初めて出会った時は距離を取っていたのでそれほど実感はなく、二度目はチコを助けようと必死になっていたのと交戦する事が無かったのであまり注意を向けていなかった。
だが、いざ戦うとなると空中に浮遊する“コリブリ”―――否、型式番号TJ-chrysalis6000【クリサリス】の異様さに渋い表情を浮かべてしまう。
スネークもバットも今まで強敵だった兵器と言えばシャゴホッドを思い浮かべるだろう。
強固な装甲に巨大すぎる体躯、驚くべき瞬間加速。
あれと一度でも対峙してしまえば装甲車や戦車など玩具のようなものだ。
ゆえに兵器との戦いとなればシャゴホッドと比較していたので、初戦でもシャゴホッドの小型版、または下位互換ピューパに負ける気はしなかった。
しかしクリサリスはどうだ?
シャゴホッドとは似て付かない巨大兵器。
大きさはシャゴホッドの方が大きかったとしても、旋回性に機動性は抜群に優れ、手も足も届かない空中と言うアドバンテージを持っている。さらに戦車の装甲も一撃で貫通するであろう大型の
戦闘ヘリやメタルギアRAXAとも比べ物にならない程の脅威に二人は表情を歪めながら戦っていた。
『ここで決着をつけよう!クリサリスを排除してくれ!!』
「簡単に言ってくれるなカズ!」
気持ちは理解するもそれを成すのは難しい。
ミサイル兵器を撃とうともクリサリスは瞬間移動のような速度での短距離移動が可能で、誘導でもない限りはサッと回避してしまう。
同時に周囲は深い霧が立ち込めていて見通しが悪い。
戦場そのものがこちらに不利となって追い詰められる。が、負けてやるつもりなど毛頭ない彼らが諦める筈もなく、徹底的に勝機を掴もうと抗い続ける。
「合わせろバット!」
「―――ッ、了解しました!」
二手に分かれて攻撃の分散に努め、反撃を行っていた二人はクリサリスへと武器を構える。
まずはスネークが携帯対地空ミサイル“FIM-43”を発射する。カポンと筒より飛び出たミサイルは火を吹かしながら目標であるクリサリスに向かって飛翔する。
近づくまでは空中で停止していたクリサリスもある程度の距離まで詰められると瞬間移動のような動きで回避しようとした。だが、その程度の回避では不十分。
携帯対地空ミサイル“FIM-43”は目標を捕えたら追尾していく誘導型のミサイル。
回避ルートに入られたが即座に向きを変えてクリサリス尾翼に着弾した。
同時に回避してからバットが撃ったロケットランチャー“LAW”のロケットが頭部に直撃して爆発を起こす。
あの急な加速は連続で使えないらしく、連続で直撃を受けてしまったクリサリスは空中でふらつく。
バットが単発で撃ち切ったLAWを投げ捨てている間に、スネークは追撃しようと二発目を装填して狙いを定める。
体勢を立て直そうとしたのか停止状態から移動を開始し、霧の中に紛れようと突っ込んでいくもミサイルが追尾していき深い霧の中で爆発音が響く。
クリサリスはピューパと同じで移動時に歌を
ただ先も言ったように視界が悪く、周囲の遺跡の空洞などで音が反響して特定し辛い。
見えないのにここに居るよと告げられるのは非常に不気味なものだ。
どうしたものかと悩むもそこは悪知恵の働くバット。
「スネークさん、これを!」
「赤外線ゴーグル!!」
投げ渡されたゴーグルを装着するとぼんやりとしながらもはっきりとしたクリサリスの影が映り込む。
後はそこに向けて三発目をお見舞いするだけ。
「レールガン、チャージ」
電子音が響き、クリサリスが攻撃態勢に入った事が分かった。
焦ることなく一発撃ち込んでから退避行動に入ろうとトリガーを引く。
レールガン射撃時は停止するようになっているのか回避することなくミサイルは直撃。
一瞬怯んだが次にはチャージの終えたレールガンがこちらに向けられていた。
