なんか風邪が治ったと思ったら、何故か台風が来る度に体調が悪くなって中々書けず、遅くなってしまいました…。
もう具合も良くなったので大丈夫かと。
投稿を再開致します。
現状複数の勢力がストラテロジック社研究施設に存在している。
ストラテロジック社に雇われている特殊部隊上がりが多くいる警備部隊。
システムと警備ロボットを掌握して研究施設を占拠したコペルソーン副社長兼主幹研究員。
事件の収拾に内密ながら動き出した国防省統合作戦本部のワイズマン准将。
ダルトンに取引を持ち掛けられて潜入しているスネーク。
面白半分で事件に首を突っ込んでいる自称凄腕ハッカーB.B.。
そして紛れ込んだ
三つ巴どころか五つもの勢力が入り乱れている状況下で、互いの利益の為に手を取り合うというのはある話ではあるだろう。
特に相手の勢力より劣っていたり、不利な状況であれば余計にだ。
失くした記憶に釣られたとはいえ脅し込みの強制的な協力関係を築くことになったスネーク達は、信用も油断も出来ないワイズマンの指示に従って行動せねばならない。
“アフロデゥテ”から連絡を受けて席を立ったワイズマンが戻ってくると、移動指示と共に協力者との合流を命じられた。
なんでも実力確かな者を現地調達して得たらしい。
嫌な予感はしていた。
内部協力者ではなく現地調達と口にした。
つまり手を回して潜入させた、または取引してストラテロジック社側の人間を引き込んだのではなく、
考えられるのは潜入工作員の類だろう。
別勢力の工作員との共同任務など気が進むわけがない。
腹の探り合いや裏切りなども想定されるために最大限の警戒を向けねばならず、任務は楽になるかも知れないが敵だけでなくそいつにまで警戒する事から神経は磨り減る事になると予想される。
覚悟を決めて指示された方へと向かうとその協力者と合流する事が出来たが、良し悪しは兎も角として覚悟は無駄に終わりそうになった…。
「やぁ、
「あ……あぁ…頂こう…」
合流したのは
彼・彼女達の周囲には小さなコンロに鍋、人数分の器とスプーンが置かれている。
こいつら敵地のど真ん中で堂々と食事をしていたのか?
呆れ交じりの驚きに呑まれそうになるスネークは、何気なくゴーストより差し出された
「そちらの女性は?」
「こちら滝山 美知子さんとルーシーちゃん」
『ふむ、タキヤマ……か』
名前を聞いて名簿を確認したワイズマンはタキヤマの素性を軽く説明し始めた。
ストラテロジック社研究員のミチコ・タキヤマ博士。
年齢は27歳で日本の京都大学を卒業し、ハーバード大修士・博士課程で心理工学を専攻していたらしい。
紹介された女性陣に目を向けるもどうも警戒されているようだ。
ただ見知らぬ相手への警戒というよりは怯えや恐れの感情が読み取れる。
ゴーストの後ろに隠れるようにして睨むタキヤマ。
幽霊が憑くのではなく人が幽霊に憑りつくのでは逆だろと言いたげな顔を向けておく。
「それで貴方達は何者なの!?もしかして私を……殺しに!?」
「何を言っているんだ?俺達は―――」
『彼女に通信機を渡してくれたまえ』
言われるがままに渡すと話を付けたのか警戒の色が僅かながら薄れた。
逆にこちらはゴーストの警戒を強める事には成っているが…。
殺すとタキヤマが口にした瞬間より自然体であるもののゴーストはいつでも銃を抜けるように構えている。
どれほどの実力なのかは知らないが、直感でヤバイと感じ取っているだけに易々と自身で体感すべきではない。
「国防省
「いや、俺は軍の人間ではない」
「なら何なの?」
『スネークは俺の相棒だ』
「貴方は?」
『俺は
間に入ったダルトンであったが元捜査官とは名乗らず、適当に誤魔化しながら話題を少女へと向ける。
これには子供の一件と人体実験の事もあって気になっていたと見える。
「この子は“対象”のルーシーよ」
『“対象”?対象とは―――』
『さて、一通り自己紹介も出来たところで教えて欲しい事があるのだが?』
ワイズマンが話を区切って情報提供を求めるも、結果だけ言うとタキヤマはほとんど何も知らないらしい。
出来ればコペルソーンの目的や実験内容が知れれば良かったのだが、知れたのは社長のロジンスキー社長とある実験を巡って激しく対立していたという話のみ。
事件を起こす要因かその一部であるだろうけど不確かな情報過ぎて憶測しか出来やしない。
『予定通り先へ進みたいところだが、所々でシャッターが下りていて進めないようだ。解除する方法を知らないか?』
「降ろすだけなら各所の端末で操作できるけど、解除するなら警備部の端末でしか出来ないわね」
『では警備部へ向かうしかないか』
「なら彼女達はどうする?」
研究ブロックに入ってからシャッターが下りて通れない箇所が複数あり、解除する為には警備部に行かねばならないとの事だが、道中には警備ロボットやら警備兵が居る筈。
