詳しい理由はあとがきにて。
ベッドの上に横たわっているクワイエットは
清潔感のある真っ白な天井に、柔らかくもあり硬くもあるベッド。
周りを簡易なカーテンで仕切られている事から、ここが病室である事は理解出来た。
なんで私はここに居るのだろうと疑問を抱くも、靄が掛かったような思考では思い出すのも一苦労。
起き上がろうとしたが身体が重く、起きたばかりだというのに眠気が酷い。
倦怠感も感じつつ、再びベッドに体重を掛けてギシリと音を立てる。
天井の灯りから目を覆うように腕を顔に乗せると、腕が多少冷えていたのが気持ちよい。
額との温度差から少しばかり冷えてスッキリして、もたついていた思考が動き出す。
確か今日はヒューイの裁判を行い、巣立つ子供達の見送りをして…。
一日の流れを思い出したクワイエットは勢いよく起き上がる。
思い出したのだ。
子供達がヘリに搭乗し、騒ぎ立てるヒューイをバットの動きに合わせて眠らせ、そしてそのバットに銃口を頭に突き付けられた事を。
突如として撃たれたこともこうして生きている事にも疑問を抱くが、まずはここから…マザーベースから離れなければ。
自身に埋め込まれた声帯虫が変異する可能性から来る不安感から無理やり立ち上がろうとするも、カーテンが開かれてエルザが微笑を浮かべながら覗き込んできた。
「起きたようね。大丈夫よ」
何がと疑問を浮かべるがそれを理解する前に自身が逃げ切れない事を把握した。
開かれたカーテンの先にはオセロットにパイソン、ミラーにチコ、ヴェノムの五名が椅子に座ったり、壁に凭れかかったりして集まっている。
それぞれ武装を手にしてだ。
現状武装がない状態でエルザ一人相手取るのも難しいのに、武装を施された彼らも居るのであれば逃げるなど不可能だろう。
逃げれないと理解したクワイエットは上げた腰を下ろす。
「もう
「―――ッ!?」
その言葉に驚愕と焦りで喉を咄嗟に押さえる。
いつも黙っているから喋れないと思っている者もいるというのに、エルザは喋っても大丈夫と言った。
思い当たる節は一つ。
スカルフェイスにより報復に使えと仕込まれた英語株の声帯虫。
けれどそれはバレて
声帯虫の事件があった後、ダイヤモンド・ドッグズに所属された兵士達は検査されたが、正式には所属している訳ではなかったクワイエットやスカルズはその検査から
首を触ったところで声帯虫の有無を確認出来る訳もなく、その動作にオセロットが鼻で嗤う。
「お前たちスカルズの管理はバットに一任していた。万が一お前たちが声帯虫を持ち込んでいたら、検査でバレるぐらいなら使用される可能性があった。しかしバットならひと目見ただけで相手の情報が把握できる」
「刹那の時間で最新の医療機器を用いた検査以上に正確に。医療班の立つ瀬がないわ」
「いや、バットは異常だから仕方ないよ」
「バットは何処か抜けて間抜けな所はあるが、俺達は絶対的信頼と信用を置いていたからな」
「だが!奴はやはり馬鹿者だ。何の根拠もなく敵であったお前を信じて、俺達に声帯虫の報告を
憤慨したように声を荒げるミラー。
怒っている…いいや、違う。呆れ果てているという方が正しいか。
副指令として大勢の部下を預かる身としてはバットの判断は到底許せるものではないだろう。
しかしここに居る面子の誰からも怒りは感じられない。
「ふん、阿呆だが見る目はあったという訳だな」
「大馬鹿者だがな!」
「阿呆だの馬鹿だの間抜けだの皆口が悪いですよ」
寧ろ軽口を叩きながら笑っている。
その光景をヴェノムは乾いた笑みを浮かべ眺め、エルザは苦笑して軽くため息を漏らす。
「貴方はバットに撃たれたの。銃は麻酔銃だったけどあの時はみんなびっくりしたんだから」
「さすがのクワイエットでもあの不意打ちは対処できなかったわけだ」
「俺達にも不意打ちだったがな」
「医療班大慌てでしたもんね」
「麻酔って解った後は声帯虫取り出すから手伝ってなんて、撃ったこと含めて二重の意味で驚いたわ」
「駄弁るのは後にしてそろそろ再生するぞ」
いつまでも続きそうだった流れを断ち切ったのはオセロットであった。
彼の手にはカセットテープが収まった携帯用の再生機器があり、それをベッド横にあるテーブルの上に置く。
「バットからの
そう言ってオセロットは再生ボタンを押し込む。
カチリとカセットと機器が噛み合うすると、ツゥーと擦れるような音が流れ、少し間が空いてからバットの声が再生され始める。
『あ、あー…もしもし聞こえてるかな。
聞こえてるよね?
