ゲス提督のいる泊地   作:罪袋伝吉

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 ゲシュちゃんも扶桑ねぇさまも今回はお休み。

 近藤さんのお話です。

 ……とりあえず、うらやましい。高雄っぱいの頭乗せ。なお、私の頭の中では高雄さんのそれはものすごく大きいという設定です。

 なお、高雄提督さんの中には「こんなの高雄じゃねぇ!!」という方もおられるかと思いますが、どうもすみません。最初に謝っておきます。


【挿入話】舞鶴鎮守府。

 舞鶴鎮守府。

 

 この舞鶴鎮守府の提督は近藤勲中佐である。一年前に赴任して来たばかりの提督ではあったが、艦娘との関係は漸く普通から良好に変わってきた所だった。

 

 この舞鶴鎮守府は俗に言うブラック鎮守府であった。前任者は艦娘に対して夜伽を命令し、飽きたら他の提督や政治家達へ払い下げるといった類の、いわゆる『女衒提督』と呼ばれるタイプのゲスであった。

 

 その『問題』に首を突っ込んで解決したのがこの『近藤勲』と『土方歳子』だったのだが、現在ある意味近藤にとっては頭が痛い別の『問題』が起こっていた。

 

 それはつまり。

 

「なぁ、高雄よぉ、その格好なんとかなんねぇ?」

 

「あら、提督。提督はこの格好お嫌いですか?」

 

 近藤の今週の秘書艦は高雄である。近藤はこの鎮守府の艦娘達を一週間でローテーションを組んで交代させているのだが、今週は高雄の番であった。

 

 東京から帰って早々、司令室に来れば高雄が何故かバニースーツ(ウサ耳ウサ尻尾ハイレグエプロン完全装備)を着て出迎えてきた。

 

 いや、似合っている。似合ってはいるのだが、いや、似合っているからこそ非常に困る。何が困るって目のやり場に困るのだ。

 

「嫌いじゃねぇ、嫌いじゃねぇけどよぉ、ここは海軍の施設であって水商売の店じゃねぇんだよ……」

 

「あら、では夜に回した方がよろしかったですか?」

 

「そういう問題でもねぇんだよ。つか、もうそんな服を着なくてもいいんだってのよ。もうあのゲス野郎の言う通りにやんなくてもよぉ。あと、夜のお世話はいらねぇっての。もっと自分を大切にしろや……」

 

 近藤の言にしかし高雄はにこやかに、

 

「でも、近藤提督は私達を大切にして下さってますわ」

 

 と、返した。

 

「あのな、それじゃあ俺があのゲスと同じんなっちまうんだよ。俺はここの司令で、君達は部下、な?上司と部下ってのはそういう事はやっちゃいけねぇんだよ」

 

 はぁぁぁぁぁ、と近藤は溜め息をつく。

 

 近藤勲という男はある特殊な能力故に無理矢理海軍士官学校に入らされた。

 

 その特殊能力は2つある。

 

 一つは妖精や精霊、天使といったものにやたら好かれて集られる、妖物吸引体質。子供の頃から三時のおやつを食べているときなどやたら群れてやってきたり、家の畑を耕してる時など天使が作物に祝福を与えてくれたり、晩に寝て、朝起きたら布団の中が妖精だらけだった、など、とにかく何をしようがいつの間にか寄って来るのだ。

 

 無論、それは常人には見えないものなのだが、近藤にはしっかりと見え、さらに言っている事もよくわかる。

 

 近藤はその能力をひたすらに隠していたのだが、いつの間に海軍から目を付けられていたのか、赤紙を送られて政府から強制的に士官学校に入らされたという経緯があるのだ。

 

 そして、もう一つの能力は士官学校に入ってから発覚した。

 

 それは、艦娘吸引体質。

 

 とにかく艦娘に好かれやすく、そしてやたらと信用される。近藤自身は元々は実家の農家を継ぐために農業高校に通っていた、いわば冴えない芋男であり、女性に全く免疫が無かったのである。妖精さんならともかく、艦娘にやたらと追いかけられたり集られたりするのはものすごく困った。

 

 周りの連中にはものすごく羨ましがられたが、近藤としてはものすごく困る。妖精さん達ならまだ普通に対処できる、というかほっとけば妖精さん達は飽きたらどこかへ行く。

 

 しかし艦娘達にはそんな事はできない。何故ならどう見ても彼女達は人であり、さらには女性で、ほっといたら大抵泣く。泣いたら大抵憲兵さんが来る。憲兵さんが来たら、厄介な事になる。

