久し振りの扶桑姉妹登場。
沖田さんも登場。
さて、さらに所は変わって舞鶴鎮守府。
舞鶴鎮守府は近藤中佐が提督を務める鎮守府である。無論、近藤の鎮守府であるからしてホワイトな鎮守府なのであるが、他の提督達からは現在の舞鶴鎮守府はこう呼ばれる。
『近藤専用ドピンク鎮守府』
と。
これは舞鶴鎮守府がかつて『女衒鎮守府』であった影響が未だに抜けていないせいであり、そこに所属している艦娘達はやたらと、その、エロい事に長けているからそう呼ばれる。
無論、近藤はホワイトな男であるのだが艦娘達はものすごいドがつくほどにピンクである。
近藤がどうにかまともな鎮守府にしようとしてはや数年。近藤の努力が実を結び、海軍としての艦隊運営はキチンと出来るようになっては来たが、ピンクな部分は全て近藤にのしかかりって、それはどうしようも無かったのである。
そう、今まさに近藤の後ろから大きなおっぱいがのしかかっているように。
「……愛宕よぉ、前から言ってるよな?なんで俺の頭に乳を乗せんだよ?」
「あらぁ~?お嫌いですかぁ~?」
愛宕の大きいおっぱいが、後ろから近藤の頭に乗せられていた。
ずっしりとしつつ柔らかく、しかしながらしっかりとしたおっぱいである。
今週の秘書艦は愛宕であった。
舞鶴鎮守府では秘書艦は持ち回り制であり、一週間毎に交代する。このやり方は近藤が舞鶴鎮守府の立て直しをするために考案した制度であり、各艦娘の練度を満遍なく上げる目的で行っているものである。
まぁ、後々この近藤の持ち回り秘書艦制度はポピュラーな艦娘育成方法として海軍の提督学校の教科書にも載ったりするが、それはまた別の話である。
この愛宕はかなりエロい。舞鶴の高雄と並んで『エロい高雄型シスターズ』などと呼ばれるほどであり、日本海軍の愛宕中最大の乳と尻をもつ、むちむちボンキュボンな愛宕なのである。
非常にまだ童貞の近藤にとっては危険な愛宕であった。そう、近藤はこの頃、まだ(!)童貞の清いままの青年であった。
「執務中は、秘書デスクで執務しろと……」
「ああ、とっくにデスクワークは済ませたわぁ?」
正直、この愛宕は秘書艦として、かなり仕事が出来る愛宕である。姉の高雄もそうなのだが仕事を覚えるのが早く、さらに艦娘としても演習にせよ実戦にせよその実力は海軍において一目置かれるほどにまで成長していた。
ゆえに、近藤にとっては質が悪いと言えた。確かに本日中に処理せねばならない書類の束が、とっくに終わって積み上げられていた。
「……チェックは……」
「二度やったわぁ?というか今まで私がミスしたことあるぅ?」
言われてぐっと詰まる。そういう部分で全くミスが有ったことは一度も無いのである。
「慢心はいかんぞ?あと、俺の書類はまだ終わっていない……」
「その書類、さっきも見てたわよねぇ?というか全部終わってるのにまた積み上げて仕事してるフリはいけないのよぉ?」
(ぐっ!バレてる?!)
