メタルギアの世界に一匹の蝙蝠がINしました   作:チェリオ

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第06話 『ボルシャヤ・パスト中継基地制圧戦』

 ボルシャヤ・パスト中継基地。

 ボルシャヤ・パスト南部からボルシャヤ・パスト・クレバスに進むには絶対通らなければ場所であり、規模は小さいものながらも現在も使用されている基地のひとつである。

 基地の兵士が常駐する建物の囲むように塹壕や鉄条網、バリケードが築かれており防御は硬い。さらにソ連初の大口径機関銃の銃座が南部から通っている道二つにそれぞれ一門ずつ、クレバス側に一門、広場に置かれてあるハインドに向けて一門と合計四門が設置され、兵士は随時六名が警備に当たっていて戦闘能力も高い。おまけに持久戦に持ち込んだとしても基地には弾薬庫に食糧庫、通信施設も設置されており持久戦も耐え切るだけの物資を備蓄している。

 

 すでに基地には何者かが制圧圏内に侵入した報告が入っており、警備は厳重になっている。

 

 基地の防衛網から少しはなれた地点を見回っていた兵士は異常なしと呟きながらいつものコースを巡回する。すると顔に何か光が当たったのに気付いて振り向く。そこは草木が茂り、大きな木が生えて見通しが悪い。目を凝らして見つめていると木の影に誰かが居るように見えた。気のせいかとも思いつつ銃を構えたままゆっくりと近付く。

 

 ――パス。

 

 空気が抜けたような音を微かに聞き取り、左頭部(・・・)に衝撃を感じると視界がぼやけて、足元がふら付く。ぼやけた視界の先で木に隠れていた人物が駆け出し、自身にタックルを食らわせて塹壕へと落とす。彼も兵士をやっている以上それ相応の訓練を積んでいるがあまりに眠たくて抵抗のひとつも出来ずに落とされた衝撃を感じながら眠りについた。

 

 タックルを喰らわせた少年――バットは素早く腰のナイフで喉元を掻っ切って命を絶つ。本当なら縛り上げて情報を聞きだすのが正しいのかも知れないが、基地の手前でそんな悠長な事は言ってられないし、余裕は無い。

 塹壕より右手を出して親指を立てる。ボルシャヤ・パスト南部の入り口に隠れていたスネークは茂みが多い地点を身を屈ませて進み、茂みや死角を進んで機銃前に立っている兵士に見付からずにバットが下りた塹壕へ滑り込んだ。

 

 「さすがですよスネークさん」

 「これぐらいはな。それにしても歳の割りには容赦が無いなお前は」

 「えっと…軽蔑されてます?それとも褒められてます?」

 「日常なら褒められた事ではないがここは戦場だ。致し方ないし理解もしている。それに余裕を持て余している訳ではないからな」

 「ですよね…。では予定通りボクは左から。スネークさんは右側からで」

 「素早くな。すぐにひとりと連絡が付かなくなった事を不審に思うだろうから、最悪でも増援が到着する前に基地を押さえるぞ」

 「了解です」

 

 塹壕を別方向に向かって動き出したバットとスネークの動きは実に素早かった。

 まずはクレバス側の銃座付近を警戒していた兵士は塹壕に沿って歩いており、注意の向いていなかった塹壕より足を斬り付けられて転び、頭が低くなったところを一突きされて塹壕へと引き込まれる。

 スネークは建物の裏側に回って建物正面に居る兵士へと忍び寄る。建物の影より飛び出して左腕で首を絞めながら、膝裏を軽く蹴って足の踏ん張りを利かなくした。そのまま引き摺るように南部側の銃器の前に立つ兵士に近付く。

 

 「おい!」

 「ん?なんだ――ふぁ…」

 

 いきなり呼ばれた事で驚きながら振り向いたところをフリーになっている右手でサプレッサーの付いたMk22で額を撃った。銃口より飛び出した麻酔弾は狙った通りに額に突き刺さり、眠りについた。

 

 「どうした!?なにがあった!!」

 

 建物の影より撃った為にバットの方に居たひとりに気付かなかった。舌打ちをしながら締め上げ中の兵士を右手も使って締め上げる。気絶した兵士をその場に放置して、仲間が倒れた事に気付いた兵士に銃口を向けようと構える。

 二発の銃声が響き、兵士は心臓付近から血飛沫を立てながらその場に崩れ落ちた。

 

 撃ったのはスネークではなくマカロフを構えたバットだった。大丈夫でしたかと言いたげな表情の後ろで離れたところに建てられている武器庫周辺を警戒していた兵士がAK-47を構えたまま駆け出しているのが見えた。

 スネークはMk22をホルスターに仕舞い、同じくサプレッサー付きのM1911A1を素早く抜いて構える。急に銃を向けられたことで驚くバットにスネークは叫ぶ。

 