…えっと、本当は直に話さなきゃいけない話なんだけど、どうも決心がつかなくて…。
だけど黙って去るのも駄目な気がして、国境なき軍隊で馴染みのあるカセットで伝えようと思います』
誰もが黙って続きを聞こうと耳を傾ける。
そして発せられた言葉に皆が目を見開いて驚愕した。
『実はカリブの大虐殺が起きる少し前、僕はスカルフェイスと手を組んでいたんだ』
コールドマンの“ピースウォーカー計画”を阻止し、メタルギアZEKEに搭乗したパスとの戦いを経て、二人で
マザーベースでの会って話すなどの軽い接触ではなく、一緒に暮らすとなれば今まで知らなかった相手の一面を知る事にもなり、戸惑いや認識の違いが些細な問題が起きましたが、時間をかけて互いに互いへと歩み寄ればそう難しい事は無かった。
一緒に買いだしに行ったり、以前は考えもしなかった散歩をするのもまた楽しく、穏やかで誰かといる時間は居心地が良い。
けれど徐々に余裕が出来てくると蓋をしていた感情が湧き上がっても来たんだ。
それはパスちゃんに辛い思いをさせたサイファーに対しての怒り。
安全面は確保できている事もあって、自分一人で行ってきて晴らしてやろうかと悶々と悩む日々。
自分では気持ちを隠していたつもりだったんだけど、表情に全部出ていたらしく話してと迫られたのだ。
思いと考えていた事を話すとなんとも言えない反応を返された。
気持ちは嬉しいけど、危ない事はしてほしくないみたいな。
その時はしないという話になった。
でも僕ってどうも我侭で我慢が利かないらしいんですよね。
だからパスちゃんを説得して知る限りのサイファーの情報を聞いて、絶対に帰って来ることを条件に許可を貰って“報復”に出る事にしたんです。
戻ってみると僕は行方不明、または死んだことになっていて動くには好都合。
一人でそれらしいところに潜り込んでは情報収集を行う日々。
隠密で単独で出来得る事は知れていて、やはり確信を付く事は出来ずにいた。
そんな日々を過ごしていた時、僕はスカルフェイスと出会ったんだ。
彼はサイファーの頭であるゼロ少佐を追う内に辿り着いた人物で、情報を聞き出そうと捕まえたところ彼も僕同様に…いいや、僕以上に報復心を抱いていた。
正直言って胡散臭くはあった。
けれどゼロ少佐に辿り着くには彼の協力は必須である事は確かで、事実僕は彼の協力を得て短い期間でゼロ少佐に辿り着く事が出来た。
報復方法はより強い想いを抱いていたスカルフェイスの作戦に基づき行い、それが虫を使って脳機能を徐々に低下させるものだと知ったのは後の事だった…。
僕がゼロ少佐に報復を行った日。
それはマザーベースがスカルフェイスの私兵となっているXOFに襲撃された“カリブの大虐殺”当日…。
まんまと僕は奴の罠に引っ掛けられてしまった…。
可能性の問題だとパスは慰めてくれたけど、僕は酷く後悔した。
探していた人物にようやく辿り着き、念願の報復を行えるという達成感に酔いしれ、スカルフェイスがそんな計画を実行しようとしていた事に気付けずに共に居たのだ。
事の真相を知った時には時すでに遅し。
マザーベースは襲撃を受けた後で、メディアにまで取り上げられていた。
酷く絶望したよ。
自分の無力さに、自分の無能さに…。
スカルフェイスを問い詰めようとするもすでに消息を絶った後で、絶望に満ち溢れていた僕では探すのも覚束なかった…。
僕は真相を報復の対象だったゼロ少佐に伝えた。
すると彼は憤慨する様子もなく「そうか」とだけ言って、逆に僕に手伝ってほしいと頼み込んできた。
生存が知られれば追われる身となる昏睡状態の
頷かない訳にはいかなかった。
久方ぶりにエヴァさんと会い、二人で
去り際にゼロ少佐は自らの後悔を告げて来ました。
どうしてこうも憎しみを向ける事になったのか。
どうしてこんな別れ方をしてしまったのか。
どうしてあの時、共に進める道を模索できなかったのか。
後悔しても後悔し切れないと言った彼は、死を前にした事で今は憎しみなどでなく
虫に侵された身では最早
だから彼は最期に僕に