『退避しろ!』
無線よりカズの必死の声が届くも、レールガンの威力を考慮すると壁に隠れても一緒に貫かれる。
舌打ちを一つ零して走り出す。
高速で射出される弾の直撃を避けるだけでなく、地面に直撃して散弾が如く飛び散る瓦礫から身を守らなければならない。
出来るかと不安と焦りが募る。
レールガンが発射されるかと言う直前にバットがロケットを撃ち込み、衝撃で砲身がずれて離れた位置に着弾した。
「通常モード――――チェインガン掃射」
停止状態から移動を開始し、頭上から弾丸の雨霰を降らしながら旋回する。
既にLAWを撃ち切ったバットは手ぶらで走り回り、反撃しようとしたスネークは降り注ぐ弾丸により携帯対地空ミサイル“FIM-43”が損傷。
FIM-43は一発撃つごとに使い捨てるもので、損傷したのは最期の一本で撃ち終えたものなので痛手は無い。
旋回性能が高いと言ってもその巨躯に対してであり、さすがにバイクほどの小回りは持ち得ていなかった。
そして機銃は前方に設置されていたので後方に逃げ込むか、左右に飛び退けば簡単に回避出来る。
逆に停止して攻撃するようなら反撃の隙が出来、どちらが囮を務めて、もう片方が攻撃を行えば良い。
最初は攻撃や行動のパターンを読むまで苦戦し、ようやく知り得た動きと好機に二人は獰猛な笑みを浮かべて果敢に攻め続ける。
「キッドナッパー射出」
この状況を不利と感じたクリサリスの背面より“チコリブリ”を発進させ、数を持って現状を打破しようと考えた。
「今ですスネークさん!」とバットが叫び、降下してくるチコリブリを小型軽量カービン“M653”で撃ち抜いていく。
奴は射出中で動けず、先に射出したチコリブリはバットが抑えてくれている。
ならばと携帯型無反動砲“カールグスタフM2”を取り出し、狙いを定めて撃ち出す。
回避される事無く、吸い込まれるようにクリサリスに直撃し、機体ダメージが限界だったのか至る所で爆発が起き、クリサリスは煙を上げながらゆっくりと着陸しようと高度を下げ………地面に機体を擦り付けるように着地した。
もはや口にする事もない。
ピューパ同様に倒れ込んだAIポッドのハッチに攻撃を集中して破壊。
内部にスネークが入り込んで慣れた様に記憶盤を引き抜いて、バットが外に投げ置いていく。
この記憶盤はマザーベースでヒューイが建造している新型メタルギアに応用するとの事。
今後の事も考えて必要なので回収していくも、またも
落胆しているのは現場だけでなく、様子を窺っていたマザーベースの指令室も同様で、特に敵情に詳しく兵器群の情報提供を行うヒューイの落胆ぷりは
「駄目だ…このままじゃあ核が…」
「―――黙れ」
皆が少しでも過った想いを代弁したヒューイに、低くドスの利いたカズヒラの声が遮る。
肩をびくりと震わせ声の方へ視線を向けるも斜め後ろからでは表情を窺えず、さらにサングラスで目元が隠れているので余計に分からない。
しかしその声色から相当に怒っているのは明白である。
「現状危機的状況なのはここに居る誰もが分かっている。だけどそれを口にしないのは何故だか分かるか?」
一息だけ間を空け、怒気を薄く出来るだけ普通の声色に抑えたカズヒラが問いかける。
場の全員の視線が集まる中、考えるも問いの答えを用意出来ず口どもってしまった。
決してこちらを振り返らずにカズヒラは続ける。
「一番それを強く実感しているのはアイツらだからだ。ここの誰よりも強く、誰よりもこの非常に厳しい任務を熟せるのはアイツらしか居ない。
観ているだけでこれほどなんだ。現場で、それも手が届くような彼らはどれほど悔しかった事か…。
俺達の仕事はアイツらが任務を達成できるように支援する事だ。必要な武器に弾薬を用意し、少しでも助けになるように情報を搔き集め、奴らの背を押して支えてやる。
