FAIRY TAIL〜邪悪なる者   作:ノグソトウエイ

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Prologue
Prologue:決意


「…朝起きたら家のベッドだったらいいのに。」

 

 夜、みんなで喋っていると突然ミリアーナが呟いた。

 

「な、何言ってるんだよミリアーナ…」

 

 当たり前だがその場の空気が凍った。エルザは俯いて口を閉じた。ウォーリーとシモンは必死に話をそらそうとミリアーナに話しかけるがそこにショウも泣きながら帰りたいとダダをこね始める。

 

 強がってはいるけどみんなもう限界なんだ。あいつらが器と言う黒髪の子供が来てから俺たちの環境はさらに過酷なものになった。

 

 それまでは固いパンと少し野菜の入ったスープが俺たちの1日の食事で寝床は牢屋の中のジメジメとした地面の上だったがあの子供が来てから食事はその日の働きが優秀だった者20名だけが柔らかそうなパンと温かいスープ、新鮮そうなサラダ、そしてここじゃ滅多に見られない肉を食べられる。そしてふわふわの布団とベッドで眠ることを許される。

 

 そう、20人しか食事は与えられなくなった。俺はもちろんエルザやシモン、ここにいるみんなはもう3日も何も口にしていない。今はもう食事をもらうために頑張ると言うよりも体力を使わないように必死に耐える事しかできない。

 これ以上は無理だ。今日も俺たちの横の牢屋の奴が地獄へ連れていかれた。みんな怖がっているんだ、もちろん俺も体が震えている。

 

 

 今日生き延びられたとして明日は?その次の日は?ロブじいはやせ細ってもう働くことは出来ない。体の小さなショウやミリアーナももう耐えられない。強がってはいるがウォーリーとエルザももう限界だろう。俺とシモンはまだ少しは耐えられるがそれももって明日だと思う。

 

 自分たちのことをゼレフの使者と名乗る奴らとそいつらが器と呼び拝めている子供が何を企んでいるのか、何のためにこんなことをするのかはわからない。

 でもこのまま黙って従っているだけじゃいずれ死ぬ。

 

 

 

 …チャンスはある。成功する確率もそもそも実行できる可能性も低いけど昼時に信者たちが交代でいなくなる。今まで測ってきた時間から大体3分から5分の間は作業場から信者がいなくなる。

 

 2回だけだ。器はいつも地獄と呼ばれる部屋にいる。だが2回だけ器が昼時にここに来たことがある、護衛の信者もつけずに。何をしに来たのかはわからないがあいつ一人なら大丈夫だ。

 

 そう、チャンスは俺が動くことができる期間のみ。つまりは明日…俺は器を捕まえる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ☆☆☆☆☆☆☆

 

 

 

 

 

「いよいよじゃ!! このままいけば後少しで完成する!」

 

「ああ!!ゼレフ様!いよいよ降臨なされるのか…」

 

「まだ油断はするな。評議会が最近我らを嗅ぎ回っているそうだからな」

 

 

 外からの光を通さず大量の蝋燭が灯をともす部屋にて3人の男が話し合っている。一人は興奮し一人は感涙し一人は厳格に。

 そしてそんな頭のおかしい連中に囲まれて胃が痛くなっている俺。

 

「器の調子も万全、まだ未熟な肉体ではあるがこれほどの邪悪な魔道…ゼレフ様も恐らく喜ばれるだろう。」

 

「ならば準備を!!ゼレフ様復活のもてなしの準備を始めねばならん!!」

 

「ああ。だがこれで我らはこの世界の覇者となれる。長かった…評議会のドブネズミどもに追放されて早20年、ようやく連中に知らしめることができる…我らがいかに魔道の道を極めたかを…」

 

 

 フハハハハと彼らは笑いそして時折不気味に俺の方を見る。頭のおかしい連中ではあるが、この塔---Rシステムの完成においてこいつらは必要不可欠な存在らしい。

 作業場で奴隷を監視しているような下っ端とは違いこいつらは魔の道を極めるべく進んだ覇者。

 

 頭のネジは数本吹っ飛んでいるがその力は強大だ。こいつら曰く黒魔術教団に雇われた闇魔術士らしいが…

 

 とにかくこいつらがいる限り俺は器のままだ。復活した黒魔道士ゼレフの依り代として俺は捧げられるらしい。こいつらはゼレフのことをまるで神を崇めるかのように扱うからその肉体になる俺に関する扱いもそれなりに良い。

 

 あのクソみたいな作業場から抜け出せたのはこいつらのおかげだし、こいつらのおかげで今までしたこともないような贅沢ができる。

 とはいえそろそらRシステムが完成し、ゼレフが蘇るところまでの道筋が明白になって来たらしくかなり興奮した様子だ。

 

 

 

 今更器を辞めたいなんて言えば間違いなく操り人形行きだろうし、それならばまだじっくりと機会を待った方がいい…とは口が裂けても言えないのが現状だ。

 

 まだ塔は完成していないのに、気が早いのかそれとも準備とやらはそんなに大掛かりなことなのかは知らないが間違いなく言えるのはその準備が行われた時俺は俺で無くなるということだ。

 

 かつて反抗する魔道士の奴隷を一瞬で操り、そして自害させた魔法。正確には黒魔術…詳しくは知らないがその魔法にかかると意識を奪われ言いなりになってしまう。

 

 

 そうなってしまえば俺は消える。そして俺の体はゼレフの物となる…

 そんなこと許せるはずがない。今までだった俺は理不尽に奪われて来たんだ、ここに来てやっと俺は奪う側になれたのに…

 こいつらを殺すことはできない、危険で何より成功するとは思えない。だが下の連中ならばどうとでも出来る。

 

 

 ここから出なければ…明日の昼時。

 こいつらが部屋に閉じこもり、そして下の黒魔術教団の連中も交代でいなくなる僅かな時間。

 その時に俺たちはこの塔から脱出する。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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