次回の投稿は九月ごろにしようと考えております。
詳しくはあとがきに書きますのでそちらを見て頂ければと。
それでは本編へどうぞ。
スネークはパイソンと共に階段を駆け下りる。
ジーンの事はバットに任せた。
俺達はあの弾道メタルギアを止める事に専念する。
ミサイルサイロ最下層に降りた二人は跳び込む様な勢いで、扉を開いて弾道メタルギアと直接対面する。
大気圏を離脱する巨大ブースターユニットの先端に問題の弾道メタルギア。
こいつを何とかしなければ核攻撃が起こり、世界は報復と言う名の戦争の渦へと落ちて行く。
「スネーク!時間がないぞ!!」
「っく、コンソールは…」
辺りを見渡せば直接入力できるように置かれていたコンソールを見つけた。
それは良かったのだが、同時にモニターに表示されている“三分”という時間に表情を曇らせる。
すでに弾道メタルギアは発射態勢に入っており、それと繋がっているコンソールに表示されているタイムとなれば、確実に発射までの秒読みとみて間違いはない。
つまり三分以内に何とかせねば俺達も世界も終わると言う事だ。
コンソールパネルを操作しながら無線機で呼びかける。
無論、ここで呼び出すのはゴーストと名乗っていたソコロフ。
奴ならば何か知っているかもしれない。
「ソコロフ!制御パネルがロックされて変更できない。こいつを止める方法は!!」
『無理だ…。そもそも発射態勢に入った弾道メタルギアの固体ロケットモーターには点火後の燃焼制御機構が組み込まれてはいない。発射態勢に入られたら変更は不可能だ』
「どんな方法でも構わん!核攻撃さえ止められるならなんでも良い!」
藁にもすがる思いで叫ぶ。
成功率が0に近いギャンブルだとしても淡い期待と共に、全力でやるしかないんだ。
そんなスネークにソコロフはほんのわずかな可能性を口にする。
『ブースター点火前にメタルギア本体を破壊すれば…』
「それで止められるのか!?」
『弾道メタルギアは目標地点にパラシュート降下後、小型核弾頭を発射する』
「つまりアレさえ破壊できれば核攻撃だけは止められる訳か」
『しかし装甲は戦車以上。ブースターが傷つけばミサイルサイロごと吹き飛ぶぞ!』
弱点を晒しておくわけも無しか。
至極当然の判断だが、それを今から破壊する身としては恨まずにはいられない。
だが、そんな嘆きを口にする時間は無い。
「火傷では済みそうにないな」
「危険は承知の上だ。やるしかない!!」
発射まで二分を切り、スネークは大慌てでバックパックよりRPGを取り出す。
その間、パイソンは持っていた銃器にてメタルギアへの攻撃を行うも、戦車以上の装甲に対してAKの弾で抜けられる筈もなく、虚しくカンカンと金属同士がぶつかり合う高い音が虚しく響く。
スネークが立ち上がり、構えた事でパイソンはトリガーより指を離して見守る。
狙いをしっかりつけたRPGの弾頭は逸れる事無く弾道メタルギアに着弾した。
爆発が起きて爆煙でどの程度ダメージを与えれたか確認できないが、もう一発弾頭を同じ個所目掛けて放つ。
同様に爆発が起き、ゆっくりながら煙が晴れて行く。
二人が見上げる先にはハッキリとは確認できないけれども、下から見えるような損傷は窺えない。
それどころか無傷にさえ見える。
「クソ…駄目か…」
諦めを口にしたスネークは弾道メタルギアに銃弾が当たった光景を目の当たりにした。
隣にいるパイソンは銃口を降ろしている。
となれば一体誰が…。
その回答は周囲を見渡せば一目瞭然であった。
壁に取り付けられた足場と言う足場に兵士達が居た。
自らの意思で助けに来てくれたニコライ達に元々はここの兵士であったが仲間になった者、それにこちらに引き込んでいなかった敵兵士達の姿まであった。
敵も味方も関係なく、各々が拳銃やら短機関銃やら、手榴弾やらを使って弾道メタルギアに攻撃を集中していた。
「止めるんだ!そんな武器なんかで何とか出来る代物じゃあない!