それが俺達の仕事なんだ。
奴らが歯を食いしばって耐え、諦めずに喰らい付こうとしているのに、俺達が泣き言を口にする訳にはいかないんだ」
腕を組んで強い意志を持って告げられた言葉に、自分の仕出かした事を噛み締める。
なんて情けない事…。
拳を握り締めながら頭を下げる。
「すまない…」
「良いさ。ぼやきたくなる時もある。だが、アイツらの前では口にしないでくれよ」
「分かった。なら僕も僕の務めを果たすとしよう」
こうなった以上頭を切り替えてピースウォーカーが向かうであろう場所を伝える。
情報を得たカズヒラは途中までの移動手段としてヘリを手配し、武器弾薬の準備や接近するまでの移動手段の確保、もしもの別部隊の編制を指示するのだった。
悲観混じる二人の様子を固唾を呑んで観戦する者達が他にも居た。
計画の障害になるであろう邪魔者を排除できなかったコールドマンでも、
真っ白で壁も天井も地面も無いような空間で、それぞれが違う単色で構成された
彼ら・彼女らは観察対象である世界より、模造世界へ魂を行き来させて変化をさせ、それを自らの娯楽として楽しんでいた三体の処分を決める材料――つまり証拠として見定めるべく観察した。
当初はきっちりとその理由の下で観察していた筈なのだ。
が、その後は目的とは大きく異なった。
その場の全個体が
他にも描かれる事の無かった日常のようなワンシーンも含み、見ていたモノは真剣ながらも別の意図で釘付けとなっていた。
コードネーム【バット】である宮代 健斗はゲーム機を通じて世界を渡っており、途中途中に挟む休憩時間内は全員参加の議論や検討が繰り返し行われた。
皆が皆、興奮の熱を灯して抱いた疑問や共感したい場面などを語り尽くす。
終には罰せられる筈だった三体から過去の話を説明させたり、映像データの共有を言い渡されたりもして空間の熱気は激しいものとなっていた。
その光景を
「で、判決に移るかい?」
騒がしくなっても、当初の目的からもズレていた事に対しても何も言わず、彼は感情を含まずに選択を問う。
もはや証拠としては十分である。
採決に入っても問題は無い―――筈なのだが誰も進めようとはしない。
寧ろ進まない方が好都合と言うべきか。
「もう少し吟味してみませんか?」
誰かがそう呟くと誰も彼もが同意し始め、上位個体は頷いて続きを見る事の許可を出すのであった…。
クリサリスを撃破したスネークとバットはヒューイからの情報により、ピースウォーカーの最終実験基地に向かっていた。
場所はストレンジラブ博士の
勿論偽装であり、基地自体は地下に建設されているそうだ。
手に入れた装甲車や戦車で向かうには目立ちすぎる。
戦闘ヘリでの強行突破は敵の警戒が強まる。
徒歩では時間が掛かり過ぎる。
そこで使用されたのは四足の
小型でそれほど目立たず、バイクほどの音を発生させる事は無い。
ただ一歩踏み込む度にガシャリと大き過ぎず小さ過ぎない異音が鳴り、伴う振動が鞍より体へと響き渡る。
『どうだいスネーク。“
「中々に快適だな。ケツが痛むのが難点だが。後はそうだな…ドリンクコーナーが欲しい所だな」
『そこは許して欲しい。短時間で作った急造品だから。そのうちフードコートも付けようか?まぁ、揺れに関しては道が悪いとしか言えないよ』
ヒューイからの無線に冗談交じりに答える。
試作人員輸送四足歩行騎“マート”。
現在マザーベースの技術開発班に所属しているグラーニンとソコロフ、そしてヒューイの三名が手掛けた機体。
元々はグラーニンとソコロフがバットに作っているメタルギア
固定武装は無く、今はまだ荷物と人を運搬するだけの乗り物。
………後方にブースターのようなものが複数取り付けてはあるが、
操作は非常に楽なもので、バイクのようなハンドル操作で方向を変え、スイッチ数個で停止から速度の上昇まで可能。
