあってるけど・・・これなら頑張れるよ!」

 

「おん。ドンドン獲ろうぜ、それだけ取り分が増えるからよぉ~」

 

「「おぉ~!」」

 

「鰻狩りじゃあァアッ!」

 

「「じゃあァア!」」

 

3人はそれから血眼で鰻漁を本格的に開始した。それから獲れるは獲れる。漁獲数はまさに鰻登り。

罠を全て引き揚げると今度は釣りと手掴みに別れて鰻を獲り出す。

 

 

「アキトさん?」

 

「何だよ圭君」

 

唐突に圭がアキトに語りかける。

 

 

「シェルスさんはどうしたんですか?」

 

「シェルスならファミリーやウィッチー、祝の看病をしてるよ」

 

「一人でですか? 大変なんじゃあ・・・」

 

「大丈夫。手助けの為にニコもいるし、介護ハザードちゃん達もいる」

 

「へ~(あのヤギも鰻食べるんだろうか・・・・・)」

 

圭がドンの鰻を食べている姿を想像している時だった。

 

 

「う、うわぁぁァアッ!?」

 

「「!?」」

 

釣りをしている切のけたたましい叫び声が上がった。アキト達は急いで向かう。

 

 

「どうした切君?!」

 

そこで彼らが見たものとは―――

 

 

 

 

 

 

 

「GuSYAAAaaaaaッ!」

 

―――身の長5m以上の鰻が暴れていたのだ。

 

 

「ちょッ!? デカ過ぎィ!」

 

「良くやったぞ切君! これなら30人前は余裕だぁ!」

 

「てか、助けてよアキトさん!」

 

釣り針にかかった暴れ狂うオバケ鰻にアキトは牙を鳴らし、眼を紅く輝かせると吸血鬼の本性丸出しで襲いかかった。

 

 

「WRYYYYYYYYYYYッ!!!」

 

「GaSYAAAaaaaa!!」

 

今ここに吸血鬼とオバケ鰻の闘いがはじまった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

30分後・・・

 

 

「ふう・・・・・結構手こずったな。切君、お茶頂戴」

 

「は、はい!」

 

血でベットリと作業服を濡らし、手には手刀で切り落としたオバケ鰻の頭を持ったアキトは切から水筒を受け取る。

 

 

「・・・というかアキトさん・・・」

 

「おん?」

 

「どうするんですか、このデカ鰻・・・?」

 

「あ~・・・」

 

のしてしまったデカ鰻の残骸を見ながら考えるようにお茶をゴクリゴクリと飲み干す。

 

 

「・・・とりあえず輸送ヘリ呼んで・・・・・家に帰ろう・・・」

 

 

 

 

 

 

 

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

「美味しいィ~~~!」

 

ヴァレンティーノファミリー、そのアジトの食卓に祝ちゃんの満面の笑みと喜びの声が上がる。

 

あれから数日後の土用の丑の日当日、僕と祝ちゃんはアキトさんにお呼ばれした。

 

 

「美味かろ~!」

 

「このタレと鰻、それに炊きたての白飯がかもし出す美味さ! アキト、酒だ!」

 

「ちょっとちょっとガブリエラ、がっつかないの」

 

「山椒がピリリとしとるで。やっぱり鰻には山椒やな」

 

「やっぱりアキトの作る料理は美味しいなぁ~♪」

 

ドン達やウィッチーがホクホク顔でアキトさん作の鰻重を頬張る。隣部屋にいるウィッチーの従者にも鰻が振る舞われる。

 

僕達が鰻を頬張っているとアキトさんとシェルスさんが襖を開けて入って来た。

 

 

「ホラよ、鰻の肝吸いに白焼きだ」

 

「皆、ドンドン食べてよ。アキトが獲りすぎちゃったんだから」

 

「何を隠そう俺は鰻獲りの達人!」

 

「美味しいよアキトさん!」

 

祝ちゃんは可愛い笑顔をアキトさんに向ける。

 

 

「そりゃ美味いのは当たり前さ。そうだよな切君?」

 

「そうよ。切は祝の為に頑張ったものね?」

 

ちょっ、ちょっと二人とも!? 何をニヤニヤしてるんですか!

僕は思わず顔を背ける。顔が熱い・・・・・///

 

 

「もう・・・鰻料理より二人の『ノロケ』で胸焼けしそうだよ」

 

「ラブラブであろ~」

 

『『『ヒューヒュー♪』』』

 

「ちょ、ちょっと・・・皆///」

 

もう、やめてくれ・・・・・恥ずかしすぎる。

僕と祝ちゃんは顔を紅に染めて、鰻重をかきこんだ。

 

 

「ヒュ~♪ 熱々だぜご両人!」

 

「それよりアキト・・・どうするの?」

 

「おん? 何を?」

 

「あの鰻よ。皇家や柊姫に圭の所に分けてもざっと見積もって20人前はあるわよ。どうするの?」

 

「そう怖い顔するなよシェルス、大丈夫だ。何を隠そう俺は鰻料理の達人ッ!」

 

「・・・ヤレヤレ・・・・・当分、鰻料理が続くわね。飽きが来ないように頼むわよ達人吸血鬼さん?」

 

「カッカッカ♪ 任せとけ! さぁ食べるぜ~!」

 

 

 

 

 

 

 

チャンチャン♪

 

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