無謀だ。
戦車以上の装甲である以上対物ライフルやロケット砲弾ぐらいでなければダメージを与える事は出来ないだろう。
このままでは立ち上がってくれた勇敢な兵士達が、発射時に撒き散らされるブースターの衝撃により死ぬ。
スネークは必死に叫ぶも誰一人手を止めようとしない。
それどころか笑みを返す者まで居る。
「ここでアンタらを死なせるわけにはいかない」
「アンタたちは俺達の祖国を救おうとしてくれている。なら今度は俺達が助ける番だ」
皆の言葉に心が高ぶる。
まったくもってこいつらは…。
スネークは残っていたもう一発の弾頭を取り付ける。
パイソンも負けじとマガジンを幾つも交換し、銃身が焼けつくような勢いで銃弾をばら撒き続けた。
発射30秒前になり、パイソンが全員に退避を促す。
もうここが限界だ。
兵士達は下がりながらも銃弾を撃ち続け、パイソンも出入り口まで下がる。
頼む、止まってくれと祈りながらスネークは最後の一発を向け、トリガーを放つ。
弾道がメタルギアに直撃する直前、ブースターより煙が放たれる。
カウントダウンは終了し、弾道メタルギアは空へと飛翔しようとしている。
噴出された強大なエネルギーがスネークに迫り、スネークは為す術もなく宙に浮いた。
ただし、それは噴射によるものでなく、バットに言われて降りてきたエルザの能力によるものであり、浮いたスネークは迫る噴射による衝撃よりも少しだけ早く扉へと引っ張られる。
勢いから通路に投げ捨てられるように転がされるスネーク。
スネークが通路に入った瞬間に、パイソンが扉の開閉スイッチを押す。
しかし動くのが遅すぎた。
狭まった扉の隙間より衝撃が入って来ると理解し、エルザはスネークとパイソンを自分が居る壁際に引き寄せ、能力により衝撃を防ぐ。
まるでSF映画の様な光景を目の当たりにし、スネークは打ち上がっていく弾道メタルギアの轟音を耳にするのだった…。
もう助からない事を自覚しているジーンは、意識を失っているバットを眺めるばかりでトドメを刺す事はしなかった。
いや、しようとしてもこの様では動くに動けない。
一応ヌルも居るには居るが同様に意識を失っている上に、ジーンの興味が逸れているので気にも留められていない。
ぼんやりと自分の技術を継承したバットを眺めていたが、背後より響く轟音によって意識はそちらに持っていかれる。
「発射されたか…」
弾道メタルギアが放たれた。
もうアレを止める手段は無い。
世界は戦争への道へと進んでいく。
自分が思い描いていた計画と異なり、今となってはもはやどうでも良い事。
大きく息を吐き出し、だらんと力を抜いて手足を垂らす。
可笑しなモノが見える。
自分の死が近いからか今まで見るどころか感じる事の出来なかった存在が、バットの横に立っているのを目の当たりにする。
赤色に青色、灰色と言った透き通っている色だけで構成されたような人…。
否、そもそも人であるかは怪しいが、その単色のシルエットがバットを囲み、そのうちの一人が身体を撫でるとバットの身体が薄れて行く。
何をしているのか?
アレが死神と言うならば連れて行くのは自分の筈。
なのに何故バットに手を出す。
それは私を継いだ者だ。
手出しはさせない!
「何を…するか!そいつから離れろ…」
動くのがやっとの身体に鞭を打って、微々たるものだが近づき言い放つ。
表情は無いが私の発言に驚いた様な雰囲気を出し、シルエットの内の灰色がゆったりとした動作で近づき、目線を合わすようにしゃがんで頭を撫でた。
冷たさも温かさも無いその手に触れられた瞬間、私は未知の世界(原作)を見た。
私の演説により狂乱状態に陥った兵士達の流れ弾により、スネークを庇って戦死する
スネークとの戦いに敗れて散ったパイソン。
私の攻撃でスネークに未来を託しながら息を引き取ったエルザ。
何もかもが私の知っている事柄と異なる物語。
そこにはバットの姿は無く、スネークが一人仲間を集め、一人奮戦していく様子が流される。
私は夢物語のようで決してあり得ない情報が脳裏に過る。
“元々バットはこの世界の住人ではなく、
これは私の頭脳が導き出した答えではない。
恐らくであるが私に触れている灰色のシルエットによるものだろう。
『―っはははは!』
考えを遮るようにバットの無線機より騒がしい笑い声が響く。
聞き覚えのある声だ。
確かスコウロンスキー大佐の声だな…。
「……大佐…」