これは操作性の向上をさせたのではなくバランス性や動きをみる為だけだったので操縦に関して重要視していなかったので簡素にされたが正しい。
乗り心地以外は最適なマートに跨り、エレディア東採掘場偽装基地を見渡せる高台に到着した二人は古びた施設の向こうにある採掘現場を睨む。
夕日に照らされるそこには遠く、小さく見えるが巨大なナニカの姿があった。
『頼むよ。僕のピースウォーカーに核を撃たせないでくれ』
「分かっている。絶対に撃たせはしない」
偽装基地を睨みつけながら答えたスネーク。
だけどバットは少し顔を顰め、小さく息を吐く。
「誘っているかのようですね」
「だな。なんにしても突破してAIを破壊するしか手段は無い」
「シンプルですね―――撃てますか。もう一度あの人を」
「……アレは機械だ。問題なく壊せるさ」
「そう…ですか」
「そうだ。アレは彼女ではない」
納得したようでまだ疑いが残るもそれ以上は何も言わない。
両者とも武装を“マート”より降ろして装備し、空いていた建物内に隠して先を急ぐ。
ここからは偽装基地と言っても元採掘施設であったために使われていない施設が乱立し、資材などがそこら中に積み重ねられている。
姿を隠すにはもってこいな場所ではあるが、それは敵もまた然り。
周囲の気配や音に気を付けなければうっかり出合い頭に遭遇する可能性だってあるのだ。
そしてここがストレンジラブ博士のママルポッドとピースウォーカーを接続する最終施設と言う事で警備兵の練度も非常に高い。下手に見つかれば確実に足を止められる事待ったなし。
慎重かつ素早く進む必要がある。
なるべく銃器を使わず、見つからないように努め、最悪CQCで手早く片付けて、捕虜になっていたサンディニスタ兵士を助けて行った。
施設群を抜けて採掘場に入り込む。
ようやく開けた場所に出て採掘場を見渡す事が出来たバットとスネークは同時に走り出す。
採掘場のど真ん中にシートを掛けられたピースウォーカーが鎮座していたが、到着すると同時に地下へと格納され始めたのだ。
大慌てで坂道を駆け下りて近づこうとするも、段差を利用した死角に敵兵が待ち構えており、集中砲火を浴びる事となった。
「生きているかバット!」
「まだ生きてます!」
お互いに生存を確認するも状況は最悪。
離れた岩陰に隠れ、周囲を伺うと覆面に暗視ゴーグル、防弾チョッキを装備した
「チッ、囲まれたな。狙撃には気を付けろよ。あれは元々は狩猟用だったが改良して軍用狙撃銃として採用されたM700だな。アメリカ海兵隊の主力スナイパーライフルで弾は徹甲弾だ」
「射程外には狙撃手、射程内にはM16A1アサルトライフルを構えた兵士達。さらに頭上にはチコリブリですか…最悪ですね。この場でのピースウォーカーは諦めますか?」
「どのみち間に合わない。ここを突破して基地内で片を付ける!」
「その前にこの状況をどうにかしないと…」
脳を必死に働かせて打開策を模索する中、追い打ちをかけるようにヘリのローター音まで響き渡って来た。
頭上を睨みつけると
…ただ見間違いか見覚えのあるガンシップだったのに二人は薄っすらと高揚した。
下部の装甲が酷く傷塗れなのだ。
まるで強行着陸でもしたかのように…。
『スネーク!バット!もう隠れての行動は無理だろう。援軍を送った!!』
「援軍!?」
Mi-24Aの後部より一人が跳び下りた。
パラシュートも付けずに降下する人物にチコリブリが接近するも、急に停止したかと思えば横にスライドするように動いて二機のチコリブリがぶつかり合って爆散する。
その光景に察して目を見開いた。
着地の瞬間にふわりと身体が空中で制止して、降下速度を無くしてから黒いバトルドレスに身を包んだエルザが舞い降りたのだ。
「エルザさん!?戦場に出て来ちゃったの?」
