メタルギアの世界に一匹の蝙蝠がINしました   作:チェリオ

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毒蛇の巣穴に集まる者達

 ジンドラ解放戦線が築いたガルエード要塞。

 堅固な要塞であると同時に地形と自然を利用して大軍での侵攻を阻み、幾度となくジンドラ政府軍の攻撃も跳ね返した難攻不落の要塞に、奪取されたメタルギアと開発に携わった研究者が運び込まれた。

 事態は急を要すも核兵器による報復や強奪された失態を隠し通したい事もあって強硬策は使えない。

 そこで提案されたのは敵要塞に潜入工作任務。

 迅速に現地に工作員を送り込む為に輸送機を飛ばし、制空権の隙間を縫う様に要塞防空圏ギリギリまで接近後、敵地のど真ん中にパラシュート降下が行われた。

 降下したバットは現地でスネークと合流して要塞に潜入すべく移動を開始するが、姿を晒して堂々と真正面から突っ込む事も、道中停車してあるトラックで気軽に乗り付ける訳にもいかず、足場の悪いジャングルを三キロも走破しなければならない。

 ただでさえ悪路が続く上にジャングルの至る所に配置された敵の目を掻い潜り、見つからない為には泥沼に浸かりながら進むなど多少なりとも精神も体力も削りながらの進軍となってしまった。

 ようやく要塞前にまで辿り着いた二人に対して、キャンベル大佐から凶報が届く。

 

 『悪い知らせだ。先行して潜入していたデルタフォースが壊滅したようだ』

 「―――…一人も?」

 『もしかしたら生き残りは要るかも知れんが、こちらでは確認しようがない』

 「テリコの例があるからな。こっちでも一応生き残りがいないか情報を収集しながら動く。それにしても壊滅とは――…今回の敵も厄介そうだな」

 『相手は特Aクラスの傭兵を雇っているらしいからな』

 

 ロビト島で唯一生き残ったスペンサー隊に所属していたテリコの例を挙げて、淡いかも知れないが希望を抱きながら会話していた間に、知らない声が割り込んでバットは誰だと眉間に皺を寄せる。

 

 『強敵に会ったら俺に連絡してくれ』

 「傭兵のヴィーゼルだったか?」

 『凄腕が抜けてるぞ。今回俺が雇われたのは情報提供だからな。報酬分の働きはさせて貰うさ』

 「強敵に会ったら連絡する」

 『こちらはCIAのマクブライドだ。君に関しての資料は見せて貰ったが、過信して相手を甘く見積もらないで貰いたい。彼らはレアメタルや麻薬の密輸出などで年間5000万ドル以上の資金を集め、裏ルートで最新の武器をも調達している』

 「心配どうも。作戦を続行する」

 

 ヴィーゼルからマクブライドに相手が変わり、バットは不機嫌そうに無線を切った。

 マクブライドとしては当然の一言である。

 なにせ相手はソリッド・スネークと共に数度もメタルギアを破壊した実績と経験を持っているが、まだまだ歳の若い兵士である事から浮かれられても困るとの釘を打ったのだ。

 しかしながらバットとしては親父や師匠を含めて自身よりも強者を知っており、今までのメタルギア事件においても強者と交戦してきた事実がある。

 油断すれば如何に有利な地点で構えていたとしても、一瞬で狩る側から狩られる側へと入れ替わる事も実体験で理解している。

 

 まさにバットからすれば“要らぬ世話”。

 傲慢とも若さゆえの強気とも取れるも、あえてスネークは口にする事はなかった。

 

 今のバットはヴェノム終焉の地で事を起こした相手に対して油断や甘さなどは持ち合わせていない。

 寧ろ怒りに我を忘れたりしないかの方が心配な程だ。

 小さくため息を漏らしたスネークは、途中発見したトラックに残されていた拳銃“FNファイブセブン”を確認しながら要塞を見上げる。

 