非戦闘員二人を連れて突破を図るのであればせめて小隊ほどの人数は欲しい。
それをたった二人で行うというのは無理としか言いようがない。
スネークとしては隠れて貰って、置いて行くのが一番いいように思える。
勿論置いていかれる事に対して彼女は反対を口にする。
「護ってくれるんじゃないの!?」
「さすがに二人を護りながらだと…」
「連れて行こうよ。置いて行くのも危ないしさ」
「分かっているだろう。足手纏いだ」
「面倒は僕が見るからさ」
お願いと言わんばかりに両手を合わせて頼んで来るゴーストにため息を漏らす。
工作員と疑った自分が馬鹿みたいに、見た目に対して子供っぽい事をしてくる。
だが、道中に転がっていた警備ロボットを倒したのは多分こいつなのだろうと予想があるだけに、相当な実力を有している事は察しているので確かめたいという気持ちもある。
仲間としても最終的に敵対する事になろうとも相手の実力は知っておくべきだろう。
そんな打算と諦めもあってスネークはゴーストの頼みを受け入れ、化け物を目撃する事と成った。
「ちょっと、危ないって!」
警備兵を発見した際に実力を知ろうと援護すると言って任せたところ―――「行ってきます!」の一言と共に真正面から駆け出して行ったのだ。
馬鹿じゃないのかと驚く中、気付いた警備兵達は撃ち殺そうとトリガーを引くも、放たれた弾丸をゴーストは見えているかのように最小限の動きで避けて行くのだ。
一歩動くだけで、首を捻るだけで、時には身体の向きを変えたりと…。
人間業の類ではない。
「化け物か!?」
「なんで当たらないんだ!?」
「止めろ!止めろって!!」
必死になって撃ちまくるも弾幕を掻い潜って肉薄する様に驚愕しながら、あんな化け物を相手する事になった警備兵に僅かながら同情してしまう。
あっと言う間に懐まで潜り込んだゴーストはCQCによる高い技術を披露しては次々と警備兵を無力化していく。
恐るべき技術だ。
先ほどと違って感心したように見つめ、当の本人は納得がいかないように頬を膨らませる。
「誰がバケモノですか?
「居る訳ないでしょうそんな人!?」
「――え?」
「――え、居るの!?」
…居るのか?とツッコミを入れたタキヤマ同様の視線を向けるもゴーストも見返すのみ。
信じたくはないが嘘はついていない様子。
「どうでも良いがアンタが味方で心強いよ」
「僕としては蛇の相方が
言っている意味は解らずも、いつまでも喋って足を止める訳にはいかない。
気絶した兵士を処理せずに縛り終えたゴーストに続いて先へ急ぐ。
お世辞ではなくゴーストの戦闘能力は頼りになる。
無茶な正面突破は勿論ながら時には囮としても役に立つ。
「ルーシーちゃん、お腹減ってない?
問題点としては本人が何処か抜けているところだろうか…。
ジッと見つめていると欲しがっていると思われたのだろうか「
「潜入工作員にしては
「なに言ってるの?これでも少ないぐらいだよ。ダンボールとか持ってきてないし」
『何言っているんだこいつは…』
「いや、待てダルトン。潜入任務にはダンボールは必需品と聞いたことがある」
『マジかソレ?』
…戦場でダンボールをどう使うのかは分からないが、何となくそうなんだと深層心理の奥から告げられる。
記憶が戻ったらその辺りの事も思い出せるだろうか。
そんな事を思いながら進んでいると警備兵を発見したゴーストは雑誌を通路に置き、ノック音を響かして注意を引いて誘き寄せると、近づいた警備兵は不審な音の事など忘れて雑誌を夢中で読み始めた。
例え真横を堂々と通過しようと気付かぬほどに…。
あんな手があるのかと
『准将、本部よりお呼びが掛かっております』
『解かった。後を頼むよ』
ワイズマンに呼び出しが掛かったらしく席を外すと同時にB.B.から無線が届く。
またも突然だなと思いながら反応しないように努める。
『悪いけど人払い頼めるかな?』
「……ゴースト、少し離れる。二人を頼んだ」
「了解」
あっさりと了承され、少し距離を離してゴーストたちの様子を確認しながら口元を隠す。
『どうしたスネーク………無線?誰からだ?』
『君がスネークの相棒だね』
『誰だ!?』
『僕かい?僕は凄腕ハッカーのB.B.さ。スネークの協力者だよ』
『なんだと?』
「凄腕ハッカーは兎も角、協力して貰ったのは確かだ」
『酷いなぁ、ワイズマンを呼び出して席を外させたのだって僕なんだよ』
「『―――ッ!?』」
先程本部より呼び出しがあったと言っていた。
と言う事はB.B.は国防省に成りすませるだけの技量があるという事。
スネークは前の一件でそれなりに知っていたが、初見のダルトンは驚愕ものである。
続く驚きをグッと抑え、呑み込んだダルトンは落ち着いた様子を繕う。
『で、
『本当に酷いよ。困ってるだろうから協力してあげようっていうのに』
