メタルギアの世界に一匹の蝙蝠がINしました   作:チェリオ

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 明けましておめでとうございます。
 度々投稿が遅れるかも知れませんが今年もよろしくお願いいたします。


第25話 「出撃前に…」

 スネークは大きなため息を吐き出し、その場に座り込んだ。

 バットとロイと共に独房を脱出したスネークは食糧集めをバットに任せて一人通信施設に忍び込んできた。

 ロイのおかげで幾分か情報を仕入れたとしてもこの状況を打破するにしても情報も状況も不足し過ぎて手の出しようがない。援軍、または詳しい情報を得る為にも連絡する必要があり、幸いなことにもスネークには解読され難い回線に覚えがあった。ただもう六年も前のものなので使えるかどうかは賭けであったが、昔からの縁と言うものは中々切れないらしい。

 

 使用した回線というのはスネークイーター作戦時に使用していたもので俺からの連絡があるかも知れないとゼロ少佐が確保しておいてくれたらしい。

 ただそのゼロ少佐は先月国防省の手によって拘留されている。

 通信に応じてくれたパラメディックの話によると一月前にFOXが護衛中だった軍の機密兵器を盗み国外へ逃亡。ゼロ少佐は反乱を扇動した嫌疑をかけられ国家反逆罪の容疑で拘留。そして俺は反乱の首謀者とされている。

 どうしてこんなことになったのか…。

 しかも反乱を起こした隊員が参加しなかった隊員を殺害してFOXは壊滅状態。

 援軍も期待できない上に濡れ衣まで着せられて敵地のど真ん中…。

 状況は最悪である。

 パラメディックとシギントが力になってくれるのはありがたい。が、その二人から出された打開策が首謀者の捕縛or排除。

 反乱に加わったFOX隊員にここのソ連兵。

 対して俺達総数たったの三人。

 戦力差を考えるとかなり厳しいものだ。

 不安やモヤモヤとした感情が押し寄せて来るが、それらを心強い味方という希望で打ち消して立ち上がる。

 

 「何時までもうじうじ悩んでいても仕方がないな」

 

 弱々しくも笑みを浮かべ二人が待つトラックへと向かう。

 エンジン音を響かすトラックを使用するのは場所を知られる可能性があるが、ロイが足を骨折している為に移動に必要不可欠となったのだ。

 あれから時間も経っているしバットも食糧を手に戻ってきているだろう。

 付近を警戒しながらトラックに近づき、小刻みに合図としてたリズムでノックする。

 下手に入って誤射で戦死など笑い話にもならない。

 

 「今戻っ――」

 「おい!こいつはいったいどうなっているんだ!?」

 

 いきなり詰め寄って来たロイに驚き目を見開く。

 いや、詰め寄って来たことにも驚いたが足を骨折して動けないんじゃなかったか?

 疑問符を浮かべていると奥より「まるでおかしいみたいな反応を…」と膨れっ面のバットのつぶやきが聞こえたが、お前がおかしいのは前々だから否定はしないでおこう。

 

 「で、なにがあった?」

 「あいつに足を見せたら一瞬で骨折が完治したんだ!」

 「なんだそんな事か…」

 「なんだって普通あり得ないだろう」

 

 未だ興奮状態のロイの両肩にポンと手を乗せて落ち着かせる為にも軽く押さえる。

 そして諦め、同情ともとれる視線を向ける。

 

 「気にしてたら身が持たない。あいつは非常識が常識の化け物だ」

 「だれが化け物ですか。失礼この上ないんですけど」

 「怪我が瞬時に完治することもあれば蜂の巣の中から軟膏のチューブを取り出したりする事もある」

 「蜂の巣からチューブ?すまない。まるで意味が分からないんだが…」

 「俺から言える事は一つだ。慣れろ」

 

 呆然とするロイから手を放して端に腰かける。

 勿論バットから抗議の視線を向けられるが受け流す。

 諦めたのかため息を吐くと手にしていたナイフの柄をロイに差し出した。

 