 

 彼の『問題』というか士官学校時代に内申が悪かった理由の一部はやたらと憲兵さんに連れて行かれた事なのである。あれは非常に困った。

 

 困る。そう、今現在進行形で。

 

 頭を抱えてデスクに突っ伏して悩む。

 

 (松平先輩よぉ、こうなることがわかっててここに推薦したろぉ、絶対)

 

 なお、これは近藤も知らない事であるが。

 

 松平大佐は、この舞鶴鎮守府を近藤と土方が解放した際に、艦娘達の話を懇切丁寧に聞き、そして山本元(やまもとはじめ、である。もとではない)元帥閣下に舞鶴鎮守府の後釜提督にタダの平士官であった近藤を推した。その時の説明が

 

「舞鶴の艦娘達は、近藤勲少佐が提督になるならば叛乱も反抗もしない、と交渉して来ました。彼女達の意志は固く……というより、近藤を鎮守府内に軟禁して離しません。いかがいたしましょうか?」

 

 だった。

 

 当時の舞鶴鎮守府は世界で初めて艦娘の量産方法を確立した鎮守府であり、その方法もデータもまだ公開されておらず、また量産された艦娘の数すらも把握出来ていなかった。

 

 それらの艦娘達が叛乱など起こしたならば鎮圧どころか海軍にも甚大な被害が及ぶだろうと山本元帥閣下は判断し、そしてニヤリと笑った。

 

「君の後輩の近藤は、よく艦娘達にモテると聞く。妖精さん達も見えておるともな」

 

「はっ!彼は裏表無く、艦娘達の涙で動ける男であります」

 

「善い後輩に良い地位を与えたいのは悪い事ではない。近頃のバカモノ共は海軍魂というものをすっかりと忘れておるが……、近藤には、それがあるか?」

 

「バカモノはバカモノですが、逸材です。山生まれの山育ちなれど、海軍魂を持つ立派な快男児であります!」

 

「ほっ、山男とな?ははははは、それは善い!山男に艦が靡くとは。それも一興!!はははははははは!!」

 

 そうして近藤勲少佐は昇進し、中佐となり、こうしてこの舞鶴鎮守府に提督としているわけである。

 

 ぽいん。

 

 突っ伏した近藤の頭に、なにか柔らかな物が乗った。

 

 ぽいんぽいんぽいん。

 

「……なんだ?高雄」

 

「いえ、疲れてらっしゃるようなのでちょっと乗せてみました」

 

 ぽいんぽいんむにっ。

 

 後頭部に感じる、バニースーツ越しではない、なにか柔らかくかつ弾力性のある、ナニカ。考えるな感じろ。これは……。

 

 おっぱいだ(生)。

 

「うっ、うわぁぁぁぁぁっ!!な、ななな、なんてモン乗せっ、乗せっ、乗せるんだぁ!!」

 

「あんっ、そんなに(頭)うごかしちゃイヤですわ、ああ、チクチク、チクチクしますぅ、あん、刈り上げの剛毛が、あん!でもこのチクチクがクセになって、あん」

 

「良いから離れてくれ~っ!!」

 

 結構な質量を持つそれが覆い被さり、身動き取れなくない。

 

 ぽいんぽいんが、ぶるんぶるん、ゆささっ、ぽいんどむっ、ぽいんどむっ、と文字の表現でおおよそ有り得なさそうな擬音となる感じで揺れて重圧を近藤の後頭部を抑えつける。

 

「ぐぇぇ、あ、圧に、乳圧がぁぁぁ、乳圧でプレスされるぅぅぅっ!!」

 

 高雄が離れてくれるまで、高雄っぱいの重圧の下敷きになっていた近藤勲中佐であった。

 

 と、このように艦娘吸引体質は艦娘達を引き寄せるのである。彼の意思とかそんなものお構いなしに。

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

「ぶびゃっひゃっひゃっ、で、あんたそのまんま高雄にベッドルームまで連れてかれそうになったの?!ぶひゃひゃひゃひゃ!!」

 

「あんたは無いだろ。仮にも俺、上官だぞ?」

 

 下品に笑っているのは土方歳子少佐、ブスッとしているのは近藤勲中佐である。

 

 ここは居酒屋鳳翔の二階のお座敷である。居酒屋鳳翔は、艦娘である鳳翔が営む居酒屋であり大抵どこの鎮守府の鳳翔も何故か必ずその地で居酒屋を営んでいる。

 

