メタルギアの世界に一匹の蝙蝠がINしました   作:チェリオ

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烏は飛び去り、脅威が迫る…

 建物内だというのに極寒と変わらぬ寒さに息が白くなる。

 並べられたコンテナや壁面、天井や足元に至るまで霜が降りており、凍結している個所も多い中で烏が舞う。

 巨大な冷凍庫のような倉庫内に奴は待ち構えていた。

 

 「ここから先へはいかせんぞ蛇」

 

 声を上げて出迎えたのは巨漢に見合うガトリングガンを手に、弾薬の詰まったタンクを背負うバルカン・レイブン。

 シャツの一枚も来てない上半身は鍛え上げられており、ガトリングガンやタンクの重みを屁とも思わず支え、息どころか肺すらも凍り付きそうな寒さも感じていないようであった。

 軽々しく飛び降りたレイブンは過多な重量を両脚で支え切って対峙する。

 

 「レイブン()は残飯処理ではなく、不要なものを自然界に帰すだけ。時には怪我を負って弱った狐を襲う事もある」

 

 不要なモノ…。

 対峙しているスネークは蹶起したテロリストにとって侵入者である自分。

 そして狐――フォックスは元フォックスであったことを言っているのか、それともフォックスの補充要員だったメリルに向けて言っているのか…。

 なんにせよカラス(レイブン)によって俺達は見つかり、囲まれて戦意を向けられている。

 余裕のある笑みを浮かべながら返す。

 

 「この声は……M1戦車に乗っていた男か。その巨体でよく乗り込めたもんだな」

 「フッ、丁度良い遊びだっただろう?―――俺はカラス達と共に見定めていた」

 「で、合否はどうだった?」

 「合格だ。カラス達はお前を戦士と選んだ!」

 

 レイブンの目から何かが飛び立ったように見える。

 幻覚の類。

 いや、これは奴のシャーマンの力なのか。

 白いカラスが飛び込んでくると身体が動かなくなり、肩にカラスらしきナニカが止まる。

 

 「今、お前は死の宣告を受けた」

 「死の宣告…」

 「お前、東洋人の血が流れているな?なるほどなるほど、お前も俺達と同じモンゴル系か。アラスカ・インディアンは日本人に近いとも、祖先が同じとも言われる」

 「知り合いに蝙蝠はいるが、烏の親戚は居ないんだが?」

 「フン、蛇は気に入らんが同族なら手加減はなしだ。見せてみろ蛇よ!!」

 

 ガトリングガンを構え直したレイブンに対して、スネークとメリルは銃口を向けるよりも先にコンテナの影へと駆けた。

 広い場所であるがコンテナが並んでいるので開けてはおらず、寧ろガトリングガンを前に直線状に立つことになる。

 さすがのスネークもガトリングガンと真正面から撃ち合いするのは遠慮したいところだ。

 射線上から出たところで轟音と共に弾がばら撒かれた。

 

 「下手に身を乗り出すなよ!ミンチにされる」

 「分かってるわよ。けどこのままじゃあ…」

 「これを使え」

 

 スネークがメリルに渡したのはリモコンミサイル。

 確かに遠隔操作で攻撃できるので、ミサイル自体が撃ち落される事はあっても、自身が射線に跳び出す必要性はない。

 だけど何故自分に渡したかを察してスネークを見つめるも、小さく笑って走り出して問いかける事は出来ない。

 否、問いかける必要性もない。

 烏は蛇にご執心。

 囮を務めるから仕留めろとのご要望だ。

 

 「これは外せないわね」

 

 重役を任された事に喜ぶと同時に責任感に肩が重くなる。

 決してリモコンミサイルを担いだ重さだけではない。

 

 やはりというか当然ながらタンクを背負い、ガトリングガンを持っているだけに歩みは遅い。

 一歩ごとにドスンドスンと音が立つので、居場所は解り易い。

 待ち構えたスネークはひょこっとコンテナから出るとファマスを撃って即座に移動。

 お返しと言わんばかりのガトリングの弾幕は洒落にならん。

 

 それにしてもと…レイブンの頑丈さに恐れ入る。

 撃った瞬間にはガトリングを回転させ始め、弾が放たれるまでは盾にするように銃身で身を隠し、ばら撒く瞬間に重心を向ける。

 行おうとしたら相当に鍛え上げられた筋力が無いと難しいし、盾にしても完全に防ぐことは出来ずに身体にも当たってはいるのにビクともしない。

 どんな鍛え方をしたらあんな風になるというのだ。

 いや、身体を鍛え上げているのもあるが、あれはそれだけではなく精神面での強さか。

 

