ゲス提督のいる泊地   作:罪袋伝吉

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足柄さんケッコンカッコカリの快挙。

悲報、主人公三途の川送り。

ジィサンバァサン数珠を握って空拝む!


重婚多重奏曲~三途の川とジィサンバァサン。

 

 

 パラオ泊地の重巡の中で、足柄は高雄に並んで『古株』のベテランであった。

 

 いや、パラオに限らず足柄としては最も古いというか、この世で顕現した重巡としては、だいたい約30年ほど前に現れた艦の一隻だったりするのだが、本人は『この世に艦娘として生を受けて20年』などとサバを読んでいたりする(驚愕の事実!!)。

 

 とはいえ、まぁ、妖精さん達にはモロバレだったりするし、最初の礼号組なのでその経歴でドロップした年号まで調べればすぐにわかったりするのだが。

 

 元は大本営付きの礼号組にちなんだ艦隊、霞、足柄、大淀、朝霜、清霜のチーム『礼号組』の初期メンバーであった。初期、というのはこの『礼号組』は今までにメンバーが入れ替わっており、この前に襲撃された深海アイドル達の護衛に就いていた『礼号組』のメンバーは足柄の頃から数えて第15期礼号組、つまりメンバーの引退によってそれだけ入れ替わっているのである。

 

 この大本営『礼号組』の伝統は、旧海軍の『礼号組』所属艦とは違い、初期から轟沈した者が居ないことである。その辺は大本営の歴代の『礼号組』の指揮官司令官の手腕なのかそれとも艦娘達の経験によるものなのか、両方なのか不明である。

 

 また、引退は大抵がケッコンによるものであるのも特徴だが礼号組の足柄は大抵何故か未だに婚期が来ないのも特徴で、例えばパラオ泊地の足柄は初期から第三期までチームに在籍していたが、ご存知の通り婚期はまーったく来ていなかった。

 

 足柄以外のチームメイト達はみんな初期から第三期までケッコンカッコカリで退職しそれを見送る足柄も流石にいたたまれなくなって転属。だがことごとく全く良縁がなく、その後各鎮守府を渡り歩き惨敗の末に最後にパラオ泊地に在籍、という。

 

 その次の第四期から第五期までの足柄も仲間たちがケッコンカッコカリを見送り、退職して今もなお独身。

 

 第六期の足柄も前の足柄同様、退職後も独身。

 

 それから14期まで以下同文、結婚艦は一人としていなかった。

 

 現在の第15期礼号組の足柄もやはりケッコンカッコカリでほかのメンバーがコロコロ変わって行くのをやはり悩んでおり、かなり焦って合コンやら見合いやらを繰り返していると聞く(なお、見込み無し、と言われている)。

 

 礼号組以外の他の足柄のケッコンカッコカリ率は実際には悪くはなく、他の艦娘達の平均とそれほど変わりない。あたかも足柄だけケッコンカッコカリ出来ない呪いをかけられているかの如く、礼号組の代々の足柄は今も独身。ずーっと独身。それはもう見事なまでの独身率であったのである。

 

 しかし、初期の足柄がそのジンクスをいま、打ち破った。

 

 ちゃらららちゃーららーちゃららちゃーららー♪(ケッコンカッコカリのテーマ。)

 

 ケッ・コン・カッコ・カリ。

 

 艦娘と特別な絆を結びました。感動的だなぁ。うんうん。

 

 だがしかし、提督の命は今、尽きようとしていた。

 

「も、もう、あかん……」

 

 何故か関西弁で玄一郎は仰向けのまま、ぴく、ぴく、とあたかも殺虫剤を吹きかけられた、黒光りするゴの付く虫の如く手足を痙攣させて悶絶していた。

 

 犯人は餓えた狼さん(29歳:建造年数)。いや、今は満たされた狼と言うべきか。なお、建造されて20年間などとパラオの足柄は口癖のように言うが、だが9年サバを読んでいたりなんだり。なにしろこの足柄は、この世界で最初にドロップした最古参の足柄……いえ、げふんげふん。

 

 玄一郎は搾りに搾り取られて生搾り100%。最後の最後まで美味しく頂かれてしまったのである。

 

 計9発。

 