懺悔にも似たバットの言葉に誰もが黙る。
内容が内容だけにミラーが慌てるも、オセロットが制止してそのままこの場の全員聞かせた。
そもそもクワイエット以外の誰もが
オセロットは
ミラーは立場もあってオセロットから。
エルザは能力的に、パイソンは長年の付き合いから、チコに至ってはバットの呼び方ですでに察していたのだ。
無意識か意図してなのか解らないがバットは
話を聞いている内にヴェノムは以前から仄かに漂う記憶と記録の相違点に気付き、バットの言葉で記憶が蘇ったのだ。
捕虜となった仲間を助けたスネークを迎えに行ったヘリに乗っていたヴェノムは、負傷していた捕虜の治療を行っていた。
マザーベースに帰投しようと向かうもすでに辺りは火の海。
出来るだけ助けようと援護しながら、副指令を含める数名をヘリの搭乗させて飛び立つも、マザーベースを襲撃していた敵兵のロケット弾が飛翔し、せめて
気が付いたキプロスの病院で救ってくれた“イシュメール”。
何故今まで気づかなかったのだろう。
あの声にあの雰囲気…間違いなくあれは
つまりヴェノム・スネークとはビッグボスの影武者であり、敵の目を引き付ける囮だ。
事実に気付くも憤慨する気持ちは一切ない。
寧ろ彼はあの人の役に立てたのだと誇らしさも感じているのだから。
『これが僕の罪の告白…そしてこれはクワイエットさんへのメッセージ。
病院での一件は聞きました。
貴方はヴェノムさんを恨んでいるのも報復の炎に身を焦がしたから察していました。
けどここって居心地良いでしょ。
恨んでいたのが薄れるほどに』
続けられたバットの言葉にクワイエットは否定しなかった。
そうでなければこれまで声帯虫を使用することなく共に居る事はなかったのだから。
『だから伝えたいんですけど恨む相手間違ってますよ』
肯定しながら静かに聞いてたクワイエットは眉を潜めた。
これは他の面子も同じであったが、今度はオセロットが薄々であるが察して焦りを少し見せた。
『クワイエットさんが虫治療される原因である全身大火傷させたのってスネークさんでしょ?ヴェノムさんじゃないよ』
「いらんことを言うなバット!!」
「カセットに怒鳴っても返事は帰ってこないよ」
「止めろ!カセットを止めろ!!」
「さっきは俺を静止しておきながら随分と都合が良いな。チコ!エルザ!オセロットを阻止するんだ!!カバー!!」
掴んで足止めするチコに、ため息交じりに能力でオセロットを軽くエルザが抑える。
止めようと抵抗するもヴェノムがオセロットを制止する。
そのまま聞かせろと…。
『報復するなら
ヴェノムさんに向けるのはただの八つ当たり。
間違った報復は後悔しか無いですよ。
…僕のように…ね。
―――だから貴方はそこに居て良いんだ。
ヴェノムさんと共に歩んでも良いんだ。
スカルフェイスも声帯虫も全て消え去った。
もう貴方は自由にして良いんですよ。
ねぇ、ヴェノムさん?』
「…あぁ、そうだな」
壁に凭れて聞いていたヴェノムはクワイエットの下へ歩み寄り手を差し出す。
口にはせずにどうすると問いかけるように…。
クワイエットは一瞬躊躇い、恐る恐る手を伸ばす。
誰一人異論を唱える者はいない。
なにせここの
・1964年
ゼロにより創設された特殊部隊FOXの初任務“バーチャスミッション”、ネイキッド・スネークがソ連内に単独潜入。
宮代 健斗(18)が蝙蝠のコードネームと共に世界を渡り、腕を折られたうえに川に落されたスネークを救出。
生還したスネークはザ・ボスとヴォルギン暗殺の為に再びソ連内に単独潜入。
任務名“スネークイーター作戦”を支援する命令を受けて、バットは物資を集めつつ潜伏。
スカルフェイスとFOXと同時期に発足されたXOFは、失敗に備えてセカンドプランの用意を開始。
合流したスネークとバットはエヴァの協力を得つつ、グラーニンを始めとする多くのソ連兵士を味方に付ける。
多くの戦闘を潜り抜けた二人は特殊部隊“コブラ部隊”にヴォルギン、ザ・ボスを倒し、ソコロフが設計した核兵器搭載戦車“シャゴホッド”を完全破壊を成す。