「無茶が過ぎるだろうに…」
「あら?私の戦闘能力は二人がよく知っていると思うけど」
そう言われたら何も言えない。
メタルギアという足かせ付きで登場し、バットやスネーク、パイソンの三人掛かりでも良い勝負をした彼女だ。
降参だと言わんばかりに両手を上げていると、もう一人が跳び下りてエルザがサイコキネシスで無事に着地をさせる。
「パイソンまで出て来たのか」
「有難いことに研究開発班が最新型の液体窒素入りのスーツを仕立ててくれたからな」
「仕事させ過ぎでしょう。過労死しますよ」
「その前に約一名は高血圧で死にそうだけどな」
頼もしい援軍に気が緩み、多少の余裕が生まれる。
上空に居たMi-24Aはケースに収められた物資を落下させると、道中に通った施設の方に向かって飛んでいく
「背後は彼らが、ここは私達が抑えるわ」
「スネークはバットを連れて施設内へ」
ケースより武器を取り出す二人が示す先には敵兵が出て来たと思われる電子ロック式の扉があった。
行かねばならないのは確かだが、二人を置いて行くのに気が引け……。
遠くよりM700で狙っていた狙撃手がパイソンが担いだ四連装ロケットランチャー“M202A1”にて遮蔽物ごと吹き飛ばされ、身を隠しつつ接近していたコマンド兵はエルザのサイコキネシスにより浮遊した大口径の機関銃“MG3”二丁による弾幕によって蹴散らされる。
気が引けたのは気のせいだっただろう。
目線を合わせて頷くと「任せた!」と叫んで駆け抜ける。
援護を受けながら邪魔する者だけを排除して扉へと走っていくスネークとバットを見送り、パイソンとエルザは微笑んだ。
「さて、実戦は久しぶりだ。まずはリハビリから始めるとするか」
「任されましたからね。出来得る限り頑張りましょう」
敵兵の注意を引く為に二人は可能な限り派手に暴れ回る。
その様子を高所より眺めている“繭”が居るとは露とも知らずに…。
●ちょっとした一コマ:サンディニスタの収入源
サンディニスタ民族解放戦線の代表であるアマンダ・バレンシアノ・リブレは、ぼんやりと空を眺めながら煙草を吹かす。
祖国ニカラグアを追い出され、コスタリカの地でソモサ政権打倒を夢見て来た自分達。
夢の為にはとKGBが用意した麻薬工場で精製した麻薬をアメリカに売りつけ、武器や食べ物を購入してきた。
最初は貧しいながらもなんとかなると未来の自分達に期待し、私達はその大半を容易に奪い去られた。
私とチコの父親でサンディニスタを率いていた指導者。
夢を共有して苦楽を共にしていた多くの同志達。
コスタリカで築いていた拠点の数々。
築くのは時間が掛かり、失うのはあっと言う間だったなとくすぶり続ける憎しみと共に思い浮かべる。
あの頃の自分達はまだ弱かった。
武器もそうだが兵士としてなっちゃあいなかった。
それがここの連中―――
戦闘技術云々の前に基礎からなってないと駄目だしされるレベル…。
チコリブリに捕まってしまい、救出された際に高所より落ちて受けたダメージは抜け、何時までも病棟の一室を占拠するのは申し訳ない上に性に合わない。
急くような現場復帰にカズヒラやエルザは引き留めようとしたが、スネークはあっさりと許可をくれた。
早速現地に向かおうとした私だが、このまま向かっても同じ末路を辿るのは目に見えている。
そこで私達は国境なき軍隊と契約を結ぶことにした。
サンディニスタが欲するのは戦闘能力の向上に武器・弾薬など。
状況が状況なために代金での支払いはすぐには難しいが、コスタリカで活動するスネークとバットの支援・陽動・情報提供なら渡せるとカズヒラと交渉したが「ビジネスとして成り立たない」と却下された後にバットの提案を呑む形で我々は国境なき軍隊の非常に高い支援を受ける事になった。