 いかに試製51センチ砲と言えど、残弾がなければなんにもならぬ。餓えた狼との夜戦で貪り喰われて玄一郎の資源はもはや枯渇状態に追い込まれてしまったのであった。

 

「いやん、うふん、こんな素敵な婚約指輪を用意してたなんてぇ、素敵ぃ!あなたぁ、愛してるわぁっ!!いやん、恥ずかちぃっ!!」

 

 いやんいやん、と身を捩らせつつ、足柄は指輪の煌めきに満面の笑みを浮かべてやたらなんというか、こう……うん、見てる方が恥ずかしい、『恥ずかちい』は無かろう。その歳……いや、げふんげふん。

 

 指輪の紋様は戉(まさかり)紋。足柄の艦内神社である坂田金時ゆかりの芦柄神社の紋であり、円を描くように戉、つまり大斧が配置され、その円の真ん中に煌めくダイヤがはまっている。これもまた仕上げた妖精さん達のやりすぎが発揮されたスペシャルリングの一つだった。

 

……妖精さん達も足柄に関してはかなり気にかけていたらしい。何しろ最初の足柄なのだし、ねぇ。

 

「よ、喜んでもらえて俺も嬉しいが……すまん、爺さんが川の向こうで……手を振ってるのが……見え、る……」

 

 ガクッ。

 

 まぁ、仮にも主人公である。死にゃしないだろう。

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 三途の川の向こうには、それはそれは綺麗な花が咲き乱れ、そしてその向こうには玄一郎の祖父がいた。

 

『おお、死んでしまうとは玄一郎、情けない』

 

 ちゃらりらちゃらりらちゃらりらちゃらりら……(某RPGのとある寺院のテーマ)をバックに玄一郎の祖父は言う。その後ろには三途の川を渡って来た時に使ったと思われる舟となんかヤケに巨乳で大柄な死神と思しき女性が居たりするが、そっちは特に関係ない。

 

 関係ないが、その乳は愛宕や武蔵以上のボリュームであり、それに匹敵するのはアインスト・カグヤぐらいであろうか。玄一郎はちらちらっと見てしまったりなんだり。

 

『……まだ死んでないって。つか面会時間決まってんだからちゃっちゃと必要な事を伝えな!!』

 

 死神のおねーさんはそう言いつつ胸を隠すようにすると爺さんと玄一郎をにらんだ。

 

『わかっとるわい。玄一郎や腹上死はシャレにならん。あれだけは、あれだけはいかんのじゃ。死後、なんとも幸せそうな間抜けな死に顔をさらしている自分を霊体になってずーっと見下ろすあのなんとも情けない事。あれは恥ずかしいを通り越して末代までの恥じゃ。おまえだけは、おまえだけはそのような死に方をしてはならぬ……!』

 

 ぐぐぐっ、と拳を握りしめつつ爺さんは言う。なんかやたら無念そうな感じである。

 

「爺さん、なんかものすごく実感こもってんな、おい」

 

「……バァサン死んでからな、寂しくなってつい、ネーチャンのいる店行ってな。ハッスルしたら文字通り昇天してもーたのぢゃ。じゃが、あれはあれである種幸せな往生とも言えるがのう。ついついアミダアミュデュラな天国な穴で逝ってしもうたわい」

 

 ジジィの相手は魔性菩薩だったらしい。いや、世界が違うからっ!!あと穴言うな。

 

「ジジィの死因がそうだったとは知らんかったわ。つか、死に顔がやたらにやけてたのはそのせいかよ……なんか情けなくなってきたぜ……」

 

 うんうん、と身内の死因がそれというのもなんか悲しくも情けない気もする。舟にいる死神のおねーさんの目がとても冷たい。なんなんだこの変態ジジィと孫は、という目だ。俺は関係ないからな?と死神のおねーさんの方に向かっていやいやいや、と手を振るが、しかしその視線は冷たいままである。

 

 ちょっと玄一郎は凹んだ。見知らぬ人にまで軽蔑されるこの辛さよ。

 

 とはいえ、どおりで祖父の葬式の時に親戚達の態度が変だったと玄一郎は得心がいったが、親族の死因が腹上死とは笑えない。いや、このままこの川を渡ったら俺もそうなるのかと玄一郎は怖くなって一歩川から身を引いた。

 