 「意外と小賢しい。逃げてばっかりか蛇よ。それとも何か狙っているのか?」

 「さぁ、どっちだろうな」

 「浅知恵だな!」

 

 いつまでも同じ戦法が通じる筈もなく、曲がり角で待ち構えていたスネークに対してレイブンが先制して弾幕を張る。

 跳び出そうとする一歩手前で止まる事が出来たので助かったが、危うく肉塊にされる手前だった…。

 狙った訳ではないがメリルが誘導したリモコンミサイルが側面よりレイブンを捉えた。

 

 「見えているぞ!」

 

 撃ち続けながら銃身を横へと向け、弾幕でリモコンミサイルを撃ち落した。

 メリルは決めきれなかったことに焦るが、機会を活かすようにスネークが飛び出して、ファマスを撃ちながら突撃を仕掛けた。

 ほぼ無防備なレイブンに着弾して行くもまだまだ倒れる気配はない。

 寧ろ再び銃身を戻そうとしているぐらいだ。

 不味いと思った矢先、マガジン内の弾が尽きた。

 交換している時間はなく、左右はコンテナで隠れれる場所はない。

 ファマスを投げ捨てながらソーコムピストルをホルスターから抜こうとするが、銃身が向くのが若干ながら早い。

 

 気付こうとも止める事は出来ない。

 レイブンもそうなると解って頬が若干緩んだ。

 

 ―――ナニカが居る…。

 

 視界の端。

 黒いナニカがコンテナの上からこちらを見下ろしている。

 本能的に視線を向けてしまったがそこにはナニも居らず(・・・・・・)、その僅かな行動が決定的な生死のラインを違えた。

 

 ソーコムの弾が叩き込まれる。

 距離も近く、スネークの狙いは正確で即死ではないが確実に致命傷を貫く。

 何発何十発も叩き込まれたレイブンも、さすがに堪え切れなくなりコンテナに凭れかかった。

 

 「どうやら……不要だったのは俺のようだな…」

 

 ガトリングガンを落とし、立っているのがやっとな様子であるが、気を抜かずにマガジンを交換して構えていると、メリルが駆け付け合流する。

 視線を向けるが対峙するだけの気力もなく、凭れかかったまま立つのがやっとだ。

 

 「スネーク、これを持って行け…」

 「セキュリティカード?どうして俺に?」

 「お前は…いや、お前とボスは自然が創り出した蛇ではない。俺達が知らない世界から来ている――決着をつけて来い」

 

 受け取ったセキュリティカードを警戒して眺めるが、奴の感じから罠と言う雰囲気はなかった。

 そのままポーチにしまい込み、視線を戻したところで「あぁ、そうだ」と思い出したように閉ざし掛けた口を開く。

 

 「そうだ、一つ教えといてやろう。お前の前で死んだダーパ局長―――あいつはデコイ・オクトパス。奴は血液まで擬態する」

 「血液までってどういう…」

 「まさか!?血を入れ替えたのか…」

 「ふっふふふ、人は騙せても死神までは騙せれなかった」

 「死神?いや、それより何故そんな手間を」

 「そこから先は自分で考えるんだな」

 

 ばさりと周囲に止まっていたカラスが一斉に舞い、血みどろなレイブンに飛び付く。

 それが意味するのは自然界でなら当然の光景。

 見据える事の出来ないメリルはそっと目を反らし、スネークは直視して最期を見つめる。

 

 「俺の残骸は残らない。魂も肉も骸も自然に還る。良いか蛇よ!俺はお前を見ているぞ!!」

 

 集まった烏が飛び立ったそこには大きなタンクとガトリングガン、飛び散った血が残るだけだった…。

 局長の死体の謎は解けたが何故偽装する必要があったのかと言う新たな謎が出て来た訳だ。

 考えるも答えは早々に出ず、ため息を一つ零す。

 

 なんにせよやる事は変わらない。

 デコイ・オクトパスがすでに死んでいたとなるならば、サイコ・マンティスにバルカン・レイブンを含めて最低でも三人、バットがスナイパー・ウルフに勝利していると考えると四名ものフォックスハウンドの精鋭を倒した事になる。