脱出間際、幾度と戦った山猫部隊の隊長オセロットとバットが早撃ち勝負を行い、バットは被弾して初めて負傷。
作戦の成功によりネイキッド・スネークはBIG BOSSの称号を得る。
歴史的犯罪者の汚名を着せられたザ・ボスの墓参りにて蝙蝠は蛇の前から姿を消す。
スネークはFOXを除隊。
バットの説得によりヴォルギンに反旗を翻したソ連兵達は帰国。
多くのソ連兵を助けた英雄として不正規戦闘の世界では蝙蝠の名が知れ渡る。
同年、バットに助けられたソ連兵の一人、ニコライは同じく助けられた兵士達と共に傭兵会社を設立。
意識不明で発見されたヴォルギンを回収。
同じく回収されたジ・エンドの遺体はコードトーカーにより研究される。
・1970年
サンヒエロニモ半島にて当時FOXを率いていたジーンによるメタルギア強奪事件が発生。
賢者の遺産の在処を知ると思われるネイキッド・スネークが拉致・監禁される。
同半島にて部隊が壊滅して唯一生き残ったロイ・キャンベルと単独潜入していたバットと出会う。
FOX隊員や現地でジーンに味方するソ連兵と戦う中で、ジョナサンを始めとする敵兵を味方に引き入れ勢力を拡大し、スコウロンスキー大佐や、パイソン、ヌル、エルザなどを味方に引き込む。
メタルギアRAXAの破壊に弾道メタルギアの目標到達を阻止し、事件の主犯であるジーンを殺害。
スネークはジーンより資金や人脈を託され、国境なき軍隊の発足資金などに使われる。
スネークイーター作戦以降行方不明となっていたソコロフはジーンの下で弾道メタルギアを作っており、裏ではスネークに情報提供などを行って協力した事から家族との再会の手伝いとニコライの会社で身の安全と生活を保障して貰う事に。
ジーンより技術を継承したバットは再び姿を消す。
オセロットがCIA長官を殺害して賢者の遺産の奪取に成功。
ゼロはFOXを解散させ、賢者の遺産を元手に“愛国者達”を設立。
初期メンバーにはシギント、パラメディック、エヴァ、スネーク、オセロットなどの“スネークイーター作戦”に携わった面子が並ぶ。
が並ぶ。
・1971年
スネークを総司令官とする“FOXHOUND”設立。
その後スネークは行方を暗まし、副指令であったロイ・キャンベルが総司令官に就任。
・1972年
“恐るべき子供達計画”によりリキッド・スネークとソリッド・スネークが誕生。
スネークにカズヒラ・ミラー、パイソンにエルザ、ジョナサン達は“国境なき軍隊”を創設。
・1974年
ザドルノフとパスの依頼を受けて、バットが先行して単独潜入。
国境なき軍隊も洋上プラントなどの条件を呑んで、依頼を受けて“ピースウォーカー計画”阻止に乗り出す。
スネークとバット合流後、アマンダやチコなどのサンディニスタ民族解放戦線と接触して同盟及び契約を結ぶ。
民間軍事会社となったニコライの会社と取引を行い、技術者派遣の名目でソコロフとグラーニンが国境なき軍隊に一時的に所属する。
偶然に捕虜にされたセシールや兵器開発に携わっていたヒューイを救出、他にも多くの兵士を味方に引き入れる。
“ピースウォーカー計画”で作られたピューパ、クリサリス、コクーン、それに計画の目玉たるピースウォーカーを撃破。
計画の提案者であったコールドマンは手当てが
コールドマンの下でAI研究を行っていたストレンジラブは国境なき軍隊に入り、依頼者であり裏で暗躍していたザドルノフは拘束して独房へ。
国境なき軍隊にて回収された部品とピースウォーカーの核を装備したメタルギアZEKEと、グラーニンによるメタルギアTONYの開発を開始。
パス、サイファーのスパイである事を公表。
同時にZEKEを強奪し、バットのTONYと激闘を繰り広げた末、二機のメタルギアは大破。
爆発で海に投げ出されたパスと、後を追って飛び込んだバットは行方不明に。
・1975年
セシール帰国。
バットはパスより聞いた情報をスカルフェイスに流し、ゼロに脳障害を起こすスカルフェイスの策略に協力。