『安心せぇ。まだお前は死なん。つか、遥かに長く生きる運命ぢゃ。顕現化した神霊となってしもうとるから、むしろ生きれば生きるほどに力を増す。まさかワシの孫にそのようなモンが出るとは思わなんだが……』

 

「あ、死なねーの?ならいいや」

 

 死なないとわかってあっけらかん。現金なものである。

 

『しかし、ワシも出来なかったハーレムを孫が実現するとも思わんかった。……バァサンのせいででけんかったのぢゃ。あれは……嫉妬心が強くてのう』

 

 玄一郎も祖母が生前、祖父を包丁や薙刀持って追っかけ回していたのを何度か目撃していたが、その様は山姥か修羅か羅刹か何かかと思うような恐ろしさだったのを覚えている。

 

「バァサンおらんかったら作る気だったのかよ?!」

 

『ほれ、お前の正妻の扶桑の冷気とムサシの力強さと龍田の薙刀と島風の速さとそれを足して割らずさらにその五倍増しぢゃ。まぁ、ええ女ぢゃけんどな?』

 

「……あの優しいバァサンがなぁ」

 

『そりゃあ、お前は跡取りの長男ぢゃからのう。まぁ、それはともかく無駄話はこれぐらいにしよう。お前に伝えねばならぬ事がいくつかある。よく聞け』

 

「おう、なんだ?」

 

『この先嫁はますます増えるのだろうが、この後に求婚するならば大淀ぢゃ。夜の相手の管理を頼め。それでかなり体力の消費を抑えられるはずぢゃ』

 

「いや、だが大淀は大本営からの出向の事務職だぞ。ケッコンカッコカリは職務上無理なはずだ」

 

『くくく、その辺は心配ないぞ?本人がもう手を打っておるし、大本営とやらの契約期間は過ぎていつでもフリーになれるらしいからのう。なかなかに有能な人材ぢゃ。お前の上司達も面白……いや、協力するはずぢゃ。次に、香取と鹿島。この二人を相手にする前に、昼に間宮のレバニラ、夜にパラオ市街の『昇竜軒』のスタミナニンニクラーメン、スタミナ餃子、スタミナ炒飯を食い、ブレスケア三粒を必ずとっておけ』

 

「……やけに具体的だな」

 

『くくく、経験者は語る、ぢゃ。香取と鹿島の悲しき過去、心の傷を癒してやれば、当面もはや後に畏れるものはない。乗り越えられればレベルアップし、難関である港湾棲姫や基地型の強大な力にも耐え、アインストなる超絶なラスボスクラスの乳も調伏せしめ序盤はやすやすクリアできるぢゃろうて』

 

「……危機ってどういう類いの危機なんだよ?」

 

 玄一郎にはあのアインスト・カグヤという女性がそれほど危険だとは思わなかった。服装はああも危険なのだが、性格や人格は非常に常識的だし、少し天然は入っているものの、おっとりとしており、その仕草には気品がある。何より敵意や危険な感じは全く無かったのである。むしろ好意すら感じるほどだ。

 

『調伏、というたろが。この世界の神霊は陰陽の極に分かれ争っておる。ウェイクアップ!ヒーロー!勃ち上がれ!光と闇の果てしなきバトル!なのぢゃ!女しかおらぬが故に戦う艦娘達の前に男のお前がこの奇妙な世界に喚ばれたのはその為でもある。ならばやることは一つ。和を以て尊し、和合を以て愛のベッドウエー(上)海戦夜戦突入ぢゃ。この世界に愛を振りまくのぢゃ!!』

 

「……いや、なんか違うような気がすんだが?」

 

『違うものか。日本神話の伝統ぢゃぞ。交わり互いの血を残す事で一体化し、そして日本という国は出来たのぢゃ。素戔嗚尊などその最たるもんぢゃぞ?ああ、そういや素戔嗚尊を奉っとる艦娘もおったのう。故に激しい。うむ、艦娘の方もちゃんと娶ってやれよ?』

 

「……いや、どっちかと言えば素戔嗚尊は剣で暴れ回っとったイメージがあるんだが?」

 

