ゲス提督のいる泊地   作:罪袋伝吉

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ゲシュペンスト提督

精神は普通の青年であり、何故か異世界に転移したら身体がゲシュペンストタイプSになっていた。

タイプSであるからして、最大の必殺技はゲシュペンストキックである。ちなみに改造は最大、という設定です。

扶桑

前提督である『土方歳子中将』の秘書艦であった(現在、ゲシュペンスト提督は週代わりで秘書艦を持ち回りにしている)が、土方提督がやらかした様々な問題に巻き込まれたりしたせいでかなり苦労してきた。ゲシュペンスト提督との付き合いは長い。

土方歳子中将

パラオ泊地の前提督。海軍問題児三人衆と言われていた提督であり、現在は日本海軍の中枢にいるお偉いさん。パラオ泊地でゲシュペンストと出会い、散々こき使ったりしごいたり、戦わせたりした人物。




ゲス提督と不幸秘書艦②

 

 土方歳子中将と言えば、海軍問題児三人衆の一人として海軍士官学校の頃からすでに海軍にその悪名をとどろかせていた。

 

 海軍問題児三人衆とは、近藤勲大将(現)、沖田総美少将(現)、そして土方歳子中将(現)を指す。

 

 現在の階級を見れば、今や三人とも海軍の中枢にいるわけで、海軍大本営の重鎮となってはいるものの、基本的にそれらの問題児の性質はまったく変わっていない。

 

 とはいえ、かつては三人衆と言われているものの、この三人の起こす問題は一人一人性質が大抵異なっており、そのベクトルは違っている。

 

 まぁ今回は近藤大将と沖田少将その話はかなーり長くなるので割愛することにする。これはまた後々に語るべき時もあるだろうが、問題はパラオ泊地に迫って来ている『土方歳子中将』なのである。

 

 

 彼女のかつての通り名は、ブラック壊滅デストロイマッシーン(近藤大将命名)』である。

 

 どうやら近藤大将はネーミングセンスがあまりよろしくないようであるが、それはともかくとしてその通り名は彼女が散々これまでに引き起こしてきた事件や問題をよく表していると言えよう。

 

 ブラック鎮守府をことごとく壊滅させ、ブラック提督をクレーンの上から文字通り吊し上げて艦娘達を解放して来た故に、そんな通り名をつけられたのである。

 

 これまでに潰したブラック鎮守府は数え切れない。

 

 右に無補給の遠征で疲弊している駆逐艦があれば、自ら武装して単身ブラック鎮守府に殴りこみに行く。左にオリョクルで泣く潜水艦達があれば、やはり武装してとにかく殴りこみに行く。大破進撃する鎮守府の提督など生かしておくものか、セクハラ、嫌がらせ、以ての外。とにかく、ブラック提督吊すべし。

 

 そうして潰し、吊したブラック提督の数は幾知れず。憲兵さんよりも早く、監査部隊よりも早く、そしてえげつない。

 

 土方歳子は、そんなことを士官学校時代からずっとやらかして来た女提督なのである。

 

 もちろん普通そんな事をやらかせばただではすまなかったが、そのたびに近藤大将(現)と沖田少将(現)やその他、時には艦娘達の力も借りて乗り越えてきた女傑なのである。

 

 しかしそれだけならば、ゲシュペンスト提督も扶桑も溜め息など吐きはしない。

 

 艦娘達の為にブラック鎮守府を許さない正義漢なだけならば。

 

 土方歳子女史がブラック鎮守府を潰し廻った原因が問題なのである。

 

 彼女は自身を差して曰わく『艦娘ラヴューン』。とにかく艦娘達が好き。駆逐艦も軽巡、重巡、戦艦、空母、工作艦、揚陸艦、補給艦、ありとあらゆる艦娘を愛する。とにかく艦娘達とキャッキャウフフしたい。艦娘は天使、艦娘はとにかく愛でるもの、とにかく艦娘は満たされてなければならない、艦娘は幸福でなければならない。

 

 ある意味ブラック提督の真逆を行っているようで、真逆の方向がどこか行方不明な、そんな人物なのであった。

  

 扶桑が溜め息を吐いたのは、かつての土方歳子との生活による、一種の気苦労を思い出したからである。

 

 彼女は土方歳子がこのパラオ泊地の提督であった頃の秘書艦であり、とにかく接する事が多かった。妹の山城と必ずペアであり、執務はもちろん、三度の食事から風呂までもよほどの事がない限り必ず一緒だった。

 

 別に何らかのセクハラやそういう事はなかったが、艦娘を見る土方の目はものすごく過保護なオカンのような、それでいてやたらとその言動は変態オヤジのような、というかそれそのものであった。

 

 例えば小さな駆逐艦の子供を見ながら「でゅふふふふ、やっぱり駆逐艦は最高だぜぇ、じゅるり」とか。

 

 高雄型四姉妹を見て「ぬふっ、重巡ぼでぃ……。ああ、一緒に風呂入りてぇ。洗いっこしたい……」とか。

 

 鳳翔の居酒屋で「おかぁさんと呼んでいい?わたし、鳳翔さんの膝枕で眠りたいのぉぉっ」と酔っ払ってタダをこねたり。

 

 そして、扶桑姉妹が何かネガティブな事を言ったなら、とにかく抱きついて来るのだ。力付けようとか安心させようとかそういう意図だけではない、何か邪なものもかなり含んだ感じで「大丈夫よ?少なくともハグしてる私は幸せだもの。あほーれスリスリスリ」と言いつつ胸に頬ずりして来るのである。

 

……いや、それはセクハラやがな。

 

 一方、ゲシュペンスト提督にしてみれば。とにかくこき使われたトラウマがある。

  

 ゲシュペンストの戦闘能力は戦艦である大和型を上回っていた。近接戦闘型のタイプSであるから、遠距離武器はスプリットミサイルぐらいだったが、とにかく硬い装甲とパワーを持つ。しかも空を飛べるのである。

 

 とにかく艦娘達が怪我をしたり、あまつさえも轟沈するなど以ての外である、とする土方歳子提督(当時)はとことんまでゲシュペンストを戦場へと出した。素性どころかどこから来たのかなどお構いなしである。

 

 しまいには弟子扱いされ、戦闘から戦術、戦略までたたき込まれ、気が付けばたった一機で空母水鬼と戦わさせられたり、ブラック鎮守府への殴りこみにつきあわされたりととんでもない目にあわされてきたのである。

 

 ゲシュペンスト提督と扶桑、いや、この泊地の全艦娘達にとっての平和は、前提督の来訪によって打ち砕かれようとしている。

 

 ゲス提督と扶桑は諦めた目でお互いを見やり。

 

 盛大な溜め息を思い切り吐くのであった。

 

「「はあぁ~~~~っ」」

 

 

 




近藤大将、土方中将、沖田少将。

新撰組、とはいえ某漫画のそれとは違います。

近藤大将は男、土方中将と沖田少将は女性で性格はおそらく皆さんのイメージとは違うかと。

ゲシュペンスト提督の戦闘シーンは、あんまりでない……と思います。
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