何気に青葉ルートも同時攻略中。
暗躍する扶桑金剛同盟(策略プロデュース金剛)。
金剛さんは尽くす女デスヨ?
深夜零時を回り、散々な目にあった玄一郎は、ようやく執務室に帰りついた。
何があったのかをダイジェストで書くと。
重巡寮から全裸で脱出した玄一郎は、途中、一階のバルコニーに干してある重巡のものと思しき半ズボン(洗濯したばかりなのかそれは濡れていたが、背に腹は変えられぬ)をゲットし、それを履いて逃げていたら、天龍と龍田に「『提督っ!俺はお前が好きだっ!刀もらったとかそんなんじゃねぇ。ずっと見てきた!!愛してるっ!!』と告白されたり。『お嫁さんにしない提督はぁ、もれなく首が無くなっちゃいます~?』とか言われ、脅された。え?おまえらそうなん?!さらにそこへ突っ込んできた夕立と時雨に追いかけられ、頭撫で撫で攻撃でなんとか鎮めて駆逐艦寮へと帰し、隠れねばと忍び込んだ資材倉庫で赤城と加賀に見つかって(何でそんなところにいたんだろう?)空母組に追いかけられ、急いで海の中へ飛び込んでそれをかわしたら、足をイムヤやゴーヤ達に掴まれて溺れさせられかけ、伊勢と日向に助けてもらって「まぁ、そうなるな」と言われ、岸まで上がったら待ちかまえていたドイツ艦娘にフォルクスワーゲンで追いかけられ、その先で武蔵に捕まり、肉弾戦を仕掛けられそうになったが、フットワークでなんとかかわして逃げて、如月にあって、如月が匿ってくれると言うので信じてついて行ったら如月が色気たっぷりなかんじで服を脱いで『みてみて~、この輝く肌。あはっ、もっと近くで見てよ』などと裸で迫って来たので提督チョップ(やや辛バージョン)をかまして気絶させてあとは寮の廊下を歩いていた吹雪にまかせて、また逃げたら妙高と那智に捕まり『足柄を嫁にもらってやって下さい!!お願いします!!』と土下座された。姉妹にそこまで言われる足柄ねぇさんェ。そして、また武蔵が上半身裸で突っ込んできたのだが大和がきてくれて、なんとか説得して止めてくれて、さらに長門と陸奥、何故か間宮さん達が駆けつけて、他の追ってきた艦娘達を沈静化してくれた。俺は一時間正座で説教を食らう羽目にはなったものの、なんとか帰ってこれたのだった。
大和や長門、陸奥にも助けられたが、暴動(?)鎮圧の決め手は間宮さんの『これ以上暴れるなら、間宮食堂出入り禁止にしますよ?』だった。間宮さんの料理に胃袋掴まれた艦娘達は従うしかなかったようだ。
しかし、この四人もなんというか……。
「早く身を固めないからこういう事になる……私と陸奥ならいつでも準備は出来ているぞ。待っている」←長門。
「ん~、火遊びはだめだけど、本気ならいいわよ?」←陸奥。
「大和は、いつまでも待ってます。提督、ご検討下さい」←大和。
「また、お食事に来て下さいね。その時は大事なお話しましょう?……うふふっ」←間宮
非常に危険な気がする。なんとなく君達もですか、つかなんかもうナンダカナー。
しかし、金剛型はそういえば全く姿を見なかった。
(まぁ、あの金剛だし、俺はヒョッコ扱いだし。それに比叡は男嫌いだし、榛名も霧島も良い子だしな)
「お帰りなさい、玄一郎さん」
「お帰り、提督」
自室には、やはり扶桑姉妹が待っていた。
ネグリジェ姿で。とんでもなくエロい姿で。
いや、それだけではない。いつの間にかベッドのサイズが大きくなっている。自室の大半がベッドに占領されている。というか。
「お、俺のベッドどこぉぉぉ?!」
叫ぶ玄一郎にさらに這い寄る四人の影。
「へーい!提督ぅ、お邪魔シテルネー!」
「……気合いっ入れてっ!婚活っ!しますっ!!」
「はっ、榛名は(夜戦も)大丈夫です!」
「てっ、提督っ、その、マイクチェックワンツーっ、ふつつかものでしゅっ(緊張で噛んだ)……。よろしくお願いします!」
そう、みんな、まるで示し合わせたかのように、セクシーなネグリジェというのかベビードールというのか、スケスケな、そんなのを着て、一様にセクシーだった。
めちゃくちゃきれいでエロチック、だがしかし。
玄一郎は、くるりと回れ右をして、また逃げた。
「明日へ向かって(いろんな意味で後ろ向きに)ダッシュさっ!!」
なお、執務室のゲシュペンストの装甲の一部が拳の形に凹んでいたのは何故なんだろうな。