 「さて、壁を昇る自身はあるか?」

 「遮蔽物もない見晴らしの良い壁を攀じ登るとか無理だろ。しかも日中に」

 「ほう、その言い方だとあの壁は登れるように聞こえるんだが」

 「訂正する。昇ることすら出来ねぇよ」

 「何処か抜け道を探すとするか」

 

 要塞を囲む巨大な壁を沿いながら敵兵とカメラに注意しながら、ぐるりと回ってみると小屋でサプレッサーを見つけ、外と中を繋ぐ小さな扉を発見する事が出来た。

 入ればそこら中に兵士の姿を見るも、コンテナやトラックなど遮蔽物もあって潜むには充分そうだ。

 ただ進み辛くフェンスが張り巡らされているのが少々面倒ではあるが…。

 

 とりあえず先に進みつつ、現地調達しようと停車しているトラックの荷台に入り込む。

 バットは紫からスネークを通して装備を受け取ったが、スネークはけん銃一丁のみ。

 加えて爆発物系の武器が無いのでメタルギアを破壊するには足りなさ過ぎるので、手榴弾や対戦車にも通ずるロケットランチャーなども欲しいところ。

 荷台に入った矢先、先客が待っていた事に二人は戸惑う。

 

 「遅かったわね、お二人さん」

 「――ッ、お前は確か…」

 「ミネット。ミネット・ドネルだったか?」

 

 荷台の奥で退屈そうにしていたミネットはクスリと嗤う。

 スネークもバットもシャドーモセスで初対面を果たすが、関りはロビト島で起きた騒動ですでに持っていた。

 

 公式では当時ハイジャックされた飛行機に偶然乗り合わせた少女で、唯一動ける事からアリスの指示を受けて爆弾解除を果たした勇気ある乗客。

 しかし正体はロビト理化学研究所の事件に関与したウィリアム・L・フレミングの娘の肉体に、同研究所で行われていた研究“ネオテニー”の最後に残った被検体二人の片割れの精神を宿した存在。

 

 シャドーモセス島の事件後に彼女の存在を知るべく、ロビト島での作戦指揮を執ったロジャー・マッコイ大佐に連絡をすると、公式での活躍してくれた事とハイジャックから解放された乗客名簿に名前こそあれど、その先は不明となっている事を資料で伝えてくれた。

 あの事件にもリキッドが関与していた疑いも出るが確信も証拠もない。

 その少女がリキッドと共に行動していたのを知っているばかりか、こちらに操った兵士を差し向けて敵対した事実がある以上は警戒対象。

 

 子供であろうが構わず銃口を向ける二人に、ミネットは臆することなく微笑んだままで両手をふらふらと上げる。

 

 「別に貴方達とやり合う気はないわ。人形は貴方に壊されちゃったもの。それとも私がガンアクションするように見える?」

 「アクションは解らんが袖下にデリンジャーを隠しといて、背後からズドンとされるかも知れないだろう?」

 「そういう理由を付けてこんな幼子の服をひん剥きたいの?とんだ変態ね」

 

 明らかに揶揄われている事に腹を立てるバットだが、スネークが頭をポンと叩いて本気で相手にするなと視線を送る。

 

 「この一件にお前達(・・・)――奴も関わっていたのか?」

 「まさか。貴方と違ってリキッドは本当に死んだのよ」

 「ロビト島の一件にも絡んでいる疑いがある。シャドーモセス島の事件からそう間もないお前さんがここに偶然来たとは考えづらい」

 「正確に言うとオセロットは知っていたらしいわ。けれど詳細は私も知らないし、計画自体には興味ないもの」

 「ならどうしてここに?保護者(オセロット)も来ているのか?」

 「私一人だから警戒しなくて大丈夫よ」

 「一人……ねぇ」

 「本当に耳が良いのね。人形を連れているだけでオセロットは来ていない。これで満足?」

 

 やれやれと肩を竦ませるミネット。

 少なくともバットの耳には三名以上の足音を捉えていた。

 ただし、姿は一切見えやしない。

 