核査察団を偽装したXOFは国境なき軍隊を襲撃してカリブの大虐殺を引き起こした。
ネイキッド・スネーク及び、後のヴェノム・スネーク昏睡状態に。
事の真相を知ったバットは心を病み、世界を渡る事をしなくなった。
・1980年
ストレンジラブとヒューイの間に息子、ハル・エメリッヒが生まれる。
・1982年
パスとバットの間に息子、宮代
父親になった自覚からか徐々に立ち直り始め、報復心と共にバットは再び渡る決心をする。
グラーニン、死去。
・1984
バットは子供も成長した事から世界を渡ってカリブの大虐殺を逃れたザドルノフの協力の下、チコを仲間に引き入れてストレンジラブの救出など様々な任務を行う。
キプロスの病院にてネイキッド・スネーク、ヴェノム・スネーク覚醒。
その後、クワイエットを始めとした部隊の襲撃を受ける。
クワイエットは襲撃時に全身大火傷を負い、スカルフェイスの指示で寄生虫を用いた治療と身体強化を行われる。
パイソン、エルザ、ジョナサン、オセロットと共に新たにダイヤモンド・ドッグズを創設したカズヒラ・ミラーは捕虜となり、ヴェノム・スネークによる単独の救出作戦を行われ、追手であったスカルズと交戦中にバットの救援を受ける。
バット、ダイヤモンド・ドッグズに入隊ではなく契約を交わす。
クワイエット、ヒューイ、イーライ、コードトーカー、スカルズを味方に引き入れながら、スカルフェイスの野望を打ち砕くと同時にスカルフェイスを殺害するという報復を完了する。
ヒューイによって変異した声帯虫が猛威を振るうも、エルザと赤毛の少年の活躍により鎮静化。
変異の原因を作り出し、これまでも様々な問題を起こしたヒューイはダイヤモンド・ドッグズより追放。
イーライを始めとした少年兵はダイヤモンド・ドッグズを離れて戦場に戻る。
クワイエットより英語株の声帯虫を取り除き、報復心が緩和されたことで正式にダイヤモンド・ドッグズに加入する。
ネイキッド・スネーク、武装要塞国家アウターヘブンに力をつぎ込む。
・1995年
アウターヘブン蜂起…。
●ちょっとした一コマ:報告事項
“ビッグボス”ことネイキッド・スネークが創設した特殊部隊FOXHOUND。
今はロイ・キャンベルが指揮を執る部隊に、フランク・イェーガー…否、“グレイフォックス”は所属していた。
少し前にロイよりとある女性の護衛の任務が与えられ、完遂したグレイフォックスは暫し休暇を取って自由に行動している。
一応監視や尾行の可能性を視野に入れて行動し、今や完全にフリーの状態だ。
現FOXHOUND最高の隊員の表しである部隊名にもなっている
変装して周囲に気を配り、指定されていた飲食店に入る。
時間帯的に客は少なく、さっと注文をすると奥の席へ向かう。
無線機の周波数を合わせてイヤホンを耳に装着し、首元のマイクのスイッチを入れる。
「こちら“ヌル”。応答してくれ」
『時刻通りだな』
「問題なく指定の場所に入った」
『尾行の形跡は?』
「無い。安全は確保したと考えている。そちらは?」
『傍受されないように対策は講じている。報告を頼めるか?』
頷いたフランクは今一度周囲を見渡す。
これはFOXHOUNDを裏切る行動であるが、本人はそれに罪悪感は一切感じていない。
寧ろ今とっている行動こそ自身が正しいと思えるものであるからだ。
「最初に言っておくが本人に直接会えたわけではない。パスという女性を介してだ」
『…パス、か…』
感慨深そうに呟かれた心情を察し得ない。
フランクはパスと
自身が知り合っていたのなら人となりを判断する事も出来ただろうが、今回が初対面で判断できるほどの時間は得れなかったのだから仕方がない。
「が、事情はだいたい聞けた。
『
「けれども
『なんともSFチックな話だな。だがストレンジラブが関わっているなら話は別か』
「…俺達の周りは結構SFチックではないのか?」
『否定できんな』
くすくすと笑い合う。
半島もFOXHOUNDもだけど一般的技術力を軽く超えている。
たまに街などに出るとよく実感するようになった。