『協力か…どう思うスネーク?』
「悪い手ではないと思う。信用云々もこれ以上悪くなることもないだろう。怪しくともワイズマンより大分良いだろう。能力もあるしな」
『……ならあのワイズマンが本当に国防省の人間か調べてくれ』
『OK。お安い御用さ』
「それとゴーストという奴も頼めるか?」
『調べたら連絡するよ。じゃあねぇ』
突然現れたと思ったらすぐに去ったB.B.にダルトンは不安を抱き、奴が協力する理由が“面白そうだから”と言っていたのを伝えると不安は深まってしまった。
戻って来たワイズマンは間違いの呼び出しだったと口にした事からB.B.が言っていた事は事実なんだと理解し、奴がどのような情報を得て来るかが状況打破の手掛かりになればと期待してしまう。
「用事は済んだ?」
「―――ッ、あぁ、終わった…」
ふいに声を掛けられ驚くも表面だけは繕う。
気にしてないのかゴーストはブロック状の栄養調整食品を差し出し、食べるかと視線を向けてくる。
先ほどコーラ缶を渡された際も何か混入されている可能性を考えて、受け取るだけで口をつけない程度には警戒しているだけに、袋から出されたソレはすんなりと断った。
警戒されているのを知ってか知らずか、断られた栄養調整食品をゴーストをもぐもぐと目の前で食べ始める。
「すまない。待たせた」
「…何かあったのか?」
「どうも間違いの呼び出しだったようだ」
ワイズマンも戻ったことで一時の休息は終わり、目的地である警備部のモニタールーム前へと足を進める。
ここで降ろされたシャッターを解除して上げれば、先へと進めるようになる。
そんな事を思いながら扉を開けるとモニターの少し手前に並ぶ端末類の向こうに大柄のナニカを目撃した。
ナニカと表現したのはスネークがなんなのか判断がつかなかったからである。
身長はゆうに二メートルを越え、ガタイが良いというよりは異様なほどに筋肉などが発達しており、継ぎ接ぎだらけの黄色の肌からは所々で白煙を吹き出している。
生物であることは確かながら人間というよりはモンスターのような見た目…。
並ぶ端末で見ることはなかったが、警備兵数名と戦っているらしいが全く相手になっていないようだ。
銃弾を易々と腕で防ぎ、振られた拳の一撃で次々と倒されていく。
「おい、あれはなんだ!?」
「俺が知りたいぐらいだ。あんたは知っているのか?」
「初見だよ。タキヤマさんはルーシーちゃんと一緒に隠れてて」
ダルトンの驚きに同意するも下調べもなしに放り込まれた俺が知るよしもなし。
非戦闘員である二人に隠れるようにゴーストが指示を出すと、声に反応して警備兵からこちらへと反応を示して振り返り、牙が納まりきらず飛び出した口を開いた。
「お前らも犠牲者候補か?」
「いや、ただの一般通過者です」
「通ると思うのかそれ?」
「ダメだよねぇ…」
「解放された被検体は俺―――ハラブセラップだけではない!女王の生誕は間近だ。封じ込めようとしても遅い!その前に弄んだ奴ら全員なぶり殺してやる!!」
ハラブセラップと名乗った奴はかなり興奮して状態のまま襲いかかってきた。
向かってくるハラブセラップに即座に銃口を向けた二人であるが、警備兵同様に全弾を腕で防がれてしまう。
「なんでこういうおかしな奴が多いんだ!?」
「何故にこちらを向いたの?ねぇ、ねぇ?」
弾を弾いたハラブセラップは手を地面について四足歩行で接近してくる。
まっすぐ逃げるだけでは追い付かれる程の速度の差があり、端末を挟んで回り込んで距離を取ろうと逃げる。
しかしハラブセラップは文字通り腕を飛ばし、壁をつかむと断面と断面を繋ぐワイヤーを引き戻して一気に移動する。
正面からの攻撃は通じないし、逃げようとするも追い付かれそうになって非常に不味い状況だ。
そんな中でゴーストは眉間にシワを寄せ、ハラブセラップに告げる。
「ソレ、上のダクトを掴んで飛び越えれば良いのでは?」
「要らんことを!!」
何を言っているんだと慌てるスネークとは違い、ハラブセラップは冷静にそれもそうかとダクトへと手を飛ばす。
…が、ダクトを掴んだまでは良くても支えきれる程の耐久力はなく、ばきゃりとダクトが折れながら引っ張られるままに落ちてきた。
巻き込まれるように「きゃあ!?」と小さく悲鳴を漏らしながら女性―――ヴィーナスと共に…。
スネークは初対面ゆえに驚き、ゴーストはヤバいと言いたげな表情でそっぽを向く。
「アンタ、わざとでしょ?」
「えーと、どうだろう…」
「折角楽が出来ると思っていたのに」
ギロリと睨みながら呟くヴィーナスは溜め息を溢してハラブセラップと対峙する。
口振りからこちらだけに戦わせて楽をしようとしていたらしいので、ゴーストの発言は英断だったのでは…などと思いながらもスネーク達三人は急遽共闘するのだった。