 いや、片腕を失ったリボルバー・オセロットは弱体化して、蹶起したテロリストの中で残る強敵はリキッド・スネークのみ。

 もう一人捕まった時にひと目見た少女も脳裏に過り、色々あって今まで調べる事もしてなかったと忘れていた事を思い出した。

 整理しているとエレベーターが上がっている音が聞こえ、身を隠しながら様子を伺うとバットが搭乗していて安堵の吐息を漏らす。

 

 「下まで凄い音がしてましたが大丈夫だったんで?」

 「なんとかな。そっちは?」

 「こっちもなんとかと言うところです…かね…」

 「ちょっと顔色悪いわよ?」

 「ホットドリンクのデメリットがきつくって…」

 「え、アレって人体に害があるの!?」

 

 驚きの声を上げるもそうじゃないと即座に否定される。

 ホットドリンクは感覚的にではなく肉体的に寒さに強くなるが、寒さ耐性を得る代わりに逆に下げる事が難しく、息を吐く度に白い湯気を出していては狙撃手に見つかってしまう。

 という理由から雪の中に埋まって、口の中には雪を絶え間なく含み続けたおかげで腹の調子が良く無いのだとか。

 エレベーターに乗り込む前に吐き出したけども体調不良は完全には治ってないとの事。

 苦笑いを浮かべる他無かったが、兎も角無事合流できてよかった。

 三人は並んでようやくメタルギア格納庫へだと足を進める。

 

 コンテナの上より眺めている人物がいるとも知らずに…。

 

 

 

 

 

 

 「いったい……どれだけ歩けば………着くんだ?」

 

 ハル・エメリッヒことオタコンはゼェゼェと息を切らしながら吹雪の中を藻掻くように進んでいた。

 軍属でも雪に慣れ親しんでいた訳でもない科学者である彼に女性とは言え人一人を担いでの雪中行軍はキツイものがある。

 それでも彼女―――スナイパー・ウルフを放置して去るなんて選択肢は存在せず、同時に彼女が気を失っても手放そうとしなかった狙撃銃を置いて行くという行動も取れずにいる。

 生存率を考えるのならある程度荷物を棄てて身軽になるべきだったのだ。

 

 さらに彼を襲うは猛吹雪。

 目の前ですら見えない吹雪の中で、すでにどちらから来てどちらへ進めばいいのかさえ分からない。

 進んでいる様で迷っているのではないかと脳裏を過る。

 周囲にはウルフドックが付いており、時折先導したり背を押したりと手助けはしてくれているようだが、歩みが遅いのもあって中々建物に辿り着けない。

 

 「クソッ…こんな事なら鍛えておけば…」

 

 口にしたところで詮無き事であろうとも言わずにはいられなかった。

 歩き疲れて肺が痛いどころか凍り付きそうだ。

 ズシっと痛みを感じて足元がふらつき、二人揃って雪の上に転がる。

 これは本格的に駄目かと思った矢先、猛吹雪で見辛いがナニカがそこに居た。

 

 一瞬スネークやバットと期待したが、影ながら巨体である事から違うと解かる。

 倒れた際に眼鏡も落としたために良くは見えないが、どうも形から熊のようであった。

 

 「くっ、こんなところで…」

 

 足が竦みそうになる。

 ここで立ち止まっていても、逃げ出してもその場合はウルフが喰われる。

 けれど挑んだところで熊に勝てる事はまずありえない。

 震える中でウルフドック達が唸り声を挙げて警戒するも、即座にそれを解いて道を開けた。

 

 熊はのそりのそりと近づき、鼻先をウルフに寄せてにおいを嗅ぐ。

 食べる気かと思って割って入ろうかとするが、ウルフドックが裾が噛んで止める。

 嗅いだ熊はひと鳴きすると側面を向けて屈み、まるで乗れと言っているような行動を見せた。

 

 「い、良いのかい?」

 

 困惑しながらも頷いた熊の背にウルフを乗せ、続いて自身も乗ろうと頑張るも中々乗れず、ウルフドック達に押し上げて貰ってようやく乗る事が出来た。

 のそりのそりと歩く熊に揺られ、気付けば施設らしき建物の近くに到着したらしい。

 思ったより近かったと思うも、あの猛吹雪の中では短くとも危険が伴う距離には変わりない。

 

