あとの方で第二艦娘と遭遇。
このロボットの身体はいったいなんなのか。どこから来たのか。
洞窟の中で黒田玄一郎は一人でずっと考えていた。いや一人と一機というべきか。
この機械の身体の中には玄一郎とそしてこの機械そのものの意思、その二つの意識が存在していた。
頭の中で語りかけるそれは自分を『ゲシュペンストタイプSに芽生えた自我である』と名乗った。
ゲシュペンストタイプSは玄一郎に様々なことを語った。かつてゲシュペンストタイプSはマオ・インダストリーという軍需産業で製造された『ゲシュペンスト』の試作機の一つだった。
装甲の強化と接近戦に特化した、グルンガストというスーパーロボットの武装検証用のテスト機体としてカスタマイズされたのだという。
〔自分はこの機体の自我であるが、この機体を動かす意思はない〕
「どういう事だ?」
〔パーソナルトルーパーはパイロットが搭乗して動かす兵器だ。この場合、君が私のパイロットに相当すると認識する。ならば機体操縦は君がするのが妥当だ〕
「助かるけど、お前の身体だろ?なんでまた……」
〔パイロットに操縦され戦うのがパーソナルトルーパーの本分だ。自分の存在意義としての問題だ。コールゲシュペンストで呼び出されるならともかく、操縦されて動く。それが当たり前だ〕
「つまり、動けるけど動きたくない、って事か?」
〔一部肯定。訂正を加えるならば、本来パーソナルトルーパーは搭乗者のコマンド以外で動くものではない。故に私はそれにこだわる〕
「頑固だなぁ、お前。まぁ、その方が俺としてはいいんだろうけど」
〔自分としてもそれで良い。それが本来の自分だ〕
「……なんか働きたくないニートみたいな感じだな」
〔否定。自動車が運転手を乗せたまま運転手の望まない場所まで勝手に動いたとしたら、君はどう思うだろうか?それと同様の事だ。自分はそれを以ての外と考える。故に自分は動かない〕
確かにゲシュペンストの言う通りである。彼には人を乗せて動いているロボットという自分に対して何かしら思うところがあるのだろう。というより、パイロットを乗せる事にこだわりを持ち、それに誇りすら感じている節がある。
「ところで、コールゲシュペンストってのは何だ?それだと動くみたいな言い方だったが」
〔パイロットが機体の外に出て活動中に機体を呼ばねばならない時に発動するコマンドだ。呼ばれればすぐにパイロットの元に駆けつけるようになっている。君は機体の外に出ることが出来ないので、このコマンドを使う事は無いだろう〕
「そりゃそうだなぁ。というか、出るとか以前に身体がこの機体になってるからな。しかしなんで海の底にいたんだ?それからしてわからん。つか、お前はなんで沈んでたんだ?」
〔自分にも不明。自分は破壊され、搭乗者と共に消滅したはずだった〕
「破壊された?」
〔自分はかつて敵に鹵獲された。その当時に今のような意識は無かったが、それでも悔しかったのを覚えている。本来ならば地球を異星人達から守る為に戦うべき私が、敵の先兵となって侵略に加担したのだ。幸い、私は地球連邦軍に撃破され、破壊された。あれで解放されたと思っていたのだが……〕
「……なんかものすごい壮大な話だな。お前みたいなロボットが必要ってのもわかる気がするけどな。となると俺とお前は全くの別の世界からこの世界に来てしまったって事になる、か?」
〔お互いの記憶の『世界』の情勢や文化レベルが違うというならば、そうなる。だが、この世界に関する情報が圧倒的に不足している。情報を集める必要がある〕
ふむ、それしか無いか、と玄一郎は思うが調べるにしてもこの身体では目立ちすぎる。ニメートル以上のデカいロボットの身体なのだ。
〔とりあえずはこの無人になった島から探索する事を提案。ここならば目撃される危険性は少ないと判断する〕
「確かにな。じゃあ手始めにここから調べるか」
ゲシュペンストタイプSと玄一郎は島を探索する事と同意した。
「俺は肉体労働、お前は頭脳労働、ってか?」
〔否定。肉体も頭脳も元々は自分のものであると主張する。ただし行動の意思は君が決めてくれ〕
「いや、昔の芸人のネタなんだけどな?これ」