そう、近藤もすでにデスクワークを済ませていたのだが、もし執務が終わってヒマが出来たならば、この愛宕は確実に襲ってくるので、まだ仕事してますという感じで本日の終業まで乗り切ろうと思っていたのだ。
「い、いや、念入りにチェックをしていたんだっ!この書類は重要だから……」
「……ウソといけないわよぉ?これ、ただの資材の受け取り書類よねぇ?とっくに処理済みでサインした後の」
「いやー、気づかなかった!ほら、たまにこう言うのが混ざってることもあるから、チェックは重要だよな?ははははは」
そう言って近藤は笑って誤魔化そうとして、そして逃げ場を探そうとした。
だが。
きゅっ、と愛宕が後ろからさらに手を伸ばして、デスクチェアごと近藤を抱きしめて来た。
「……な、ななな、なんだ?愛宕」
「いえ、仕事が終わったなら、休憩タイムよねぇ?テ・イ・ト・ク?」
「うわわわわ、よせっ、俺の鎮守府はホワイトっ、ホワイトな職場を目指してるんだぁーーーーっ!!」
「んふふふふ、そうねぇ、ちん、が、じゅん、として、ホワイトなものが素敵に、どぴゅっ、な事をしたいわねぇ?」
「ちっがーう!!いや、待て、止めろ、止めてっ!!アーーーッ!!」
舞鶴鎮守府に、今日もまた近藤提督の叫び声が木霊した。負けるな近藤!頑張れ近藤!ホワイトな鎮守府運営の為に!!
扶桑姉妹は現在、舞鶴鎮守府に駐留していた。
この五年間で、様々な基地や鎮守府に派遣されたりしていたが、様々な事情があってことごとくそれらの基地や鎮守府は壊滅したり、提督が吊されたりした為、行き場を無くした為に、五年間の小島基地壊滅事件の後で知り合った土方少佐の世話で、この舞鶴鎮守府に引き取られる事になったのである。
この頃には扶桑姉妹はすでに『鎮守府クラッシャー姉妹』とか『不幸姉妹』などの異名で呼ばれていたが、近藤提督も土方少佐も全くそんな事など気にもせず、近藤などはこの舞鶴にまともな艦娘が来てくれた!!と喜んだぐらいである。
もっとも、彼女達が派遣された鎮守府などが必ず壊滅していたのは、半分ほどは近藤達による『ブラック鎮守府撃滅作戦』で彼女達の派遣先を潰されたせいでもあるからして、その元凶の鎮守府に滞在しているというのも、ある種、皮肉なのかもしれない。
とはいえ、扶桑姉妹はむしろ近藤達に感謝している。
なにしろ彼らが潰して来たのはブラック鎮守府であり、艦娘達を救うための行動だったからだ。
現在、扶桑姉妹は近藤提督に新たに建造された大和と陸奥の教導を任されていた。
大和はすでに練度60、陸奥も40程に成長し、戦力として充分通用するほどに育って来ている。
四人は教練を終えて鎮守府の入渠施設へ向かおうとしたが……。
「アーーーッ!!」
提督の執務室から近藤の悲痛な悲鳴が聞こえて来た。
「……あー、またやってるわ、ねぇさま」
山城が他人事のように言う。
「はぁ、今週の秘書艦は愛宕さんですから、予想はしてましたけど……」
扶桑もまたか、とおもいつつ。
「大和さん、陸奥さん、ほらほら、はやく止めにいってあげて?」
と、二人を急かすように行かせた。
「ハイッ!大和、提督救助に向かいます!!」
「はぁ、私は気が進まないけれど」
大和も陸奥も、この鎮守府のこの手の騒ぎにも慣れてしまっているようだった。
扶桑姉妹は、はぁ、と溜め息を吐き、それぞれ一言。
「空はあんなに青いのに(変な鎮守府よねぇ)」
「(近藤提督が)不幸だわ……」
まぁ、それでもブラックな鎮守府では無いだけ良かろうもんである。
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さて、所は変わってまたゲシュペンストのいる無人島。
あれから、また十数名増えた(救助された)。
やったね、ゲシュペンスト、女の子が増えたよ?(白目)。
フィリピンの上空から偵察を行っていた際に、深海棲艦に攻撃されている高速艦(艦娘ではなく普通の船である)を見つけ、それを救助して無人島まで案内し連れて来たのだ。