ぼんやりとながら意識を戻したバットが
『バット、
礼を言うにしては上からの言葉遣いではあるが、本来の性格を考えれば驚くべき事ではあるがな。
…それよりもジーンが気になったのは一矢報いる事が出来ると言った一点のみ。
アレに何が出来るものかと鼻で嗤う。
『ざまぁみろジーンの小僧!貴様の企みは散々見下して来た儂に阻止されるのだ!!』
企みの阻止…。
その言葉によって全てを悟り、ジーンは出来得る限り空を見上げる。
サイロが見渡せる管制室の窓より、発射の為に開いたままの天蓋ハッチから青空が窺える。
飛翔する弾道メタルギアに接近する一機の戦闘機―――ラボチキンlA-5。
スコウロンスキー大佐のコレクションにあったのを思い出し、弾道メタルギアに突っ込む様な勢いで接近し、RS-82ロケット二発が発射された。
一発は外れて空を駆けて行くが、もう一発は見事弾道メタルギアに直撃。
爆発により広がった煙の中を突っ切りながらラボチキンlA-5は空を自由に舞う。
弾道メタルギアのシステムをモニターしていたモニターより警報音が鳴り響く。
視線を向ければスネーク達の攻撃に加え、スコウロンスキー大佐の一撃によって弾道メタルギアの発射システムが完全に死んでしまったのだ。
小型核発射の発射弁は封鎖され、システム自体が破損してもはや機能していない。
これも先には見えなかった光景だ。
そうか…バットが居る事で変わっているのだなと納得すると同時に誇らしく感じる。
たった一人紛れただけで結果は変えずとも、過程や内容をこれほどに変える事の出来る少年が私の後継者なのだと。
「大佐…良かっ…たです…ね」
再び意識を失ったバット。
ジーンは微笑を浮かべて動かした身体を戻して再び凭れ掛かる。
そして灰色が頭から手を離し、身体を撫でようとしたのでジーンは待ってくれと口にした。
「頼みが…ある…あと少し時間が…欲しい…」
そうだ。
私には引き継いでもらいたい物があるのだ。
これはバットの手に余るだろう。
ならばスネークならどうか?
奴であるならばこれを使いこなせる。
それにアイツは私に似ている。
断言しよう。
スネークであるならばコレが必ず必要になると…。
必死に瞳で訴えかけるとソレは少し悩んだが、大きく頷いてバットや他のシルエットたちと共に消えて行った。
ソコロフより弾道メタルギアが停止した事を知り、歓喜に溢れる中でスネークはバットの下へと駆ける。
バットの援護の為も有るが、万が一にもバットが敗北していたらすぐに治療すると同時にジーンを捜索しなければならない。
計画こそ潰したものの、奴が居るのであればまた何か仕出かす可能性が高い。
管制室に大慌てで駆けつけたスネークが目にしたのは腹部より大量の血を流し、僅かながら息をしているジーンと気を失っているフランク・イェーガーだけだった。
そこにバットの姿は無かった。
「奴ならばもう行ったよ…」
コホッと血の混ざった咳をしながらジーンが呟いた。
行ったとはどういうことかと問いただしたいところだが、スネークは以前バットが突然姿を消した事を覚えている。
どうやって姿を消したのかは分からないが、ようはまた別れの挨拶も無しに行ってしまったのだろう。
「今度会ったら首輪でもつけるか」
「くっはっはははは、それが良いかも知れんな」
声を挙げて笑った分、ジーンは大量の血を吐血する。
傷の具合もそうだが服やズボンが真っ赤に染まり、床に広がる血だまりからもう長くない事を察したスネークはジーンに近づいて顔を覗き込む。
計画が潰され、敗北したというのにその表情が見事なまでに晴れ晴れとしたものであった。
「まさか相続者計画で作られた私が…生身のお前たちに負けるとはな…」
「その割には満足げだが?まだ何か企んでいるのか」
問に対してジーンは鼻で嗤い、手に持っていた記録媒体を放り投げた。
警戒しつつもそれをキャッチして見つめる。
「これを持っていけ…それには私が作ろうとしたアーミーズ・ヘブンの為に、密かに集めた装備、人材、資金のすべてのデータが納められてある」
「アーミーズ・ヘブン…兵士達の天国…」
「そうだ…政治によって弄ばれる兵士の悲劇をお前は知っている筈だ」
言われてまず思い浮かべたのはザ・ボスを思い浮かべた。
スネークイーター作戦の裏で何があったかを知った今となっては、思い返すだけでも強い感情が引き起こされる。