 「しゃがめ!」

 

 言われたままにしゃがんだバットの頭上をAKの銃弾が通過して行く。そしてバットに銃口が修正される前にスネークが引き金を引く。距離があった為に全弾命中しなかったが撃った五発中三発が見事命中し、最後の兵士も倒れこんだ。

 

 「ふぅ…大丈夫か?」

 「ええ…助かりました」

 「これで貸し借り無しだな」

 「あはは。さてと仕上げを急ぎますか」

 

 笑みを浮かべながらスネークは南部に銃口を向けている機銃へ、バットはスネークに撃たれても尚、無線で仲間に連絡を取ろうとしていた兵士に近付く。

 

 「こ、こちら…」

 「こちらボルシャヤ・パスト中継基地。誰か応答してくだs…してくれ」

 『こちらボルシャヤ・パスト南部パトロール隊―――…敵に襲われて気絶していた…何かあったのか?』

 「至急応援を求む!現在ボルシャヤ・パスト中継基地は敵の攻撃を受けている!」

 『なに?規模は?到着までの時間は稼げるか!?』

 「敵の規模は不明!すでに半数がやられて…あ、あー!」

 

 無線で救助を求めようとした兵士から無線機を引ったくり、代わりに応援要請を出した後は無線機を投げ返し、躊躇なくマカロフで無線機ごと兵士に止めを刺した。

 …未だこれがゲームと思っているから出来る残酷さである。別世界の現実だとしたら彼もこれほど残酷に振舞えないだろう。そして今は戦闘の事よりもそろそろプレイを開始して三時間が経ちそうだから何処か安全地帯を確保して一時間の休憩を入れなければならない。

 

 短くため息を吐き出しボルシャヤ・パスト南部へ銃口を向けているもう一つの機銃へと向かう。機銃を握って増援部隊が来るのを待つ。スネークとバットにCQCで気絶させられた兵士達は味方を助けようと息巻き駆けつけて来た。

 が、銃声一つ鳴り響いてない現状に気付いて足を止める。そして視界に映ったのは機銃の銃口を向けてくる二人の男…。

 

 「いらっしゃい―――そしてバイバイです」

 

 少年が笑顔で言い放った言葉と同時に大口径の機関銃が恐ろしいほどの連射で銃口を照らし、駆けつけた兵士たちを撃ち抜くのではなくばらばらにする勢いで大口径の銃弾を撒き散らした…。

 ボルシャヤ・パスト中継基地守備隊及び、ボルシャヤ・パスト南部パトロール隊―――壊滅…。

 

 

 

 

 

 

 敵兵を排除しきったボルシャヤ・パスト中継基地の駐留用の建物ではスネークが椅子に腰掛け、真面目な趣で開いた本を眺めていた。ペラリとページを捲るたびに目が見開かれ、スネーク本人に衝撃を与える。そして大きく頷きながら頬を弛ませる。

 

 「…いいセンスだ」

 「なに馬鹿な事を言ってるんですか!!」

 

 余韻に浸って呟いた途端、ドアを開け放つと同時に怒鳴られさっと本を閉じて背に隠す。しかし入ってきたバットには完全に見られており、呆れた顔で大きな…とても大きなため息を吐かれてしまった。

 今スネークが読んでいた本は、バットが塹壕を進んでいた時に発見した雑誌。兵士の通行進路に置けば任務を放り出して読み耽ってしまうという魔法のアイテム―――【成人男性向けグラビア雑誌】である。

 ………バットからしたら真面目に働けよっと突っ込みたくなるアイテムだが、説明的に有効だったから持って来たのだが、まさか味方が読み耽って何も手伝ってくれないとは思いもしなかった。

 

 「使えそうなものはあったか?」

 「一応基地でしたからね。いっぱいありましたよ」

 

 武器庫や通信施設、塹壕の隅まで探し回って集めた戦利品を机の上にどさっと置く。そこには銃器から食料、衣料品まで揃っていた。

 

 何故か通信施設から医薬品はライフ回復薬に包帯、解毒薬に胃腸薬。武器庫からはTNT、AK-47、グレネード、自燐手榴弾、スタングレネード。掻き集めた弾薬はMk22、AK-47、M1911A1弾薬の三種。勿論仕留めた兵士たちからも回収済み。その他で言えばネズミ捕りにフェイスペイント・スノー、ユニフォーム・ウォーターだがペイントとユニフォームは所持するとなると邪魔だから置いていくとして、ネズミ捕りはとりあえず二個あるし、小さいから一人一個ずつ持っていこう。

 問題はこのよく解らない食料だ。

 

 「これ知ってますか?」

 「ん…なんだそれ?」

 「食料みたいなんですけど…なんでしょうね?」

 