 「ステルス――…光学迷彩か」

 「爆破処理もされず放置された施設内に、置いておくなんて不用心で勿体ないじゃない」

 「あの時のものか」

 

 オタコンの研究室にあった四着のステルス迷彩。

 一着はオタコンが使用していたが残っていた三着は敵兵が着用し、エレベーター内に潜んでいた。

 あの時の敵兵は倒したがステルス迷彩は未回収のまま。

 周囲にいる連中はそのステルス迷彩を使用しているのだろう。

 

 ――と、いう事はとバットは鼻で嗤い、逆にミネットはムッとした表情を浮かべた。

 子供らしい様子に普段であれば微笑ましさを感じても良いが、敵要塞内で敵らしき少女と見えない敵兵に囲まれた状況ではそうもいかない。

 

 「貴方達のせいで蹶起は失敗。あえて指名手配された私も追われる身で肩身が狭いのよ。潤沢だった資金も蹶起の計画と共に消え去ったしね」

 「なら鞍替えか。自身を売り込みに」

 「それはないわ。彼らは私達を憎んでいるもの」

 

 まるで認識のある言い方に二人がピクリと反応を示すも、問いかけるより先にミネットは唇に人差し指を当てる。

 余裕を持った態度で嗜めるような視線。

 何かしら意図は持っているも自ら語る気はないようだ。

 

 「一つだけ教えてあげる。私は個人的な理由とおつかい(・・・・)を頼まれたの」

 「随分と物騒なお使いだな。後で保護者には説教してやろう」

 「そうしてちょうだい。お使い内容は話せないけど、私個人の目的なら話せる」

 

 聞こうと促すと「教えて下さいも無いのね」とぼやくも、話すつもりはあったようで続けてくれた。

 

 「ここの連中の中にちょっとした知り合いがいるの」

 「恋人でも奪ったか?」

 「おじさんは下品ね。でも半分正解にしといて上げる。彼らの戦友の命をたくさん」

 「寧ろ外れの方が良かったんだが」

 「それは残念ね。名前は“マリオネット・アウル”。彼に用があって狙っているの」

 「誰だか知らんが気の毒だな」

 「敵ながら同情するよ」

 

 用というのがどういう意味なのかはさておき、碌な事で無いのは何となく察する。

 同じ人形遣いなのか知らないが、出来れば関わり合いたくないものだ。

 さて、そこまで説明したと言う事はどうも最初の予想も外れだったらしい。

 

 「共同戦線……なんてどう?」

 

 向こうからしたらこちらが陽動となり動け易く、こちらからすればミネットも少なからず陽動もしくは敵戦力の減少には多少なりとも役立つ。

 彼女がステルス迷彩を着ていれば話は別だが、オタコンの研究室にあったのは大人用の物で合わなかっただけに姿は丸見え。

 服装が派手ではないが簡素ながらふわりと可愛らしく動き辛いものを選んでいる辺り、潜入工作に長けている訳でもなさそうだ。

 見つからないようにするには駒に寄る敵兵の排除しかない。

 敵の戦力も減るし、倒されたと知られれば捜索隊を組むなどして戦力の分散を図れる。

 だが、最悪の場合は裏切って敵に与する可能性もある。

 

 「俺達はお前を信じられる確証も無ければ、ここぞとばかりに裏切られる可能性の方が高いだろう」

 「飲んでくれないならここで大声を上げるだけだけど?」

 「脅しか。お前の身も危険に晒されるぞ」

 「ここから逃げるだけなら何とかなるし、お使いが失敗に終わるのはそこそこ困るけど、潜入がバレて警戒が強まったら困るのはそっちの方じゃないの?」

 

 ぐうの音も出ない。

 やり口というか感覚的にアリスを相手にしているような気分になり、バットは後頭部を掻きながらため息を漏らす。

 