 乗る時よりは楽に降りた。

 訂正しよう。

 熊によって滑るように落とされたオタコンは、次に降ろされるウルフを受け止めて支える。

 その衝撃で僅かに意識を戻したウルフが熊に微笑みかける。

 

 「お前が迎えに来てくれたのかびぃ…」

 「ウルフ?ウルフ!?」

 

 もしかしてと焦るが再び気絶しただけかと知って安堵する。

 それはウルフドック達も一緒だったらしい。

 ふと僅かながら重みを感じてポケットを触ってみると、どうも転んで外れた眼鏡が入っていたらしい。

 かけ直したオタコンは敵地の真ん中で、ステルス迷彩は自分の一着しかない事実を思い出し、見つかったら一巻の終わりだと再度理解して何処かへ隠れなければと周囲を見渡す。

 とりあえず目に付いた場所に入ろうしたところで、熊に礼を言うのを忘れていた事に気付く。

 人の言葉を理解出来るかは解らないが、こういうのは気持ちの問題だ。

 

 「あ、ありがとう。君のおかげで助かった…よ……あれ?」

 

 振り返った先には熊の姿は一切なく、ウルフドック達は項垂れる姿ばかり。

 他に何かあるかと言われれば、石が積み上げられたちょっとしたお墓らしきモノがあるぐらいだった…。

 

 

 

 

 

 

 ナオミ・ハンター。

 彼女は拘束されて尋問される事に相成った。

 マスター・ミラーの追加調査で明らかになったのはナオミ・ハンターという女性は中東で行方不明になっており、無線で支援をしている彼女はナオミ・ハンター本人ではなく、何処かでナオミ・ハンターの個人情報を入手して名乗っている誰か。

 加えてロイ・キャンベル大佐の調査の結果、彼女がアラスカに暗号通信を送っていた事が明らかとなり、信じられないと言った風ではあったがスパイの可能性が高まった事で、拘束及び手荒い事はしたくないが尋問せざるをおえなくなった。

 

 スネークにバット、メリルはそのナオミがスパイであったという情報と共に、身を隠したオタコンが情報収集を行って得た新たな情報にも耳を傾ける。

 

 今回アームズテック社がメタルギア開発計画に携わったのは会社が経営難に陥っていた事が原因だという事。

 次期主力戦闘機の入札に失敗し、SDIの中止及び軍縮による煽りを受け、吸収合併される話も持ち上がっていたらしい。

 核抑止を推奨していたベイカー社長はダーパ局長に多額の賄賂を渡し、会社の再起もかけて本計画に挑んでいたという事が、ベイカー社長の個人フォルダにハッキングして得た情報。

 ベイカー社長の思惑以上に驚いたのが元々オタコンがハッカーで、バットが勝利はしたが仕留めず意識を失ったままのウルフの面倒を見ているという事だろうか。

 

 ウルフ生存も含めてバットに視線を向けると、そっと目を逸らされてしまった。

 別にそれ以上追及する気もないのでこの話題はとりあえず放置する。

 

 問題はここからなのだから。

 メタルギア格納庫に到着して指令室を抑えようとした三名だが、格納庫に入ってからの警備と整備兵を含めた人員の異様な少なさと、司令室内に見えた三人の人影の前に姿を隠し様子を窺う。

 蹶起の首謀者でフォックスハウンド実行部隊隊長リキッド・スネーク。

 切断された腕部を包帯できつく縛り、隻腕ながらもコンソールに向かって作業を行っているリボルバー・オセロット。

 そして拷問室に入って来て険悪な空気を出した少女。

 

 この少女に関してはレイブン戦後にキャンベル大佐に問いかけたが情報はなし。

 ただ尋問というより問いかけたらナオミが簡単に答えてくれた。

 

 とは言ってもフォックスハウンドに所属している中でも最も謎の多い少女。

 身体能力は年相応の平均ぐらいで、年齢的にも肉体的にも隊員では決してない。

 そもそもフォックスハウンドの隊員かどうかも怪しいとの事。

 大佐もそれは実証済みでファイルを漁ったところで該当する少女の存在の記録はなし。

 部隊内でも見かけるとしてもオセロットやリキッドと共に行動しているのがほとんどで、情報としても彼女の命令しか聞かない専属の部隊が存在するなどという噂と、“ミネット”と呼ばれているぐらいのもの。

 