それは怒りであり、悲しみであり、痛みであり、恐怖である。
「今回の件もそうだ。国防省がCIAの権威を失墜させるという目的の為に兵士達を利用した」
「お前とカニンガムも利用されていたという事か…」
「違うな。カニンガムは国防省の人間だ。寧ろ私を裏切り、操っていると勘違いしていた哀れな奴だ。そもそもソ連に弾道メタルギアを撃ち込んでも戦争は起きない。カニンガムが証拠隠滅に失敗した場合を想定してソ連の軍部と話しているだろうからな…」
「ならお前は何をしようとしていたのだ!それにアーミーズ・ヘブンとはなんだ?」
「私の本当の目標は………アメリカだ」
「アメリカに核攻撃!?そんな事をしたらどうなるか分かっているのか!!」
「無論だ…未曽有の大混乱が起き、世界のパワーバランスが崩壊する。その隙に私はソレを使い闇より世界のパワーバランスを担う。国家が兵士達を弄ぶのではなく、優れた兵士達の国家……賢者達から世界の解放…」
「それがお前の言うアーミーズ・ヘブンか」
ニタリと嗤ったジーンは手を伸ばし、襟元を掴む。
引き寄せる事も突き飛ばす程の余力はなく、ただただ掴まっているかのようにか弱く、もうジーンの限界が近い事を感じさせる。
「必ず必要になる時が来るだろう。戦い…生き残った者が…後を継ぐ………それが我々の…宿命…」
「俺にお前の
「あぁ、そうだ…最も技術はアイツが受け継いだがな」
嬉しそうに笑い、吐き出す血も無いのか咳だけが続く。
乾いた咳が続いてようやく収まり、掠れた呼吸音を繰り返す。
「自らに忠を尽くせ…スネーク」
そう言ってジーンは眠るように終わりを迎えた。
スネークはジーンより受け取った記憶媒体を仕舞い、この場をあとにする。
これからやる事は多い。
味方になった者をソ連に帰れるようにニコライ達と手を回し、敵対していた者は一応武装を取り上げて捕まえ、ジーンやカニンガムによって着せられた濡れ衣を晴らすために証拠集めに走り、シギント達に話を通して貰うなどなど正直山のように有り過ぎて何処から手を付けたらいいものやら。
「まずはエルザへの説明か…」
パイソンや大佐も気にするところだろうけど、中で一番仲のよさそうだったのはエルザだ。
バットがいきなりいなくなった事をどういうべきか。
“急用を思い出した”みたいな理由で何とか出来たら良いんだが…。
話す前から頭痛を感じたスネークを空を見上げながら苦笑いを浮かべる。
「まったくバットめ。次会った時には文句の一つでも言わせてもらおう」
世界は広いようで狭い。
特に俺達の様な職種であるならば尚更だ。
一言だけ呟くと溜め息一つ零してキャンベル達とも合流しようと動き出す。
どうせまた会えるだろうと思いながら。
バットこと宮代 健斗は目を覚ました。
瞼を擦ってぼんやりとした視界を正常に戻し、周囲を何度も眺める。
ここは自分の部屋だ。
何一つ変わる事の無い我が家。
ただ部屋には送られたゲームソフトも段ボールもなく、またも狐に頬を摘ままれた気分だ。
しかも気を失っていた辺りに何があったかなどの情報は、奇妙な事にしっかりと頭に入っている。
「あー…またしたいのになぁ」
残念ではあるがこのゲームは一回クリアしたら無くなるものと割り切るしかない。
今回の体験は次のゲーム作りに生かされるだろう。
それと同時に作るのも楽しかったけど、やっぱりゲームはプレイするのが一番だ。
ハッキリとそう認識した健斗はこれからの事を考えながら、またも吸えなかった葉巻を眺める。
今度こそ一緒に吸いたいなと願いながら。
前書きで書いた通り次回【PW編】は九月以降の投稿にしようと思います。と、いうのも複数の投稿を行っている事からこの作品は月一投稿をしておりました。
けれども今年の七月で二作品ほど終わりますので、九月より週一投稿へと投稿数を増やす事にしました。
けど現在は薄っすらとした流れしか考えておらず、同時にストックを持っておきたい事から来月から九月前までその作業に当たろうと思っているのです。
出来る事ならもっと早く投稿したいのですが、先も書いたように二作品がクライマックスなのでそちらにも力を割くので多分これ以上の短縮は難しいので…。
それと今まで投稿したSNAKE EATERとPORTABLE OPSを少し書き直せればなと考えてたりもします。
休止となりますが必ず九月には投稿を再開いたしますので、どうかそれまでお待ち頂けれれば有難いです。