手で口元を隠しながら外を眺めるように座っているフランクの下に店員が訪れ、出来上がった注文の品を届けに来る。
軽く礼を口にするとポテトを摘まみ、外へと視線を戻す。
人目を気にしない席であるが、ずっと一人ぶつぶつと話していては不審がられるので声の音量は下げて話を続ける。
『こちらとの合流はどうだ?』
「それははっきりと断られた。と言ってもこれは彼女の独断だと思うが…」
『思うが?』
「決意は固そうだった」
思い出すと妙な悪寒を感じる。
実際に戦ったなら千でも万でも億でも兆でも勝つと断言できるが、あの笑顔に隠しきれていない濃厚な怒気はこの身を震わせるに十分すぎた。
『
「とてもじゃないが無理だ。俺も貴方も女性の扱いは苦手な部類だからな」
『…否定は出来んな。仕方ない…か』
残念そうに呟くも本心では分かっていたのだろう。
あの蝙蝠は一つの場所に長く留まる事はしない。
自由気ままに突然現れて突然消える。
戦力としては居るか居ないか解らない者は当てに出来ないし、奴の性分にも合わないだろう。
『一応オセロットを通して
「報告にあったイーライ…いや、
『
「子供の成長が楽しみですか?」
『手のかかる子供は蝙蝠で十分だ。そっちは存外に上手くやれているようだが』
「思い通りにはいかないものだ。穏やかで楽しい日々は我々兵士には猛毒だ。俺達は
平和は素晴らしいモノなのだろう。
尊いモノなのだろう。
得難いものなのだろう。
理解も尊重も納得もしよう。
けれど
心地よいベッドで惰眠を貪るよりも、マチェットに手を掛けながら銃弾飛び交うジャングルで寝るに寝れない夜を過ごしたい。
それこそ俺達らしい。
だから平和も戦場も好き勝手に飛び回れる蝙蝠はこちらに
「そういえば他にも色々預かっているぞ」
別れ際にパスに渡された荷物に目を通す。
惚気話や国境なき軍隊で行った平和の日に歌った歌を収録したカセットテープに、親子三人やダイヤモンド・ドッグスの面子と撮った写真の数々。
それにタッパーに納められた保存のきくバットの手作り料理。
『料理は必ず届けてくれ』
「…最低だな。他はどうなっても良いという訳か?」
『違う。食べられたり…』
「―――すると思っているのか?」
本当にここで全部胃に収めてやろうかと思いながら、注文したバーガーに口を付けると『まさか』と勘違いして無線の向こうでは大慌てしている様子が伝わる。
クスリと微笑みながら注文したバーガーを食べ、残る一個を前に手を止める。
「安心しろ。食べたのはバーガーだけだ。さすがに美味いな」
『そうか。後程感想を聞こう。俺が食べに行けれればよかったんだがな』
それは勘弁してくれと本気で思う。
これからの事を考えたら多忙な身であり、公式には死んでいる身であるから簡単に出歩かれては困る。
だからと言って報告のついでに味を確かめて来てくれとは酔狂な命令を出すものだ。
『それで
「あ…あぁ…これか…」
嬉々として聞いてくるも、逆にフランクは顔を顰める。
残る一個のバーガー…。
バーガーであるのだが色合いが普通のバーガーと酷く異なり、食べる事すら躊躇される。
というかコレは本当に食べものなのか?
疑念と不安を募らせるフランクに対し、相手は興味津々に問いかける。
『で、味は?』
現在人気になりつつあるバーガーショップ“ミラーズ・バーガー”が総力を挙げて(※ダイヤモンド・ドッグズの研究開発班に糧食班の共同開発)生み出した異形のバーガー―――
今回でメタルギアⅤ ファントム・ペイン編は終了いたします。
そしてお知らせなのですが次回投稿を七月とさせて頂きます。
本来の予定ではここから飛んでメタルギアソリッド1へ行く筈だったのですが、書いている内にメタルギアからやりたいなと考えが変わりました。
が、先に書いたように予定はメタルギアソリッド…。
ストックどころかプロットすら出来ておらず、書きながら考えていたのですが中々纏まらず、準備期間として一か月と少し開ける事と致しました。
また期間を空けてしまい申し訳ないです。
それではまた次回に。