 「勝手にしろ。俺達は俺達で任務を熟す。そっちが敵の誰と何をしようが知った事じゃない―――ただ敵対した時は」

 「分かってるわ。お互い不干渉ってだけで充分よ。もしもアウルと会ったら生きたまま捕縛するか、教えてくれたら嬉しいのだけど」

 「機会があったらな」

 

 バットのため息とミネットの微笑が交差し、話は決まったとばかりにミネットは姿見えぬ駒を引き連れ立ち去って行く。

 その背を見送りながらバットは甘いなと少女を評価した。

 

 本当に囮とするならば接触する事無くこちらを観察しながら後を追うだけでも良いものを。

 母さんのように狡猾さがあれば違っただろうが、手下への指示出しもだが交渉事も不得手で単純に獲物を横取りされたくないだけに、釘を刺して来ただけのようだ。

 

 「俺達も行くぞバット」

 「了解。その前に奥にダンボール転がってるけど」

 「持って行くに決まっているだろう。アレは潜入の必需品だ」

 「はいはい――ん、無線か?」

 

 随時こちらの情報が伝わってはスネークと碌に会話が出来ないので切ったが、受信機能まで切ってはいないので向こうから繋げる事は出来る。

 キャンベル大佐かと思って耳を傾けるも、どうも電波が悪いのか雑音が混じる。 

 

 『――ダレ……応とぅ………聞こえて―――誰か、応答してください』

 「女性?けどメイ・リンではないな」

 

 徐々に鮮明になった音声にスネークが女性の声ながらメイ・リンではないと判断。

 本作戦の支援要員に女性はメイ・リン以外に居らず、なればこの声は誰だという疑問が浮かぶ。

 

 「聞こえている。そちらの所属を問う」

 『良かったぁ。私はデルタフォース所属クリス・ジェンナー軍曹です』

 「デルタ?壊滅した筈じゃあ」

 『………残念ながら私以外は…』

 

 応答すると同時に情報共有する為にキャンベル大佐の無線に繋げると、向こうでも生き残りが居た事にざわつきが耳に付く。

 無線越しではあるが確率的に薄いと思っていた生存者との接触は有難い。

 クリス軍曹も声色から安堵した様子が感じ取れる。

 

 『貴方は救出部隊の方ですか?』

 「いや、そちらと合流後に協力する予定だった潜入工作員だよ」

 『部隊ではなくて工作員?単独でここに―――ッ、もしかしてフォックスハウンド?』

 「――…所属はしていないが、元所属だった蛇の相方だ。本来は狙撃手なんだがな」

 『バット(蝙蝠)!噂は聞いています』

 「噂ね、あんまり聞きたくないな。で、そちらの状況を教えて貰えるか?」

 『奴らは化物よ。“ヴァイパー”というのに待ち伏せを受けて部隊は壊滅』

 「情報が漏れていたのか……それともトラッパーの類か」

 

 軍曹の話を聞いて考えている最中、情報が漏れたという一言に極秘ゆえに絶対にありえないと主張するマクブライドと、絶対なわけあるかよと大局的な意見を告げるウィーゼルがぶつかり合っているのが喧しい。

 話としてはウィーゼルに完全に同意する。

 仲間だ同志だと信頼や信用をしていようとも個々人で抱えている物や欲、弱みなどの強弱が存在する以上は寝返るだけの隙間は少なからず存在する。

 

 (母さんがそう言った隙を突いて幾つのギルドを潰したと思ってるんだか)

 

 硬い結束を謳っていた大型ギルドもじわりじわりと疑心暗鬼という毒を注入され、終いには裏切りに内部分裂から抗争まで発展したのを目撃した事もある。

 理由は無理やりな勧誘と脱退させないように汚い手を使っていた……だったか?