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あの後、安全であろう明石(練度90)の所へとにげこんで、結局は工廠の片隅にずっと隠れてタオルケットにくるまりながら震えて夜を明かした玄一郎である。
朝の光を浴びて、よくよく見てみれば半ズボンだと思っていたのは青葉のもので、考えなくても青葉がバラスト水を漏らした時のものだ。洗濯した後のものだから当然綺麗になっているのだが。
まぁ、嫌とかそんなことはなく、むしろ玄一郎は悪いことしたなぁ、と思った。なぜならば、現在玄一郎はパンツを履いていない。つまり、ナッシングパンツでじかに履いているのである。
(後で洗濯してこっそり返しておこう)
と工廠の廊下の自販機の缶コーヒーを飲みながら玄一郎は思った。
朝になったからと言って執務室に帰る気にはならなかった玄一郎は、明石にタンクトップだけ借りてこそこそと泊地から出て街へと向かった。いろいろと独りで考えたかった。あと、今は艦娘達のいる基地内にいるのは危険だと思ったのである。
折しもパラオの季節は夏。海の近くだからタンクトップに半ズボン的な格好は割とよく見る格好である。青葉の半ズボンみたいなののサイズも割と余裕があり、青葉のケツは結構大きいんだなぁ、とか一瞬思ってやはり穏便な方法で接近して、お尻ぺんぺんに持って行った方がよかったよなぁ、つか寮の修理とか弁償とか俺が出さにゃならんのかなぁ、とか思いつつ。まぁ、んなことはどうでもいいか、と頭の中から流す。
とはいえ、いつまでもこの格好でいるというのは問題があるだろう。
街の、朝から開いている作業服屋を見つけてTシャツとトランクスとカーゴパンツを選んだが、会計の際に財布は愛宕に脱がされたズボンの後ろポケットだと気づき、慌ててゲシュペンストを呼んだ。
朝になったからなのか、ゲシュペンストはとっとと来やがった。高雄と愛宕の所から財布を回収して来たらしく、玄一郎の財布を持って。
ゲシュペンストの装甲はあちこちボコボコになっていた。
「お前なぁ……いや、お前も大変だったんだな」
胸部装甲が拳の形に凹み、腕の装甲などが削れており、玄一郎は昨晩相棒の身に何があったのか悟った。
玄一郎を襲って来た艦娘達以外に、数人の艦娘達が執務室に押しかけて来て、ゲシュペンストの中から玄一郎を叩き出そうとしたらしい。
中身はいないとハッチを開けて証明するまでそれは収まらなかったようだ。
〔……殴られて胸部装甲が凹むのは二度目だが、まさか艦娘の方の武蔵にまで凹まされるとはな〕
胸部装甲をやったのは武蔵らしい。
かつてのトラウマが刺激された。しかし扶桑が秘書艦の時に例の勝手に建造機が動く現象で造られた武蔵とはいえ、そこまでのパワーがあるとは。大和型二番艦恐るべし。とはいえ一番艦の大和があのように落ち着いた性格であり、武蔵を説得して抑えてくれたのはありがたかったが。
「俺達に安息の地は無いのか……」
〔お前が、あの内の誰かと結ばれればそれですむ問題ではないのか?私などはいいとばっちりだ〕
「……部屋に帰ったらどうせ扶桑姉妹がいるだろうから、話をしようと思ったんだ。でも、まさか金剛姉妹までがいるなんて思って無かった。というか、なんでだよ……」
玄一郎としては、まず、扶桑に伝えたかったのだ。
『俺と付き合って下さい!!』と。
普通の恋愛プロセスを経て真面目に付き合って、それから自分達の未来をしっかりと決めていこう、と思っていたのだ。
それに山城が絡んで来るのは予想していたし、それも含めて前向きにちゃんと交際をしたいと思っていた。
だが金剛四姉妹の登場で度肝を抜かれて、話どころかもう、逃げてしまっていた。予想の遥か向こう側、しかもみんなあんなエッチぃ格好で、もう玄一郎の頭は処理能力の限界に達していたのだ。
そう、十数年振りに見る扶桑と山城のおっぱいは変わらず美しかった。姉妹揃って薄い桜色の先っ穂。あの当時の感動よりも遥かに、心臓はこの身体に確かにあるのだと、ドキドキ脈動して存在を主張し感動が沸き起こった。
さらに初めて見る、金剛の胸。比叡の胸。榛名の胸。霧島の胸。