 「PALの入力完了。安全装置解除。これで核はいつでも発射可能になりました」

 「準備完了…ね。けど実際核は撃つのかしら?」

 「返答が未だ無しだからな。舐められるのも癪に障る。どちらにせよ向こうがそう言う態度を取るのなら撃たねばなるまい」

 「目標はロシアのチェルノートンのままに?」

 「いや、中国ロブノールに変更だ。お前もゴルルゴビッチも自国に核は落としたくないだろう?」

 「もっと大都市を狙った方が良いのではなくて?」

 「フフフ、こういう事には疎いようだな。都市部に落としては事を大きくして交渉どころではない。物事には落としどころというものが必要なのだよ」

 「でも核を撃った事実は隠せない。事は荒立つわよ?」

 「違うな。ロブノールには核実験場が存在する。ならば核実験の失敗というカバーストーリーが成立し易い」

 「悪い人ね。撃ち込まれた中国にもみ消したい合衆国。大国同士の探り合い化かし合い」

 「いや、それだけではない。必ず我々が手にした新型核の情報も少なからず洩れるだろう。そうすれば他国は取引込みでコンタクトを探り、機密を漏らしたくない合衆国は我々の交渉に応じるしかなくなる」

 「ビッグボスのDNA情報(・・・・・)に5000万ドルですね」

 「これでゲノム兵の奇病も治療できる。FOXDIE(・・・・・・)の血清も上乗せした」

 

 身を潜めて聞き耳を立てる中、三人とも疑問を覚えた。

 ビッグボスの遺体を求めているのは知ってはいたが、元上官の遺体を奪還する為にしては事が大き過ぎるとは思ってはいたが、それがビッグボスのDNA情報が必要だったからと判明したところで、それを何に使うのかと言う疑問に変わり、さらにゲノム兵の奇病と言うのも気になるところだ。

 それとFOXDIE(フォックスダイ)と言うのは一体何なんだ?

 

 「お前の元上司だったセルゲイ・ゴルルゴビッチ大佐は?」

 「大佐は慎重でメタルギアの性能に懐疑的です。ですが核発射のデモンストレーションを行えば必ず合流するでしょう」

 「軍事力を背景にロシアの再建を行うにはメタルギアと新型核弾頭は必要不可欠だからな」

 「その顔、あまり興味ないって感じね」

 「当然だ。ロシアの再興など俺にとってはどうでも良い―――俺はここにビッグボスの意志を継いだ国を創るぞ!」

 「なっ、セルゲイ大佐との約束を反故になさるのですか?」

 「言っただろう。俺には興味もないと。ただ協力してくれるなら手は貸してやろう。なにせここには多くのゲノム兵にメタルギア、それと核が幾らでも貯蓄されている」

 「しかしサイコ・マンティスが死んでゲノム兵への洗脳が解けかけています!このままでは士気が…」

 「別に良いじゃない。私の人形にすれば問題解決よ」

 「ゲノム兵への洗脳は許可しないと前もって貴様にも伝えた筈だが?」

 「あら、ごめんなさい。一番の解決法だと思ったから」

 「士気の事なら気にするな。ゴルルゴビッチの部隊は千人を超す。奴らが合流すれば否応が無しでも士気は上がる」

 「問題はFOXDIEですかね」

 「あぁ、年寄りから先に発症するというのは正しかったな。まさかデコイ・オクトパスが死ぬとは思えなかったが…」

 「試作品をいきなりの実践投入とはかなり焦っているようですな」

 「いくら焦ろうがもう無駄だ。局長も社長も死んだ今となっては解除出来る者は居ない。メタルギアを――俺達を止める者はいないのだ!」

 

 解除したリキッド達は指令室を後にした。

 隠れて窺っていたスネーク達は色々と疑問を感じるも、スネークとバットは何処か不思議そうに首を傾げる。

 

 「確かミネット…だったか。何処かで聞いた気がするんだよな」

 「スネークも?俺もなんか聞き覚えあるんだよなぁ」

 

 喉に小骨が突き刺さったように、喉元まで出掛かりそうなもやもやとした感情に苛まれる。

 メリルがそんな二人に首を傾げるが、それはもっともな反応である。

 なにせ彼ら二人はミネット・ドネルとの面識は一切なく、聞いたとしても会話の一部であっただろうし、無線越しに関わったアリスはこの世界に渡ってきていないのだから、この引っ掛かりが取れるのは大分先の話になるのであった。

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