 壊滅させた理由こそ曖昧なれど別段そこは重要ではない。

 

 『絶対なんてあり得ない。金で仲間を売る奴だっているんだ』

 『黙れ!作戦を知る者は身元調査が行われ、誰も信頼の置ける―――』

 「ごちゃごちゃとうるせえ!今はクリス軍曹から情報を聞いているんだ。答えの出ない応酬で雑音を奏でるなら黙ってろ!もしくは無線を切ってそっちだけで勝手にやってくれ!」

 

 さすがに五月蠅くて怒鳴ると『おっと、すまねぇな』とウィーゼルが軽く謝罪を入れ、マクブライドはばつが悪そうに押し黙った。

 

 「すまない。話の続きだがこの要塞にメタルギアはあるのか?」

 『はい、組み立てはほとんど終わっているらしいのですが、何処にあるのかまでは………』

 「技術者の方は?」

 『そちらも何処かに監禁されているとしか…すみません』

 「切り口を変えよう。軍曹はどうやってガルエード要塞内部に潜入を?」

 『東側の建物の窪みが排水溝に繋がっているので』

 「排水溝だな。了解したが――…軍曹はどうする?撤退すると言うのなら脱出を助けるが?」

 『いえ、私は残ります。任務を続けなくては』

 「分かった。なら要塞内で合流しよう」

 『こちらでも情報を調べれるだけ動いてみます』

 「気を付けて。また後で」

 

 バットが了承した事にスネークが小声でガールスカウトのお守など出来ないぞと言うが、反論するよりも「またか」といった視線を向けて聞き流して無線を終了する。

 

 「どうして認めたんだ」

 「帰らせた方が良いと言うんでしょうが、人手は多少でも多い方が良い。それにデルタが壊滅した待ち伏せを生き残っただけの実力はあるのなら有用でしょう」

 「なら良いんだがな」

 

 そう口にしながらも軍曹から情報である潜入に使用したという排水溝へ向かうのであった。

 

 

 

 

 

 ジャングルより幾つもの目がガルエード要塞に向けられる。

 肉食獣のような鋭い眼光を向けるも気配は一切感じさせない程の人間達。

 周囲を警戒しているジンドラ解放戦線の兵士達も気付く様子はなく、もしもそれらが敵対行動をとっていたら要塞に知らせる前に壊滅していたところだっただろう。

 それほどに潜んでいる者らとの練度の差が隔絶していた。

 

 「業者より社長へ。家屋(要塞)に何かが住み着いた(入り込んだ)模様」

 『入り込んだ種類は?』

 「おそらく蛇と蝙蝠……近づこうにも警戒心が強く、確認するのは非常に難儀かと」

 『そうか、そうか。蛇と蝙蝠か』

 

 無線越しに社長と呼ばれた男はクツクツと笑い、煙草に火をつけて一息つく。

 楽し気な雰囲気とは別にジャングルに潜む一行には変化はなし。

 

 「後は毒虫らしいのが数匹―――駆除しますか(・・・・・・)?」

 

 立場(・・)からすればこの進言は当然のものであった。

 直接的な敵ではないものの彼らからすればシロアリの類であって、住み着いたのを知っていて放置したならば基礎を食い散らかされて、いずれは住まいが倒壊しかねない。

 駆除――…もとい排除するなら早い方が良いに決まっている。

 だが、相手は()と答える。

 

 『家主から発注は受けていないし、無理に取る必要もない』

 「例の件(メタルギア)に余程夢中になっているのでしょう。気付いてないだけでは?」

 『報告は受けている。報告から勝手口は開けていた(・・・・・・・・・)ようだ。それも案件の一つという事だろう』

 「では如何なさいますか?」

 『様子見(監視)だけで十分。決して深入りして毒蛇に噛まれぬようにしてくれ』

 「了解」

 

 そう返信すると無線を切り、周囲に潜む者に通達する。

 

 「交戦不要。監視を続行せよ」

 

 要塞周囲三キロ以内に潜んでいる二個小隊程の精鋭が獲物を狙う蛇が如くに睨みを利かす。

 例え目的は違えど同じ方向性を向いている連中がどうなろうとも、入り込んだ者達がどのような結末を迎えさせようとも…。

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