姉妹みんな、ああっ。みんな同じ艦装を着てみんな良く似ているとか思っていたが、体型、胸の大きさ、ウェスト、どれも違う。一つの集団で見ていたが、一人一人、彼女達もあんなに美しかったのか、と玄一郎は思う。いつもガチャガチャしている金剛四姉妹を知るが故に、あんな艶のある、なんとも言えないあの姿……。
(いかんいかん、だめだだめだ)
しかし、あの扶桑が何故に金剛達を引き入れたのだろう。霧島に土方中将の護衛任務を命令したときにはあれほど金剛四姉妹に苛立ち、それを隠そうともしなかったのに、だ。
和解するほどの何かがあったのだろうか。
〔どうやら扶桑姉妹と金剛姉妹はお互いに対立するよりも共存する道を模索したらしい。それぞれの持っている問題や苦悩を話しあっていたからな〕
「……例えば?」
〔本人達に聞け。人のプライバシーを軽々しく言うことは出来ない。それにあの金剛達も、ただ者ではない。特に金剛と比叡は、私にとって扶桑姉妹級に危険だと判断した〕
ゲシュペンストが言うならばそれは確かなのだろう。すなわち金剛と比叡もゲシュペンストの装甲を貫けるほどの力を持っていると言うことだ。
「……ちゃんと話をするような状況に落ち着くかな?これ」
〔落ち着くには、おそらく受け入れる姿勢だけでも相手に見せねばならんだろう。まずは長門達幹部にも相談するのが良いだろうが……。幹部の中にも襲撃者がいたとは〕
ゲシュペンストはううむ、と唸った。
「天龍と龍田まで襲って来たからな。川内と神通ならまだわかるけど、アイツらまでああなるとはなぁ」
〔艦娘達の結婚願望、いや、この現象はなんなのだろうな。私には理解出来ない。それだけのストレスがあったのだろうか?異常に思える〕
「……ま、考えても仕方ないぜ。とりあえずは飯だ。朝飯食わなきゃ。出撃予定時間までまだあるからな。それまでに治せそうか?」
〔まもなく修復完了する〕
「それは重畳」
二人は今回の『事件』の話を切り上げて並んで街を歩いた。よく考えればこうやって相棒同士で歩くのはこれが初めてであり、たまには良いか、と二人は思った。
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さて。本日は扶桑の秘書艦割り当て週の終了日である。本来なら、練度を上げるために新造艦を秘書艦とし、そのサポートとして扶桑や他の秘書艦に割り当てされている艦娘達が着くことになっているのだが、厳戒態勢下ではそれも制限される。
また、次の週の秘書艦を勤めるはずだった神通が提督を襲撃したために、謹慎処分を言い渡され、さらにその次の秘書艦を勤めるはずの足柄も謹慎処分、さらに次に勤めるはずのビスマルクも謹慎処分、そのまた次、次、と謹慎処分の山で、一周回って再び扶桑、という事態となったのである。
とは言え、現状況では出撃要員やサポート要員に余裕があるわけでもなく、とりあえずば今は軽い罰のみで戦闘部隊に皆割り振られ、謹慎は厳戒態勢が解かれてから行われる事になったのだが。
金剛は提督室で扶桑とにこりと笑いあう。
この流れは二人の読み通りであった。そしてこれでお互いの目的の為に動きやすくなったわけである。
そう、二人は同盟を結び、そして一つの目的の為に現在動いている真っ最中である。
扶桑にこの同盟を結ぼうと話を持ちかけたのは金剛であった。それは玄一郎の事を思うが故である。
とっくに金剛型四姉妹は提督を廻る恋の戦いに破れている事を、他でもない金剛はよく理解していた。それは、海千山千の最古の金剛であっても覆せないほど、と。
提督と扶桑姉妹の付き合いの長さや絆の強さ、魂の繋がりはそれほどまでも強い。悔しいかな敵わない。
だが、それでも金剛山は構わなかった。提督を支える事が出来ればそれで良かったのである。彼女の思慕は献身に繋がった。
まだ経験浅い、しかし有望な玄一郎を育て成長させそれを支える役目に彼女は徹した。ヒヨッコ扱いしていたのも、まだ足りない部分を自覚させる為であった。
金剛は常に、玄一郎の様々な事を裏でサポートして来た。例えば艦娘達との関係を上手く円滑に進むようにしてきたのは金剛が裏で各艦娘達と作ったコネクションを利用しての事だったし、さらに戦術や戦略面でも彼にヒントを出して自発的に気づくようにサポートしてその成長を促してきたのも彼女である。同じ戦場に出て指揮の補佐をしたことなど何度でもある。