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この島はどうやら漁業で成り立っていたようだ。無人の漁港には漁船が繋留されており、まだそれは修理すれば動きそうだった。
いろいろと調べてわかった事は、この島の人々は深海棲艦の襲撃を恐れて早くから島を捨てて避難したようだ。戦闘の跡も無ければ襲撃の跡も無い。深海棲艦も人がいないこの島にはなんの用事もないらしい。
港にある警察の派出所の日記を読むと、日本海軍の人員輸送船数隻に乗せられて島の人々は本土へと護送される、とあった。
派出所の日めくりカレンダーは日に焼けて埃をかぶり、この世界で今現在が何月何日なのかはわからなかったがこの島が破棄されてから随分な年月が経っているのは確かだった。
それを思うと、あの洞窟にあった様々な物資は、この島から住人が居なくなってから、それもごく最近に何物かが運び込んだものなのだろう。しかし、玄一郎が傷ついた扶桑を運び込んだ時には使われていないようだった。
あの洞窟を使っていた者は一週間~二週間はあそこを使って居ない、とゲシュペンストは玄一郎に言った。
とはいえ、帰って来ないとも限らない。注意しておく必要があるだろう。
漁港から少し行くと浜辺に出た。
玄一郎は夏に海水浴とか出来そうだな、と思いつつも浜辺ではなんの情報も得られないだろうと道を進もうとした。
〔待て。浜辺のあそこに人が倒れている〕
ゲシュペンストがそういうと、カメラの画像を脳内に送ってきた。
頭を動かし、ゲシュペンストの示した方向を向くと水打ち際にスクール水着を着た女の子とおぼしきものが倒れていた。
今の季節はおそらく山の方に見える木の紅葉から秋の真っ只中と思われるが、そんな季節に海水浴とは思えなかった。なにより危険な深海棲艦が出没する状況で、さらにこの島の住人は皆いなくなっている。
玄一郎は急いでその女の子に駆け寄り、うつ伏せになっている身体を仰向けにさせて抱え上げた。
なんとか息はしているようだが、着ているスクミズは破けており、傷だらけで出血は酷く、このままでは命の危険性があった。
「いかん、早く手当てをしなければ!!」
〔この女の子は艦娘であると推測する。おそらく扶桑と同じ手段で回復すると思われる〕
というか、スクミズの艦娘ってなんだよ?!と想いつつも玄一郎は急いで洞窟へとそのスクミズの女の子を連れ帰った。
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ゲシュペンストの推測の通り、そのスクミズの女の子は高速修復剤の一かけで、身体の傷やスクミズまでも修復できた。
「一体どんな成分なんだろうな、この高速修復剤ってのは」
〔……自分のセンサーでは内容物の成分の詳しい組成はまではわからない。ナノマシンである可能性大〕
「ナノマシンねぇ。そんな近未来的なもんがこんなバケツに入ってんのかぁ?」
玄一郎は使ったバケツの取っ手を持ち上げて見てみるが、それ何の変哲もない蓋付きのバケツにしか見えなかった。
しかし、このスクミズの女の子、なんともむっちむちなイイ身体をしているな、と玄一郎は思った。
おっぱいが大きいのに身体はちっこくて、なのに童顔である。それが旧スクミズ。旧スクミズである。もう一度言う。今となっては貴重な旧スクミズなのである。
ぴっちりむっちり、ぼいーん、なのである。
素晴らしい!!
玄一郎は先ほどのあられもなくビリビリに破けたスクミズからまろび出ていたおっきなおっぱいを思い出していた。
〔……玄一郎。自重を提案する〕
「うぐっ、いや、すまん」
まぁ、こうしていられるのも、この女の子の命が助かったからである。
しかしでっかかった。ロリでっかかった。
玄一郎とゲシュペンストはこの少女の気がつくまで待つことにした。
さて、このゲシュペンストは敵に鹵獲されたという経歴をもっています。
これがある意味後々のストーリー展開に影響を与える……かもしれません。なんせ、アレを搭載してましたからね、あのゲシュちゃんは。
なお、他の機体は出ませんよ?
さらに。
スクミズ万歳!!おっぱい万歳!