魔法科高校の狩人   作:パンプキン大佐

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プロローグ

 数十年前、最強と呼ばれた者がいた。あるときは王者を狩り、またあるときは天災を狩り、果てには黒龍すら狩った、数々の伝説を打ち立てたハンターだ。

 

 しかし、そんな彼も永遠に存在することは叶わない。なぜなら、命あるものには等しく終わりがあるからだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 もう体は動かない、私の最期はこのベッドの上か。生死の境目を生きるハンターとしては、この最期はあまり良いものには思えないな。いっそのこと皆に協力してもらってティガレックスの前にでもほっぽりだしてもらって……いや、何を考えてるんだ私は。今更そんな自殺紛いのことをしてどうする。それにティガレックスだって、こんなヨボヨボのじいさん差し出されても困るだろう。

 

 思えば私の人生も色々あったものだ。初めてのクエストでブルファンゴにお手玉にされ、気を取り直して向かった雪山では突如現れたティガレックスとデスマラソンに興じ、クック先生との初授業はイャンガルルガ教官とのスパルタ特訓に急遽変更となり、糸に拘束されたゲリョスを同情からつい助ければ、恩知らずのゲリョスと怒りに燃えるネルスキュラの奇跡のコラボを実現させ、リオレウスを狩りに向かえば二体のリオレイアも同席の修羅場に出くわし、クシャルダオラに吹き飛ばされて遭難してしまい、食料が尽きて空腹で涎タラタラのところで同じく涎タラタラのイビルジョーに遭遇し、黒龍が現れた際には全員一致で私が討伐することになったり、他にも様々な思い出が……あれ、私の人生ろくなことないんじゃないか? いや、今となってはいい思い出か。

 

 ……そんなことを思い出していたら、急に未練が湧いてきたぞ。まだまだ皆と話したいし、またアイルー達の作った飯を食べたい。それに恋人だって作りたい……えっ、年齢を考えろ? ……若い頃はハンターライフを満喫してたんだ。

 

 あぁ、でも駄目だ。行動を起こすには遅すぎる。もうどうしようもなく眠い……神様、仏様、ミラボレアス様。願わくば、どうか私に次を……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 その日、伝説はついに終わりを迎えた。その知らせに誰もが落胆し、その死に誰もが悲しんだ。モンスターでさえも、その日だけは嘆くような鳴き声を上げていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「痛っ!」

 

 衝撃と痛みで目を覚ます。この固さに冷たさ、どうやらベッドから転げ落ちたらしい。そう考え、ふと気づく。私は死んだはずじゃなかったのか? 辺りは暗くてなにも見えないが、まさかあの世ということはないだろう。つまり、私はまだ死んでいないということ……なんて恥ずかしい勘違いしてたんだ、私は。まあ、あれだ。これは願いが通じて神様がくれたご褒美ということで、それでもあと少しだけだろうが、悔いを残さないよう頑張って生きよう。そう思いながら立ち上がる……立ち上がる?

 

「なんだと!?」

 

 おかしい。眠る前まであんなに体が重かったんだ、立ち上がれるわけがない。それに、体も驚くほど軽くなっている。先程神様がご褒美をくれたと考えたが、それはあくまでも比喩。こんな魔法のようなことが起こるわけない。

 

 とにかく、現場を確認しなければならない。ランプはどこに落いてあったか。未だ暗闇に馴れない両目は役に立たず、当てずっぽうに辺りを物色する。

 

「っ!」

 

 ランプを探す手がかちりと何かを押すと、瞬間、部屋に明かりが灯る。予想だにしなかった光の出現に目が眩むも、その機能はすぐに戻る。

 

「……嘘だろ?」

 

 視界に映った私の両手は、皺一つない。まるで少年のような手だった。その手で顔を撫でると、滑らかな感触が返ってくる。……信じられない。しかし、信じなければいけない。私は間違いなく、若返っていると。

 

「素直には喜べんな」

 

 若返りなんてこの世のすべての人類が欲してやまないものであり、間違いなく喜ぶべきことなのだろう。けれど、『死にかけの老人が少年になった』など、周りが信じてくれるわけがない。さて、どうしたものか。

 

「いっそのこと、村を出るか」

 

 新天地で新しい生活を始めるのもいいかもしれない。ならば、早速行動に移そう。己にばかりに向いていた意識を周りに向ける。そこで私はようやく、もう一つの重大なことに気がついた。

 

「……ここは?」

 

 木製であったはずの部屋は、白を基調とした初めて見る材料で大半を占めており、並んでいる家具も見たことないものばかりで、元の部屋とは似ても似つかない。

 

 ……まさか、ここは秘密結社の実験場? 若返ったのもなにかの実験の成果か? そんな突拍子のない結論が頭をよぎる。本来ならあり得ないとすぐさま否定するが、なにせこの数分間で未知との遭遇をし続けている身。そうすることもできない。ああ、私はこれからどうなってしまうんだ。とても少年の口からは語れないようなことをされてしまうのか? いや、実質的にはじいさんなんだが。

 

「さて、どうしたものか」

 

 解決の糸口はないか。そう思いふと右を見ると、壁に数字が並んだ紙が貼ってあるのことき気づいた。そのなかの、一つの数字を囲んでいる大きな赤丸の下には、これまた大きな赤字でこう書いてある。

 

『祝! 魔法科高校入学!』

 

「……魔法?」

 

 どうやら、魔法があるらしい。




主人公はモンスターハンターシリーズのいずれかの主人公というわけではありません。
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