 四角形の黄色い箱に入っている食料。表紙からはどういうものか描かれてない為に分からず、裏の表示を読んで食べ物と理解したんだが、なんだろうカロリーメ○トって…。

 

 「ふむ、食べてみるか」

 「ですか…じゃあ開けますね」

 

 書いてある通りに箱を置けると中には金色に輝く袋が二つ入っており。形からカロ○ーメイトなるものは長方形の形らしい。とりあえず二つあるのだからひとつをそのままスネークに渡して手元に残った一つを開ける。中から小麦色の小さな穴が六つ開いた長方形のブロックが姿を現した。鼻を近づけて独特な匂いを嗅いで先を少しかじる。

 かじった先のブロックは水分が少なく噛まずともポロポロと崩れながら、濃厚なチーズの風味を口いっぱいに広がらせていった。現実で食べていた物とも、ゲーム内で食べた肉や果実とも違う食感に味に咀嚼する口は止まらなくなった。

 

 「ほう!これは美味いな!―――ってなにハムスターみたいな食べ方をしているんだ」

 

 半分ほどに割ったカ○リーメイトを噛み締め飲み込んだスネークは大きく頷きながら感想を述べながらバットへと視線を移す。すると噛り付いた先からサクサクと速い速度で口を動かして、頬を膨らませる様子に笑む。

 

 「ゴックン…本当に美味しいですね。もう一つあったらよかったのに…」

 「無い物を強請っても仕方がない。もしかしたらまたあるかも知れないしな。見つけたからって黙って食べるなよ」

 「そんな事しませんよ!もう」

 

 他愛のない会話で多少緊張を緩めた二人(スネークは雑誌を読んで解れていたが…)はクレバスに向かう為に武器を手に取り、ボルシャヤ・パスト中継基地を後にするのだった。

 バットの手にはマカロフやSAA弾薬が手に入らないことからAK-47が握られていた。




二名の装備品
 ※ゲーム内と現実の装弾数が違ったりするので現実のほうで統一しました。
 ※ただし、M1911A1は元の持ち主がカスタムしている話だったのでゲームのまま。



●バット                          ●スネーク
・銃火器                          ・銃火器
 ・エングレーブ入りSAA                  ・Mk22+サプレッサー
 (45口径回転式拳銃:装弾数6発)              (抑制器付麻酔銃:8発)
 ・モーゼル                         ・M1911A1+サプレッサー
 (自動拳銃:装弾数10発)                  (抑制器付45口径自動拳銃
                                    :装弾数9発)
 ・AK-47                           ・XM16E1+サプレッサー
 (突撃銃:装弾数30発)                   (抑制器付最新鋭突撃銃
                                   :装弾数20発)
 ・マカロフ                         ・SVD
 (中口径自動拳銃:装弾数8発)                (最新鋭自動狙撃銃
 ※マカロフはゲームでは使用不可                   :装弾数10発)
 ・グレネード×3                      ・グレネード×3
 ・スタングレネード×3                   ・スタングレネード×3
 ・チャフグレネード×3                   ・チャフグレネード×3
 ・自燐手榴弾×1
 ・TNT×1
 ・クレイモア×3

・弾薬                           ・弾薬
 ・Mk22(スネークの予備)                   ・Mk22
 ・M1911A1(スネークの予備)                  ・M1911A1
 ・AK-47                           ・XM16E1
 ・マカロフ弾(敵兵から物色しないと入手不可)
 ※マカロフはゲームでは使用不可

・医薬品                          ・医薬品
 ・軟膏×11                         ・軟膏×10
 ・消毒薬×06                        ・消毒薬×10
 ・止血材×06                        ・止血材×10
 ・固定具×08                        ・固定具×10
 ・包帯×05                         ・包帯×10
 ・縫合セット×06                      ・縫合セット×10
 ・血清×10                         ・血清×10
 ・胃腸薬×11                        ・胃腸薬×10
 ・風邪薬×10                        ・風邪薬×10
 ・解毒薬×11                        ・解毒薬×10
 ・仮死薬×01                        ・仮死薬×01
 ・蘇生薬×01                        ・蘇生薬×01
 ・ライフ回復薬×01                     ・ライフ回復薬×01

・電子機器                         ・電子機器
 ・暗視ゴーグル                       ・暗視ゴーグル
                               ・アクティブソナー
                               ・動体探知機
                               ・生体センサー
                               ・指向性マイク

・食料                           ・食料
 ・レーション                        ・レーション
 ・ワニ肉×2                        ・カロリーメイト×2
                            (奥に入り込んで気付いていない)

・その他                          ・その他
 ・サバイバルナイフ                     ・サバイバルナイフ
 ・葉巻                           ・葉巻
 ・虫ジュース                        ・虫ジュース
 ・ネズミ捕り                        ・ネズミ捕り
 ・ダンボール箱A                      ・成人男性向けグラビア雑誌
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