ジョナサンを始めとした戦闘のエキスパートを教官として、基礎から徹底的に叩き込まれた地獄の短期集中型の特別訓練。
非常識な技術力で生み出された武装の数々。
効率的かつメリットの大きい稼ぎ方などなどを得たサンディニスタは急激に戦力を拡大。
奪われた拠点の奪還も自分達で可能なほど強大な力を手に入れた。
しかし驕る事は一切ない。
昔に比べて多少強くなっても教官を務める国境なき軍隊の兵士の方が強く、さらに上に居るパイソンやエルザには手も足も出せないのだから。
特にスネークとバットになると総勢で挑んでも返り討ちに逢う未来しか見えない…。
「アマンダ!来たぞ!!」
司令官(コマンダンテ)ではなく名前呼びされた事に“馴れ”ではなく“まだ足りない”のだと自分に強く言い聞かせ、煙草の火を消して物陰に身を隠す。
無線機を手にして小声で指示を出す。
「稼ぎ時だ。せいぜい
『第二班、いつでもいけます』
『第三班も同じく』
『第四班、配置につきました』
「いつも通りにやるよ。第一班攻撃準備」
一班に付き五名で構成された合計二十名のサンディニスタ兵士は、建物やコンテナの陰に身を潜めてこちらに向かって進軍してくる戦車へと視線を向ける。
これこそが彼らの稼ぎ…。
「尋常じゃないほど兵器を投入してくるなら、それを奪って売れば良いのでは?」
それがバットが提案したサンディニスタの資金獲得方法だった。
歩兵で戦車を鹵獲など早々上手く行くものではない非常識な作戦ではあるものの、提案した本人からしたらすでに成した事なので、別段危ないとも思っていない。
なんて馬鹿げた事を言い出すんだこの
姿を見せたのはソ連の主力戦車T-72を重装にした改良型であるT-72A。
125mm滑腔砲の威力は凄まじく、さらにサイドスカートの追加に前面には爆発反応装甲などで防御力を向上させ、攻守ともに優れた戦車だ。
戦車に随伴歩兵を含んだ部隊相手に歩兵二十名で相手をする。
散開している班は観測員一人、狙撃手一人、指揮官一人、捕縛要員二人で構成されており、捕縛要員には国境なき軍隊で改良されたカールグフタスM2を装備している。
捕縛なのに携帯型無反動砲を持っているかと言うのはこれこそが捕縛するに最も適した兵器。正確には装填できる特殊砲弾【フルトン砲弾】が適しているのだ。
命中精度が高く、着弾すると周囲に催眠ガスを撒き散らし、範囲内の者を眠らすと同時にフルトン回収装置で一網打尽にする。
まずは第一班が発射して随伴していた歩兵四人に撃ち込んで、フルトン回収にて戦場から遠退ける。
勿論敵も気付いて警戒するも相手はこちらの姿を確認しなければ戦闘態勢に移行されない。
素早くスモークグレネードで煙幕を張って視線を断つ。
攻撃を受けた事実を知りながら、煙幕とあからさまに視界を塞がれても、敵はマニュアル通りにしか動けないのか警戒で立ち止まる。
戦車の周囲に沸くように敵兵が出現するも、次は第二、その次は第三、さらにその次は第四が同じように兵士をフルトン砲弾で無力化して第一班に順番が戻る。
これらを繰り返せば随伴歩兵は出現しなくなり、何故か戦車を操っている部隊長が姿を現す。
そこに各班の狙撃兵が一斉に麻酔弾を撃ち込んで眠らす事で無力化して作戦は終了。
存外に簡単で呆気ない。
砲弾や麻酔弾は少々高いが一台何百万ドルもする戦車が新品同様で手に入るのであれば黒字で塗りつぶせる。
回収した兵士達は国境なき軍隊に引き渡して
仲間と共にBTR-60PAを重装化した装甲車BTR-60PBに乗り込み、T-72Aを連れて近くの拠点へと向かうのであった。
ちなみに兵員移送用に使っているBTR-60PBも鹵獲品である。
ピューパ戦に続きクリサリス戦終了!
これで当分は…と思っていたら次のAI兵器との間隔短すぎない?
久しぶりにゲームプレイしたらほぼ連戦なんだけど…。