そうして金剛は昼行灯な役割も行いつつ、いざという時に頼りになる目上の女性というスタンスで玄一郎の信頼とそして絆を育んできたのである。
たとえ玄一郎が機械の身体であっても、彼女は彼を支えたいと思ってずっとその役割を担い、扶桑姉妹の手前、耐えていたのである。そう、それは彼への愛情無くしては出来ぬことだった。
さらに、姉妹達の事もある。
比叡や榛名、そして霧島。この三人が玄一郎に惹かれていることも金剛は痛いほどによくわかっていた。
愛する姉妹のその思いもなんとかしてやりたかった。
だが、そんな時にいきなりのゲシュペンスト提督の人間化である。
これは泊地の統治そのものを揺るがしかねない事件だった。どの艦娘達も提督という存在への思いが強く、暴動に発展するのは目に見えていた。
それは一歩間違えれば泊地そのものが壊滅するほどの事態にも発展しかねず、今回はなんとか収まったが、次はどうなるかわからない。さらに今は厳戒態勢下、戦闘状態なのである。敵は今までのマヨイやハグレではない。戦術を以て戦うような勢力で、抜け目のない戦い方をしてくるような深海のテロリストなのである。そのような事で敵に揚げ足を取られ、玄一郎が敗北するなど、考えたくもなかった。
故に金剛は玄一郎の為に、それを納める手段の為に動いた。
その為にはあえてコンタクトをとっていなかった扶桑姉妹に会って、全てをさらけ出し、現在巻き起こっているこの問題全ての解決方法を話しあい、共同協定を結び、そして。
第一夫人に扶桑、第二に山城、第三に間宮……と、第20夫人までとりあえず選定する事を決めたのである。玄一郎の意思などまーったく聞かずに裏で。
さて、ここでおかしいと思われるかも知れないのは、何故第三夫人が金剛ではないのか?と言うことである。
金剛の目的は自分達の私利私欲を満たす事ではなく、愛する玄一郎の泊地統治にとって必要な事をする、それだけなのである。故に今回のこの騒動沈静化に最も有効な駒を第三夫人に配置する事でそれを為そうとしているのである。
間宮は表にほとんど出てこないが、あの鳳翔も敵わぬほどの影の実力者である。全ての艦娘、いや、泊地の全ての者の胃袋を掴み、その匙加減一つで戦況を変えてしまう力を持っているのである。それも武力に依らず、料理の力で、である。
力で抑えつければ反発を生むだろうが、誰もが抗えぬ間宮食堂の力を取り込む。幸いな事に間宮は玄一郎をとても気に入り、そして求婚すらもしているのだ。
間宮自ら求婚をするなど、日本海軍初どころでは無い。間宮という艦娘はどの記録にも結婚艦は存在しておらず、もっと言うならばパラオの間宮は、大本営のお偉方どころか日本の首相すらもクビにしてしまえるほどに影響力を持つ『最古の間宮』なのである。
この駒と言うには大過ぎる、最終兵器級の艦娘が玄一郎の元に来るならばもはや勝ったも同然。さらに間宮本人にこのオファーを裏で取ったところ、彼女は『何番でも構いません。あの方の為に食事を作らせていただけ、それをあの方に食べていただけるのなら』と快諾した。
「さて……では、大和さん、長門さん達にも根回ししましょうか?」
「そうネェ、あとは五十鈴は抑えたいネェー。出世艦はダテじゃないデースしネェ?乗り気かどうかはわかんない子デスが、大和を推したのはあの子デスし?」
「……まるゆちゃんも欲しいかも……」
「というかマダ不幸だとでも?」
「……可愛いから」
「ワカルマスけどねー。今は主要艦、ヨ?とりあえず、今晩は山城と二人で提督と話あうデス。きっと向こうカラ話を持ち出すカラ、まずは艦娘達に人間の姿になったコトとケッコンカッコカリする予定だけでも発表させるように話をつけるデス。それで一時でも事態沈静化させないとネー。早くしないと今の戦況下では危険デースカラね!」
そんな感じで、嫁候補を選出している二人の企み(?)を玄一郎は全く知らなかったのだった。
紅茶昼行灯・楽隠居?とんでもありません。主人公は常に見守られて成長させられてきたのですよ。
間宮さんは本当は怖い。
赤城・加賀は資材置き場で何をしていたんだろう。
長門型もそうなんか。
つか、武蔵は……。