 「今度はロイさんの番ですよ」

 「あ…あぁ、すまない」

 

 二本のナイフを受け取ったロイは木の板に乗せられた肉などをトントンと刻んで行く。

 ミンチを作っているんだなと思いながら見つめているとロイが呟いている言葉が妙に気になった。

 

 「ティティタプ…ティティタプ…」

 「なぁ、そのティティタプ?ってのはなんなんだ」

 「ん、良く分からんがこれをミンチにする際に言えって」

 「正しくはチタタプですよ。そう言いながらみんなで叩くんだそうですよ」

 「お前が調べた調理法か?」

 「まぁ、そうですね…っとはい、スネークさん」

 「・・・・・・ナニコレ?」

 

 差し出されたスプーンにはシワが入った桃色の物体が乗せられていた。

 俺の見間違いでなければこれは脳みそではないか?

 まさかなと思いながら確認を取ろうと恐る恐る口を開く。

 

 「これって脳みそじゃないよな?」

 「いえ、脳みそですよ。ボクがさっき獲って来たばかりの()から取り(・・)出した新鮮な脳みそです」

 「…まさか食べろと」

 「ボクの料理は食べれませんか?」

 

 先ほどのはシャレなのか。

 本気で食えと言っているのか。

 などと言う言葉はにっこりと笑ってはいるものの怒気を纏っているバットに気圧されて口からは出せなかった。

 さっき化け物呼ばわりしたせいかな。

 なんにしても食べないと怖いな。

 これからの食事が俺だけレーションオンリーにされないように食うしかないか。

 

 「…頂こう」

 

 差し出されたスプーンを意を決して口に突っ込みもちゃもちゃと噛み締める。

 途中「おいしいですか?」と聞かれたのだが美味しいと答えるより脳みそを食べているんだという事実に戸惑って頷く事しか出来なかった。

 けれどまぁ、美味しかった…。

 脳みそを食べきるとロイよりナイフが差し出され今度は俺が刻む番らしい。

 

 「刻みながらで悪いが今後の話だ」

 

 とんとんと叩きながら話を進める。

 ロイは真面目な表情で聞く姿勢を取り、バットは何処で調達したのか鍋を持って外に出て行く。

 荷台のすぐそばで準備をしながら聞くつもりらしい。

 

 「現在俺は反乱を起こしたFOX首謀者として嫌疑をかけられている」

 「それはまた…アンタ一人なら逃げ切れるとしても帰国したら拘留待った無しだな。下手したら無期限の」

 「あぁ、だから目標としては反乱の首謀者を捕縛か殺害するしかない。それと奴らが奪取した兵器の回収、または破壊だ」

 「兵器っていうとメタルギアかなにかですか?」

 「それが詳細は解らなかった。解らないと言えば反乱を起こした理由もだがな」

 「まさか俺達三人で対処するのか?」

 「出来れば現地の兵士をこちらに引き入れたい。ロイ、そしてバット。二人に引き込みを頼みたい」

 「出来るかどうか分からんぞ」

 「ボクも自信はありませんよ」

 「それでも頼むよロイ。それとバットは自信が無くともいつの間にかしているだろう?」

 「?…ま、了解しましたっと、そういえば何処かで医薬品手に入りませんか」

 「医薬品?」

 「えぇ、スネークさんが戻ってくる前にキュアーで確認したのですけどロイさんがマラリアを発症しそうなんですよ」

 「…本当にどうなっているんだか……コホン、ロイはそういう場所に心当たりはないのか?」

 「俺には無いな…」

 「なら現地の兵から聞き出すしかないな」

 「でしたら当面の目標は医薬品の確保の為、敵兵の取り込みですね。了解です」

 

 気の抜けるような軽い返事であったがバットゆえにそれが心強くも感じる。

 軽いブリーフィングを終えたスネーク達は先へ進もうと動き出すのであった。

 

 

 

 その前にバットの料理で腹ごしらえを済ませてからだ。

 鶏肉のつみれ汁は絶品だった。

 アレを食べた時のロイが今日一番驚いていたな…。

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