『こまけえことはええんぢゃ。アインスト・カグヤはほおっておくと危険なんぢゃ。本人の性格は善いがその出自、創り出したモノの性が徐々に出とる。あの創世の念が曲がってしまう前に、はよう子作りせい。下手すると静寂な世界とか言い出して人類抹殺とかやり始めるぞ』

 

「……そんなにアイツ、危険なのか?」

 

『おなごは人でも危険ぢゃ。特に何かをこじらせてしまった女は独特のオーラを出すものでな。こじらせて地球で自慰するような者もあの世に一度来とったからのう。なんか別の世界に召喚されておらんようになったが』

 

……こっちの世界でなくて良かった、というべきだろう。アレはいかん、殺生院キ○ラさんは来たらアカン。

 

「……あの世怖い」

 

『そうでもないぞ?ええ女もおるのぢゃ。それはさておき。あと2つ伝えねばならぬ。お前のオヤジも母も姉も生きとるぞ。安心せぇ。ただ、お前同様、何かお前に縁のある女がこちらに来とる。こっちは用心せぇ。そう、戦うならばさらなるレベルアップが必要となるぢゃろう。そう、改になれ!!という奴じゃ。ゲシュペンストはあと2回、改装できる』

 

「いや、艦娘じゃあるまいし、改なんてなれるのか?」

 

『すでに現在の姿がゲシュペンスト改なのぢゃ。あと二回、ゲシュペンストは改三になれる。忘れるな。愛こそがお前の力ぢゃ。ああ、それにしてもお前の嫁達はええ女ばかりぢゃのう。あやかりたい!!』

 

『お爺さん、何があやかりたいと言うのじゃ?』

 

 すっ、と爺さんの隣に、玄一郎の祖母が現れた。

 

『ギックウっ?!バババ、バァサン?!』

 

『帰りが遅いから見に来てみれば!如来様や閻魔様の許可した時間をとうに過ぎておるんじゃ!孫可愛さになんでもかんでも話すんじゃありません!』

 

『いや、でもやはり異世界に独りでおるのぢゃ、それも世界救済を……』

 

『あの世の存在が介入し過ぎてもいかんのじゃとあれほど如来様が言っておったのに、お爺さん、それ以上は言ってはならん。とはいえ、はぁ、やはり孫、それも長男となると、可愛いもの、肩入れしたくなるのもわからんでもないわなぁ』

 

 ちらりと若返った祖母は玄一郎を見て。

 

『玄一郎や、この言葉を覚えておきな。テトラグラマトン、ディス・ゲシュペンスト・ドライ。お前の相棒がかつての怨敵によって窮地にたたされた時にお唱え?』

 

「テトラグラマトン、ディス・ゲシュペンストドライ?」

 

『そうじゃ。ゲシュペンストはやがて機神へと生まれ変わる。悪に堕ちたヒーローは再び善へと返り、地球を守護する神となる。努々忘るな?玄一郎……』

 

 祖母はそう言うと、祖父の耳をぎゅうっと絞り上げるように摘まむと、そのまま三途の川の向こう、彼岸の向こうに消えて行った。

 

…………………………………。

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

「ジイサン!バァサン!!」

 

 手を伸ばし掴み取れ、君、大切な物。

 

 玄一郎が手を伸ばしながら掴み取ったものはやたらと柔らかかった。

 

 モミモミ。本能的に揉んでそれは『あんっ!』と声を発した。

 

 目をパチクリとして、これ誰の胸?とその顔を見ようとするが、乳のデカさで見えない。

 

 だが、その特徴的な服装で誰かがわかった。

 

 黒い犯罪スレスレな和風というかチャイナというか、こう、面積の少ないドレス。

 

 アインスト・カグヤであった。

 

 もみもみもみもみ。

 

 先ほど三途の川でジジィに危険と言われたアインスト・カグヤの乳を揉む玄一郎。

 

 条件反射というか、本能でもーみもみ。

 

「んっ、あっ、あんっ、いやっ」

 

 もみもみもみもみもみもみ。

 

 果たして、玄一郎の命運や如何に?!

 

……死んでも命がありますように。ちーん。




主人公が艦娘とバルシェムのハイブリッドな建造方法で作られ、さらにサイボーグなので、やはり導かれてアレな覚醒をせねば、と。

アインスト・カグヤの乳揉みたい。

次回、対舞鶴トリプラーでまたあおう!!(嘘)
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