 『新任の提督はまず鎮守府の前に鳳翔を訪れるべし』

 

 日本海軍において提督に任ぜられた者に言われ続けている言葉である。『親艦娘派』と言われる提督達は必ず鳳翔参りをするし、そして着任したならば下戸でも鳳翔に通うようになる。

 

 しかし、ここで不思議なのは、鳳翔は軽空母であり、間宮や伊良湖のような補給艦では無いのに何故飲食店を営むのか?という事である。。

 

 これは海軍七不思議の中にも入っているのだが、本人に何故と問うても明確な答えは返って来ない。鳳翔の中の一人がたまたま居酒屋を営んでいるというならば話はわかるのだが、ほぼ全員が営んでいるのである。

 

 例外があるとするならば、小規模の基地で間宮達が居ない場合に彼女が食堂を預かっている場合ぐらいだろうか。

 

 なお、他の七不思議には『たべりゅ教』『ナガモン』『妖怪レップウオイテケ』『消えるボーキ』『深海提督』『比叡カレー』などが挙げられるが、学校の怪談話と同じくその時その時でいろいろと変わる。

 

 ひとしきり笑った後で

 

「で、ショーグン様はなんて?」

 

 土方はニィッ、と先ほどとは違った凄みのある笑みを浮かべて歯を見せた。この女がこういう笑い方をするときは必ず艦娘絡みで怒っている時だ。

 

 なお、ショーグン様とは士官学校時代の松平大佐の徒名であり、松平という姓と生徒会長をしていた事からそう呼ばれるようになったのだ。

 

「お家の方の根回しバッチリ、バックアップはまかせろーバリバリバリ、だとよ」

 

 松平大佐の実家は松平財閥である。主に製薬、流通、そして造船、また深海棲艦が侵攻してきた頃からは対深海棲艦用特殊装備を取り扱っている。

 

 にぃぃぃぃぃっ、とさらに凄い笑みを深くした。

 

「ふうん。なら、遠慮もいらないってか?」

 

「早くやっちめぇ、ってよ。何より沖田があぶねぇ。暗殺部隊に追われてるって話だからよぉ」

 

「大本営のネズミ共はコレだから……。とっとと吊してやりたいねぇ」

 

「……それにも段階がいる。先輩もそのために尽力されているが、とは言え、なぁ」

 

 深海棲艦よりもある意味厄介な大本営に掬うネズミの駆除をやると決めて彼らは動いているが、頭の黒いネズミはデカい顔をして大本営の豪華な椅子に座ってふんぞり返っているのだ。

 

「あー、吊したいねぇ、あの准将とか、参謀本部の古狸とか、ねぇ」

 

「……ここ以外でそんな事を言うんじゃねぇぞ?鳳翔さんの店だから大丈夫だけどよ」

 

「わかってるっつーの。で、決行はいつ?」

 

「明後日だ。高速船『御意見無用丸』と対深海棲艦用機動アーマー『剣狼』、あとは武器弾薬もセットで用意する」

 

「オーケー。対艦ロケットランチャーと吊す縄も頂戴ね?真田印の奴」

 

「わかったわかった。まぁ、艦娘達と基地の建物の損害は最小で頼むぞ?いくら松平先輩の実家が艦娘擁護派でも、予算にゃ限度があるんだ。奴らと違ってな」

 

「……善処するわ」

 

 そっぽを向く土方。とにかくコイツは暴れたいだけだろ、と近藤は思ったが、マジでやめてくれというのを目に込めて言った。

 

「……マジで頼むぜ」

 

 本気でそう思った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 





 近藤勲(当時中佐)。

 艦娘にやたら好かれる男。なお舞鶴鎮守府の艦娘達は性的な事に対して全く抵抗ありません。むしろ近藤を襲おうとしたりするわけですが、近藤は妖精さん達の助けでいつも逃げてます。思いの外ファンタジーな男です。

 
 土方歳子(当時少佐)。

 艦娘大好きっ子である。近藤の副官として舞鶴鎮守府に着任。なお、艦娘達が近藤に対してエッチなことをしようとしても、艦娘がやることならばなんら怒らない。そんな艦娘達だって好きなんだもの、という女である。

 なお、高雄のおっぱい揉みまくり事件を風呂でやらかし、それ以来高雄におねぇさまとか呼ばれているそうな。
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