救助されたのは日本海軍の女軍人と、そしてあとの数人は艤装を解除された艦娘達だった。
「……アンノウン第一号が艦娘達を救っているって話は本当だったのね」
と、その女軍人は言った。
「アンノウン、未確認物体って、俺は空飛ぶ円盤じゃねーぞ」
玄一郎はどうもこれまでの先入観から、日本海軍には抵抗があって、ぞんざいな口調で返した。
日本海軍は艦娘達に酷い事をしており、この女軍人もそうなのだろう、と思っていた。なにより、この女軍人の乗っていた高速艦の中の艤装を解除された艦娘達の着ている格好は裸同然で、ボロボロのシーツや何かの布を巻きつけただけであり、そこから見える肌には酷い仕打ちを受けてきたのだろう、痣や傷があちこちについていたのだ。
女軍人はつけている階級章からすれば佐官であり、玄一郎はコイツがフィリピンの基地の司令官だろうと勘違いをしていたのである。
故に女だろうと軍人は追い出そうとしたのだ。
「艦娘達は渡してもらう。だが、あんたは……」
出て行ってくれ、と言おうとして大淀がその女軍人の名前を呼んだ。
「沖田少佐!沖田少佐じゃありませんか!」
と。
「え?あなた、大本営の秘書課の?!」
「はい、元大本営秘書課課長の大淀です!」
大淀は、たたたっ!と駆け寄って沖田と呼ばれた女軍人とゲシュペンストの間を割って入り、沖田を背に庇うようにしてゲシュペンストに言った。
「だ、ダメですよ、ゲ、ゲシュペンストさん!彼女は悪い軍人じゃ、あ、ありません!彼女の名誉の為に言っておきますが、彼女は海軍の不正や腐敗と戦っている、海軍情報部のエースなんですからっ!!」
大淀は震えながらも真っ直ぐゲシュペンストのアイカメラを見て言った。
大淀を助けてから1日。彼女はゲシュペンストを恐れているようで、玄一郎は怖がられているならあまり彼女を刺激しないように、怖がらせないように距離をとろうとしていたが、そんな彼女がこのように勇気を出して、沖田少佐を背に守りつつ、足をガクガクと震えさせつつも、このように沖田少佐を弁護している。
その様から、玄一郎も理解した。
沖田少佐はおそらく大淀の言うような人物なのだろう、と。
なおも大淀は言う。
「沖田少佐達の活躍で解放されたブラック鎮守府は今までに幾つもあるんです!そ、そ、それにっ、それにっ!」
大淀は涙目になっていた。
いかん、なんかいぢめているような気分になってどうもいたたまれない。昔、小学校時代に好きだったクラス委員の女の子に悪戯して怒られた記憶がオーバーラップしてしまう。
「黒田くんが、○○ちゃんに悪戯して泣かせちゃいました!そういうのって良くないと思います!」などとクラス会で他の女子(さほど可愛くない)にチクられて晒し者にされて、しかも担任のオバハン教師にさらに叱られるというトラウマが記憶に蘇る。
違うんだ、あれは、ちょっと驚かせて、あははははって、あははははって、笑って欲しかっただけなんだ、泣かせようなんて思って無かったんだ、本当だ!
好きだった女の子には、当然嫌われてしまった少年時代の初恋の記憶。それがフラッシュバックする。
「あ、あ、あ、あ、ごめん!俺が悪かった!!いや、誤解!誤解してたんだよ、うん。だって階級が高かったから、フィリピン基地の司令官か何かだと思ってたんだ、だからね、涙拭いて泣くの止めてぇぇっ!!」
うわーん!!
少年時代のトラウマに、玄一郎は頭を抱えて泣きそうになった。涙を流せないロボだけど。マシンだけど。
「えーと、あの、何なのこの状況?」
泣いて自分を庇う大淀に、悶えて謝るロボという謎な状況に、沖田少佐はもうわけがわからなかった。
というか、遠巻きにして他の艦娘達が見ているのだが、誰か二人をどうにかしてほしい、と沖田少佐は思った。
大淀さん、勇気を出すの巻。
というか十年前はおどおどしていた大淀さんも、本編の時間軸ではあんな風になるわけですな。
月日の経つのは恐ろしいですねぇ。